有酸素運動と無酸素運動の違いや効果とは?順番はどっちが先?

監修者

神尾健太

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

有酸素運動と無酸素運動とは何か?効果は?両者の違いは?どちらが痩せるか?有酸素運動と無酸素運動を同時に行う時の順番は?運動を始めようと決意した人が知っておくべき、この2種類の運動様式の効果の違いやメニューへの組み込み方を細かく解説します。

なぜ運動することがそんなにも重要なのか

なんだか最近お腹周りの脂肪や体力の無さが気になります。。そこで運動を始めようと思います!

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

素晴らしい決意!運動は、未来の身体への最高の贈り物ですからね。

でも運動といっても種類が色々あるみたいで、、有酸素運動?無酸素運動?何から始めればいいのかわかりません、、、

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

かしこまりました。では今回は運動の基礎中の基礎、有酸素運動と無酸素運動について解説していきます!でもその前に、まずは運動そのものの重要性を理解することから始めていきましょう!

人体は動くために設計されている

“DESIGNED TO MOVE”
(人体は)動くために設計されている

-A Physical Activity Action Agenda-

私たちの祖先にとって、運動することは毎日の習慣でした。いや、むしろ活発に身体を動かすことを余儀なくされていたと言う方が正確かもしれません。それは生き残るために必須だったのです。

少し原始時代のライフスタイルをイメージしてみましょう。
スクーターやタクシー、電車なんて走ってはいないので、移動手段は全て自分の足です。もちろん足元をサポートしてくれる高性能なニューバランスのスニーカーなんて履かずに。
りんごが食べたくても成城石井やセブンイレブンなんてないので、木の上までよじ登るしか方法はありません。
猛獣から逃げる、穴を掘る、川を渡る、日々の何もかもが運動だったでしょう。

しかも食べ物を長期間保存する術はないので、これを毎日毎日行わなければなりません。雨の日も、風の日も、暑くても、寒くても。あぁ、、冷凍庫とエアコンがあればなんと幸せなことか。

とまあこれで、便利で裕福になった現代の生活のありがたさを実感することはできたことでしょう。
しかし、この原始時代への空想タイムスリップから学ぶべき教訓はそのことではありません。

ここで皆さんの心と頭に留めておいてもらいたいことは、私たち人類は何百万年という歴史を通して、毎日活発に身体を動かすように進化してきたと考えるのが最も妥当ではないのか?ということです。

その証拠に、現代人が運動することのメリットは様々な分野から発表されています。

運動がもたらす美と健康へのメリット

まず誰もが知っている事実として、痩せることが目的のダイエットと運動の関係性について。
2002年に発表された調査によると、

ダイエットで減量に成功した後、その理想の状態を維持し続けた組は、リバウンドを繰り返す(維持できなかった)組に比べて、定期的に運動している割合が圧倒的に高かったとしています。(Streinhausen 2002年)

しかもこのパターンはその他の数多くの研究によっても支持されている事実です。

また運動は免疫系を刺激することで腸内の細菌の種類を増やすことも示唆されているので、このこともダイエットやリバウンド防止に貢献することでしょう。

その他ダイエット以外にも、脳内にドーパミンやセロトニンが分泌されるのを促すため、幸福感が得られることもわかっています。結果的に、うつ病の予防ストレスマネジメントの効果が見込めます。

さらに、運動がもたらす骨への刺激は骨粗しょう症の予防やアンチエイジングに。脳や感覚系(視覚、前庭覚、体性感覚、固有感覚など)への刺激は神経系の発達・成熟や認知症の予防に繋がりますよね。

このように運動をすることのメリットを挙げていけばキリがありません。今後もそのリストは増え続けることでしょう。

有酸素運動と無酸素運動の効果とその違い

なるほど。私たちは毎日活発に体を動かすようにできてるんですね!心に刻んでおきます!!

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

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そう、私たちは動くために設計されているんです!では、早速本題に入っていきましょう。初めは有酸素運動と無酸素運動の違いについてから。

さて前章では、運動の重要性をお伝えしました。すでに運動したくてムズムズしているかと思いますが、もう少し学びを深めていくことに価値はあるでしょう。
では実際に運動を始めようと考えた時に、あなたは何から始めればいいのでしょうか?どういった様式があるのでしょうか?

そこで、有酸素運動無酸素運動という耳慣れた専門用語が登場するわけですね。まずはこの2つ違いが何なのかを理解していきたいと思います。

運動のエネルギー源

そもそも運動するとは、筋肉が活動することと同じ意味なのは納得できますよね。
当たり前ですが筋肉が活動するには、エネルギーが必要です。そのエネルギーとなるのがATP(=アデノシン三リン酸)という物質。つまり、筋肉にATPという通貨が支払われることで、筋肉は活動してくれる仕組みになっているのです。

よく誤解されるのですが、いわゆる3大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)はATPを生産するための原材料の一部であって、通貨そのものではありません。

そして有酸素運動と無酸素運動では、ATPという通貨を生産する過程と使用する原材料が違うのです。

それではより具体的に見ていきましょう。

有酸素運動の効果と特徴

まずは有酸素運動について。

読んで字のごとく、ATPを生産するのに“酸素”の存在が必要になるのがこちらの過程です。生産している場所は、細胞の中にあるミトコンドリアというATP製造工場。

有酸素運動の特徴は、ATPを生産するスピードはあまり速くはないのですが、大量生産できるところにあります。そして使用する主な材料は、全身の皮膚の下(特にお尻や太もも)や内臓の周り(特にお腹)に貯蔵されている中性脂肪(体脂肪と内臓脂肪)とあと糖質です。
また血流やリンパの流れを増進するので、疲労回復やむくみ改善にも有効でしょう。

理論上は無限にATPを生産できるので、長時間継続する持久系のトレーニング(ウォーキングやランニング、サイクリングなど)に必要なエネルギーを生み出すには、こちらの様式が採用されることになるのです。

無酸素運動の効果と特徴

一方で無酸素運動とは、酸素の介入なしに、ミトコンドリアの外側で行われるATP生産過程のことを指します。

こちらの特徴は、ATPを生産するスピードがとにかく速いことです。そして使用する主な材料は糖質とクレアチンで、どちらも筋肉(あと肝臓)の中に貯蔵されています。

しかし、有酸素運動の場合と違い、筋肉内に貯蔵されている糖質とクレアチンの量には限界があるので、無酸素運動は継続するのに時間的な制限が存在します。

これは私たちが、100メートル(10~20秒)はなんとか大丈夫だけれど、400メートル(1分以上)は(どんなにトレーニングを積んでも)全速力でダッシュできないことの説明になるわけです。

さらにもう一つ重要な特徴として、無酸素運動は副産物として乳酸を排出することが挙げられるでしょう。

ちなみに疲労物資として世に浸透している嫌われ者の乳酸ですが、現在ではこの見解は間違っていることが分かっています。実際は、興奮した筋肉を保護したり、コラーゲン生成や血管の新生を促したり、またエネルギー源として再利用されたりしています。(ただし、疲労の蓄積ポイントとしては有効な指標となる)

また、成長ホルモンの分泌を促せるのも無酸素運動の特徴で、筋肉の成長促進や脂肪燃焼、その他様々な利点が期待できます。

簡単に言えば無酸素運動とは、筋トレ、ジャンプ動作、ダッシュなどの瞬発系トレーニングのことを指していると認識してもらって大方問題ないと思います。

有酸素運動と無酸素運動の違い

ここまでの内容をきちんと理解できれば、有酸素運動と無酸素運動の効果や目的の違いが見えてきますよね。

もしあなたがダイエットの為に体脂肪を燃焼したいのであれば、有酸素運動を選択すべきです。
もし筋肉を大きくして彫刻のようなムキムキ体型になりたかったり、あるいは筋肉量を増やして基礎代謝を向上させたいのであれば無酸素運動(中・高強度の筋力トレーニング)を選択するべきです。

ここで有酸素運動と無酸素運動の話題で取り上げておきたい疑問にお答えしておきましょう。
その疑問とは、「ランニングはきつ過ぎると、続けても痩せられないの?」です。

痩せるという表現が脂肪燃焼とイコールなら、この疑問に対する答えは“イエス”となるかもしれません。なぜなら、あまりに速いペースでランニングをすると、ある境目から脂肪燃焼の有酸素運動ではなく、糖質燃焼の無酸素運動に切り替わってしまうからです。

また軽いランニングなどの有酸素運動であっても、運動の開始時は主に糖質を材料にエネルギーを生産し始めるので、ある程度の時間を運動しないと効率よく脂肪を燃焼することはできません。

研究では、20分前後で脂肪燃焼の割合が上昇してくることがわかっているので、その前にバテてしまうほどのきつい運動はあまり効果的とは言えませんね。

とはいえ全ての運動が、有酸素運動か無酸素運動にはっきりとした境目をもって区別することはできない(両方が併存している)ので、大まかにイメージすることができれば十分だと私は思います。

有酸素運動と無酸素運動の実践方法

なるほど。運動の仕方によって何の材料がどのような過程で使われるかが変化するということですね!?

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

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その通りです。

では、実際に痩せるためには有酸素運動と無酸素運動をどのようにプログラミングすればいいんですか?効果的な順番はあるんですか??

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

いい質問ですね!お答えしましょう!

有酸素運動と無酸素運動の選び方

先ほども少し触れましたが、痩せるというワードの定義をしなければ、このテーマで話しを進めていくのは難しいでしょう。
今回はわかりやすくするために、痩せるの定義を目的別に以下の4つのタイプに分類して解説していきます。

・ウエイトダウン型:「脂肪を燃焼して体重を落としたいのか?」
・シェイプアップ型:「筋肉を引き締めてシェイプアップしたいのか?」
・ビルドアップ型 :「筋肉を大きくしてムキムキになりたいのか?」
・スタイルアップ型:「骨格の歪みや姿勢の悪さを改善してスタイルアップしたいのか?」

有酸素運動と無酸素運動の効果の違いを理解すれば、これらの異なった目的によってどちらの運動様式を選択すればいいかが決まることに気が付くはずです。

◯ウエイトダウン型
この4つのタイプの中で最も有酸素運動の割合を多くしたいのはウエイトダウン型のダイエットです。
前章でもお伝えした通り、脂肪を燃焼するには長時間継続できる運動様式を選択しなければいけません。結果的にゆっくりとしたペースのランニング(心拍数120以下)やウォーキング、サイクリングなどの有酸素運動を行うのが効果的でしょう。

◯ビルドアップ型
次に最も無酸素運動の割合を多くしたいのはビルドアップ型です。
こちらは簡単に言えば重い負荷(高強度)を用いた筋力トレーニングですね。最大で8回から12回くらいで限界が来るような負荷を設定してメニューを組み立てると良いでしょう。

◯シェイプアップ型
ウエイトダウン型とビルドアップ型の中間に位置するのがシェイプアップ型。
こちらは軽い強度で回数を多め(20回~30回を複数セット)の筋トレがオススメです。
また有酸素運動と無酸素運動を組み合わせて同時に行うサーキットトレーニングも有効でしょう。

◯スタイルアップ型
最後のスタイルアップ型は上の3つとは少し毛色が違っていて、機能(呼吸や歩き方などの動作)改善が重要となります。
こちらは有酸素運動、無酸素運動の枠組みから外れて、ファンクショナルトレーニング(体幹トレーニングを含む)やヨガピラティスなどが良い選択になるはずです。
(ヨガ、ピラティスが必ずしも機能改善にはならないと個人的には考えているが)

ただし、これらの分類はあくまで理論上の話しで、どのような目的だとしても有酸素運動と無酸素運動どちらもメニューに取り入れるのが最上の方法だと私は思います。
体重を落としたい場合であっても、筋トレは基礎代謝は向上させるのに効果的ですし、ムキムキになるにも余分な体脂肪をそぎ落とすことは必須です。

重要なのは、60分なり90分なりのワークアウトの時間の中で、有酸素運動と無酸素運動の割合をどう配分するのかでしょう。上記した理論を参考に自分でメニューを考えながら運動に励むこともまた運動の楽しみ方の一つではないでしょうか?

有酸素運動と無酸素運動の順番

そこで知っておきたのは、有酸素運動と無酸素運動を同時に取り入れたい場合、どちらを先にやればいいのかという順番の問題です。

この答えには様々な見解があると思いますが、私個人的には無酸素運動→有酸素運動の順番で行うのが最も効率的だと考えています。

理由は、第一に無酸素運動はより高負荷で行うので最もフレッシュな状態で取り組んだ方が効果的であるのと、第二に、ある程度先に糖質枯渇させておいてから有酸素運動を行うと、脂肪燃焼の効率が良くなることが予想できるからです。

その他にも、有酸素運動で酸素不足を引き起こした後に、判断力や注意力が欠如した脳のまま無酸素運動(高強度の筋トレ)を行うと、怪我のリスクが高くなることも考えられます。
また精神的にも、ランニングを30分して汗だくになった後に筋トレをするよりは、最後にクーリングダウンを兼ねた30分間のランニングで汗を流して、そのままシャワーを浴びた方が気持ち良くはないでしょうか。

まとめ~運動を未来への財産に~

納得です!ここまで教えていただいたことを参考に、自分でメニューを考えながら運動を楽しみたいと思います!!

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

楽しみながら運動をする。最も健康的な運動の取り組み方ですね!では最後に今回の内容をまとめましょう。

今回のテーマでは、運動の様式を有酸素運動と無酸素運動の2つに分けてお話ししてきました。あなたが望む目的に合わせて、戦略的にメニューを考えて取り組むことが何より重要なのです。

さて最後に、あなたが運動を始めるにあたって、最も初歩的な前提条件をお伝えしてこのテーマを締めくくりたいと思います。

冒頭にも書きましたが、運動することは(有酸素運動であれ無酸素運動であれ)未来のあなたの美と健康にとって最高の財産となるはずです。いや、ここは必ずなると断言しておきましょう。

しかし運動の効果をより増幅させるためには、土台として身体を良好な状態にキープしておくことが不可欠です。

適切な食事を運動前後に摂取し(良好な栄養状態)、運動を始める前に一度リラックスする(良好なストレス状態)。
過度な食事制限をしながらの運動や、テレビやスマホを見ながら運動すること(近くのものを見続ける行為は過度な緊張を促す)は、長期的なスパンで見ると非常にもったいないと思います。
運動習慣以外のライフスタイルの見直しも、運動と同じくらい大切なのです。

また、「痩せるために!」や「ダイエットの為に!」という決意のもと運動を始めることは、ある意味では限定的過ぎて危険なスタンスだと言えるかもしれません。
なぜなら、運動することを習慣にするのではなく、できればやりたくないけど痩せるまで(ダイエットが成功するまで)は続けなければ“いけない”、一時的な義務に格付けされてしまうからです。

これでは、かつて受験のためにと嫌々覚えたはずなのに、今ではちんぷんかんぷんで役立たずの連立方程式の解き方やフレミングの法則のように、その時だけの無駄な努力となってしまうでしょう。

運動を未来の美と健康の財産としての投資にしたければ、「人生を幸せに送るために私は運動を始めるのだ!」という高次の目的と結び付けておくことが最も重要な前提条件といえるのではないでしょうか?

私はそう確信しています。

神尾健太監修トレーナーからのアドバイス

G.tail代表/BLDA代表理事/千葉大学スポーツ科学過程卒/BLDAマスターボディデザイナー,NSCA-CSCS,鍼灸マッサージ師,EBFA,NKT,PS2AD-A,JM7,ファイトライフ協会認定トレーナー,骨格スタイル協会認定ファッションアドバイザーなど

運動にかける時間とお金と労力を、“浪費”あるいは“消費”ではなく、未来への“投資”にしましょう!!