ストレスが溜まったら筋トレをしよう!うつ病の予防にもなる?

「筋トレは筋肉を鍛えるもの」と思い込んでいませんか?それは正しいのですが、実はストレスを解消する効果もあるのです。今回は筋トレが持つストレス解消・リラックス効果や、うつの予防・改善のための筋トレについて解説します。

ストレスには2つの種類がある

ストレス社会と言われる現代。程度の差こそあれど、どんな人でもストレスを抱えながら生活しています。

ストレスという言葉も聴き慣れたものとなってきましたが、ストレスには2つの種類があるのはご存知でしょうか?ストレスは「身体的ストレス」と「精神的ストレス」に分類されています。

身体的ストレスというのは、身体にかかるストレスのことです。通勤時の満員電車や仕事で体力を使うことによる疲労、睡眠不足などが原因となります。

一方で精神的ストレスとは、心にかかるストレスです。会社での人間関係や就職、転職などで挫折したり悲しくなったりするのが原因です。

ストレスと聞くと心の問題と思ってしまいがちですが、心と身体は密接に関係しあっているもの。心が疲れていれば身体も疲弊していて、その逆もまた成り立ちます。ストレスについて考えるさいには、「身体的ストレス」と「精神的ストレス」の両方について考えなければなりません。

筋トレの肉体的ストレスへの効果

筋トレは肉体的ストレス、すなわち身体の疲れや強張りを解消することができます。筋トレは筋力増強だけでなく、緊張した筋肉を緩めてあげる効果があるのです。

筋トレを行うと筋肉が縮んだり伸びたりしますよね?筋肉の働きは身体を動かすだけでなく、血管を圧迫して血流を促す、ポンプのような働きもします。

血流が良くなると、全身の隅々まで血液が運ばれるようになります。そうすると凝り固まった筋肉は緩み始め、全身がリラックスした状態になります。

身体の慢性的な疲れは血行不良が原因であるケースが少なくありません。筋トレをすると疲れてしまうようなイメージもありますが、上手く行うとリラックス効果を得られます。

筋トレの精神的効果でストレスを解消

ストレスを溜め込みやすい方の特徴として、嫌なことや不安なことが頭から離れないというものがあります。「あの時こうすればよかった」「もっと上手くできたはずなのに」といった過去の失敗や未来への不安について考え込んでしまい、マイナス思考から抜け出せなくなってしまうのです。

趣味やスポーツなどに没頭していて、気づいたら何時間も経過していたという経験はありませんか?何かに没頭しているときは、悩んでいることも忘れている状態となります。

瞑想も自分自身をマイナス思考から切り離すことで、ストレスから身を守るのに効果的だと言われています。実は筋トレにも同じような精神的な効果が期待できるのです。

筋トレは身体の動かしている場所を意識したり、動かした回数をかぞえながら行います。マイナス思考にとらわれてしまっている意識を身体に向けることで、自分自身をストレスから遠ざけることができるのです。したがって、筋トレに没頭すればするほど心がリラックスしている感覚も得られるようになるでしょう。

ストレスによる不眠症にも効果が

交感神経と副交感神経はご存知でしょうか?交感神経は身体を活動的にするもの、副交感神経は身体をリラックスさせるものです。

交感神経と副交感神経は、それぞれバランスを取り合いながら活動します。例えば交感神経が働いているときは副交感神経は休んでいて、交感神経が活動を終えると副交感神経が優位になります。

筋トレはトレーニングなので、筋トレ中は交感神経が優位になることはイメージしやすいのではないでしょうか。筋トレ中は交感神経も頑張っている状態で、身体がより活動しやすくなるように働いています。

筋トレが終わると、交感神経は役目を終えて副交感神経の出番となります。副交感神経が働きだすと身体はリラックスした状態となります。交感神経が働いていたときに休んでいたぶん、副交感神経はしっかり頑張ってくれます。

副交感神経はリラックスを促すとともに、身体を睡眠へ誘導する働きがあります。そうすると、筋トレ後の心地よい疲労感に包まれたままスムーズに眠ることができます。

不眠症の原因として、交感神経と副交感神経のバランスの乱れが原因の一つだと言われています。筋トレによって交感神経と副交感神経の働きにメリハリをつけてあげることで、不眠症の解消に繋がるのです。

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筋トレで分泌されるセロトニンとは?

セロトニンという神経伝達物質があります。「幸せホルモン」とも呼ばれており、精神の安定や気持ちを穏やかにする働きがあります。

このセロトニンですが、実は筋トレをすることによって分泌が促されると言われています。セロトニンは精神の安定を図るとともに、副交感神経にも働きかける性質があります。

副交感神経は先ほどお伝えしたようにストレスを解消する働きがあります。セロトニンはストレス解消やうつの予防をするための肝になるホルモンと言えるでしょう。

筋トレはうつ病に効果がある?

筋トレがうつ病の治療に効果があるという医学的根拠は現在のところないようです。その理由として、そもそもうつ病の原因自体が明確に解明されておらず、治療や完治の基準が決められていないからです。したがって、「筋トレでうつ病が治る」とは言えません。

しかし、憂鬱な気分が続いてしまう「抑うつ状態」は筋トレによって改善されたという論文は散見されます。抑うつ状態をうつ病にかかる一歩手前だと捉えた場合、抑うつ状態を改善することでうつ病を予防できると言えるでしょう。よって、うつ病になってしまったら病院での専門的治療で改善し、抑うつ状態は筋トレで改善できる可能性があると考えられます。

また、先ほどお伝えしたように、筋トレでセロトニンが分泌されると言われています。代表的な抗うつ剤にSSRIというものがあり、この薬はセロトニンを増やす機序があります。つまりセロトニンはうつの治療に有効だということが医学的にも証明されているのです。このことから、筋トレでセロトニンを分泌することでうつの予防や治療の手助けになると言えます。

「筋トレでうつ病が改善する」とは言えずとも、「筋トレでうつ病を改善する手助けはできる」と考えられます。

うつ病は心と身体にストレスを抱えている

ご存知のように、うつ病は精神的な病気であり、心に大きなストレスを抱えている状態です。しかし、うつ病の方は身体が緊張していて固まっているケースが少なくないということはあまり知られていないのではないでしょうか。心だけでなく、身体も緊張してストレスを抱えている状態です。

心と身体は密接に関係しあっていて、精神的にリラックスできれば必ず身体にも良い効果が出ます。逆に身体が強張ってストレス感じると、精神的ストレスも大きくなってしまいます。この点を踏まえて、うつ病の方が筋トレを取り入れる際に気を付けなければならないことを次の章で解説します。

間違った筋トレはうつを悪化させることも

うつ病の方は身体を緊張させると精神的なストレスを抱えてしまうリスクがあることは先ほどご説明しました。うつ病の方が筋トレを行う際に適切でない方法をとると、症状が悪化してしまうことになるかもしれません。それでは、うつ病の方はどのような筋トレをするべきなのでしょうか。

うつ病の方は軽い負荷で無理のない範囲で行うのがベストです。負荷を高くしすぎると交感神経が強く働いてしまい、身体や心にもストレスがかかってしまいます。

うつ病の方に効果的な運動として、リズム運動というものがあります。リズム運動とは、筋肉を縮めたり伸ばしたりするのを反復する運動です。ウォーキングや軽いジョギング、自転車に乗ること、ダンスなど全身的な軽い運動が効果的だと言われています。

うつを改善するための筋トレも、リズム運動の一環として取り組むのが良いでしょう。あくまで軽い負荷で反復する運動として行います。負荷をかける必要はありません。

また、重度のうつ病の方は身体が動かせず安静にしなければならない段階もあります。そのような状態での無理な筋トレは避けましょう。

筋トレだけじゃない!簡単にストレスを解消する方法

これまでに、ストレスを解消するための筋トレや、うつ病の方の筋トレについてご説明してきました。しかしストレスの解消やうつの改善を目指すには、筋トレ以外にもたくさんの方法があります。

特に気軽にできるストレスの解消方法はストレッチです。筋肉はゆっくりと伸ばされることによってほぐれる特性があります。身体の各部位を60秒ほどかけてゆっくり伸ばすだけでも筋肉は緩み、精神的にもすっきりとリラックスした感じを得られます。

ストレッチを行う際に一つ気を付けていただきたいのが「呼吸」です。呼吸を止めてしまうと身体は緊張しやすい状態になります。息を7秒程度吸って、7秒かけて吐くといったゆっくりとした呼吸がリラックス効果をさらに高めてくれることになります。ぜひ気負わずに、気が付いたときにでも取り組んでみてください。

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筋トレのストレス解消効果やうつへの効果のまとめ

●筋トレは「身体的ストレス」と「精神的ストレス」のどちらの解消にも効果がある
●筋トレはうつ病を治すことはできないが、改善を促す効果はある
●高負荷の筋トレはうつを悪化させてしまうリスクがあるので避ける
●筋トレが負担になる方は、ストレッチをするだけでもストレス解消に繋がる

筋トレは筋肉を鍛えるだけでなくストレス解消の効果もあり、「身体的ストレス」や「精神的ストレス」を緩和します。日常的にストレスを抱えてしまっている方は筋トレを取り入れ、健康的な生活を送れるようにしましょう。うつ病の方が筋トレを取り入れる際には軽い負荷で無理のない範囲で行いましょう。

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