バーベルカールのやり方とやるべき理由!ダンベルカールとの違いとは?

監修者

野上 鉄夫

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

【プロトレーナー解説】「力こぶ」といわれる上腕二頭筋の筋肉を鍛えるトレーニングの最も代表的な種目は「バーベルカール」といわれる種目です。今回はバーベルカールの正しいやり方や、他の種目と何がどう違うのか?などをご紹介します。

バーベルカールの正しいやり方と注意点

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

まず最初は、バーベルカールの基本的なフォーム・やり方についてご紹介します。

1.足を肩幅に開き、膝はロックせず、軽く曲げて立ちます。

2.バーベルを持つ手幅は肩幅となります。そしてバーベルを「逆手」で持ちます。
その際安全のため、親指はしっかりと回してバーベルを握りましょう。

3.バーベルを握ったら、そのまま立ち上がり、目線は正面を向き、背筋を伸ばして立ちます。
脇を締め、肘を固定し、肘を中心にバーベルが弧を描くように挙げて行きます。

4.腕が曲がり切ったところから、今度はゆっくりとバーベルを下ろして行きます。
呼吸はバーベルを挙げて行くときに吐き、下ろすときに吸います。

注意点

手首を「甲側」に折らない。どちらかというと、「手のひら側」にやや手首を曲げてバーベルを手首と前腕で受け止めるようにします。
バーベルを挙上して行く時、「肘は決して引かない」ようにします!!身体に固定するか、もしくは「少し前に出しながら」バーベルを挙上していきます。

筋肉の肥大を目標としている場合、さらに特別な理由がない限り、上半身の反動はつけないで動作を行います(但しチーティングをあえて使う場合もあり)

非常に高重量でバーベルカールを行う場合の呼吸法は、最もきつい箇所(スティッキングポイント)では息を止め、降ろしていく時に息を吸うと言う方法でもOKです。

以上が基本的なバーベルカールの動作と代表的な注意ポイントとなります。

バーベルカールの効果とは?上腕二頭筋や上腕筋に効く!

まずターゲットとなる筋肉ですが、バーベルカールは上腕二頭筋という筋肉を鍛えるエクササイズになります。また、上腕二頭筋の下に「上腕筋」という筋肉もあるのですが、実はこの筋肉を鍛える種目でもあります。

バーベルカールの主な目的は、この「上腕二頭筋」「上腕筋」の筋肉の「筋力をあげる」「筋肥大をさせる」の2点になります。

また、対象となるトレーニーはマシントレーニングに身体が十分に慣れてきた方や、フリーウェイトトレーニングの基本種目であるベンチプレス・スクワット・デッドリフトなどの大きな筋肉のトレーニングに慣れてきており、そろそろ細かい筋肉を鍛えていこうというような上腕二頭筋のフリーウェイトトレーニング初心者に適しています。

次に、数ある上腕二頭筋の種目から、なぜ、フリーウェイト初心者はバーベルカールから始めていくのがお薦めなのか?です。

フリーウェイトトレーニングの基本は「使用重量の重い種目」にまず最初に取り組み、その使用重量を伸ばしていくという手順が基本になります。
胸で言えば、フライ系よりもまずはベンチプレス、足で言えばレッグエクステンションよりはまずスクワットの使用重量を伸ばしていくと言った具合にです。

上腕二頭筋のフリーウェィトトレーニングもいくつかありますが、使用重量が最も重いのはバーベルカールになります。
そこでまずはバーベルカールから始めてみて、一定期間取り組んだ後、ある程度重い重量を扱えるようになってから、ダンベルカール、コンセントレーションカール、ブリチャーカールなどの細かい種目を取り入れていくのが一般的な上腕二頭筋の筋トレの漸進の仕方となります。

ダンベルカール

コンセントレーションカール
ブリーチャーカール

なるほど。より重い重量を扱える種目から始めて、その後で細かい種目なんですね!

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

その通りです!

フォームが安定するからより高重量を扱える

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

では、なぜバーベルカールが最も高重量を扱える種目なのかわかりますか?

ダンベルより高重量を扱えるということですよね?なんでだろう…

これは「バーベルを扱う」という点にその特徴があります。
筋トレの種目には「軌道が固定されていれていればいるほど扱う重量は重くなる」という特徴があります。

マシントレーニングのように、動作の軌道がある程度固定されていれば、その動作を安定させるために用いられる「固定筋」もしくは「安定筋」と呼ばれる筋肉の介入がなくなります。そのため、持っているパワーを全て上げる方向に集中することができます。

それに対して、トレーニングの動作の軌道が自由になればなるほど、その動作を固定させるための筋力が必要になります。すると、どうしても持っている力を上げる方向のみに集中させることができなくなり、結果、使用重量は落ちていくものです。

動作の自由度は、マシン→バーベル→ダンベルの順番で自由になっていきます。(注ケーブル系のマシンに関してはほぼダンベル同様の自由度があります)

特にフリーウェイトトレーニングの初心者は、ダンベルカールを行うよりもバーベルカールの方が使用重量が高くなるのが一般的です。
また、軌道が自由になればなるほどトレーニングのフォームは崩れやすくなります。

バーベルであれば、両腕がバーベルを介して繋がっており「ある程度、動作の軌道は固定される」ので、初心者も正しいフォームで取り組みやすいと言う長所もあります。そして正しいフォームで行えば、使用重量も高くなりやすいものなのです。

立位で行うやり方に効果が高い秘密がある

バーベルカールのもう一つの特徴に「立って」行うと言う点があります。
これは「チーティング」と言うテクニックを使う場合にとても有効です。

チーティングとは筋トレの場合、「勢い」や「反動」を使ってトレーニングすることを指します。
一般的な筋トレの注意点としてはこの「勢い」や「反動」を使ってトレーニングすることは行ってはいけない注意点としてあげられます。しかし、最後に「筋肉を追い込みたい」と言う場合、数を限定して「チーティング」を行うことは、とても有効なテクニックとなります。

もう上がらない・・と言うところからあえて反動を使って筋肉を追い込むと、筋肉の中が低酸素状態となり、筋肉を成長させるために必要な様々な物質が分泌されます。

しかし、座って行う種目だとこのチーティングを行うのは少し難しくなります。立っていれば初心者の方でも比較的簡単に反動をつけて行うことができるでしょう。
また、立って「ダンベルカール」を行う場合でもチーティングはできるのですが、軌道があまりに自由なため、初心者の方がやってみるとあまりうまくできない!!と言う方が多いのも事実です。

その点、バーベルの方が初心者の方でもチーティングを使った筋肉を追い込むテクニックを導入しやすいと言えます。

筋トレメニューへの組み込み方|回数やセット数についても

次にバーベルカールの実際の取り組む手順です。
まず、「筋トレを行う順番」は「大きな筋肉からトレーニングしていく」ことがポイントです。

上腕二頭筋は、胸や足、背中などの筋肉と比較して小さい筋肉なので、トレーニング全体の順番の後半に持ってくることがポイントです。

つまりベンチプレス、スクワット、ラットプルダウンやベントオーバーローイングなどの種目を同じ日に行うのであれば、それらの種目を先に行い、その後にバーベルカールを行うようにしましょう。

回数・重量・セット数について

次に重量とセット数ですが、バーベルカールを初めて行うと言う方は、10回ギリギリあげられる重さをチョイスし、その重さで10回を3セット行うところから行います。
通常の筋トレはウォーミングアップとして、1〜2セットほど軽い重量で行ってからメインセットに進むものです。

しかし、先ほど述べたように事前に大きな筋肉、特に背中の筋肉の筋トレを予め行っているのであれば、ウォーミングアップのセットはあまり必要ではなく、いきなり10回できる重さから行っても良いと思います。

背中の筋肉のトレーニングは大抵上腕二頭筋も同時に使用しているので、あえてウォーミングアップのセットを設けなくても良いケースが多いのです。

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

しかし、筋トレ上級者で、分割法により背中と上腕二頭筋をあえて別の日に分けて行っている方は、しっかりとウォーミングアップを行わなければいけません。

バーベルカールとダンベルカールはどっちを行うべき?

トレーニングが進んでいくと、「バーベルカール」「ダンベルカール」のどちらがいいのだろう?と思われる方も出てくると思います。
ここは「目的」によって種目を選び分けるようにしたいものです。

つまり、最初に述べたバーベルカールの目的である、上腕二頭筋の「筋力」をあげたいのか?それとも「筋肥大」を目的としたいのか?です。

「筋力をあげたい場合」は、その使用重量の重さから、チョイスする種目は「バーベルカール」を選んだ方がいいでしょう。
それに対して、ダンベルカールは「ひねり」を加えたり、アジャストベンチを使用して「角度に変化」を持たせてトレーニングすることができます。

これはより「細かく」筋肉に刺激を与えられるメリットがあると言うことになります。筋肉に細かく刺激を入れられると言うことは、それだけ筋肉のいろいろな所を大きく出来ることを意味するので、筋肉の「肥大」に有利であると言えます。
つまり「筋肥大」が目的の場合は、ダンベルカールを色々なバリエーションで行っていった方が良いでしょう。

そしてこのことは、それぞれの種目を行う使用重量と回数に影響してきます。

筋力をあげたい場合は1〜3回ギリギリあげられる重量で1〜3回、セット間インターバルは2〜3分と比較的長い休憩時間で行います。

筋肥大を目的とした場合は6〜12回あげられる重さで、6〜12回、セット間インターバルは60〜90秒と比較的短い休憩時間で行います。

なのでバーベルカールはその特色を生かすために高重量低回数、長いインターバルで、ダンベルカールは中重量、中高回数、短インターバルで行うようにしていくとそれぞれの特色を生かしやすいと言えます。

また、バーベルカールは多少チーティングを使っても高重量で行い、ダンベルカールは正確なフォームで行っていくと良いでしょう。
もし、この二つを同じ日にトレーニングするのであれば、バーベルカール→ダンベルカールという手順で行うようにし、「筋力」と「筋肥大」の両方を狙うというトレーニングも可能です。

20kg、30kg、40kg挙げられるようになるための目安

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

最後に、他の種目で扱っている重量とバーベルカールの重量のバランスについてです。
これには正確な指標やエピデンスなどはないので、あくまで私の指導経験から、ざっくりとした目安をご紹介したいと思います。

まず、わかりやす種目としてはやっばりベンチプレスになるでしょう。
ベンチプレスでこれくらい上がれば、バーベルカールはこれくらいは扱えるで「あろう」という雰囲気だけを参考としてご紹介したいと思います。

本当にざっくりで申し訳ないのですが、普段ベンチブレスを60kgくらいでメイントレーニングにしている方はバーベルカールのトレーニングは20kgくらいになると思います。そこからベンチフレス20kg上がるたびにバーベルカールは10kg上がるくらいの雰囲気で捉えていただいていいと思います。

つまり、ベンチブレスが80kgくらいで普段トレーニングしている方ならバーベルカールも30kgくらい、ベンチプレスが100kgで普段トレーニングしている方なら40kgでのバーベルカールでトレーニングする機会が多くなると思います。
50kgのバーベルカールともなると120kgのベンチプレスを上がっている位のレベルでないと扱えないと思います。

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

ただし、何度も繰り返しますが、あくまで「参考」というか、「それくらいの雰囲気」という感じで捉えていただきたいと思います。

よくあるパターンなのですが、普段のトレーニングはベンチプレスやスクワットなどの大きな筋肉中心でトレーニングしていて、あまり細かい部分のトレーニングをしていないという方もいらっしゃると思います。そういう方はもちろんここでご紹介したよりも扱う重量は軽くなるでしょう。

実際に僕の見ているお客様でもパワーリフティングの大会に出ていて、ベンチプレス120kg以上扱えるような方でも、最初にバーベルカールを30kgでやったら、めちゃくちゃ筋肉痛になってやばかったなんていう方がいるくらいです。

また、逆も然りで、「腕を太くしたい!」と普段、ベンチプレスよりもバーベルカールやダンベルカールをたくさんやっているという方もいると思います。
そういう方はこの目安よりも重い重量でカールを扱えると思います。

この種目がこれくらい上がれば、他の種目はこれくらい上がるというのは、その種目を普段からやっているのかどうか?さらにトレーニング種目ごとのトレーニング歴によって多く左右されます。種目ごとのトレーニング歴とは、例えばベンチプレス歴は長いけど、バーベルカールはつい最近始めたなんていうケースです。

なので、ここでご紹介した重量は本当にあくまで参考程度にとどめてください。

野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス

NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士 

バーベルカールは上腕二頭筋と上腕筋を鍛える上でとても効果的な種目です。ぜひやり方をマスターしましょう!

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