「筋トレをすると身長が伸びない」は本当か?

監修者

大塚 敬幸

・加圧スペシャルインストラクター ・JWI-PSTマスタートレーナー ・JATI-ATI ・ファンクショナルゴルフトレーナー ・千葉県アスレティックトレーナー ・健康運動指導士 ・FNCスペシャリスト 他

【プロトレーナー解説】「「成長期に筋トレをすると身長が伸びない」というのは正しくありません。筋トレは身長が伸びないどころか伸ばす要因にもなり得ます。筋トレが身長を伸ばすのにいい理由と、成長を妨げる要因になり得るトレーニングについて解説します。

筋トレと身長の関係にまつわる疑問

大塚 敬幸監修トレーナーからのアドバイス

・加圧スペシャルインストラクター ・JWI-PSTマスタートレーナー ・JATI-ATI ・ファンクショナルゴルフトレーナー ・千葉県アスレティックトレーナー ・健康運動指導士 ・FNCスペシャリスト 他

子供の頃や成長期に筋トレをすると身長が伸びなくなってしまうという説を耳にした事はある方は多いのではないでしょうか?

大塚 敬幸監修トレーナーからのアドバイス

・加圧スペシャルインストラクター ・JWI-PSTマスタートレーナー ・JATI-ATI ・ファンクショナルゴルフトレーナー ・千葉県アスレティックトレーナー ・健康運動指導士 ・FNCスペシャリスト 他

「成長期の筋トレは全く駄目だ!」と根拠もない持論を持っている方もいます。これらは本当なのでしょうか?

成長期の頃から大きな負荷で筋トレをする高身長なウェイトリフターも沢山いますし、筋トレをしている訳ではなくても身長の低い人が多いのも事実です。今回は筋トレと身長の関係について、色々な視点から解説していきたいと思います。

身長の伸びは骨格の形成が大きな要素

まず、身長を伸ばすには、骨を成長させる必要があります。骨が大きく長く成長すれば、身長は伸びるからです。骨格の形成が身長を伸ばす為に非常に大切なポイントです。

筋トレでも他のスポーツや動作等によって骨格の形成に影響を与えてしまうと、身長の伸びに影響が出かねません。筋トレを行う時には、骨や関節に負担が掛かります。この骨や関節への負担が大きすぎると、身長を伸ばす妨げになります。成長期に骨格への負担が大きすぎる筋トレを継続すると、身長に悪影響が出るため、どんな筋トレを行うのか正しく判断する事が必要です。

骨格の形成に影響を与えなければ筋トレをしても基本的には身長の伸びを妨げる事はありません。反対に、筋トレは身長の伸びを妨げるのではなく、骨格の形成を促す事で身長が伸びやすくなると科学的にも証明されています。

身長を伸ばすのに必要なこととは?

①身長を伸ばすには正しいライフスタイルの確立!

身長を伸ばす為に何よりも大切なのは正しいライフスタイルを確立する事です。

何かをする、あるいはしない事よりも、質の高い食事と睡眠に運動が何よりも重要です。ちなみに筋トレは運動の延長線上にあり、正しい知識の元、正しく行えば必ず身長を伸ばす後押しになるでしょう。

食事に関しては、バランス良く様々な栄養素を身体に提供する事が身長の伸びを促します。毎日消費するエネルギー源である炭水化物、筋肉や細胞のもとになるタンパク源、ミネラルやビタミン類も忘れてはいけません。

身長を伸ばす為にとても大きな役割を果たしている成長ホルモンは、寝ている間に分泌されます。成長ホルモンは夜22時~朝2時の睡眠時に非常に多く分泌され、「ゴールデンタイム」とも呼ばれています。早い時間にベッドに入り、質の高い睡眠を確保する事も重要です。

大塚 敬幸監修トレーナーからのアドバイス

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就寝前にはスマホやパソコンなどから発せられるブルーライトを見ないようにしましょう。

身長の伸びは遺伝や食生活、生活環境、ストレスなど非常に様々な要素に影響されます。遺伝などは変える事がで来ませんが、ライフスタイルを見直す事は可能です。まず筋トレをする/しない、何かを始めるなどの前に、通常の生活を見直す事から始めるのが良いでしょう。

②成長ホルモンの分泌が鍵

筋トレは成長ホルモンの分泌を促す効果があります。適度な負荷を筋トレによって身体に掛ける事で成長ホルモンの濃度を高める事は、身長を伸ばす事に繋がるでしょう。

他にも成長ホルモンの分泌は細胞の活性化や脂肪燃焼率や免疫力の引き上げ効果なども期待できます。成長ホルモンの濃度は子供でも大人でも、高ければ高いほど良いので、成長期だからと言って筋トレを避ける必要は全くありません。

身長が伸びる成長期のための筋トレとは?

成長ホルモンの分泌は、乳酸の濃度が高まる事で更に盛んになります。この原理を理解して、筋トレに取り入れる事で身長を伸ばす為の筋トレが可能になるでしょう。

まずは筋肉の動作によって乳酸の濃度を高めます。大人であれば器具を取り入れた加圧トレーニングなどの利用が効果的ですが、子供でも加圧トレーニングの効果は出ますが、安全のため必ず指導者の下で行いましょう。そこで乳酸の濃度を高める為に、筋肉にある程度の負荷が掛かった状態で、何回も同じ動作を繰り返す事が効果的です。

例えば腕立て伏せのようなシンプルな自重メニューの利用の際には、回数を目安にするのではなく、これ以上できない、という状態になるまでやり抜くようにしましょう。

もちろん腕立て伏せの「質」を大切にして行う事が前提ですが、回数ではなく、潰れる事を目安にするので、質を重視しながらでも取り組めます。乳酸が筋肉や血液内に溜まり、筋肉への酸素の供給率が低下する事が「潰れる」状態を作り出します。

小さな負荷でも乳酸の濃度を高めれば、成長ホルモンの分泌量を簡単に高める事ができて、身長の伸びに直結します。

筋トレで身長を伸ばすためにストレッチを忘れずに!

特に成長期の筋トレの前後には、ストレッチをする事がとても重要です。

筋トレでは筋肉に負荷が掛かりますので、筋肉が硬くなり、柔軟性を失います。筋肉の柔軟性が失われると、身体の可動域が狭まり、血液の循環が悪化します。すると全身の隅々の細胞にまで酸素や栄養素が届かなくなるので、細胞分裂が起こりにくくなり成長の妨げになりかねません。

また、関節の可動域を広げてから筋トレに取り組む事で、骨格に不要なダメージを与える事を回避できるでしょう。骨格のダメージは身長の伸びを妨げる原因です。ストレッチをする事は関節の柔軟性を高めますので、身長を伸ばす為にプラスに働きます。

筋トレは骨密度を高め、身長の伸びに影響する

筋トレには骨密度を高める効果があります。

筋トレは筋肉に負荷を掛けるトレーニングですが、同時に骨にも負担が掛かかっています。骨に負荷が掛かると、骨は更に強くなろうと、カルシウムの吸収率を高めて骨密度が高まります。骨密度が高まると、骨が大きく太く成長しやすいので身長が伸びやすくなる、という理屈です。

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カルシウムの吸収率を高めるためにビタミンDを摂取するほか日光にしっかり当たることもおすすめです。

筋トレを通して骨密度が上がれば、骨は更に成長し身長が伸びやすくなるでしょう。

筋トレで身長を伸ばすために必要なこと

正しいフォームを身につける

自重トレーニングであろうと、ダンベルを利用したウェイトトレーニングであっても、正しいテクニックをマスターする事が最も大切なポイントです。間違ったフォームは骨や関節に不要な負荷を掛けてしまうからです。

骨格への不要なダメージは身長の伸びを妨げます。初めのうちは、筋肉や関節の動作を理解して正しいフォームを身に付ける事にフォーカスするべきでしょう。

そして、マシンの利用は身長160cmほどあれば規格的に使用可能です。マシンは動く範囲が決まっており、安全性が高いほか正しい動き方を体で覚えることができるため、マシンで動き方を覚えてからダンベルなどの不安定さを抑えるようなトレーニングを取り入れるのが安全です。

身長が伸びる成長期の筋トレの負荷はどのくらい?

大人であれば最大限に大きな負荷を掛けて身体を大きくしても問題ありません。しかし、成長期に大き過ぎる負荷を掛ける事は身体の成長の妨げになり得るため、あまり良くありません。成長の妨げにならず、身長を伸ばすのに効果的な筋トレの負荷はどの程度なのでしょうか?

自分がしっかりと扱える重さであれば、身長の伸びを妨げる事はないでしょう。正しいフォームやテクニックが身に付けた後、徐々に負荷を大きくすると良いでしょう。12回以上、正しく繰り返す事のできる重さを利用すると良いでしょう。

正しいフォームで、自分の筋肉の力のみで扱える負荷の範囲であれば、ウェイトを使っても骨や関節に不要なダメージを与える事はありません。つまりウェイトトレーニングで身長の伸びが止まる事はないのです。

しかし超重量(自分の体重の2倍以上)を扱うと、関節にダメージが掛かるので、超重量だけは気を付ける必要があります。
100kg以上のスクワットなどの様な超高重量は基本的には避けましょう。ウェイトリフターでない限り、低重量でも工夫すれば効果的に身体を鍛え上げる事が可能です。

成長期に避けるべき筋トレメニュー

ウェイトトレーニングは身長に伸びとは直接的に関係がある訳ではありません。唯一、気を付ける必要があるのは、関節に不要なダメージを与えないようにする事です。それ以外であれば、筋トレに身体の成長を妨げる要素はありません。

関節に不要なダメージが行きかねない、ウェイトを利用したジャンプ系のメニュー、大きなウェイトを利用したフルスクワットは避ける必要があるでしょう。ちなみに筋トレではないのですが、関節に負担が掛かるうさぎ跳びや長時間の縄跳びもNGです。

筋トレと身長の関係性に関するまとめ

●骨格の形成が身長を伸ばす為に重要、筋トレで不要なダメージを骨格に与えると身長の伸びに影響が出る
●骨格の形成の邪魔さえしなければ筋トレをしても全く問題ない!
●正しいライフスタイルの確立が大切(栄養素の確保と成長ホルモンの分泌)
●筋トレは成長ホルモンの分泌を促す
●小さな負荷でも「これ以上できない」ところまでやる事は乳酸濃度を高めるので、成長ホルモンの分泌に繋がる
●ストレッチで筋肉と関節の可動域を広げ血流を良くする事を忘れない
●筋トレは骨のカルシウム吸収率を高め、骨密度を高める
●正しいフォームを身に付ける事で骨格への不要なダメージを無くす
●正しいフォーム習得の為にマシンの使用は△
●自分で正しく扱える範囲の負荷であれば問題ない(超重量は注意が必要)
●ウェイトを利用したジャンプ系メニュー、フルスクワットは避けるべき、筋トレではないがうさぎ跳びや長時間の縄跳びもNG

「筋トレが身長の成長を阻害する」とは決して言い切れないことがわかったでしょうか。
筋トレをすることはメリットが非常に多いです。正しい筋トレの知識を身につけ、参考にしてください。

大塚 敬幸監修トレーナーからのアドバイス

・加圧スペシャルインストラクター ・JWI-PSTマスタートレーナー ・JATI-ATI ・ファンクショナルゴルフトレーナー ・千葉県アスレティックトレーナー ・健康運動指導士 ・FNCスペシャリスト 他

正しい筋トレ・効果的な食事・上質な睡眠で、成長期に身長を伸ばしましょう!

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