筋肉痛でも筋トレはしてもいい?それとも休むべき?

監修者

野島 賢

NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー) ISA-CSTP(日本ストレッチング協会認定ストレッチングトレーナーパートナー) JCCAベーシックインストラクター(日本コアコンディショニング協会) JBBF(ジャパンボディビルフィットネス連盟)公認指導員 日本スタビライゼーション協会スタビライゼーション・アドバンサー 国際救命救急協会 CPR+AED

【プロトレーナー解説】筋トレをすると必ず起こるのが「筋肉痛」です。筋肉痛でも筋トレをしていいのでしょうか?それとも休むべきなのでしょうか?ここでは、筋肉痛のメカニズムや、筋トレと超回復の関係、筋トレ後の筋肉痛を抑える方法などについて解説します。

筋肉痛が起こるのはなぜ?筋肉痛と筋肥大のメカニズム

筋肉痛のときに筋トレをしていいのかいつも悩みます。筋肉痛でもしていいのでしょうか?

野島 賢監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)
ISA-CSTP(日本ストレッチング協会認定ストレッチングトレーナーパートナー)
JCCAベーシックインストラクター(日本コアコンディショニング協会)
JBBF(ジャパンボディビルフィットネス連盟)公認指導員
日本スタビライゼーション協会スタビライゼーション・アドバンサー
国際救命救急協会 CPR+AED

多くの方が同じような疑問を持っています。それを理解するために、まずはそもそも「筋肉痛とは何か?」を知りましょう。

意外なことに、筋肉痛のメカニズムは、現代の技術を使っても、完全には解明されていません。諸説ありますが、有名なもののひとつが、運動で生じた「乳酸」が、筋肉に何らかの影響を与え痛みが発生しているという説です。

筋肉痛が起きる原因

筋肉痛が起きる原因は、以下の2つです。

1) 動きが初めてで慣れていない

2) 力を入れて筋肉が伸ばされるエクササイズ(ランジなど) をおこなう
 筋肉痛は初期段階で起こりますが、慣れると起こりにくくなってくるのです。

よく勘違いされるのは、「筋肉痛は筋肥大を起こす上でもっとも重要な要素である」ということです。しかし、筋肉痛が起こる原因と筋肥大が起きる原因は別なのです。

筋肥大が起きる原因

1) メカニカルテンション
 筋繊維に力学的な負荷がかかることで筋繊維に傷がつきます。特に筋肉が収縮された状態から伸ばされる動作(ネガティブ動作)に負荷をかけると起きやすいです。

2) メタボリックストレス
 代謝物質がたまり、細胞が腫れを起こすことです。パンプを起こしてトレーニング後に腫れたように感じることがありますよね、それです。

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筋肉痛になることと筋肥大が起きることは厳密にはイコールではありません。

筋肉痛にならないけど筋肉は成長してる?

筋トレをある程度続けると筋肉痛にならない場合があります。上述したように筋肉痛になる原因は「今の筋肉では支えきれない負荷がかかる」、もしくは「筋肉が動きに慣れていない」です。つまり、筋トレをある程度続けていると筋肉痛になっても程度が小さい、または筋肉痛にならない、という現象が起きるのです。

筋肉痛にならないと筋トレの成果がしっかり出ているのか不安になるでしょう。しかし筋肉の成長(筋肥大など)と、筋肉痛が起きる原因は完全にイコールではないため、筋肉痛にならないとダメということはありません。

そもそも筋肉が成長するとはどういう現象なのでしょうか?その答えの鍵に『超回復』という理論があります。

筋肉を成長させる現象『超回復』とは?

筋トレをすると、筋肉の組織が傷つきます。すると体は「このままの筋力では足りないから、今よりも筋肉を大きくする必要がある」と判断して、48〜72時間かけて(筋肉の部位や筋トレの強度による)筋肉を大きくしようとします。これが『超回復』とよばれる現象です。

つまり、筋トレをして筋肉に負荷がかかればその分しっかり筋肉は成長するのです。筋トレ上級者であれば筋肉が負荷に慣れているため、限界まで筋トレをしない限り、ひどく筋肉痛で痛い、ということにはならないです。それでも筋肉はしっかり成長します。

筋肉痛にならないと筋肉は成長しないと思っていました…。

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そんなことはありません!「筋肉痛=筋肥大」と勘違いし、無理に追い込むのは危険ですよ。

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筋肉痛でも筋トレはしていい?休むべき?

では、筋肉痛になった場合はどのようにすればいいのでしょうか?筋肉痛であっても毎日筋トレをしていいのでしょうか?

答えは「基本的にNO」です。前述したとおり、筋肉は超回復を上手く利用することによって大きくなるため、基本的に筋トレ後48〜72時間はしっかりと休息をとることが重要です。

筋トレをしすぎると、筋肉の回復が起こる前に筋肉をさらに傷つけることになり、結果的に筋肉が弱くなってしまうためです。

また、それ以降も筋肉痛が残っている場合には、無理にトレーニングをおこなうべきではありません。筋肉痛がある中で無理にトレーニングをおこなうと、腹筋や体幹に力が入らずフォームが崩れて、怪我の原因につながります。

つまり、ひどすぎる筋肉痛を起こすほどの過度な筋トレが最大の効果を得る為に必須であるとは限りません。

回復を遅めてトレーニングの頻度や効果を下げてしまう結果になりかねません。あまり筋トレ慣れをしていないのに急にやりすぎることは避けましょう。

毎日筋トレをしたい人のために

筋肉痛で痛い場合は筋トレは休みましょう。しかし、筋トレを始めたばかりの初心者は、なかなか筋肉痛が取れず、トレーニングの期間が空いてしまいがちです。そこでオススメなのが、日によってトレーニングをおこなう部位を分けることです。(スプリット・ルーティン分割法)

スプリットルーティン分割法を行うと、例えば1日は上半身を鍛え、また別の日は下半身を鍛えるということができます。上半身を集中的に鍛えると、もちろん上半身は筋肉痛になり(後述しますが、ならない場合もあります)、その後2〜3日間は筋トレを休む必要があります。
しかし下半身は筋トレをしていないため筋肉痛はありません。上半身を鍛えた翌日でも鍛えることができるのです。

このように筋肉痛になる部位を分けることで、トレーニングの間隔を短くする(細かく分ければ理論上毎日も可能)ことが出来るのです。

例えば、上半身を中心としたトレーニングをおこない、次のトレーニングの日は下半身を中心としたトレーニングをおこなうことで、短いスパンでトレーニングを続けることができ、身体へのストレスも減らす事が出来ます。

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スプリット・ルーティンは上級者でも使う手段です。

腹筋は毎日やってもいい?

よく「腹筋は毎日やっても問題ない」ということを耳にします。その理由は腹筋が他の部位に比べて筋肉痛が治るまでに要する時間が短いためです。(一般的に24〜48時間)

しかし、腹筋であっても毎日筋トレをすることはオススメしません。他の部位よりは間隔は短くても、1日以上は間を空けましょう。

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筋肉痛が治らない時の筋肉痛の解消方法4選

もし筋肉痛の回復を早めることができれば、同じ部位であっても筋トレを毎日のように行うことができるのでは?と考えるでしょう。そんな意識が高い人のために筋肉痛の回復を促進する方法を4つ紹介します。

軽い有酸素運動

筋肉痛のときは筋トレはしないほうがいいですが、軽いランニングなどの有酸素運動は、血行を促進するため筋肉痛の解消に効果的です。あくまで「軽い有酸素運動」ということを忘れないようにしてください。ランニングであれば、人と話せるペースで10〜30分程度に抑えておきましょう。

また、有酸素運動のやり過ぎにも注意してください。実はランニングなどの有酸素運動には「筋肉を分解する」というデメリットがあるのです。一生懸命筋トレをしても有酸素運動をし過ぎてしまうと筋肉が落ちてしまう可能性があります。このデメリットについては以下の記事を参考にしてください。

筋膜リリース

筋肉は筋繊維の束でできており、筋繊維の束は筋膜という膜で覆われています。筋トレをするとこの筋膜が固まり、血行が悪くなってしまいます。筋膜をほぐすこと(これを筋膜リリースと言います)で、血行が良くなり、筋肉痛の回復を促進することができます。

筋膜リリースとストレッチは厳密には同じではありません。基本的に筋膜リリースは、フォームローラーやらクロスボールなどを使い、筋肉にあててゴリゴリ転がして上げる必要があります。

実は昔からよく言われる「ストレッチが筋肉痛の解消に効果的」というのは誤りです。長年信じられてきた情報はなかなか上書きされませんが、しっかり押さえておきましょう。
ストレッチが筋肉痛に効果的でないということは、以下の記事に詳しく解説してあります。ぜひ参考にしてください。

また、筋膜リリースのやり方については以下の動画を参考にしてください。

睡眠

しっかりとした睡眠を確保すると筋肉痛の回復が促進されます。睡眠は成長ホルモンの分泌を促してくれ、筋肉痛の回復につながります。筋トレをした後はしっかり睡眠を取りましょう。

栄養摂取

栄養摂取も大切です。栄養摂取は筋肉痛の回復を促すという意味以外にも筋トレ後には意識してください。というのも、筋トレ後は身体は傷ついた筋肉を修復することにエネルギーが使われるため、免疫が通常時より落ちてしまいます。体調維持のためにも筋トレ後の栄養摂取は重要です。

筋トレ後はプロテインやEAAを飲み、同時に栄養素を適切に摂取してください。

ちなみに、筋肉の成長のためにプロテインを摂取することは大切ですが、プロテインの摂取が筋肉痛の回復を促すということはありません。筋肉の成長をサポートすることと、筋肉痛の回復を促すことは別のメカニズムなのです。詳しくは以下の記事を参照してください。

これらのことを行うことで筋肉痛の回復は促進されますが、それでも同じ部位を毎日鍛えても問題ない、というほど筋肉痛が回復することは難しいです。基本的に同じ部位を毎日筋トレすることは控えてください。

筋肉痛が痛い間は筋トレは控えよう

筋肉痛と筋トレの関係をまとめると以下の通りです。

●筋肉痛になることと筋肉が成長することはイコールではない
●筋トレ後48〜72時間は『超回復』のための休息をとるべき
●毎日筋トレをすることは控える
●スプリット・ルーティン分割法を行い筋トレを行う日の間隔を短くできる
●筋肉痛の回復を促進する方法は以下の4つ
 1)軽い有酸素運動
 2)筋膜リリース
 3)十分な睡眠確保
 4)栄養摂取

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国際救命救急協会 CPR+AED

筋肉痛は筋肉が大きくなるための過程であり、筋肉が痛いということは身体が休めと言っているサインです。この期間はしっかりと休息を取ることが重要です。筋肉痛と上手に付き合い、筋トレの成果を最大限引き出しましょう。

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