筋トレをする上で誰もが一度は聞いたことがある用語に、「超回復」があります。筋肉の成長、筋肥大では欠かせない要素なわけですが、超回復は単に筋トレをすればいいという単純なものではありません。そこには、体内で分泌される様々なホルモンが関係していたのです。
超回復を簡単におさらい
まず、筋トレというのは筋肉に適度な負荷を与えることによってダメージを与えるために行うトレーニングです。このダメージはそのまま蓄積されるわけでなく、次第に回復していきます。
そしてトレーニングを行って一定時間が経つと、筋肉がダメージで回復するだけでなく、以前よりも成長するタイミングが生まれます。
この状態を超回復と呼び、筋トレでは筋肉が成長しているこのタイミングで新たにトレーニングを繰り返すことで、より効率的に体を鍛えることができるというわけです。
超回復に必要な時間はどれくらいなのか
一般的に言われているのが、筋トレをしてからおよそ「48〜72時間」というスパンです。つまり筋トレをしてから2日ほどの休息期間を空けて、再度トレーニングを行うというスパンが理想的ということになります。
しかし、この時間も必ず守らなくてはいけないというわけではありません。例えば腹筋は他の筋肉より回復が早く、トレーニングから約24時間空ければ超回復が起こるとされています。つまり、仮に毎日行ってもいいというわけです。
宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス
NESTA PFT
食コンディショニングアドバイザー
腹筋群が比較的ほかの部位よりもトレーニングを高頻度で行ってもいい理由は、遅筋繊維の割合の多いのことも関係しています。遅筋線維は速筋繊維よりきつい筋肉痛になりづらく、回復も早いのです。
超回復に欠かせない「成長ホルモン」の存在
成長ホルモンはトレーニング後に大きく分泌され、傷ついた筋肉の合成を助けてくれます。そして、この成長ホルモンを効率的に分泌させるためにはある条件下で行うのが重要です。
それは、「10回ギリギリ行える程度の負荷で2〜3セット」という方法です。高負荷のトレーニングをトータルで60分〜90分程度の時間で行うことによって、酸素の供給量を減らし乳酸を分泌させます。この体の変化が、成長ホルモンをより効率的に分泌させるポイントとなります。
筋肉の分解を抑制する「インスリン」
筋肉の成長には運動だけでなく、栄養補給も重要です。しかし、トレーニング後などは体がブドウ糖を始めとしたエネルギー不足になり、それを補うために「筋肉を分解」して不足分を補おうとしてしまいます。
そのため、トレーニング後はタンパク質だけでなく炭水化物などで糖質も摂取する必要があります。そして糖質を摂取するとインスリンを分泌するのですが、このホルモンは筋肉の分解を抑制するという役割もあるのです。
最近では「糖質制限」などがダイエットとして流行していますが、筋トレでは糖質(炭水化物)は欠かせない栄養素でもあるというわけです。
以下の記事に炭水化物の重要性を詳しく解説してあります。ぜひ参考にしてください。
炭水化物は筋トレ後に必要なのか?ダイエットと筋肥大の両方を行いたい場合はどのように糖質(炭水化物)を摂取するべきなのか?付き合い方の難しいこの栄養素について解説します。
超回復を促進させるために必要なこと
●トレーニングは短時間で行う
●トレーニング内容はなるべく高負荷・高強度を選択する
●トレーニング後はなるべく早めに糖質、タンパク質を補給する
●同じ部位は2〜3日間隔で筋トレを行う
また、これに加え効率的な超回復を起こすために次の要素も取り入れるといいでしょう。
●体内の栄養不足を防ぐために、しっかりと食事をとるようにする
●成長ホルモンの分泌を促進するために、睡眠時間を確保する
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