「ランニングでは痩せない」の落とし穴とは?原因と正しいダイエットへの活用法

監修者

植松駿太

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

【プロトレーナー解説】最近ダイエット目的でランニングを始めたけどなかなか体重が落ちないと悩むあなた。ランニングは痩せやすい運動の一つなのに何故効果が出ないのか?痩せない原因とどこを見直し改善すればいいのかを解説しています。

ランニングで痩せない!?成果が出ない理由とは?

過去にランニングをしてダイエットをしようと思ったことがあり続けていたんですが、思ったより効果がなく、途中で挫折してしまいました。ランニングをすれば痩せると思っていたんですが、何かやり方が間違っていたんでしょうか?

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

時間や距離はどれくらいだったでしょうか。頻度なども含め十分な量であれば、ランニングそのものがいけないというよりは、むしろそれ以外のことが原因かもしれませんよ。

今までランニングをしていなかった人がランニングを始めれば、本来は痩せるはずです。体重60kgの人が5kmも走ればそれまでより300kcal多く消費します。これを仮に毎日続けたとしたら、1ヶ月で1kg以上落ちる計算になります。毎日というとハードルは高いかもしれませんが、そこまでやり込まなくても緩やかには体重が落ちるはずです。

では何故痩せないのか?
痩せない理由はわりと単純で、摂取カロリーと消費カロリーを比べた時に同じかあるいは摂取カロリーの方が多くなっているからです。
最初の1ヶ月は意識が高く節制してたけど、2ヶ月目には消費カロリーが高まってるから大丈夫だろうと甘いものを必要以上に摂ってしまっているかもしれません。最初は時間を一生懸命作っていたけど、段々と仕事の忙しさに負け、ずるずると走る頻度が落ちているかもしれません。

意思が強い人は継続できますが、逆にずっと同じ内容になってしまいがち。負荷に変化をつけることや、痩せやすい体をつくるトレーニングをしていないことも多いのではないでしょうか。体は刺激に対し段々慣れていきます。恒常性というものもあり、現状を維持するように働く生理学的機能です。アスリートは日々違うトレーニング内容を取り入れています。運動効果を最大限引き出すために色々な手段を使っていますが、一般の方の、特にダイエット目的の方は同じ内容の方がほとんどではないでしょうか。

この記事を読んでくださった方はこれをきっかけに、自分のトレーニング内容を見直してみてください。「ランニングは痩せないからあきらめる」ではなく、「ランニングを取り入れながらより成果の出る方法を探す」というふうにイメージを変えてみてください。

同じランニングの継続でも、走る時間、内容、環境、食事の摂り方などの設定で脂肪の燃焼効率も変わってきます。どのようにすればランニングで最大限の効果を発揮できるのか、解説していきます。

ランニングがダイエットに有効な理由

安心しました。これからもう一度ダイエットにランニングを取り入れようと思いますが、以前、ウォーキングの方が痩せるよ!と言われたこともあります。これは本当でしょうか?

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

絶対とは言えませんが、ウォーキングよりもランニングの方が痩せると考えていいですよ。ランニングの方が運動強度の高い運動ですから、消費カロリーも高くなります。

ランニングは、長時間走るのはきついと感じるように、運動強度の高い運動です。それこそがダイエットに有効です。楽すぎる運動では、同じ時間で消費できるカロリーは少ないので、こんなに運動してるのにあまり痩せない、となるわけです。また、心拍数を高くすることで、運動後も脂肪燃焼効率の良い時間をより延長することができます。

また、有酸素運動であるため、女性の気にする脚が太くなるということは基本的にありません。もしランニングをすると余計に脚が太くなるという方がいたら、それは恐らくランニング自体が問題ではなく、ご自身の姿勢やクセによるものが積み重なったものです。

ランニングで脂肪燃焼を試みつつ、筋肉を適切に使えるよう機能改善トレーニングに取り組むことをお勧めします。ランニングで体力をつけ、機能改善もできたら完璧です。

体力がつくと、何事も体を動かすのが億劫と感じなくなります。階段を3階くらいならスイスイと上がり、一駅くらいなら歩いていくようになります。家の中でも腰が軽くなり、ちょこちょこと動き回るようになります。ある研究によると、家の中で家事をあまりしない不活動な人と、積極的に家事など動き回る人とでは約200kcalの消費カロリーの差があるようです。これは5週間も続けば体重が約1kg変わる計算になります。

ランニングは、その最中だけでなく、日常生活レベルの運動量や消費カロリーも上げやすいことからも、ダイエットに有効だと言えます。

ダイエットを目的にする場合、距離や時間、ペースはどのように設定すればいいのか

ダイエットのためのゴール設定は、いかに多くのカロリーを消費するかです。
よって、距離は長く、時間は長くというのが王道の考え方となります。皆さんは今どれくらいの時間続けて走れるでしょうか。最初から長い時間を走ろうとイメージしなくて結構です。誰でも最初はしんどいと感じるものです。しかし頻度よくランニングを取り入れていれば、次第に体力がついてきて無理なく長時間の運動ができるようになります。

脂肪は有酸素運動を30分以上しないと燃えないというのはもはや迷信ですから、30分も走れないという方は5分、10分から始めましょう。確かに運動のし始めはやや糖質が多く消費されますが、糖質だって消費した方がダイエットに効果的です。何故なら糖質も余れば体内で脂質に変換され、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄積していきますから、消費したのが主に糖質であっても、その蓄積を予防できますから運動効果はきちんとあります。5分ジョギング、5分ウォーキング、5分ジョギングというふうに交互に繰り返すのもインターバルトレーニングのようになり、良いやり方です。

では少しずつ体力がつき、一度に長い時間できるようになったとして、延々と時間を延ばすのはいかがでしょうか?お仕事をされていて、朝や夜に走る方が多いと思います。やたらトレーニングの時間が増えるのも生活リズムが圧迫されて大変でしょう。そこで、ある程度の時間走れるようになったら、今度はペースを上げていきましょう。

ランニングの消費カロリーは簡易的には体重×距離で計算でき、ペースによる消費カロリーの差はそれほどないと言われます。しかしペースを上げることで狙ってほしいのは別の効果です。

アフターバーンが脂肪を燃やす

それは、「運動後も脂肪燃焼効率の良い時間を持続させること」です。実は心拍数を一度高いゾーンまで引き上げると、アフターバーンと言う、脂肪燃焼効率の良い時間がより延長するのです。もうひとつ、同じ効果を短い距離、時間でかせげるようになれば、ストレッチや筋トレをきちんとやる時間が生まれます。関節可動域を十分に広げることや、筋肉を刺激することをランニング前にすると更なる効果が期待できます。

また、最近は少しずつそう思っている人が少なくなってきたように思えますが、汗をかけば痩せるというのも迷信です。サウナスーツを着て走ったり、運動後にサウナに入って更に体内の水分を絞って、、というのは体に必要な水分を出しすぎてしまい、脱水や血行不良につながるので注意してください。

基本的には快適な環境で走りましょう。あまり脱水状態を続けると、疲れやすかったりぼ~っとしやすかったりして次のトレーニングに支障をきたします。リフレッシュした状態で次のトレーニングを迎えられているか、これは継続する上で大事なポイントです。

ダイエットに有効な時間帯は?

ダイエットにより効果的な時間帯などはありますか

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

ダイエットに有効な時間と言えば朝です。朝食前ですね。

朝は昨晩の夕飯から間が空き、胃が空っぽの状態。運動中の胃の負担も少ないですし、何より脂肪が燃えやすい。血糖値が低い状態なので、積極的に脂肪を燃やそうとします。食事の間が空いているため水分もやや少ない状態です。コップ1杯の水を飲んでおいてください。しかし血糖値をコントロールするホルモン、インスリンはあまり出したくないので、甘い飲み物は飲まないようにしましょう。

この脂肪が燃えやすい朝の時間帯に、ゆっくりでいいのでやや長めにジョギングができるととても効果的です。朝はどうしても時間が取れないという方は、夜でも全然構いません。しかし脂肪が燃えやすい状態を作りたいので、食後というよりは、運動してから食事がお勧めです。食後すぐはインスリンが分泌され脂肪が燃えづらい状態です。どうしてもお腹が空きすぎてトレーニングに打ち込めないという方、もしくは糖新生という筋の分解反応を少しでも抑えたい筋肉増量中の方などはBCAA入りの飲料や一口程度の補給食を摂る分には大丈夫でしょう。

ランニングのダイエット効果を高める食事とは

アフターバーン効果を狙うためには、運動後すぐではなく、30分~1時間、食事までの時間を空けることをお勧めします。
理由は2つ。運動直後は交感神経が優位となっており、胃よりも筋肉の方に血流が回っていて消化に負担をかけるからです。もう一つはアフターバーン効果を利用したいからです。このことを考えると、運動後はシャワーや入浴を先に済ませ、副交感神経を優位にしてから食事に入ると良いでしょう。

また、食事を摂る時には、順番を工夫し、いきなり甘いものや炭水化物を口に入れないようにしましょう。最初にそれらを摂取すると、インスリンと言う血糖値をコントロールするホルモンが早く多く分泌されます。これがたくさん分泌されてしまうと、脂肪燃焼が抑制されます。よって、食べる順番は汁物、サラダなどから、ゆっくり噛んで食べるようにしましょう。咀嚼をよくすることで、同時に満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを抑えます。

よくジムなどで、運動するとお腹が減るからいつも以上に食べちゃう。なんて話を聞きます。よく運動し、よく食べることはとても体にいいことですが、体重が気になる方はお腹いっぱいになるまで食べるというよりは、意図的に少量でも満足感を感じるように食べましょう。

また、BCAA、ビタミンB群、L-カルニチン、コエンザイムQ10など、脂肪や糖質を燃やしやすくしてくれる栄養素を意識的に摂りましょう。せっかくの運動効果を逃がさないようにします。

「筋トレ+ランニング」で更に効果アップ!

最初は効果が出たが今は体重がなかなか落ちないという方。理想の体型まではもっと体重が落ちないといけないのにと悩む方は、やみくもにランニングの距離を増やしたり食事を制限するよりも、筋トレを取り入れてみましょう。

筋トレを入れることで、脂肪が更に燃えやすくなります。理由は成長ホルモンやアドレナリンなどの、脂肪を燃やしやすくするホルモンが大量分泌されるからです。ランニングでも分泌が高まりますが、筋トレの方が負荷が高いため、分泌量が多いのです。このホルモンが大量に分泌される前に有酸素運動をするよりも、筋トレ後の有酸素運動の方が効率よく脂肪が燃えます。

また、長時間のランニングや食事制限だけでダイエットをしようとすると、やや筋肉が細くなる傾向があります。必要な栄養が摂れていない場合、糖新生という筋肉の分解をしてエネルギーを作り出す反応が体の中で促進されやすいのと、有酸素運動では筋肉の太い繊維、速筋をあまり使わないからです。多くても20回程度で十分きついと感じる負荷で筋トレを入れていきましょう。

また、ランニングは単一の動きを繰り返すため、皆さんの姿勢や動きのクセがものすごく反映される運動です。本当はヒップを上げ、ももを細くしたいのに、なかなか効果が出ている気がしない。ふくらはぎが張ってしまう気がする。そんな疑問や不安は、トレーニングで改善していくことができます。ランニングでお尻の筋肉を使えない人はストレッチや筋トレで姿勢や筋バランスを整えてあげないとずっとお尻の筋肉は使えないままになってしまいます。スクワット一つにしても、正確にできている人はかなり少ないので、是非指導を受けてみてください。

筋トレと言うと、ランニングをしている方は下半身のトレーニングを思い浮かべると思いますが、上半身も大事です。ランニングでは下半身の筋力は使いますが、上半身の強い力は使わないので、体全体を引き締めたい方は上半身のトレーニングも取り入れましょう。

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

ランニングだけでは痩せづらくなってきた方は、マンネリを防ぐためにも、ランニングで動員できる筋活動を増やすためにも、筋トレを取り入れていきましょう。

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