ランニングをした後、マラソンに出場した後、山登りの後など、ふくらはぎに強い筋肉痛を感じる方は必見です。ふくらはぎの筋肉痛を早く治すためのストレッチ方法やコンディショニング方法を具体的にご紹介します。
なぜ筋肉痛は起こるのか
筋肉痛はそもそもなぜ起こるのでしょうか?
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
一言で言うと、筋肉の微細損傷が原因です。機能的には支障がなく、数日で治る程度の軽めの炎症が起きています。放っておけば良くなりますが、辛い痛みを早めに取りたい方や、日ごろからスポーツをしている方のために予防方法や早めに治す方法をお伝えしましょう。
例えば上腕二頭筋という腕の筋肉は、この筋原線維が束になっているわけですが、重りを持たずただ肘を曲げただけでも、その1回の動作で数本の筋原線維は切れていると言われています。
筋トレなどした時を思い浮かべてみてください。10回くらいで根を上げるような負荷でトレーニングをすると、翌日強い筋肉痛が起こると思います。
強い負荷に抵抗した時ほど、1回で切れる筋線維の数が多くなり、損傷が強いと筋肉痛の症状が現れます。
どれだけ損傷、炎症が起きているかなので、筋トレほど強い負荷でなくても症状が出ることはあります。
ウォーキングやランニング、山登りなどの有酸素運動でも繰り返せば筋線維の損傷度合いにより筋肉痛が起こります。
痛みを感じるメカニズムに関しては諸説あります。どれが正しいと明確にお伝えすることは難しいため、ここでは割愛しますが、後述するクールダウン、ストレッチ、栄養補給などを取りいれて筋肉痛の早期回復に役立ててみてください。
ふくらはぎが筋肉痛になりやすい運動
それはおそらく自転車運動です。自転車運動は、ずっと足がペダルに乗っているため、衝撃を吸収する役割を持つ伸張性筋収縮が起こりづらいからです。
伸張性筋収縮とは、筋肉が収縮する方向とは逆方向に引きのばされながら力を発揮している状態のことです。筋肉痛はこの伸張性筋収縮で強い負荷を繰り返し与えると起こりやすいという特徴があります。
特にランニングなどのスポーツは、接地の瞬間に足裏やふくらはぎの筋肉が伸張性筋収縮により衝撃を吸収するため、自転車運動に比べ筋肉痛は起こりやすいと言えます。
登山などでも、下り坂を進む時には踵からではなくつま先から接地しますから、この足裏やふくらはぎの伸張性筋収縮による衝撃吸収はより必要となります。よってウォーキングレベルでも、ふくらはぎが筋肉痛になりやすいのです。
普段運動している方も、試合に出場したりすれば練習以上の負荷がかかりますし、違う種目での運動をしたりすれば、普段はそこまで使わない筋肉が酷使されたりして筋肉痛は起こりやすいです。
翌日の筋肉痛に備え、後半に紹介する方法で予防、回復に努めましょう。
ランニングでふくらはぎに負担をかけてしまう走り方
普段マラソンのためにランニングをしているのですが、何キロも走ると必ず最初にふくらはぎが痛くなってきます。走り方が悪いのでしょうか?
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
ランニングフォームに問題があるかもしれません。ちなみに最近ランニングフォームを変えて、それ以降ふくらはぎが痛かったりしませんか?
確かに最近接地を変えようと思って、つま先接地に変えて練習しています。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
つま先接地は足裏、ふくらはぎに強い負荷がかかります。自然にそうなっている方は痛みまで感じることは少ないですが、踵接地をしていた方が意図的につま先接地にすると足裏とふくらはぎに強い負担がかかり、怪我や筋肉痛につながるケースが多いです。フォームを見直すか、それに耐えられる体をトレーニングとストレッチでつくりましょう。
アキレス腱が長い人はつま先接地に向いている傾向があり、短い人は踵接地か、フラット接地が無難です。
アフリカ系の方々は裸足生活が長かったり、アキレス腱が長かったりするので先天的に無意識でつま先を接地をしていることが多いですが、後天的にフォームを切り替えた直後は怪我や筋肉痛と隣り合わせになるでしょう。
足裏とふくらはぎの筋力が弱い、もしくはアーチの崩れやシューズの不適合など色々な理由で痛みが出やすくなりますので、トレーニングに取り組んだりシューズや足底板の見直しをしましょう。
カーフレイズ、ドンキー・カーフレイズ、タオルギャザー、裸足に行う各種の筋トレを取り入れるなどすると、今まで以上に筋力や機能が高まってくるはずです。
<カーフレイズ>
カーフレイズなどは負荷が弱いことが多いです。特に走法を変えたいと思っている方にとっては特にそうでしょう。
なので「片脚」カーフレイズを試してみてください。単純に負荷は倍になります。
しかし片脚にした場合は、踵を上げる高さが中途半端になることが多いです。きっちりと1回1回最大可動域で行ってみてください。かなりきつく感じると思います。
ふくらはぎの筋肉痛の予防方法
まずはクールダウンが大事です。特に筋トレや、激しい有酸素運動を行った日は行ってください。
クールダウンにより、乳酸をエネルギーとして燃焼させてしまうことで除去を促します。蓄積した乳酸が筋肉痛を誘発するという説もあれば、関係ないとする説もあります。
しかし乳酸を早めに除去することで、筋肉の過緊張、スパズムを早めに取り除き、筋肉に流れる血流を促進し、回復を早める効果は期待できます。
乳酸が原因で筋肉痛を引き起こしたり、乳酸が溜まると筋肉が攣るなど、なにかと悪く扱われがちな乳酸ですが、本当に乳酸が原因なのでしょうか?正しい知識を持っておくと正しい対処ができるので今回は筋肉痛と乳酸の関係性を解説します。
10分程度を目安に行いましょう。乳酸は体がエネルギーを作ろうとした時に燃え残ってしまったものですが、軽運動により再利用、再燃焼させることができると解明されました。よって、最低5分、できれば10分程度のクールダウンを行うのが良いのです。
クールダウン後、静的ストレッチも行うとより一層効果的です。静的ストレッチとは、一般的な、ストレッチ姿勢で静止し、じっくり筋肉を伸ばすストレッチです。
やり方についてはこの後ご紹介します。
ふくらはぎの筋肉痛の早期解消方法
ストレッチ
腓腹筋はふくらはぎについている一番大きな筋肉で、かつ一番表面にある筋肉です。
壁の前に立ち、両手で壁を押すような恰好を取ります。ストレッチしたい方の足を大きく後ろに引きます。この時前脚の膝は曲げ、やりやすい姿勢をとっておきます。
後ろ足の踵が床から浮かないように、踵を床に押し付けるようにします。これでも伸びは感じる思いますが、より効果を出すために、踵は床、両手は壁を押し合いっこするように力を入れます。
もうひと伸びを感じると思います。
②ヒラメ筋のストレッチ
ヒラメ筋とは、腓腹筋の1枚奥にある筋肉です。膝が伸びた状態で力を発揮する場合にはヒラメ筋が主に力を発揮しますが、膝を曲げた状態での筋発揮はヒラメ筋も大いに活躍します。
やり方の説明です。腓腹筋の壁を使ったストレッチの姿勢をまずとってみてください。後ろ足を半歩だけ手前に引きつけます。すると後ろ脚の膝が曲げやすくなると思います。そのまま後ろ脚に体重をかけます。後ろ脚の膝を、アキレス腱の上辺りにストレッチを感じるまで曲げていきます。この時にやはり踵が浮かないように、床をしっかりと踏んでおきます。
コンディショニング
用意するのはストレッチポール、又は、テニスボールです。
どちらでも構いませんので、長座の姿勢、両手は腰の後ろに置いて上体を支え、ふくらはぎの下に充てます。
ふくらはぎを、アキレス腱から膝裏にかけてゆっくりなぞるようにツールを動かします。
1~2分程度でいいので、両足行いましょう。
交代浴
要は温めることと冷やすことが交互にできればいいのです。
今回のテーマではふくらはぎなので、痛みがひどい場合には入浴時に限らず、患部だけにシャワーを充てる時間を1日に2~3回も設けても良いでしょう。
※但し、ひどい筋肉痛の場合、稀にですが肉離れの可能性もあるので心配な方は受診をお勧めします。
肉離れはスポーツ選手のニュースで耳にする言葉ですがスポーツに限ったことではありません。日常生活でも起こる怪我なのです。肉離れを起こしてしまうと全治に1年かかる場合もあります。そうならないためにも肉離れのメカニズムから予防法まで解説します。
【専門家解説】肉離れとは、急激に筋肉を使った結果、筋膜や筋線維が損傷することを言います。軽い場合も重症の場合も症状は違えど予防方法は同じです。怪我からの再発予防に向け遠心性収縮をともなったトレーニングを実施しましょう。やり方を詳しく解説します。
交代浴の場合は冷やすことで一時的に縮まった血管を、温めることで一気に拡張することになり、ポンプ作用により一気に血流が良くなるからです。
筋肉痛の時に同時に出やすいむくみの解消にも一役買うでしょう。
さらに、入浴の際であればボディソープを使いマッサージするのもお勧めです。
ぐいぐい押すマッサージではありません。
エステのイメージで、足首の辺り、下から膝裏近くまでを優しくなでるようにするのです。
ふくらはぎはこのやり方がやりやすいですし、筋肉痛の様に微細損傷がある時にはこの程度の軽擦法が良いでしょう。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
血流を良くするという意味では湿布を貼るのもいいでしょう。
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筋肉の修復を早める栄養補給
特にアミノ酸の中でも有名なBCAAは、筋損傷の指標であるクレアチンキナーゼの数値上昇を抑制するという研究結果があります。筋肉痛や筋疲労の抑制に効果があるということです。
筋肉の修復作業は運動が終わった時点からすぐに始まっています。激しいトレーニングの場合は特に、筋肉を合成を促進してくれるホルモンの分泌も高まっています。そこに素早く必要な栄養を送ってあげると、回復までの時間は短くなります。
ポイントは、炭水化物(糖質)とタンパク質です。
タンパク質を補給するのは、プロテインなどでイメージが湧くと思いますが、実はタンパク質だけでなく糖質も一緒に補給すると良いのです。タンパク質の単独摂取よりも、糖質も一緒に摂取すると筋肉の再合成が高まるという研究結果があります。
プロテインには多少炭水化物が含まれますが、そこに更に糖質系のもの、例えばブドウ糖を一口入れるなどしてみましょう。
アミノ酸サプリメントは糖質を含まないものが多いので、別途摂取すると良いと思います。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
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