腹筋ローラー(アブローラー)で背筋を鍛える方法!

監修者

佐々木大地

NSPAパーソナルトレーナー

【プロトレーナー解説】皆さまおなじみの腹筋ローラー(アブローラー)ですが、腹筋だけでなく様々な部位を鍛えられます。今回は意外と知らない腹筋ローラーの基本をおさらいして、背筋など腹筋以外をを鍛えるバリエーションをご紹介させて頂きます。

腹筋ローラーの使い方 鍛え方の基本のおさらい

ジムでよく腹筋ローラーをしている人を見かけますが、腹筋ローラーってそんなに効果的なんですか?

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

はい、腹筋ローラーは腹筋を鍛えるにはとても効果的です。しかし、鍛え方を間違えないようにしたいところです。まずは基本のやり方について解説しますね。

まずは膝コロからやってみましょう!膝を床についた状態で腹筋ローラーをグリップし体の正面におきます。膝の位置が広すぎると腸腰筋から力が逃げて腰が反りやすくなり、ケガをします。自分の腰幅程度に膝をつくようにしてください。

お尻に力を入れて腰を丸めます。この状態は終始維持してください。そのままローラーを床に押し付けるように体重をかけてへそを覗き込むようにして背中全体を丸めた上体を作って下さい。この腹筋が完全に収縮しきった形がスタートポジションになります。ここからローラーを前に押し出していきます。

背面全体を丸める意識を保ったまま身体を伸ばしていくことで腹直筋がダイレクトに刺激されます。胴体が床と平行になるくらい伸びたらローラー側に体重をかけたまま背中を丸めるように戻ってきます。この時お尻が先に戻ってきてしまう姿勢や背中が伸びっぱなしの姿勢になっていると腰に負担がかかり痛めます。お尻が自分の膝よりも後ろに行かない様に背中を丸めるコントロールをして下さい。アジャストベンチや家であれば足がついているいすなどをふくらはぎの上に設置すればお尻の位置を確認して行うことが出来ます。
両足を広げて行うことで動作範囲を狭く行ったり、ローラーを持ったまま行うローラープランクという腹筋の体勢から少し前に転がしてみるような練習方法もあります。
連続で20回程度コントロールして出来るようになれば次の段階で膝を伸ばした立ちコロの練習に入ることが出来るでしょう。
壁などがストッパーになるようにポジションをとり、身体を伸ばしきった時に固定されるようにするとフォームが安定しやりやすくなります。基本的に腹筋に効かせたい場合はある程度コントロール出来ているほうが刺激が入りやすいのでオススメです。初心者の方や膝コロから立ちコロに移行する時の練習に行ってみるのも良いでしょう。

背筋にフォーカスした腹筋ローラーの鍛え方

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

ここから背筋を鍛えることにフォーカスした鍛え方のバリエーションをご紹介します。

これは前述した内容の基本の膝コロまでが完璧に出来ている方向けの内容です。出来れば立ちコロまで出来てている状態で始めてもらうのがベストです。立ちコロが出来るようになるまでころには、十分に腹筋や背筋が鍛えられます。まだ未習得の方はそちらの練習を優先して下さい。

背筋に効果的な鍛え方① ローラープルオーバー

この種目は背中を丸めてローラーを引き付ける動作を行わずに、身体を伸ばし切った状態から肩関節のみを動かして広背筋・大胸筋への刺激にフォーカスした種目です。ローラープランクの体勢を維持し続けなければならない為、かなり強度の高い種目になります。

①ローラーを持って床に置いた状態から立コロあるいは膝コロの体勢を作ります。そこから股関節だけを伸ばす動作を行い、肩から足までを一直線になるように構えてください。この時ローラーを握っている腕は床から垂直になるようにします。

②そのままローラーを前に押していきます。この時手首はしっかり力を入れて肘を下に向けて脇を閉めたままにしておくことで、より広背筋・大胸筋の刺激が強くなります。体が床と平行になるくらいに大きく前に伸びましょう。
③伸びきったところからローラーを元の位置に戻します。この時股関節を曲げないようにして体を一直線上にキープしたまま肩関節の動作のみでローラーをもとの位置に戻してください。この動作を反復します。戻す動作の際にしっかり腹筋に力を入れて腰を守りながら上を見るような感じで胸を張りましょう。
最初はかなりきつい動作になりますが練習していけば少しづつ反復できるようになってきます。10~20回程度反復できればかなりの筋力がついているでしょう。

背筋に効果的な鍛え方② ローラープッシュ&プル

この種目はプルオーバーよりも更に強度が高くなります。膝を伸ばした立ちコロ姿勢からできる人はほとんどいないでしょう。強度が高くなりすぎるとコントロールが利かなくなってしまいますので、基本的には膝をついた体勢でOKです。腹筋ローラーを極めたいという猛者はぜひ膝を伸ばして挑戦してみてください。

①ローラープルオーバーと同じく、ローラーを持って床に置いた状態から立コロあるいは膝コロの体勢を作ります。そこから股関節だけを伸ばす動作を行い、肩から足までを一直線になるように構えてください。ここから肘を90度くらいに曲げて構えます。

②そのまま前に腕を伸ばしていきます。この種目も手首はしっかり力を入れて肘を下に向けて脇を閉めたままにしておくことで、より広背筋・大胸筋の刺激が強くなります。
③伸びきった体勢から肘を曲げながらスタートポジションに戻します。
広背筋・大胸筋だけでなく上腕三頭筋がかなり参加してくる種目です。かなり腕力がないとなかなかできない種目ですが、挑戦してみる価値はあります。10~20回程度反復出来るように練習しましょう。

色々な腹筋ローラーとその使い方

腹筋ローラーにも種類があり、同じ形状の商品でも使用感に差があります。通常の腹筋ローラーは、なるべく車輪の大きい物を選んだほうが車輪の回転もスムーズで刺激がダイレクトに伝わってきますのでおススメです。より大きいローラーで行うためホームセンターで材料をそろえて自作のローラー作ってしまう方もいるくらいです。

他にも車輪が二つ並んでついていることで安定性が高くなっている物や床が傷つきにくい材質になっている物、ブレーキがついているものなどがあります。

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

僕の自宅に置いてあるものはブレーキがついたタイプです。最初に述べたように基本動作では壁などをストッパーにするといいです。ブレーキがついているタイプは周りに壁が無くても、手首を少しひねればローラーが固定されるようになっております。

とても使い勝手がよくお勧めなのが片手ずつで持って使用するタイプのローラーです。ダンベルのような形状で、大胸筋を鍛えるプッシュアップやフライなどより上半身を鍛える種目の幅が増えます。ローラープッシュ&プルもこのタイプを使うと比較的実施しやすくなります。普通の膝コロ・立ちコロを行う時も両手の幅を自分で調節できるので動作中に手首や肩が痛くなったり動きが窮屈になってしまう方はこのタイプを使用すれば改善されるかもしれません。プレート式のダンベルやジムにあるハンドルが可動式になっているタイプのダンベルで同じように行うことが出来ます。

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ジムに置いてあるオリンピックタイプのバーベルで、EZバーなどのショートバーベルがあればこれに5~10㎏程度のプレートを装着してローラーの代わりに使用することができます。特にEZバーがオススメです。バーベルなので手幅の調整ができますので自分の動作がしやすい手幅にして行うことができます。幅によって筋肉への刺激の伝わり方が異なりますので色々な手幅を試してみるのもよいでしょう。EZバーはシャフトが斜めに波打つような形状をしていますので、まっすぐなシャフトを握ると手首が痛くなってしまう方もこのバーであれば腹筋ローラー系のトレーニングができるかもしれません。

珍しい型ですが、大きなローラーでハンドルの部分にベルトがついたものがあります。これは両足につけて行うタイプで、ローラーニータックやジャックナイフといった比較的高強度の腹筋運動を行うのに適した物です。両腕は支えで、両足を動かしてトレーニングを行うため、腹直筋・腹斜筋だけでなく股関節の腸腰筋や大腿直筋なども鍛えられます。両足が床から離れているのでバランス感覚が必要になります。体幹の様々な筋肉が鍛えられますので、機会があれば是非挑戦してみて頂きたい種目です。

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

余談ですが、これらの腹筋ローラーを使ってお尻・ももうら・腰回りのトレーニングを行うことが出来ます。

ローラーヒップスラスト

仰向けに寝転がり、ローラーのハンドルを両足で踏み、固定します。足の裏の中央にハンドルが来るようにすると良いでしょう。両手で地面を抑えるようにして膝の角度を90度程度に固定します。そのまま腰を突き出すようにお尻を持ち上げてください。肩から膝までが一直線になるところまで持ちあがったら、お尻が床に触れないように降ろすようにして動作を反復します。

足が固定されていないのでバランスをとりながらの動作になります。体幹全体を使って体をコントロールします。大殿筋・中殿筋・ハムストリングス・脊柱起立筋群が強い刺激を受ける種目です。

ローラーレッグカール

ローラーヒップスラストできることが前提の種目です。ローラーヒップスラストの腰を上げ切ったポジションまで持っていきます。この状態で体を固定して、そのまま両足を伸ばしていきます。ハムストリングスにストレッチがしっかりかかったら、両足をまげて元のポジションまで戻します。この時腰が緩んで股関節をまげてしまわないように注意ましょう。

この種目はハムストリングスへの刺激がかなり強い種目です。初めてやった方は間違いなく筋肉痛になるでしょう。ヒップスラストと同じく殿筋や脊柱起立筋群への刺激も強い種目です。この種目がスムーズに10〜15回程度反復できるようになること頃にはお尻ともも裏がかなり引き締まった状態になっていることでしょう。

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

いかがでしょうか。腹筋ローラー一つあれば様々な筋肉を鍛えられます。ジムでの腹筋運動の補強としては勿論、自宅で行うトレーニングとしても他の自重トレーニングと組み合わせれば全身を鍛える事が出来ます。腹筋ローラーその物は筋トレ器具としては非常に安価な部類に入ると思いますが、それなりに効果が期待できる良い道具です。全身を連動させてコアを鍛える事が出来ますので、競技スポーツを行っている方の補強にも向いているトレーニングです。是非、毎日の運動の一つに腹筋ローラーを加えてみてください。

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