腸腰筋とは?作用から筋トレ・ストレッチ方法まで徹底解説!

監修者

宮城島大樹

NESTA PFT 食コンディショニングアドバイザー

【プロトレーナー解説】股関節まわりのインナーマッスルで重要な役割を果たす腸腰筋の作用と鍛え方、ストレッチ方法について徹底解説します!特に腰痛持ちの人は腸腰筋のトレーニングやストレッチを行いましょう。

腸腰筋とは?どこにある筋肉なのか?

「腸腰筋」という単語はよく耳にするのですが、あまり良くわかっていません…

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

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食コンディショニングアドバイザー

インナーマッスルなので普段意識しづらい筋肉ですしね。しかし腸腰筋はヒトの体にとってとても重要な役割を果たしています。
まずは腸腰筋とは何か?から見ていきましょう。

腸腰筋は正しくは「腸腰筋群」と呼び、「大腰筋」「腸骨筋」「小腰筋」という3つの筋肉の総称をさしています。(ただし、小腰筋は約半数の人にはない筋肉)

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

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食コンディショニングアドバイザー

腸腰筋とは1つの筋肉の名称ではないのです。

筋肉の名称の通り、腸と腰に深い関わりがあり、骨盤を中心に背骨や大腿骨(太ももの骨)など、体の支えとなっている場所にある筋肉でもあるのです。

腸腰筋の構造

大腰筋の起始・停止は以下の通り。
起始:第12胸椎~第4腰椎までの椎体および肋骨突起
停止:大腿骨の小転子

腸骨筋の起始・停止は以下の通り。
起始:腸骨内面の上部
停止:股関節の小転子

ヒトの身体を大きく分けるとしたら上半身と下半身になりますが、腸腰筋群はまさに上半身と下半身を分ける場合の中間、連結部にある筋肉であるため、人体の重要な運動に役割を果たします。

では、腸腰筋にはどんな作用があるのでしょうか?

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

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食コンディショニングアドバイザー

日本人は腸腰筋が海外の方よりも面積が狭い方が多いといわれています。
だからこそ猫背になりやすいとも言われているので積極的にトレーニングをしていきましょう!

腸腰筋の作用や働きについて

腸腰筋群の働きは主に以下の2つです。

①股関節の屈曲
②姿勢の維持

腸腰筋のトレーニングの紹介の前に、腸腰筋がどのようにそれぞれの動きに作用し、鍛えることでどのようなメリットをもたらすかを解説します。

腸腰筋が股関節に作用する働きについて

股関節を動かすときというのは歩いたり走ったり、足を動かす動作です。腸腰筋はこの動作に大きな役割を果たします。

具体的には足を前方に動かす動作(ランニングやジャンプなど)には大腰筋が作用します。そして足を上げる動作(坂を登ったり自転車など)には腸骨筋が作用します。

【参考文献】

大腰筋と腸骨筋は共に、この股関節の屈曲に関して作用する筋肉の中でも最も強い筋肉です。これらを鍛えることで、年配の方であれば歩行能力の向上、比較的若い方であってもスポーツで走る能力など、激しい下半身の動きも向上します。

次章から紹介するトレーニングメニュー以外にも、普段ランニング(大腰筋)や自転車(腸骨筋)通勤などを日課とするだけで腸腰筋は鍛えられます。ぜひ習慣化してください。

腸腰筋が姿勢の維持に作用する働きについて

腸腰筋は骨盤の位置の調整にも役立ちます。腸腰筋は股関節に付着している筋肉であるため、脊柱動物であるヒトの脊柱の始点である股関節とくっついているという事実だけで腸腰筋が姿勢維持に重要な筋肉であることが想像できるでしょう。

腸腰筋の姿勢維持の作用をイメージしやすい例の1つに「股関節と腰椎の分離」という作用があります。

もし股関節の動きと腰椎の動きが分離・独立されていないと、ランニングなどの激しい股関節以下の動きをすると上半身もそれにつられてグラグラ揺れてしまいます。激しい下半身の動きにつられることなく上半身の姿勢を維持するために、腸腰筋(特に大腰筋)が作用するのです。マラソン選手にとっては特に重要な筋肉といえます。

その他、実生活の上では猫背など姿勢が改善が期待できます。姿勢が良くなれば腰痛・肩こりなどの症状も改善されます。

腸腰筋の働きを解説してきましたが、次章からはそんな腸腰筋の鍛え方を、5つご紹介します。

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

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食コンディショニングアドバイザー

腸腰筋が強すぎると骨盤が前傾して反り腰になり、これもまた腰痛の原因になります。近年ヒールを履く方が多いので基本的に腸腰筋は最初から強く、どちらかというと臀筋群やハムストを鍛えたほうがいい場合のほうがいいです。
なので腰が丸くなってしまっている方には腸腰筋のトレーニングは効果的です。

そんな腸腰筋の鍛え方を、3つご紹介します。

腸腰筋の筋トレメニュー5つ!

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

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食コンディショニングアドバイザー

姿勢の維持や腰痛改善・予防につながる腸腰筋の鍛え方を紹介します。マシン・器具を使用する必要がない鍛え方を紹介しますので、ぜひ行ってみてください。

腸腰筋の鍛え方① レッグレイズ

まず1つ目は、腹筋、特に腹直筋の下部を鍛えられるトレーニングの「レッグレイズ」です。
腸腰筋の鍛え方としては比較的メジャーな種目でもあります。

<レッグレイズのやり方>
①仰向けになり、両足をまっすぐ伸ばしたまま天井の方へ持ち上げる
②膝を曲げないように足を地面につく直前まで下ろす

ゆっくり10回×3セット行いましょう。

<注意点>
・腰を浮かせない
脚を下げたときに腰が浮くと腰に負担がかかり、腰痛の原因になります。負荷は下がりますが、両手はお尻に敷くと腰への負荷が軽減します。

ゆっくり10回×3セット行いましょう。

腸腰筋の鍛え方② スクワット

筋トレ種目BIG3の1つ、スクワットです。
「しゃがんで立つ」という動きがスクワットの動作になりますが、この動きはまさしく前述した腸腰筋の作用の1つである「股関節の屈曲」の動作を含んでいます。

スクワットは腸腰筋だけでなく、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスなど下半身の大きな筋肉群を一度に鍛えることができ、ダイエット効果も抜群なので、ぜひやってみてください。

<スクワットのやり方>
1.足の幅を肩幅よりやや広めに取り、足のつま先はやや外側に向ける
2.お尻を後ろに突き出すようにしゃがむ
3.背中がまっすぐな状態を維持できるところまでしゃがみ、一気に立ち上がる

<注意点とポイント>
・お尻を後ろに突き出す
股関節(腸腰筋)を使うためには、しゃがむときに「膝を曲げている」という感覚ではなく股関節を曲げる感覚で行います。
膝を曲げる意識で行うと、重心が前のめりになり、腸腰筋に負荷が入りづらくなります。

腸腰筋の鍛え方③ バイシクルクランチ

2つ目のトレーニングは「バイシクルクランチ」です。
バイシクルクランチでは腸腰筋の他、脇腹にある腹斜筋や腹筋のインナーマッスルにあたる腹横筋という部分を鍛えることができます。

<バイシクルクランチのやり方>
1. 仰向けになり、両膝は立てて両手は耳の後ろに添えるように置く
2.息を吐きながら、腹筋の収縮に合わせて左肘と右膝をつけるようにして体をひねる
3.肘と膝が最も近づいた状態で3秒静止し、そして今度は逆の肘・膝をつけるように体をひねる

肘につけない方の足は、体のバランスを取るために膝を伸ばすようにします。つい早く行いがちになる種目ですが、あくまでゆっくりとした動作を基本としてください。

比較的高強度のトレーニングですが、10回×3セットを目標に行いましょう。

腸腰筋の鍛え方④ ニートゥエルボー

「ニートゥエルボー」は立ったまま行うトレーニングで、腸腰筋の他に腹直筋・腹斜筋をそれぞれ鍛えることができる種目です。

<ニートゥエルボーのやり方>
1.立位で足は肩幅に開き、両手は後頭部で組む
2.右足を腰の上まで大きく持ち上げ、体をひねり右膝と左肘をつけるように動かす
3.反対側も行う

下を向いてしまうと背中が丸まり、腰を痛めたり腸腰筋への負荷がなくなったりしてしまいます。背筋をしっかり伸ばして行うことを意識してトレーニングしてください。

腸腰筋の鍛え方⑤ 自転車

筋トレではありませんが、自転車を漕ぐことは腸腰筋を鍛える手軽な手段です。漕ぐ際に足が上がり、この動きが腸腰筋の作用である「股関節屈曲」の動きになるためです。

普段デスクワークで猫背で腰痛を持っている人は、普段の通勤の一部を自転車にしてみてはどうでしょうか?腸腰筋が働き、猫背改善の1つになりますよ。

腰痛改善に効く腸腰筋のストレッチ2つ!

腸腰筋の筋トレメニューを紹介しましたが、鍛えるだけでだけでは不十分。鍛えた後はしっかりほぐして緩めるストレッチをしましょう。
腸腰筋の筋トレをすればもちろん腸腰筋は鍛えられますが、ケアをしないと筋肉は硬くなってしまいます。

腸腰筋の構造・作用で解説したように、腸腰筋は股関節の前側に付着していて骨盤の位置に大きく影響します。もし腸腰筋が硬いと骨盤が前側に引っ張られてしまい、反り腰→腰痛の原因になってしまいます。

そこで腸腰筋のストレッチ方法ですが、鍛え方と反対の動きをする、とイメージすると分かりやすいですね。
股関節を屈曲させる動きが鍛えることにつながったので、ストレッチの場合は股関節を伸展させましょう。

腸腰筋のストレッチ① 膝立ちで行う大腰筋ストレッチ

まず片脚を前に出し、後ろの足は膝立ちの状態にします。
前足の膝に両手を置き、そのまま体重を前方に移動させます。後方の足側の股関節周り、大腰筋が伸びていることを意識しながら「ゆっくり伸ばし→元の位置に戻る」を左右10回ずつ行いましょう。

腸腰筋のストレッチ② テニスボールを使ったストレッチ

地面に仰向けになり、太ももの付け根にテニスボールを挟みます。挟んでいる方の膝を両手で持ち、上体側にゆっくり寄せましょう。

腸腰筋はインナーマッスルなので、テニスボールを使うことでしっかりと深層部のツボ押しのような役割をしてくれます。

腹筋の鍛え方を変えるだけで腸腰筋に大きな刺激が加わる

腸腰筋の鍛え方を具体的なトレーニングで紹介しましたが、実はこの3種目に限らず、ほとんどのトレーニングが腹筋と密接な関係にあります。(外腹斜筋は大腰筋と連動性があります)腸腰筋は体幹に近いので、これらのトレーニングと非常に相性が良いのです。

宮城島大樹監修トレーナーからのアドバイス

NESTA PFT
食コンディショニングアドバイザー

腸腰筋は体質を大きく改善することができるほどのポテンシャルがある種目です。普段のトレーニングに加えて、理想的な体づくりを目指してください!

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