腰痛でも腹筋は鍛えられる!腰が痛くなるやり方は間違い!

監修者

小川 雄翔

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

ウェストの引き締めや筋力アップで腹筋トレーニングに頑張る人は多いでしょう。しかし、腰痛などを持っていて思うようにトレーニングが捗らないという人も少なくありません。そんな人に、腹筋トレーニングで腰を痛めてしまう原因と、腰を痛めないオススメトレーニングを紹介します!

腰痛が起こりやすい腹筋トレーニング3つ

① シットアップ

毎日腹筋を頑張っていたら腰を痛めてしまいました…

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

腹筋の鍛え方が間違っているかもしれませんね。まずはなぜ腰をいためたのか?腰を痛めやすい腹筋運動の注意点を見ていきましょう。

皆さんは腹筋のトレーニングと聞くと、床に仰向けになって両手を後頭部で組み、膝を曲げて上半身を起こすというおなじみの動きを思い出すかと思います。学校の体育の時間などで行ったこの腹筋運動は、上体起こしや「シットアップ」と言った名称があるトレーニング方法です。

このトレーニングでは、上半身が地面から完全に離れ、両手の肘が膝につくくらいに体を起こすような運動をしていたのではないでしょうか。しかし、これは腰痛を引き起こす腹筋トレーニングの典型的な動きでもあります。

体が地面から離れる際、腹筋と同様に腰への負担が強くかかってしまうためです。腰痛持ちや腰に不安がある人は、シットアップはなるべく行わない方がいいでしょう。

② レッグレイズ

「レッグレイズ」は下腹部によく効く腹筋トレーニングです。この種目もシットアップ同様に床に仰向けになって行います。レッグレイズでは両足を伸ばしたまま、上半身ではなく下半身を持ち上げるのが特徴です。そしてこの動きに、腰痛が悪化してしまう理由が隠されています。

レッグレイズは膝を曲げずに行うことでトレーニングの強度を高めます。しかし、股関節主導で足を持ち上げようとすると、その重量で腰が反るような姿勢になるのです。その状態で足の重量を支えることとなるので、腰にかなりの負担がかかることとなります。

その結果、腰を痛めたり腰痛が悪化したりといったリスクが高まってしまうのです。とは言え、レッグレイズはやり方次第で腰を痛めずにトレーニングできます。その方法は、この後に紹介する腰を痛めないトレーニングで紹介しましょう。

③ 腹筋ローラー

「腹筋ローラー」は自宅でも使えるトレーニンググッズの中でも、特に腹筋トレーニングに特化したアイテムです。その強度は半端なものではなく、立った状態で腹筋ローラーを転がして行う「立ちコロ」は、間違いなくトップクラスの高負荷腹筋トレーニングの1つと言えるでしょう。

この腹筋ローラーでは、両手でグリップ部分を持ち、ローラーを転がす要領で体を大きく前へ倒していく運動です。この時、なるべく体を倒して地面に近づけるよう動くのですが、体を前かがみにすればするほど、腰への負担も増大します。

それは、体を元のポジションへ戻す時も同様です。この一連の動作で、かなり腰にダメージが入ってしまいます。本来は体の背面も鍛えられるというのが腹筋ローラーの強みなのですが、腰痛持ちの方には大きなリスクと言えるでしょう。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

腹筋ローラーは正しく行えば腰痛にならずに腹筋だけでなく、全身を効果的に鍛えることができる優れものです。詳しくは以下の記事をぜひ参考にしてください。

腰を痛めない腹筋トレーニング4つ

① プランク(腹筋全体)

腰痛につながりやすいトレーニングを紹介したところで、ここからは腰に負担がかかりにくいトレーニングを中心に解説していきます。始めに紹介するのは、腹筋全体を鍛えるのにオススメな「プランク」です。

プランクは腹直筋・腹斜筋・腹横筋と、お腹周りにある筋肉をまんべんなく刺激できるとても便利なトレーニングです。何よりプランクが腰痛持ちの方にありがたいのは、その動きの少なさにあると言えます。

プランクはうつ伏せの状態で両肘、両足のつま先を使って体を支えて、体を浮かせるというのが基本的な動きで、あとはこの状態を維持するだけのトレーニングです。維持する「だけ」と書きましたが、意外とこの姿勢を保つのは大変で、30秒ほどでかなり腹筋が鍛えられることでしょう。

このトレーニングでは、腰が落ちたり上がったりせず、腹筋に力を入れて足から背中までが一直線の姿勢を保つことが重要です。自宅でも簡単にできるトレーニングなので、ぜひチャレンジしてみてください。

【プランクについてもっと詳しく知りたい方はこちら】

② レッグレイズ(下腹部)

次に紹介するのは、先ほど腰痛につながりやすいトレーニングとして紹介した「レッグレイズ」です。このトレーニングはお腹の正面にある腹直筋の中でも、下腹部に近い部位を鍛えることができます。他の腹筋トレーニングの多くが腹直筋の上部に効くので、ぜひ腹筋を鍛える時にはトレーニングメニューに追加したい種目です。

そんなレッグレイズを腰痛が悪化しないように行うには、ある簡単なコツがあります。それは、「お尻の下に両手を敷く」というものです。

レッグレイズを行う時は多くの場合、両手は自然に伸ばしたまま床についてトレーニングをします。その手をお尻の下で重ねるように敷くと、骨盤を浮かせて動きの補助をしてくれるようになり、腰の負担が激減するのです。

もし次回以降レッグレイズのトレーニングを行う場合は、ぜひこのポイントを追加して行なってみてください。おそらく腰にかかる負担が劇的に変わっていることでしょう。

【レッグレイズについてもっと詳しく知りたい方はこちら】

③ クランチ(腹直筋上部)

クランチはその動きの性質上、シットアップと非常に間違えられやすいトレーニングでもあります。しかし、腰痛持ちの方やより腹筋を鍛えていきたい方は、クランチはダントツに効果的なので、ぜひやり方を覚えてください。

クランチは床に仰向けになり、膝を曲げて地面から離して行います(床に足をつけて行なっても構いません)。両手は胸の前で組んだり耳の後ろに添えましょう。その状態になったら体を起こすわけですが、大切なのは「頭から体を丸めるようにして上体を浮かせ、肩甲骨が離れるかどうかの位置で止まる」というものです。

一見地味で動きが少ないように見えますが、これが腹筋の収縮を最も強く効かせ、なおかつ腹筋への刺激を逃さないためのコツなのです。そして、この状態になったらまた体をゆっくり起こしますが、背中を床にベッタリ付けず、腹筋への刺激を残したまま次の動作を始めます。

クランチは背中がややストレッチするものの、腰はほとんど動かないのが特徴です。腹筋への刺激も非常に強いので、ぜひこのトレーニングの動きをマスターしてみてください。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

シックスパックを作りたいなら、シットアップではなくクランチです!

【クランチについてもっと詳しく知りたい方はこちら】

④ ドローイン(腹横筋と横隔膜)

ドローインは一見トレーニングに見えないのですが、お腹のインナーマッスルである腹横筋と、呼吸筋の1つである横隔膜を刺激することができるトレーニングです。

このトレーニングは床に仰向けに寝て、膝をやや曲げて行います。両手は地面につけていてもいいですし、お腹の上に乗せていても変わりません。

ドローインは簡単に言うと、「大きく腹式呼吸をする」と言うトレーニング方法です。深呼吸のように、鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませ、そして口から息を吐いてお腹を凹ませます。

非常にシンプルな動きですが、腹筋の動きはかなりダイナミックに行いましょう。息を吸う時はこれ以上ないくらいにお腹を大きく膨らませて、息を吐く時はお腹が床にベッタリつくくらいのイメージで凹ませます。

非常に深い深呼吸をすることで、リラックス効果も期待できるトレーニングです。しかし、お腹を大きく凹ませる時に腰に違和感を覚える人も中にはいます。その時は、お腹を凹ませる度合いを和らげたり一度トレーニングを中断したりして対応してみてください。

【ドローインについてもっと詳しく知りたい方はこちら】

腹筋トレーニング中に腰痛が悪化したら、一度中断しよう

腹筋トレーニングで腰痛が悪化してしまう原因や、腰痛でも安全に腹筋を鍛えるためのトレーニングをいくつか紹介してきました。腰は一度痛みを覚えたりケガをしてしまったりすると、治療が長期化しやすい部位でもある重要な場所です。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

もしも腹筋のトレーニングを行なっている最中に腰痛を覚えた場合は、一度トレーニングを中断することも考えましょう。そして腰痛のケアをしてあげつつ、改めて今回紹介したような腹筋トレーニングを行いながら、腰痛を悪化させない安全なトレーニングに取り組んでみてください。

【あわせて読みたい】