筋トレと有酸素運動の順番はどちらが先?目的別に行おう!

監修者

高山 菜緒

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

【プロトレーナー解説】『筋トレと有酸素運動ってどちらからやればいい?』一度は疑問に思ったことがある方も多いはず。筋トレと有酸素運動の順番によってトレーニングの効果は変わって来るのです。その効果をトレーニングの目的別に解説していきます。

筋トレと有酸素運動の順番は目的によって変わる

筋トレと有酸素運動の順番について教えてください。どちらから先にやると効果的、といったことはあるのでしょうか?

高山 菜緒監修トレーナーからのアドバイス

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

どちらを先にやればいいか、というのは目的によって変わります。筋トレも有酸素運動もそれぞれ効果が違いますので、それぞれの特徴をしっかり押さえましょう

脂肪燃焼効果が目的の場合

筋トレと有酸素運動の順番によって得られやすい効果は変わります。具体的には以下の3つに大別されます。

・脂肪燃焼
・筋肥大
・持久力向上

それぞれ解説します。まず、ダイエットをする目的でトレーニングをしている方、筋肉は落とさず脂肪を落として痩せたい方は『筋トレ→有酸素運動』の順番で行うのがオススメです。筋トレを行うことによって筋肉量が増え、基礎代謝が高まります。基礎代謝が上がることによって運動していない時や普段の生活でも痩せやすい身体になることができるためです。

ダイエットをしている方は脂肪をしっかり燃焼させて行いたいと思うでしょう。その脂肪燃焼をしてくれるのが有酸素運動です。有酸素運動は脂肪をエネルギーとして使うのでダイエットには効果的な運動といえます。

<筋トレを先に行う理由>

脂肪燃焼・ダイエットを目的とする場合に筋トレを先に行う理由は、身体に成長ホルモンが分泌されるからです。

成長ホルモンは睡眠や食事などの日常生活でも分泌されるホルモンで、運動によっても分泌されます。この運動とはウエイトトレーニングのように筋肉を刺激するときに分泌されるホルモンになります。筋トレによって分泌された成長ホルモンは脂肪分解効果があり、エネルギーとして使われやすくなります。この成長ホルモンにより筋肉が増えやすくなり、さらに脂肪を分解効果があるので有酸素運動で脂肪をエネルギーとして使われて燃焼しやすくなるのです。痩せる効果を高めるためにも筋トレを先に行なっていきましょう。

筋肥大効果が目的の場合

筋肥大を目的としてトレーニングを行なっている方はとにかく筋肉を増やしていくのが最大の目的なので『有酸素運動は行わない』ことをお勧めします。

筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合、高重量・高負荷で行うことになります。元々身体にある筋細胞の限られたグリコーゲンを使い、いかにトレーニングする筋肉を効率的に追い込むことが筋肥大において重要なポイントになってきます。なので筋肥大を行うときは少しでもエネルギー消費量を抑えたいので筋トレ前に有酸素運動をする必要はないのです。筋肥大トレーニングの後に有酸素運動を行うこともエネルギーを使いきっている状態なので怪我の原因にもなり、避けたほうがいいでしょう。

有酸素運動を行いたい場合は?

筋肥大トレーニングをしていても有酸素運動を取り入れたい場合は筋トレと有酸素運動を別の日に行うのがいいでしょう。ジムで仮に1週間で月・水・金曜日に筋トレを行うのだとしたら間の火曜日か木曜日に有酸素運動を取り入れます。ただし、高重量・高負荷でトレーニングを行なっているので筋肉を休めて超回復をさせることも大事です。そのため有酸素運動は筋肥大トレーニングにおいては行わなくてもいいでしょう。

持久力向上が目的の場合

持久力向上を目的としてトレーニングを行なっている方は『有酸素運動→筋トレ』の順番で行うのがオススメです。持久力を高めていきたい方は体力の維持をしたい方やマラソンなどの長距離走をするために心肺機能向上を目的として行う方が多いと思います。そのために優先的に行なっていきたいのが有酸素運動なのです。先に述べたように筋トレをしてから有酸素運動を行うのは脂肪燃焼効果が高いので特に脂肪を減らしたいというのでなければ先に筋トレを行う必要はありません。

有酸素運動を先に行う理由
有酸素運動は心肺機能向上や全身持久力の向上の効果があります。日常的に使われる言葉で言えば『スタミナ』です。全身持久力を高めることは長時間体を動かすことができるようになることに繋がるので体力が欲しい方にもオススメなトレーニングです。

持久力を高めるのに大事なことは最大酸素摂取量(VO2MAX)を高めていくことが最大の目的となります。最大酸素摂取量とは簡単にいえばスタミナの指標のことで、運動中に1分間あたりに摂取する酸素の量です。この量は一般的な日常生活を過ごしている方やアスリートなどを比べると人によって数値は違ってきます。この最大酸素摂取量を高めていくためには自分の最大酸素摂取量あたりでの有酸素運動ををすることが効果的です。自分の中で限界と思う強度で運動を続けることになります。

しかし、限界値の運動を長時間続けるのは難しいと思います。そこでオススメなトレーニング方法がインターバルを利用したトレーニングです。インターバル走は一定の距離を全力で走り、その後一定の距離のジョギングを繰り返すトレーニング方法です。一定の距離は自分の体力、目標に合わせて決めていきます。初めてなら100m、200mから始めて慣れてきたら徐々に距離を長くしてもいいでしょう。

こういったトレーニングをすることによって持久力向上に繋がります。筋トレを際に行うと必要なエネルギーを最初に使ってしまうことになるので有酸素運動を優先してその後に筋トレを行いましょう。

筋トレと有酸素運動の時間配分

トレーニングや有酸素運動はどれくらい取り入れるのか、ダラダラ時間をかけているだけでは効果も半減してしまいます。トレーニングの効率的な時間配分をご紹介していきます。

ダイエット目的の時間配分 

まずはダイエット・脂肪燃焼を目的としてトレーニングをしている方。筋トレは30〜60分、有酸素運動は20〜30分で行いましょう。筋トレは長くても60分ほどで終わらせます。初心者の方は60分の筋トレを行えば疲れてしまうので20〜30分ほどでもOKです。長時間やっていて集中力が途切れてしまっても怪我の原因などに繋がる可能性もあるのでそういった方も調整しましょう。

その後の有酸素運動は20〜30分行います。有酸素運動は長く行い過ぎると筋肉を分解してしまい、せっかく筋トレでつけた筋肉が減ってしまうので長すぎる有酸素運動は行う必要はないでしょう。

筋肥大目的の時間配分

筋肥大については先に述べたように有酸素運動は必要ありませんが行うとしたら筋トレは30〜45分、有酸素は長くて15分。筋肥大のトレーニングは短時間で追い込む方法が効果的と言われています。短時間で行う理由は成長ホルモンが分泌される量が筋トレを始めて30〜45分ほどで多く分泌されるのでこれ以上長く行うと成長ホルモンは徐々に減るので短時間で行うことをオススメします。有酸素運動は行わないか軽い負荷で15分ほど行うだけでも十分です。

持久力向上目的の時間配分 

持久力向上を目的として行う方はこれは先に述べたように人によってトレーニング時間は変わってきます。初心者の方から慣れた方まで様々なので自分の体力に合わせて行いましょう。有酸素運動がメインとして行なってもらいたいので筋トレは長時間行う必要はないです。30分ほどのトレーニングでも大丈夫です。

プロテインの摂取は?タンパク質の重要性

ジムでトレーニングをしているとプロテインを飲んでいる方を見かけます。ダイエットしている方や女性だと必要ないと思われがちですがプロテインは大事な身体を作る栄養素になるのでどんな方にも摂ってもらいたいものになります。プロテインはタンパク質です。普段の食事でもタンパク質は摂取できますがトレーニングを行なっている方にとっては食事で摂れるタンパク質では足りていないことがほとんどです。筋肉を作るのに大事なのがこのタンパク質です。

筋肉をつける方は1日に必要なタンパク質量が体重(kg)×1.5〜2.0=必要量(g)で計算できます。

例えば60kgの体重の人は90〜120gのタンパク質が必要になります。しかしこのタンパク質を食事で摂ろうとするには限界があります。タンパク質を多く含む食品で100gのタンパク質を摂取するのにこれだけの量を食べる必要があります。

鶏のささみは100gで23gのタンパク質が含まれるので1日で440g。
卵は1つ6gのタンパク質なので約17個食べることになります。

どの食品でも結構な量を摂取しなければならないのでコストもかかり塩分などの他の栄養素を摂り過ぎてしまうことになります。そこで普段の食事に加えてプロテインを摂取することをオススメします。プロテインは毎日卵を17個食べるより低コストですし、何より手軽に摂ることができます。

筋肥大を目的としてトレーニングを行う方はもちろん、ダイエットや脂肪燃焼を目的として行う方にも摂ってもらいたいです。ダイエットしている方はプロテインは避けがちですが筋肉をつけることで痩せやすい身体になりますし、食事制限をしている方は余計に栄養素が少ない状態なのでオススメです。今では色々な種類のプロテインが売られており、筋肉を増やしたい方・ダイエットしている方向けの製品もあります。自分にあったプロテインを探してみてくださいね。

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筋トレと有酸素運動の順番はどちらが先?まとめ

筋トレと有酸素運動を行う順番は目的別で違うことをご紹介しました。

①ダイエット・脂肪燃焼を目的とする方は筋トレが先
②筋肥大を目的とする方は筋トレが先だが有酸素運動は特に必要ない
③持久力向上を目的とする方は有酸素運動が先

順番やトレーニングの時間を把握することでつけるはずの筋肉がついておらず反対に落ちてしまっていたり効果が全然出ていなかったら時間も勿体無いしショックですよね。今まで順番は気にせず行なっていて効果が出にくいと感じていた方は順番を変えてトレーニングをしてみてください。そうすれば効果が出やすくなるかもしれません。行う順番にはしっかり理由があるのでその理由を把握しておくとさらに運動効果が高まります。

さらにプロテインを摂取することによってトレーニング効果も高まり筋肉を増やす働きをしたり足りない栄養素を摂取することができます。身体を作ることは運動・栄養・睡眠が大切な三要素なので日常生活もこれを機に見直してみてください。

順番だけでもトレーニング効果は変わってくるので自分の目的に合わせて行なってみてくださいね。どんな目的でトレーニングをするにしても無理はせず安全に行うことを最優先にしてトレーニングをし、理想の身体に近づけていきましょう。

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