胃下垂だと太る?太らない?胃下垂を治す方法をプロトレーナーが解説

監修者

西浦 祥仁

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

気になる下腹部のお肉の原因は本当に胃下垂のせい?胃下垂だと本当に太りにくいの?胃下垂のホントとウソを色んな角度からチェックしてみよう!!胃下垂で起こす身体の変化をトレーナー目線で徹底解説!!

そもそも胃下垂ってどういう状態?

胃下垂は簡単にいうと正常な胃の位置から、下に向かって垂れ下がっていて外見的に下腹部が出ている状態をいいます。

下っ腹が出てると胃下垂ということになるのでしょうか?

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

一概にそうだとは言えません!!まず簡単に胃下垂について理解しましょう

胃下垂とは?

胃の位置が正常な胃の位置よりも下方に下がってた状態で、見た目的には下っ腹がポコっと出たような姿になってしまいます。本来正常であれば、胃はおへその少し上の部分に長細いひょうたんの様な形をした状態で収まっています。
胃下垂は医学的におより2〜3㎝みだり下に位置し、胃を支える筋力の低下、腸壁の脂肪不足、腹圧の減少などにより、食べ物があってもなくても骨盤内に胃が下垂していて、X-P検査などで胃の下の部分の胃角が両骨盤の出っ張っている部分(ヤコビー線)よりも下にきた場合を胃下垂といいます。より症状が悪化してくると胃アトニーへとなっていきます。

下っ腹が出ている=胃下垂?

胃下垂になると確かに下っ腹がポコッと出たような見た目になりますが、下腹が出ている=胃下垂とは限りません。
胃下垂ではない場合でも、下腹部に脂肪(特に皮下脂肪)がたくさん付いていれば、下腹がぽこっとした見た目になります。

なるほど、下っ腹が出ているから胃下垂とは限らないんですね!

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

そうです!!次は少しトレーナー目線で胃の働きや仕組みを見ていきます

胃の働きと仕組み

食べ物は、まず食道から胃に入ります。胃の粘膜からは、胃酸と消化酵素が分泌されています。多くの人が胃で食べ物の消化と吸収を行なっていると思っていますが、そうではなく食べ物のタンパク質をぶつ切りにすることは出来ても、胃の粘膜で吸収出来るほどに細かく出来るわけではないです。

タンパク質をアミノ酸にまで分解して、粘膜から吸収出来るようにするにのは、膵臓から分泌される膵液や腸の粘膜から分泌される腸液に含まれる消化酵素の働きです。したがって胃の働きの一つは消化をメインとしています。後の働きはたくさんの食べ物(約ビール瓶2本分)を一時的に貯蔵する役割と、胃酸に含まれる胃酸や消化酵素のペプシンが、食べ物のタンパク質を寸断して、強力な殺菌消毒作用で腐敗などの化学変化を防いでいます。

胃も筋肉で出来ている!

胃壁は、縦・横・斜めに伸び縮みする三層からなる筋肉の層で出来ていて、食べ物を押し出す独特な動き(蠕動運動)をしてながら食べ物を押し出しています。

三層の筋肉の伸び縮みが脳に刺激を送ってお腹が空いたなどを感じることが出来ます。

この胃壁を作っている胃の筋肉は自律神経により支配され、私達自身がコントロールする事が出来ない筋肉です。

胃は自律神経に支配された筋肉により出来ているので、正しい生活や食事・運動など体にとっていい生活をしていれば、胃にかける負担は減ってきます。

ただのバランスが崩れたり、過度なストレスや刺激が体にかかる事によって胃という内蔵の働きが悪くなるのです。ただ胃下垂は病気ではなく胃の位置が正常よりも下垂しているだけなので、胃自体の機能は正常なので特に問題はないです。

胃下垂になる原因は?

胃下垂の事や胃の働きや仕組みは少し理解出来ましたか?ここからは胃下垂になりやすい原因を色々な角度からチェックしていきます。

胃下垂の事や胃の事はイメージ出来たけど、どうして胃下垂になるのかはイメージしにくいですね

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

ではここからは、胃下垂になりやすい人の原因をチェックしていきましょう!

①お腹の中の筋力低下

1つ目は、お腹を締める為の筋力低下です。胃下垂は胃だけが下垂するのではないです。お腹を支える筋肉は腹直筋や腹斜筋群、腹横筋などがあり、その中に消化器や数多くの臓器が収まっています。

お腹を支える筋肉には2種類の筋肉があります。

<お腹を支える2種類の筋肉>
①胃を作っている内側の三層からなる筋肉
 →自分の意思で動かせない不随意筋

②腹直筋や腹斜筋群、腹横筋などでいう外側から支える筋肉
 →自分で動かせる随意筋

内臓を正常な位置で止めておくには、この2種類の筋肉のバランスが大切になります。

胃自体の筋肉は自律神経により支配されている為に、ストレス等の影響を受けると働きが悪くなります。今回はこの胃を支える外側の筋肉をメインで考えていきます。

お腹を締める内側の筋肉は体幹ともいわれ、身体を支える意味でも大きな存在です。特に内蔵でいうと正面の腹直筋や脇腹部分の内外腹斜筋、内側をコルセットのように囲んでいる腹横筋、背面からは脊柱起立筋や腰方形筋などがきちんと機能する事で、内臓を正常な位置でサポートしています。
その体幹部分の筋力低下が腹腔内圧を下げ、胃を含めた内臓を支えきれず下垂しやすい状態を作っているのです。

②ストレス

2つ目はストレスです。胃を始めとする内臓全般は非常にストレスの影響を受けます。先に述べたように胃は縦・横・斜めからなる三層の筋肉からなり2種類の自律神経により支配されています。

<2種類の自律神経>
①内臓の働きを抑える交感神経
②内臓の働きを活発にする副交感神経

この2種類がバランスよく働く事で内臓は正常な働きが出来るのです。

そこに様々なストレスが体にかかる事で自律神経のバランスが乱れ、内臓の働きが悪くなり胃の働きである消化や殺菌、貯蔵の機能が低下する事で胃が疲労し正しい位置をキープ出来なくなる事で下垂しやすくい場合もあります。

③食事

3つ目は食事です。胃は本来食べ物の消化や殺菌、貯蔵をする臓器です。この正常な働きが食生活が不規則になって乱れたりすると、消化に必要な消化酵素の分泌や殺菌のための胃酸の分泌や、貯蔵のための蠕動運動などのバランスも乱れてきます。

このバランスの乱れは自律神経も同じ事は言えますが、食事は直接的に食べ物が胃に対して刺激を加えるので、胃の働きを悪くさせオーバーヒートを起こしやすくなります。

④運動不足

4つ目は運動不足です。運動は身体的な機能維持の為や、身体をコントロールし支配している自律神経にとってはとても大切になってきます。

身体的な機能というと全身の各筋肉や関節がしっかりと動いている状態で、自律神経もその全身が機能的動いている状態でこそ交感神経と副交感神経がきちんとバランスよく働いてくれます。

例えば、ダイエットで部分痩せだけをする事が難しいのと同じように、人間も内臓の筋肉だけを自律神経の働きでバランスよくする事は難しいです。

運動といっても筋力を鍛えたり、持久力を鍛えたりするだけが運動ではなく、身体全体として一つの動ける状態が一番いい状態なのです。

それに運動をするとストレスの発散や身体の中の老廃物を汗として外に排出してくれるので、消化と吸収の為には身体の中に溜め込むだけでなく、不要なものは排出するということは大切になってきます。

胃下垂になって何が一番問題??

胃下垂になると下っ腹が出るけど、他にも色々と問題ってあるのでしょうか?

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

ありますよ!一番気になるのは外見ですが、今回は他の部分にも目を向けてみましょう

胃下垂になると生じる問題①|下腹部のぽっこりお腹

胃下垂は女性に多いので、一番気になるポイントも外見が一番気になるでしょうね!
お腹の下の部分の下腹部がポッコリ出てくるのが胃下垂の一番のポイントです。
原因としてはお腹の腹筋が弱い事で腹圧が弱くなる為、胃の位置が下垂する事でおへその下の部分で支えきれず下腹部が出てしまう事が原因となります。

少し詳しく話をすると、胃は元々空腹の時は平らな袋の様な状態で、食べ物が送り込まれると大きくなる様にできています。胃下垂になると正常よりも胃が下がるので、下腹部が出た様な体型になります。

胃下垂になると生じる問題②|胃の働きが悪くなる

胃下垂自体は「病気ではない」ので心配はいらないですが、症状が長引くと正常な胃の働きをしにくくなる為に、食べ物の消化不良や胃酸過多に胸焼けや胃もたれ胃痛を訴える場合もあります。

「病気ではない」胃下垂なのに長期に渡って内疾患が出る場合は、胃アトミーとうい疾患になる場合もあるので注意して下さい。

胃の働きが悪くなる事で消化酵素がうまく分泌されなかったりすると、消化の次の段階の吸収においても正常に働かきにくくなる可能性もあります。その為に消化がうまく行われず、便秘や肌荒れなど代謝機能や免疫機能も低下する可能性もあります。胃下垂自体は悪くなくても、そこから関連した体の働きの中で負担になる事はあるでしょう。

胃下垂になると太る?太らない??

胃下垂になると太らないはウソ!

胃下垂って色々体に悪い事も多いんですね!けど、胃下垂だと太りにくいっていうお得な事もあるんですよね??

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

ズバリいうと!!都市伝説的な話ですね

胃下垂だと太らないと言われていますが、これはウソです!!

統計的に痩せ型の方が胃を支える為の内臓脂肪が少なかったり、腹圧というお腹に力をいれる筋肉が弱い方に多い為、話が飛躍して世の中の女性は胃下垂だと太りにくいと思っているんでしょうね!科学的な根拠がないので、あまり油断しない方がいいですね!!

本当は胃下垂でも太る!

残念ですが胃下垂の方でも太ります。
先に述べたように痩せ型の方に胃下垂の方が多いだけで、勝手な解釈で胃下垂だから太らないと思っているのは危険です。
単純に食事をして下腹部が出てくるから胃下垂ではなく、食べ過ぎによるカロリーオーバーで下半身太りになっている場合の方も多いと思います。

少し個人的な意見ですが、こういう方に多いのが食後の別腹で間食を多く取る事で、食事で胃に負荷をかけたりカロリーオーバーになったりする事で余分に脂肪を溜め込むことにより、下腹部が出てきてしまっている方もいると思います。

胃下垂の本当の怖さは代謝機能の悪化

胃下垂の本当の怖さは太ることだけではなく、消化不良になり身体全体の代謝機能が悪くなってくることです。

正常な胃の働きが出来ていれば、食べ物を消化酵素でドロドロのおかゆ状態に消化し内容物を混ぜて次の十二指腸へ送り出し、小腸で分解された食べ物から栄養分を吸収し、残りカスを便として排出されます。

胃下垂になり胃の働き事態が悪くなるので、この正常の過程が不十分になり消化と吸収のバランスが崩れ、食べ物が胃から消化不良のまま小腸へ運ばれ栄養をがうまく吸収出来なり、体を回復や修復させたり老廃物を体外に排出したりする機能までもうまく働きにくくなります。

その結果起こる事が、胃の機能低下による食欲不振、消化不良のための便秘、老廃物が体内に溜まってしまい肌荒れや吹き出物が多くなる肌トラブル、栄養不足での全身の倦怠感、下半身の血流が悪くなる事での冷え性やむくみ、色々なマイナスな症状が身体に現れる場合があります。

今から出来る胃下垂改善方法!3つのエクササイズ

胃下垂の改善方法|筋トレでお腹の腹圧を強くしよう

下腹部が出るのは内臓が入っているお腹を支える筋肉が弱くなり、腹腔を引き締めることが出来ず内臓の重さををしっかりと支えれなくなる為におこります。

つまりお腹の筋肉が適度な張りを失うことで、内臓に押されてお腹が出てくるのです。
特に下腹部だけが出ている方は、腹部の筋肉群が本来の能力を発揮していない事が多いです。
特に腹横筋は一番深層にあり腹部や内臓を支えているコルセットの様な役割をしています。この腹横筋に刺激を与えて元の力に戻せば、内臓が腹腔内の正しい位置に収まり、プラスきちんと筋トレが出来ていればお腹が凹んできます!!

腹圧を高めた姿勢を意識するだけで、簡単に腹圧は高めてます。正しい姿勢と呼吸を意識してどんな場所でも出来る方法を解説していきます。

ドローイン Level 1:簡単に寝たままバージョン

①仰向けで寝て、肩甲骨から背中、骨盤全体が床に密着した状態で寝る。
②両手または片手をおへそより下の部分に置く。下腹部が動くのを意識する為に。
③息を吸いながら1度お腹を出来るだけ膨らませる。
④ゆっくり息を吐きながら、置いた手が沈んだ位置を20秒キープする。これを2〜3セット!
⑤慣れてきたら20秒キープしている間は、呼吸は止めずに行う。

ドローイン Level 2 :椅子に座ったままバージョン

①背もたれに背中がつかない様に椅子に座ります。
②ドローイン Level 1 同様に手をお腹にあてる。
③息を吸うときに骨盤が倒れない様に注意して、お腹を膨らます。
④息を吐きながらお腹を凹まし、お尻の穴も一緒に締めるように意識する。
⑤締めた状態を20秒キープし、2〜3セット!一回一回姿勢が崩れないことを意識する。

ドローイン Level 3 :ドローインを意識してウォーキング バージョン

Level 1-2 で意識したドローインを歩行中に意識する。

①立位の時に背骨の自然なSカーブを意識する。
②下腹部を意識的に膨らませる。腰が変に反らないようして、お腹を出来るだけ膨らます。
③肩を上げずにお腹だけを引き込むようにする。凹ました状態をキープし、そのまま普通の呼吸をしながら歩く。
④お腹を凹ませ、背中の肩甲骨を使って体幹で歩き出すように。
⑤意識的にはモデル歩きをイメージして、お腹を締めた状態をキープしながら歩き出すように。

※どの種目も食後や体調の割る時には控えるようにして下さい。

胃下垂が改善しやすい食べ物と食べ方は?

胃下垂を改善する食べ物は?

改善の為の筋トレも頑張れるけど、やっぱり楽して改善したいんで何かいい食べ物ありますか?

西浦 祥仁監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 NSCA-認定パーソナルトレーナー TRXサスペンショントレーナー 赤十字救急法救急員

残念ですが特定の食べ物だけで、胃下垂を改善せるのは難しいですね!けど、食べ物と食べ方の改善でよくはなりますよ。

食べ物で胃下垂の症状が出る方は、食べ物が胃の中で消化されない状態が続いて胃が重たくなってしまうのと、食べ物以外で胃下垂を起こす原因が重なって胃を支えきれずに胃が下がってしまう事により起こります。

胃の働きを助ける食べ物

胃下垂を改善する食べ物はありませんが、胃下垂の状態でも消化を正常に行えるように酵素を多い食べ物を摂ると良いです。

一番効果的な食べ物は食物酵素が多い食品です。
酵素は2種類に大きく分けると消化酵素代謝酵素の2種類があります。
その中でも胃の働きを助ける消化酵素の主な働きは、体内に入ってきた食べ物の栄養素、主に炭水化物・タンパク質・脂質を分解し、吸収されやすいようにすることです。

消化酵素はキャベツや大根、玉ねぎ、アボカドといった野菜に多く含まれます。また、リンゴやバナナ、柑橘類などフルーツにも多く含有されているので、手軽に酵素を体内に取り入れることができるでしょう。

ただし、酵素は加熱処理すると破壊されてしまうので、生のままの状態で食べた方が効率的に摂取出来ます。オススメなのが、野菜などはすり下ろして食べる事です。何かに添えたりかけて食べるなどしてみて下さい。

逆に油物やスナック菓子などの暴飲暴食は消化の妨げになるので要注意です!!