【プロトレーナー解説】ランニングは着地するたびに体重の数倍の衝撃が加わります。膝はもちろん、疲労が蓄積すれば腰痛になる可能性も。予防策、改善策をきちんと実践していきましょう。すでに腰痛がある方は必見です。
元から腰痛がある方、ランニングで腰痛が発症した方の対応策の違いとは?
最近ランニングを習慣にしているのですが、先月から腰がが痛くなり始めました。原因や対策教えてください
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
元々何か腰痛を抱えていたことはありますか?
いえ、特に腰痛で苦しんだ覚えはありません。時々重労働をした翌日にちょっと痛いかなくらいは今までもありましたが
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
ではランニングの負荷により腰に疲労が溜まっているのでしょう。早めに適切な対処をすれば悪化はしないと思いますよ。
ランニングを始める前から痛みがあり、ランニングでも痛みが出る方に多いのは、ヘルニア、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症などの疾患が元からある方でしょう。
その場合は、走りすぎが原因というわけではないので、筋疲労を取り除くよりは、筋力トレーニングや姿勢改善がメインになります。
腰痛の症状によって効果的な治し方は変わってきますので、必ず病院で診察してもらい、診断名を聞いてきてください。
腰痛の診察後、病院でよく指示されるのは「腹筋・背筋をつけるように」「腰回りの筋力をつけるように」という言葉が多いようです。私がスポーツクラブで勤務している時、たくさん聞いた言葉です。それをきっかけにジムでトレーニングを始める方も。
ですがトレーニングの仕方が問題です。アブドミナル、バックエクステンションと言われる腹直筋や脊柱起立筋を鍛えるマシンを使ってずっとトレーニングしていても、なかなか改善しないことも。
何故かというと、ヘルニアや脊柱管狭窄症のような神経圧迫が原因のものは特に、腹直筋や脊柱起立筋の筋力を鍛えること以上にコアの筋活動を高めることが大事だからです。
ランニングの疲労が原因の腰痛の場合の対策
よくお医者さんにかかると、安静にして様子を見て、それでも痛かったらまた来てくださいと言われます。その間、せっかくつけた体力も落ちてしまうような気がするのですが、何か良い方法はありませんか?
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
早期に治療したい場合、安静にするのも良いですが運動を全くしないとおっしゃる通り、今度は筋力や柔軟性が衰えます。これではランニングを再開した時にまた痛みが出る可能性が高いです。できれば痛みの出ない運動を継続しながら、同時に痛みの除去に努めたいものです。そこで即効性が高く有効なのが筋膜リリースです。
腰痛対策|筋膜リリースのやり方
心配な方はテニスボール大のツールを使って、脊柱起立筋に当てるような方法を選びましょう。テニスボール大の丸い玉が二つつながっている形状のツールもあります。これは特に腰から背すじに当てて使うのにお勧めです。これであれば高さが低いので、腰が過度に反ることはありません。腰は皆さんが思っているよりもあまり動かない関節なので、過度に反ったり捻ったりするのは実は負担がかかってしまうのです。
筋膜リリースは手で押す場合もツールで押す場合も、気持ち良い~痛気持ち良いくらいの強さで行ってください。そうすると筋膜の配列が整ってきます。
そもそも筋膜とは筋肉の表面を取り巻くコラーゲン線維でできた膜です。格子状に線維が通っていますが、部分的にその格子状の配列が絡んでしまうことがあります。これが筋膜が硬くなってしまった状態です。筋肉と一緒に伸び縮みしなければならないこの筋膜がうまく動かなくなり、痛みが出たり周りの関節の動きに悪影響を及ぼします。適度な圧をかけることで筋肉の緊張を抜き、線維の絡みが戻りやすくなるのを助けることになります。
特に筋膜性の腰痛の場合、腰だけでなく臀部の上や外側が張っていることがかなり多いため、ご自身でも触ってチェックしてみてください。親指で押したとき、第一関節くらいまで指が入る感じがあれば大丈夫でしょう。しかし押したときにすぐに跳ね返されるような硬さがある方は筋膜リリースをお勧めします。
体を構成する要素として、筋膜は非常に固まりやすい組織です。自分でメンテナンスをしなければ、がちがちに固まってしまい、体に不調が起きてしまいます。今回は、その不調を解消するための筋膜リリースというものをご紹介したいと思います。
ランニング中の腰の疲労を軽減する方法
①姿勢の改善
②柔軟性の改善
③コア筋群の機能改善
などです。
ランニングフォームの改善も一つの方法ですが、実は上記の3つがランニングフォームに表れているだけなので、根本解決をするためにはストレッチやトレーニングに取り組む方が効果的です。ランニングフォームだけ変えようとすると、大抵無理が生じるものです。動きがぎこちなくなったり、他の箇所に痛みが出やすいのでランニングフォームだけを意識して変えるのはあまりお勧めしません。
ちなみに、正しいランニングフォームについては以下の記事に詳しく解説してあります。ぜひ参考にしてください。
【プロトレーナー監修】「ダイエットがしたい」、「体力維持の為に」ランニングを始める理由は人それぞれですが、まずは『正しいランニングのフォーム』を身につけましょう。特に初心者の場合、早い内に正しいランニングフォームを知っておけば無駄な体力を使わずにランニングの恩恵が得られます。正しいフォームのポイントを紹介します。
②の柔軟性の改善についてです。
股関節、特に腸腰筋(股関節の前側にある筋肉で、脚を引き上げる時に使われる)や殿筋、もも裏のハムストリングスなどの柔軟性を高めましょう。臀部の張りは筋膜性の腰痛に直結します。これら股関節の筋肉が硬いと、骨盤を引っ張る力が強くなり、骨盤の前傾や後傾などのゆがみにつながります。詳しくは後述します。
【プロトレーナー解説】股関節まわりのインナーマッスルで重要な役割を果たす腸腰筋の作用と鍛え方、ストレッチ方法について徹底解説します!特に腰痛持ちの人は腸腰筋のトレーニングやストレッチを行いましょう。
コアと言うと皆さんが思い浮かべるものは様々になってしまうのではないでしょうか。専門的に正確に覚える必要まではないかと思います。実際言葉で伝えるのは非常に難しいです。しかし腰痛予防や長距離のランニングにおいてはどういう状態がいいのかだけは抑えておいていただきたいです。
簡単に言うと、立っている時と変わらない、いい姿勢を保つことができるといいです。
ランニングでは足を接地するたびに衝撃が上に伝わります。また、回旋動作も行っているので、背骨や骨盤は捻れます。その動きに対してコアの筋肉がうまく活動してくれると、過度な捻じれや姿勢の崩れを予防し、腰の負担を減らしてくれるのです。ランナーがよくコアトレを大事にしているのは、長時間地面からの衝撃や捻じれに対して体を守るためですね。
あなたの骨盤は反り腰?腰猫背?
よく骨盤が反り腰になっているとか言いますが、それって腰に負担がかかるんですよね。でも自分がどういうタイプなのか、そして治し方はどうすればいいのか分かりません。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
反り腰や、腰猫背と言われる、前傾、後傾のことですね。自分がどちらかというのは、一般の方が自分で判断しない方がいいです。あとで詳しく書きますが、勘違いしていることが多いからです。専門知識の高い方に見てもらう方が良いことを前提に、少しだけ改善方法をご紹介します。
反り腰=骨盤前傾
腰猫背=骨盤後傾
です。これは私の経験側ですが、自分の骨盤の傾きを勘違いしている方が多いです。自分は骨盤が前傾していると思っている方が、実は後傾だったということはたくさんあります。横から姿勢を見た時に、外くるぶしの真上に対して股関節の中心(我々トレーナーは大転子というところを目印に評価しています)が前に出ている方は大体の方が骨盤後傾です。
骨盤が後傾していると脚を前に運びやすいですが後ろに流すことが苦手になります。結果、接地足が過度に前方につきやすく、ブレーキのかかる走りになります。
骨盤が後傾している人は股関節の前側についている腸腰筋と、背すじの脊柱起立筋群の筋トレを入れましょう。ストレッチの優先部位は臀部、ハムストリングス、腹部などです。
逆に骨盤が前傾している方はお尻が突きでているように見えたり、腰のカーブが強く見えたりします。立っている時の感覚としては体重が前に乗りやすく、スクワットなどのトレーニングをするときに、腰に力が過度に入る人が多いです。治し方は骨盤後傾と逆と覚えておくといいでしょう。股関節の前側についている腸腰筋と、背すじの脊柱起立筋のストレッチを入れましょう。筋トレの優先部位は臀部、ハムストリングス、腹部などです。
骨盤前傾の治し方
ストレッチ優先部位:腸腰筋、脊柱起立筋群
骨盤後傾の治し方
ストレッチ優先部位:臀部、ハムストリングス、腹部
背骨と股関節の柔軟性の改善により腰痛を軽減
さて、では腰よりも大きく動いてくれるはずの背骨や股関節の柔軟性が低下するとどうなるでしょうか。振り向くためには腰を過度に回旋させようとしてしまいます。このように体は、一部の機能が低下するとどこかでそれを補おうとします。そうした代償動作と呼ばれるものが関節や筋肉に通常以上の負荷をかけてしまいます。
腰は背骨、つまり胸椎と股関節の影響を直接的に受けます。これらの関節の柔軟性が低下すると、腰椎が過度に動いて椎間板などに負担をかけ、腰痛が発生するリスクが高まります。では具体的にはどのように柔軟性を高めればいいのでしょうか。
胸椎には3種類の動きがあります。
①屈曲・伸展(曲げ伸ばし)
②回旋
③側屈(横に倒す動き)
股関節にも3種類の動きがあります。
①屈曲・伸展(曲げ伸ばし)
②外旋・内旋
③外転・内転
胸椎の屈曲・伸展の柔軟性を高めるならキャッツ&ドッグ、股関節の屈曲にはフルスクワットなどがお勧めです。その他たくさんのエクササイズが存在します。
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姿勢や柔軟性を取り戻し、コアの筋肉がきちんと活動できるようにトレーニングをしてあげれば、ランニングによる腰痛はかなり軽減できると思います。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
今回紹介したストレッチやトレーニングを実践し、腰痛を予防しながらランニングを長く楽しんでください!
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