ランニング効果を上げる時間帯とは?朝?夜?食後?【プロトレーナー解説】

監修者

植松駿太

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

多くの方がランニングに期待する効果として、脂肪燃焼が挙げられます。では脂肪燃焼効果を高める時間帯とは?また、マラソンランナーのようにパフォーマンスアップを狙う方にとって良い時間帯とは?目的別に解説します。

ランニングに求める効果で走るべき時間帯は違う

ランニングをする時におすすめの時間帯はありますか?私は今夜にジムに行って走ってますが、朝に走った方がいいか気になっています

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

今はダイエット目的で走られていますか?

はい、そうです。

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

ではどちらかというと朝がおすすめですね。おすすめの時間帯と言うのは目的によって変わります。一つずつ紹介していきますね。

皆さんはどのような目的でランニングを取り入れているでしょうか。もしくはこれから始めようか迷っている方は、どのようなことがきっかけでランニングに興味を持ったでしょうか。

・ダイエット
・フルマラソン出場又はタイム更新
・運動不足解消
・健康のため
などが主な目的として挙げられるかと思います。

上記の目的と、皆さんの体の現状や生活リズムによっておすすめの時間帯は変わってきます。一般的にはダイエットには朝が良いと端的に言われやすいですが、ここではもう少し深堀していきます。自分が当てはまるものを探してみて下さい。

目的別ランニングの効果が高い時間帯

朝は脂肪燃焼、ダイエットを目的にする方向け

これはよく言われることですね。聞いたことがある方も多いでしょう。その通りで、私も朝に走った方が良いと思います。

朝は前日の夕飯から考えて10~12時間程度間が空いているはずです。この間に胃の中は空っぽになり、運動には適した状態になります。血糖値もやや下がった状態で、インスリンの分泌も落ち着いています。インスリンとは血糖値をコントロールするホルモンで、食後にたくさん分泌されます。これが大量に分泌されている間は脂肪が燃えにくい状態となります。

朝食前は供給されてくるエネルギーがないため、ため込んでいるものからエネルギーを取り出そうとします。糖質は使いすぎると枯渇して脳の働きを妨げてしまうので、糖質を使う割合を節約し、積極的に早めに脂質を使おうとしてくれます。内臓脂肪、皮下脂肪を使ってくれるのです。糖質を使ってくれることも体重増加を防ぐので、十分ダイエット目的に貢献するのですが、直接的に皮下脂肪が減ることはきっとダイエット目的の方にとっては嬉しいことだと思います。

この脂肪燃焼効率の良い時間帯を利用して、じっくりと、ゆっくり長く走ります。速く短い距離というよりは、長い距離を走る方が消費カロリーが稼ぎやすいです。よって、脂肪燃焼や体内のエネルギー(グリコーゲン)貯蔵量を増やす目的で用いるLSDは、朝に入れると良いでしょう。

※LSD=Long Slow Distanseの略。普段のジョギングよりも更にゆっくり長く走る練習方法

朝はどちらかと言えば体がまだ完全に目覚めていない状態なので、ゆっくりジョギングかもしくはウォーキングからスタートしましょう。怪我予防になります。また朝は体温が低く、筋肉や関節の動きが鈍い状態です。できればストレッチを入れて少し体を温め、関節の動きをスムーズにしてから行いましょう。

食事の間が空いているということは24時間の中ではやや脱水気味の時間帯です。ランニングをすれば多少汗もかくでしょうから、走りに行く前にコップ1杯の水を飲んでおきましょう。夏場は特に、熱中症や脱水を防ぐ意識が大事です。それほど汗をかかない冬は大丈夫と思っても、血流が良い状態の方が運動効果は上がります。水分が少ないと血流も滞りやすいので、やはり水分は同じように摂っておくべきです。

朝ランニングのデメリットとしては、血糖値がやや低い状態から走り始めるので、糖尿病の方にはややリスクが高いです。お医者さんの指示に従い、運動と食事の時間について予め指示をもらっておきましょう。また、ランニングは運動強度が高すぎる可能性もあります。ウォーキングから始めた方が良いかもしれません。それも合わせて聞いておきましょう。

お昼前か夕方はマラソンの自己ベスト達成を目標にする方向け

ヒトの体にはサーカディアンリズムという体内時計があり、およそ24時間の中で、自律神経、免疫機能、ホルモン分泌などの周期が時間帯ごとに変動しています。

パフォーマンスがもっとも高く発揮できる時間帯は、午後から夕方です。これは体内の深部体温と関係があります。ウォーミングアップをすると筋肉や関節の動きが良くなり、体が軽く感じるように、深部体温が高い時の方がパフォーマンスは向上すると言われています。深部体温は朝から徐々に高くなり、午後から夕方にかけてピークになり、夜になるにつれまた下がっていきます。これは睡眠とも密接にかかわっている体内リズムです。

午後に練習を行っても良いですが、昼食の時間の兼ね合いを考えると、食後すぐは難しいと思うので、現実的には夕方になると思います。仕事がある日は別として、休日にポイント練習(ジョギングと違い、質の高いランニング練習)を入れるのであればこの夕方の時間を狙いましょう。夏場も日差しが和らぐこの時間がお勧めです。

夕方に実施するのが難しい場合は11時頃がおすすめです。この頃にはやや高い状態になっており、練習後に昼食もしっかり食べて回復にも努められるからです。

質の高いポイント練習はなるべくこういったパフォーマンスが高く発揮できる時間帯を選び、その他の基本的なジョグ練習などは朝や仕事終わりなど無理のない時間に設定しても問題ありません。

夜は生活習慣病、健康面が気になる方向け

仕事の関係で夜に走る人、ジムに通っている人も多いと思いますがそれは効果的なのでしょうか

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

脂肪燃焼のことだけ考えると朝がお勧めですが、色々な目的のために運動している方、お仕事で朝に時間が取りづらい方は夜のトレーニングがむしろ合っています。ただ以下に紹介する運動や体内リズムの特性を理解しておくとより良いでしょう。

健康増進、運動不足解消と思って、ランニングを始めるに当たってジムに入会される方も多いでしょう。
ジムなら天候に左右されずいつも快適、安全で、お風呂も入れるというメリットがあります。忙しい現代人にとって、トレーニング後にお風呂に入って家で入る必要がないというだけでもかなりメリットがあるではないでしょうか。

さて、ジムにせっかく入会されるのであれば、是非筋トレもしていきましょう。フルマラソン出場目的の方と違い、目的は体型の維持や肩こりの改善など、やや幅広い目的で通うと思います。その場合、目的に合わせてランニング以外のトレーニングも組み合わせた方が良いです。ランニングによる血流改善により、肩こりにも多少良い影響はありますが、それよりも直接的に姿勢改善や背中のトレーニングを入れる方が圧倒的に効果がありそれを感じるのも早いです。

ジムに行ったら前半のうちに筋トレをしましょう。短時間で効率よく、目的にあったトレーニングや大筋群を使うトレーニングをします。その後にランニングです。筋トレを入れてあげると脂肪をもやしやすくする成長ホルモンなどもたくさん分泌されている最中ですから、やたら長い時間やらず、20~30分で切り上げます。

トレーニング直後は交感神経が優位になっておりますが、お風呂に入って副交感神経優位に戻しましょう。食事での栄養の吸収率が良くなります。入浴から1時間半~2時間後に睡眠に入ると睡眠の質も上がります。夕飯はタンパク質を含む食事を摂りやすいですから、そこで筋トレ後の筋肉の回復も促せます。
色々な目的で体を動かしつつ、シェイプにも効くランニングの効果を短時間で出したい。そんな方は仕事帰りに上記の様な流れで効率よく負担のない範囲で取り入れ、且つ継続していきましょう。

トレーニングは継続することが何よりも大事です。

【あわせて読みたい】