一般的な筋トレはコンセントリックとエキセントリックの繰り返しで行われています。コンセントリックやエキセントリックは筋肉の収縮様式のことであり、この2つの動作の意味を理解し意識を変えるだけでトレーニングがより効果的に行えます。意識するポイントやトレーニング中の注意点を解説します。
コンセントリック収縮とエキセントリック収縮の違いは?
エキセントリック収縮は伸張性筋収縮と呼ばれ、筋肉が伸ばされながら、力発揮する収縮様式のことです。ダンベルなどを下ろすときなどに力発揮されます。
一般的な筋トレはこのコンセントリックとエキセントリックの繰り返しで行われており、それぞれにメリット、デメリットがあります。しかし、コンセントリックとエキセントリックは筋トレの上で必ず行われる動作です。
筋トレをより効果的にするためにも理解した上で意識して行いましょう。詳しく解説します。
コンセントリックとは?疲労の調整がしやすい
コンセントリックとエキセントリックはエキセントリックの方が筋肉に与えるストレスは大きく、筋肥大や筋力アップには効果的です。
しかし、コンセントリックが全く無意味というわけではありません。コンセントリックのメリットはエキセントリックに比べ、回復が早く、筋疲労を調整しやすい事にあります。
デメリットはエキセントリックに比べ筋肉へのストレスが減るため、筋肥大などの効果が薄くなるというところでしょうか。
コンセントリックはスポーツの現場において試合が近づく中での調整やオーバートレーニングを防ぎたい場合など、体を気遣いながら出来るためトレーニングを始めたばかりの方やスポーツでの試合の準備期などにはオススメです。しかし、実際に筋トレを行うときには必ず、コンセントリックとエキセントリックがセットになります。
そのためコンセントリック収縮とエキセントリック収縮をしてるとき、どちらを強調して行うかを意識すると良いでしょう。コンセントリックしかやらないトレーニングをしたい時は補助に付いてもらいエキセントリックのときはやらずに補助してもらうのも一つの手です。
筋トレをすると起こる筋肉痛。翌日に体の節々に痛みを感じると、筋トレがうまくいって筋肉が成長=筋肥大していると思う人も少なくありません。しかし、実は筋肉痛は筋肥大とは違う仕組みで起きているのです。筋肥大と筋肉痛のメカニズムと、筋肥大の為に必要な筋トレの知識を解説します!
エキセントリックとは?筋肥大させたいならエキセントリック
エキセントリックはダンベルをコントロールしながら下ろすときなど、筋肉が引き伸ばされながら、発揮される収縮様式です。ブレーキをかけながら下ろしていくため、筋肉が損傷しやすく、筋肥大に繋がりやすいとされています。
エキセントリックのメリットはコンセントリックよりも高負荷を扱えるため、筋肉への刺激が大きく、より効果的に筋肥大や筋力アップが期待できます。デメリットはオーバートレーニングになりやすいという所です。筋肉に大きな刺激を入れやすい分トレーニングをやりすぎてしまう恐れがあります。
さらにトレーニングし辛いところも難点の一つでしょう。
筋トレはコンセントリックとエキセントリックを交互に繰り返し行います。エキセントリックでギリギリ扱える重さはコンセントリックでは持ち上げられない場合があります。この場合は補助に付いてもらい、コンセントリックの動作が難しくなったらコンセントリックだけ補助してもらい、エキセントリック動作だけを行うのも良いでしょう。
コンセントリックもエキセントリックも全て出し切りオールアウトすることで、筋肉にしっかり刺激を入れることができ、より効果的です。
エキセントリックの基本は「ゆっくり行う」事です。
エキセントリックは下ろす動作なので、早く下ろしてしまうと重力に逆らわずに脱力した状態に近い形になってしまいます。
さらにエキセントリックはコンセントリックとは異なり、最初から速筋繊維と呼ばれる、大きな力を発揮でき、筋肥大に大きく関わっている筋繊維を刺激する事が可能になります。そのためコンセントリックに比べて、筋肥大や筋力アップしやすいとされているのです。
ストレスが大きい分、回復にかかる時間などには注意を払わないといけませんが、効果は絶大でしょう。
【参考文献】
コンセントリックとエキセントリック両方を刺激する
上記でも解説しましたが、コンセントリックとエキセントリックそれぞれの刺激の仕方は若干異なります。しかし、2つの収縮様式でしっかりと筋肉に刺激を入れることで筋肥大や筋力アップに必要なレベルのストレスをかけることが可能になるでしょう。
トレーニング時に少し意識するだけで効果を実感できるようになるため、解説します。
コンセントリック時には最初に遅筋繊維と呼ばれるタイプの筋肉が動員されます。遅筋繊維はあまり、大きな力は発揮できませんが長時間力を出し続けることのできる、持久力に長けた筋繊維です。
しかし、この遅筋繊維だけでは対応出来ない重さが負荷としてかかった時に動員されるのが速筋繊維と呼ばれる、大きい力を出せるが持久力に欠ける瞬発系の筋繊維が動員され、手助けします。
この速筋繊維は筋肥大や筋力アップに関わる要素が大きく、速筋繊維を刺激することが筋肥大や筋力アップに繋がると考えられています。
この2つの収縮様式を使って筋肉に十分なストレスをかけることで効率よくトレーニングができるでしょう。コンセントリックが出来なくなったときに補助してもらいエキセントリックメインで行うことで筋肉をしっかり刺激することができます。
しかし、補助者が居らず、1人でトレーニングを行わなければいけない時もあります。その場合はエキセントリック動作をゆっくり行うと刺激しやすくなります。逆にコンセントリック動作はなるべく早く行うと良いでしょう。次章でさらに解説します。
刺激を入れたい場合トレーニングのスピードを意識する
コンセントリック時には先に遅筋繊維が動員され、対応出来ないと速筋繊維という力が強い筋繊維が動員されます。そのため、軽い負荷で高回数行う場合は遅筋繊維が多く使われるのです。
てっとり早く速筋繊維を動員させるには「遅筋繊維が対応出来ない負荷をかける」ことが重要です。物をゆっくり動かすのと速く動かすのではどちらが力が必要でしょうか?
速く動かすほうが力が必要です。つまり、速く動かそうとすることには速筋繊維の力を借りなければ難しいのです。そのため、コンセントリック時には速く動かすことで早い段階から速筋繊維をメインで使い始める方が筋肥大を目的とする場合は良いでしょう。
エキセントリックはコンセントリックと異なり、最初から速筋繊維が使われます。そして、速筋繊維は大きい力を出せる分、持久力はありません。大きい力を出し続けさせることで、力を出し切ることができます。このようにコンセントリック時には速く、エキセントリック時にはゆっくりと動かすことで、筋肉をしっかりと刺激出来るでしょう。
闇雲にトレーニングを行うだけではなく、意識的にコントロールして行うことでより効果的にトレーニングを進めることができるでしょう。トレーニング効果が薄れてきたと感じる方はぜひ実践してみてください。
筋肉の収縮を理解してトレーニング効果アップ
トレーニングの原則に「意識性の原則」というものがあります。
トレーニング中は意識した筋肉を収縮率が上がるという物です。速く動かす時、ゆっくり動かす時としっかりと「ここの筋肉を使っている意識」を持つ事でより効果的です。トレーニングがマンネリ化してきた時など、今一度確認してみましょう。
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