【プロトレーナー解説】脚のトレーニングはやっているけど大殿筋が発達しない方は大殿筋の動きが正しく理解できていないかもしれません。今回は大殿筋を使うために必要な動きをマスターするのに役立つ種目を紹介していきます。正しく動けば自ずと刺激が入り、理想のボディラインに近づけるかも!
大殿筋の機能・作用とは?
カッコいいお尻を手に入れたいのですが、どんな筋トレをすればいいんでしょうか?
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
お!お尻を鍛えたいというのは目の付けどころがいいですね。お尻はまずは大殿筋というお尻の大きな筋肉を鍛えましょう!
まずは大殿筋の作用や特徴から解説します。
大きな特徴としては、単一の筋肉として人体で最大のサイズの筋肉であるということがあげられます。当然発揮する力も強い筋肉です。深部に中殿筋、更にその下に小殿筋が位置しています。
支配神経は下殿神経となっており、主な働きとして股関節の伸展(特に屈曲位から)、外旋、股関節の外転、内転です。
股関節の伸展は階段や傾斜の強い坂道を上る時の動作やスクワットなどの座位からの起立動作に移る動きなどが分かりやすいでしょう。走る動作の際にはハムストリングスと共に体を前方に運ぶ為、強く働きます。
股関節の外転とは股関節から脚全体を外向きに捻る動きの事です。スクワットで足を外側に向けて開いたワイドスタンスを取ると大殿筋を強く収縮させることができます。股関節の外転とは直立姿勢で片足を外側に開く動作の事です。よく床に横向きで寝転がり脚を上部に持ち上げて開くエクササイズがあると思いますが、あの動作がまさにこの股関節の外転のトレーニングになります。マシンのトレーニングでいえばアウターサイがこれに当てはまるでしょう。
内転はその逆で、開いた脚を閉じる動作になります。股関節が外旋(膝が外側に向いている)状態で脚を閉じる動作を行うと非常に強い収縮を感じられます。これらの機能を踏まえて臀部のトレーニングを行うことが出来ればフリーウエイトでも自重でも効果的なトレーニングが出来るでしょう。
本格的に大殿筋を鍛える前に覚えておきたい動作!ヒップヒンジ
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
大殿筋の作用を理解したところで、実際に鍛え方についてですが、まず鍛えるために超重要な動作について解説します。この動作が出来なければお尻を鍛えることは難しいといっても過言ではないでしょう。
え!?そんなに重要なことがあるんですか!?
具体的な練習の種目としてまずはグッドモーニングやルーマニアンデッドリフトの練習をオススメします。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
これらの種目については次章で詳しく解説します!
また、グッドモーニングであれば重りを持たなくても練習することができます。単純に胸を張る動作が難しい場合は脊柱起立筋群から僧帽筋にかけての筋力不足、腹筋・肋間筋などの体幹前面の柔軟性低下などの要因が考えられますので、上半身のストレッチやトレーニングと並行して進めながら胸を張る動作を行わなくても効かせることが出来るヒップスラスト・レッグプレス・ヒップアブダクションなどの筋トレを行いましょう。
背中には数々の筋肉がありますが、その中で体の姿勢に深く関わっているのが「脊柱起立筋」です。脊柱起立筋にはスポーツから日常生活にかけて、とても重要な役割があります。そこで今回は、脊柱起立筋が持つ様々な作用や役割、この筋肉を鍛えるのにオススメな3つの鍛え方を解説します。
大殿筋オススメ筋トレメニュー6つ
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
ここからは具体的に大臀筋を鍛える筋トレメニューを紹介していきます。
①導入編 グッドモーニング
10~15回程度反復出来るように行ってください。
自重で行う場合は両手を頭の後ろで組み、背中に力を入れてしっかり肩甲骨を寄せるようにしてみましょう。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
ポイント:上半身を倒そうという意識で行うと背中が丸まってしまったりフォームが崩れます。お尻の高さが変わらないように真っすぐ後ろに動かすこと。お尻が下がると膝関節が動き出してしまうのでスクワットの動作になってしまいます。
②導入編 ルーマニアンデッドリフト
まず、腰幅で直立し、バーを両手でグリップします。肩甲骨をしっかり寄せて胸を張り、膝を若干緩めた状態にして上半身を倒していきます。この時グッドモーニングと同じように上体を倒す意識よりもお尻を後ろに突き出し、下げないように意識を持って行わないとフォームを崩しやすいです。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
次からはジムでも自宅でもできるシンプルな筋トレメニューを紹介します。
③ヒップスラスト
通常ベンチに肩を乗せた姿勢で仰向けに構えますが、床に仰向けになった状態でも大丈夫です。多少可動域は減りますが、より安定したフォームで出来るでしょう。自宅にソファなどクッションがあって体を乗せられるものがあればそちらを使ってください。
④ワイドスタンススクワット
上手く脚幅やつま先の向きが調整出来ていると、しゃがみ切ったところで膝の角度が90度くらいになり、脛が床から垂直になっているはずです。もしできていなければ脚の位置を調整しなおしてください。8回~12回程度反復できる負荷に設定できていればいいでしょう。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
バーベルを持って行う時に上半身を立てすぎていると腰を痛める危険がありますので注意しまてください。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
最後に上級バリエーションを2つ紹介します。
⑤上級編 ブルガリアンスクワット
まずベンチ台に足の甲を乗せます。ベンチ台がなければ自分の膝くらいの高さになる椅子等を活用してください。もう片方の脚は前方に大きく踏み込みます。膝の角度が90度くらいになるようにしゃがんでみた時、膝が足甲の垂直上に収まるように調整してください。
⑥上級編 クロスランジ
まず両足をそろえた姿勢で軽く膝を緩めておきます。リバースランジであればそのまま片足を後ろに踏み出していくのですが、クロスランジの場合は踏み足を後ろで交差させるように踏み出します。この時出来るだけ胸を正面に向けたまま前足に体重をしっかり載せておくようにします。
戻しの動作の時に踏み込み足を完全に戻さずに軸足の後ろに添えるような形で止めるようにすると負荷が逃げにくくなります。
大殿筋の筋トレが上手くいかない場合に考えられること
大殿筋の筋トレって奥が深いんですね!自分も早速やってみます。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
それはいい心がけですね。しかしもし上記の筋トレメニューを行ってもうまく大殿筋が発達しないという場合は以下の原因が考えられますので、注意して行ってください。
②ハムストリングスや脊柱起立筋群の筋力不足
③重心の掛け方が違う、又は動作中に変化してしまう為、狙いを外してしまっている
①胸郭の柔軟性低下が原因の場合の対処方法
①が原因の場合は分かりやすくヒップヒンジが出来ないはずです。本来であれば胸を正面に向けたままでもある程度骨盤を前傾させることが出来ますが、肋間筋や腹筋群の柔軟性が低下していると特に胸郭を反らせて胸を張ることが出来なくなってしまいます。
ヒップヒンジが上手くできないとスクワット系の動作を行う際に上半身全体を前傾させるしかなくなりますので背中や腰に刺激が集中します。これを改善するにはストレッチポールやフォームローラーを使用して体幹前面のストレッチを行うようにすると良いです。
床に座った状態で横向きに置いたポールに背中の中央から少し上(みぞおちの裏あたり)を当てて仰向けに寝転がります。この時両手で首を支えて負担がかからないようにしてください。そのまま肘と頭を床に着けるように体を反らせていきます。しっかり反らせたらお腹をへこませて肺を大きく広げるように深呼吸を繰り返しましょう。この姿勢でも腹筋が柔らかくなったり肋骨が大きく動く様に呼吸ができるようになれば柔軟性の課題は十分にクリアできているでしょう。
②ハムストリングスや脊柱起立筋群の筋力不足の場合の対処方法
②の原因は多関節種目でよくみられる光景です。複数の関節・筋肉を使用する種目においては、仮にフォームが完璧だとしても弱い部位が優先的に刺激が入ってしまう事があります。複数の種目でかつ似たような動きの種目で同じ事が起こる場合は単純に刺激が弱い部位に流れていると思ってよいでしょう。
たとえばマシンチェストプレスとベンチプレスとバーベルショルダープレスを行っていてすべての種目で三頭筋が先にオールアウト(疲れてできない状態)してしまう。これは明らかに三頭筋の筋力不足と思ってよいと思います。その場合は三頭筋を強化する事で結果的に他の部位への刺激を強化する事になります。
上腕三頭筋の鍛え方については以下の記事を参考にしてください。
上腕三頭筋鍛えてますか?二の腕に当たる上腕三頭筋ですが、鍛え方を知らないがゆえについつい疎かになりがちです。しかし、男性も女性も腕をたくましく、もしくは引き締めるためには最も鍛えるべき腕の部位と言っても過言ではありません。ジムや自宅で行える筋トレ方法を解説します。
③重心の掛け方が違う、又は動作中に変化してしまう為、狙いを外してしまっている場合の対処方法
③は見落としがちですが、かなり重要なファクターを占めています。重心のコントロール次第で様々な種目の刺激をコントロールできます。分かりやすいのはスクワットです。大腿四頭筋を狙う場合は爪先に重心を置きます。脚が膝から曲がりだすようになって四頭筋への刺激が強くなるはずです。
かかと重心にすると股関節から動き出しますので、股関節周りの筋肉への刺激が強くなります。この為、大殿筋にフォーカスする場合はかかと重心で行うのが良いですが、通常のバックスクワットであえてそれを行う必要はないでしょう。ワイドスクワットやブルガリアンスクワットなど今回紹介しているような最初から大殿筋をメインターゲットにしている種目で行うようにしてください。
スクワットは動きがシンプルなので誰にでも取り組みやすいですが、実はそのフォームは奥が深く、間違って行う人が多いのです。スクワットを行って筋肉痛になった部位でフォームの正しさが分かるかもしれません。筋肉痛になる部位の特徴と回復方法も解説します。
佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス
NSPAパーソナルトレーナー
下半身のトレーニングはシンプルな種目が多いので重さを扱いやすいですから、しっかりやりこめば誰でも効果が出ます。成長が早い分、細かいポイントを疎かにしてしまうと自分の理想と違う体系に成長してしまう可能性が高いです。まずはフォーム重視でしっかり基本をマスターしたら少しずつ負荷を増やしつつ細かいポイントを修正していきましょう。
【プロトレーナー解説】美尻を作るには筋トレは欠かせません。自宅でできる簡単エクササイズを中心に美尻を作る方法を解説します。ポイントはお尻の筋肉の一部である大殿筋と中殿筋をバランスよく鍛える事です。