筋トレ後は風邪をひきやすいので注意すること!予防策についても

【プロトレーナー解説】筋トレをすると免疫力が上がり、風邪を引きににくくなると聞いたことがあるでしょうか?しかし、筋トレを行った後は疲れ切っているはずであり、風邪を引きやすくなる時は疲れている時などです。この矛盾について筋トレと免疫力の関係性を解説します。

筋トレと免疫力の関係性は?

筋トレをして体力が付くと免疫力が上がると聞いたことはあるでしょうか。しかし、アスリートなどは激しいトレーニング後に風邪を引きやすくなると言われており、筋トレをするとウィルスなどに対抗する免疫力が低下してしまうとも言われています。

普段から体を動かしている人は一般的に「体力のある人」と言われいますが体力という概念には2つあり、1つは「行動体力」と呼ばれており、競技でのパフォーマンス、筋力や持久力などです。一般的に「体力がある」と言われているのはこの「行動体力」のことでしょう。

もう1つは「防衛体力」と呼ばれ、様々なストレスから心身を守ってる体力です。ストレスには多くの種類があります。これらのストレスに耐えられる防衛体力を付けることで体の不調や風邪などを引きにくくなるでしょう。

生物的ストレス(細菌、ウイルス、病原体など)
物理的ストレス(寒暖差、低酸素、高酸素、高気圧、低気圧、振動など)
生理的ストレス(運動、空腹、喉の渇き、不眠、疲労、など)
精神的ストレス(緊張、不快、苦痛、恐怖、不満など)

などから心身を守っているのです。この防衛体力を上げることがストレスに強く風邪の引きにくい、免疫力が高い「体力のある人」と言えるのです。防衛体力向上させるには運動(筋トレ)と栄養が重要だと言われています。

激しい筋トレは風邪をひきやすくなる?

上記で紹介した通り体力には2種類あり、免疫力を司るのは防衛体力です。

この防衛体力がわかりやすく低下するのが「激しい運動後などの疲労している状態」です。
激しい運動後は体に強いストレスがかかります。この時にコルチゾールと呼ばれるホルモンが多く分泌されます。このコルチゾールは分泌されれば、栄養素の代謝や受けたストレスに対抗するために交感神経系を刺激し、脈拍や血圧を上昇させ、ストレスに対応するために働きます。

また、炎症を抑制する作用があり、一時的に痛みを和らげる薬としても使われます。しかし、激しい運動後にはこのコルチゾールが多く分泌されます。多く分泌されると心体に悪影響を及ぼすのです。

コルチゾールが多く分泌された状態では、不眠症などの睡眠障害、糖尿病や肥満症などの恐れがあります。コルチゾールが多く分泌された状態では、コルチゾールの作用である、炎症を抑制する効果が裏目に出てしまいます。

炎症はその部位の回復、修復するための免疫反応であるため、その免疫力作用を抑制されると全体の免疫力が低下するのです。つまり、激しい運動後はコルチゾールの働きによって、免疫力が著しく低下しているため、ウィルスや病原菌の侵入を許し、風邪を引きやすくなってしまうのです。

しかし、運動が免疫力を上げるというのも事実です。なぜ運動が良いのか解説します。

適度な筋トレは風邪をひきにくい身体にする

防衛体力の一つである免疫力を上げるには運動と栄養が重要です。上記で解説した通り、コルチゾールが異常分泌されてしまうほどの運動は免疫力を一時的ではありますが、低下させてしまいます。

運動すればコルチゾールは多少でも分泌されます。必要量の分泌で抑え、尚且つ、その後免疫力を向上させる方法を解説します。

免疫力を上げるには軽めの有酸素運動もしくは適度な筋トレをすることをオススメします。なぜなら、筋肉をつけるとリンパ球が増えるからです。

筋肉をつけると免疫力がアップすると言われるのはリンパ球が増えることにあります。リンパ球とは、ウイルスや細菌と闘ってくれる免疫細胞の1つ。このリンパ球が増えることで免疫力がアップしていくのです。

しかし、筋肉をつけることが直接的にリンパ球増加するわけではありません。筋肉の中に大量に含まれているグルタミンと呼ばれる、アミノ酸が大きな役割を担っています。グルタミンは免疫細胞が働くためのエネルギーとなっており免疫力を上げるにはグルタミンと呼ばれるアミノ酸の摂取が必要です。

人間は風邪などの病気にかかると、筋肉を分解する仕組みになっています。そして筋肉を分解したときに出てくるのが大量のグルタミンです。このグルタミンの役割はリンパ球を活性化すること、リンパ球の数を増やす働きがあります。

運動をした時、風邪を引いた時、ケガをした時など、体にストレスがかかった時はグルタミンが大量に消費されます。消費されたグルタミンが体内に補給されないと、ストックしていたグルタミンが足りなくなり、筋肉を分解してグルタミンを供給するようになります。これが体調が悪くて寝たきりの状態の時に筋肉が失われる理由のひとつです。

つまり必要なグルタミンがしっかり補給されていれば、筋肉の分解は抑制されます。

運動後には消費されたグルタミンをしっかり補給することをおすすめします。グルタミンがしっかり体にストックしてあれば、免疫細胞が働き入ってきたウィルスや病原菌を倒してくれるのです。筋トレや有酸素運動でリンパ球を増やし、ウィルスなどから体を守りましょう。

筋トレ後の風邪予防の方法

食事の管理

筋トレなどは免疫力を上げて風邪をひきにくい体質にしてくれると解説しました。もう一つ免疫力を上げる大事な要素が体温と食事です。

リンパ球などの免疫細胞は血液にのって身体を回ることで体内に入り込んだウィルスや病原菌から守っています。
体温が下がると、血管が収縮して血行が悪くなります。すると体内に異物を発見しても、それをすばやく倒すためにリンパ球が集まりにくくなり、ウイルスや病原菌を倒すことができず病気を発症してしまう恐れがあります。

免疫力を正常に保つ為の体温は36.5℃程度(わきの下で36.2~36.3℃、舌下で36.5~36.7℃)といわれており、免疫力は、体温が1℃下がると30%低下し、逆に1℃上がると一時的には約5倍アップするといわれており、体温を上げることは免疫力を上げることに重要なことだということです。

そして体の免疫細胞が働くにはグルタミンが無くてはなりません。グルタミンを含む、海藻、大豆、肉、魚、卵、チーズ、トマトなどを食べることで、免疫細胞が働ける環境を作り、さらに、ビタミンや炭水化物などの栄養を摂り、体内環境を良くし体温を上げることも免疫力向上に繋がります。

また、イギリスのケンブリッジ大学が「色の濃い緑黄色野菜は免疫力を向上させる」という研究結果を報告しており、マウスを使った実験で野菜の乏しい食事を与え続けた結果リンパ球が70~80%減少したという結果が出ました。マウス実験ではありますが、人間にも同様の結果が推測されると言います。

【参考文献】

食事をしっかり摂ることで、筋トレ後に風邪をひく予防をすることができます。

体温を上げる

体温を上げることが免疫力を上げて風邪を予防することに重要ですが、筋トレや食事以外にも体温を上げる方法があるので解説します。1日1回、湯船に入って外的に体温を上げます。朝でも夜でも自分の生活リズムに合わせて入浴しましょう。

湯船に10分程度つかれば、41~43℃の湯船につかれば体温が約1度程度上がると言われています。シャワーで済ませる人も多いですが、免疫力をあげたい場合は湯船につかりましょう。

朝は1日の中で最も体温が低い状態なので、起床後すぐに冷たい水を飲むと体温が下がりすぎてしまいます。冷たい水ではなく白湯を飲みましょう。夜寝る前にも白湯を飲むことで体が温まり、免疫力が上がるでしょう。

免疫力をあげ、健康な状態を続けるためには運動、食事が重要です。また、体温をあげ免疫細胞を活性化させ、体内に侵入していた、ウィルスを倒すことも免疫力が高いと言えるでしょう。風邪予防のためにぜひ実践してみてください。

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