筋肉痛の原因は乳酸!?正しい筋肉痛の知識と対処法

監修者

松井 薫

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

乳酸が原因で筋肉痛を引き起こしたり、乳酸が溜まると筋肉が攣るなど、なにかと悪く扱われがちな乳酸ですが、本当に乳酸が原因なのでしょうか?正しい知識を持っておくと正しい対処ができるので今回は筋肉痛と乳酸の関係性を解説します。

乳酸は疲労物質ではない?むしろ疲労回復物質

乳酸とはそもそも何でしょうか?一般的には疲労物質と思われがちですが実際にはそうではありません。

運動など体を動かすために必要なエネルギーを作り出すとき同時に体内に多く乳酸が作られます。もともとはこの乳酸によって筋肉の動きを邪魔したり、疲労を感じさせる物だと考えられていました。

しかし、最近の研究で乳酸は疲労物質ではない事がわかっています。以前の定説が出回ってる段階でわかっていた事は「運動をした後に血液中に増えているのが乳酸」という事だけでした。
では、乳酸は体にとってどのような影響を与えているのでしょうか。

運動をすると筋肉内に乳酸が発生します。多くの人がこの状態を『体が疲労した状態』と思いやすいのですが、実際には筋肉内に乳酸が発生したあと、乳酸は筋肉内の疲労物質を取り込んで一緒に体内に分解され、最終的にはエネルギー源になる性質を持っています。

つまり「乳酸が溜まって疲労を感じている」ことではなく、「乳酸が溜まってしまうまで筋疲労を起こしているが同時に乳酸が疲労物質を除去してる」状態と言えるでしょう。なので乳酸は疲労の回復を助ける役割を担う物質なのです。

乳酸は疲労物質を分解してくれるので悪者ではいとわかったところで、痛みを伴う筋肉痛と乳酸の関係性について解説しましょう。

筋肉痛を感じるメカニズム

筋肉痛とは筋肉がトレーニングや激しい運動によって強いストレスを受け、損傷したときに体内の白血球が壊れた部分の細胞を殺して綺麗に掃除します。そのときに神経を刺激し痛みを感じると言われています。

この痛みが筋肉痛と呼ばれ、その後、以前よりも壊れた筋肉を強く修復する超回復と呼ばれる現象が起こることで筋肉は強く大きく成長していきます。
筋肉痛には多くの説があり、未だに医学的解明がされておらず上記の内容は「現段階で最も有力な説」です。

必ずしも筋肉痛を起こさないといけないかというとそうではありません。筋肉痛を感じなくても筋肉は成長し強くなります。

無茶を続けると怪我やオーバートレーニングによって長期間トレーニングができくなってしまっては本末転倒なので何事もほどよく、筋肉痛を感じながらのトレーニングは「ストイックにやってる感」が出ますが効果は薄くなりますので休息を挟みながら効率的に行うことをオススメします。

ここまで、筋肉痛と乳酸それぞれを解説してきましたが筋肉痛と乳酸に直接的な関係はあるのでしょうか?

筋肉痛と乳酸の関係性はない?

乳酸と筋肉痛を解説してきましたが、果たして直接的な関係性はあるのでしょうか?

現段階では「乳酸が筋肉痛を引き起こす」原因とは考えられず直接的な関係はないでしょう。なぜなら、筋肉痛は筋肉の損傷、炎症による痛みであり、乳酸は体を動かすときに体内で発生する物質だからです。

筋肉を動かすために体内の物質をエネルギーに分解する際に乳酸が発生しますがそれは、筋トレによって蓄積した疲労物質を乳酸が、筋肉内から体内に運び出し疲労物質を分解し、再度、体を動かすエネルギーになる。という特性があるためなので、乳酸はむしろトレーニングにおいては味方だと言えるでしょう。

しかし筋肉痛を起こすほどの強度で筋トレをし、かっこいい体作りがしたいのであれば、トレーニング時の疲労物質の感じ方に意識を向けるとオーバーワークを防げ効率よく、安全にトレーニングを行うことができるでしょう。

筋肉痛は起こらなくてもよい?トレーニング時に意識すること

乳酸と筋肉痛は直接的な関係性はないと解説しましたが、トレーニング(体を動かすこと)に関しては乳酸は大きく影響します。

筋肉痛は「筋肉痛が起こるくらい質の高いトレーニングができたか?」という目安程度にお考えください。筋肉痛が起こらなかったといって効果がないわけではありません。

適切な量のトレーニングを継続的に行っていれば毎回痛みを感じないレベルであっても損傷はしているため、成長し目に見える成果が表れます。筋肉痛はトレーニング効果が出るまでの数ある過程の一つであり結果ではないのです。

ではトレーニングの際はどのようなことに気をつければより効果的に鍛えることができるでしょうか?
意識するポイントは3つです。

① 筋肉の可動域をいっぱいに使う
② 重りを上げるときより下ろすときを意識する
③ トレーニング後の筋感覚を意識してみる

1つずつ解説します。

①つ目の筋肉の可動域をいっぱいに使うというのは例えば、スクワットをするとき、膝の角度を45度まで曲げるやり方と90度まで曲げるやり方どちらの方が筋肉を大きく使ってキツいかというと後者になります。筋肉は可動域を広く使うほど、より多くの筋肉を動員するので結果的に成長して強くなっていきます。

松井 薫監修トレーナーからのアドバイス

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

90度スクワットは、たしかに筋の成長(バルクアップ)には有効ですが、腱や靭帯に負担がかかりますので、注意が必要です。

②つ目の重りを上げるときより下ろすときを意識するというのは、重りを持ち上げるときは筋肉は収縮しながら力を発揮します。その逆に重りを下ろすときはゆっくりコントロールしながら筋肉を伸ばしながら力を発揮して下ろします。

収縮しながら力を発揮することをコンセントリック、伸ばしながら力を発揮することをエキセントリックと言いますが、コンセントリックよりエキセントリックのほうが力を発揮できるのが20%~30%大きいといわれているため、筋肉により大きなストレスを与えることができます。

トレーニングを行う際はコンセントリックよりエキセントリックするときをゆっくりなスピードで行ってみると限界まで追い込めるでしょう。

③つ目のトレーニング後の筋感覚に意識してみるというのは、上記2つを試しても筋肉痛になるほど追い込めているのかわからないに意識するとよいでしょう。

トレーニングを行った部位(胸や背中など)が追い込んだことによって熱をもっているか?トレーニング前に比べ可動域は狭くなっているか?その部位を動かそうとすると重く、だるく感じるか?などを意識してみるとどれくらい筋肉に刺激が入ったかを感じることができるでしょう。

トレーニング上級者であれば感覚的に筋肉痛が起こるかわかるそうですが、初級者から中級者にかけてはこのような指標をもっておくとトレーニングを行う目安になるでしょう。

筋肉痛と乳酸は必ずしも無関係とは言い切れない

筋肉痛と乳酸は無関係と解説しましたが、それは現段階の仮説の一つであり、医学的に確定されたものではありません。
人間の体はわかっていないことが未だに多く毎日研究が進められています。

しかしトレーニングを行うことで生活習慣病の予防であったり抗うつ効果であったり、心身に大きくいい影響を与えることは医学的に証明されています。
トレーニングを行うことは健康や生活の質の向上にもつながりるので実践してみてください。

松井 薫監修トレーナーからのアドバイス

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

イメージトレーニングやスクイーズトレーニングを取り入れて、トレーニング後の筋感覚の意識を高めましょう!

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