【プロトレーナー解説】腕立て伏せができない人のために、できるようになるためのステップを「強度を落としたやり方」、「大胸筋が使えるようになるストレッチ」、「体幹強化」という3つの観点から紹介します。
腕立て伏せができない理由3つ
腕立て伏せができない理由① 筋力不足
段階的に強度を上げて、腕立て伏せができるぐらいの筋力をつける必要があります。
腕立て伏せができない理由② 胸筋が使えない
大胸筋は腕や肩の筋肉より力が強いので発揮する力も強いです。そのため、大胸筋を使えるようになることも重要なポイントです。
腕立て伏せができない理由③ 腹筋が弱い
これもある意味筋力不足といえますが、腹筋、いわゆる体幹が強い人は、男女問わずさほど胸や腕の力がなくても腕立て伏せができたりします。最低限の筋力は必要ですが、腹筋、体幹の強化も腕立て伏せには必要な要素といえます。
また、腕立て伏せをすると手首が痛いという方がよくいますが、これも体幹に力が入らないことが原因です。体幹に力が入らないと、姿勢を支えるという本来体幹がするべき仕事を手でやってしまいます。それにより手首に余計な負担がかかり痛みが出てしまいます。ですので、体幹の強化は手首のケガ予防にも重要になります。
本間 滉太監修トレーナーからのアドバイス
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この3つの課題を、いかにしてクリアしていくか。その方法をご紹介していきます。
腕立て伏せができるようになるための3ステップ
ステップ① ウォールプッシュアップ
腕立て伏せのバリエーションで一番強度が低い「ウォールプッシュアップ」です。非常に易しい種目なので、運動初心者や女性にもおすすめです。
通常は床で行う腕立て伏せを壁で行います。
<やり方>
①壁から靴1足ほど離れた位置に立ちます
②手を肩から胸ぐらいの高さで壁につきます(手の幅は前述の通り)
③壁に向かって腕立て伏せをします。
ステップ② テーブルプッシュアップ
机を使って行う「テーブルプッシュアップ」です。
使うものは机、いす、ベッド、キッチンカウンターなど多少の高さがあるものなら何でもOKです。
<やり方>
①机の端に手を置きます
②身体を一直線にしたときに、腕が身体に対して垂直になる位置に足を置きます
③ここから腕立て伏せの動作を行います
使えるものにちょうどいい高さのものがない場合は、動くスピードで強度を変えましょう。ゆっくり動くと強度が上がるので余裕に感じる高さのもので動作をゆっくり行いましょう。
ステップ③ 膝つきプッシュアップ
続いては、膝をついて行う「膝つきプッシュアップ」です。
腕立て伏せ完成形手前の種目になります。
<やり方>
①床に手をついて、腕立て伏せの姿勢をとります
②そのまま膝を床につき、つま先は床から離します
どの種目も回数は10回~15回を目安に行いましょう。余裕になったら、ステップアップしてステップ3まで余裕になれば、通常の腕立て伏せに必要な筋力はついてるはずです。
腕立て伏せができるようになるために【ストレッチ編】
もちろん、筋力アップのトレーニングの中で大胸筋を意識することは非常に重要ですが、ここではトレーニング以外で大胸筋が働きやすくなる方法をご紹介していきます。
大胸筋ストレッチ
筋肉は刺激が入ると、働きやすくなります。ストレッチすると、「ああ、ここが伸びてる」と感じますよね?それも筋肉にとっては刺激なのです。
ここでは、大胸筋のストレッチをご紹介します。
<やり方>
①手を壁の角にかけます。高さは肩から胸ぐらい
②肘が少し曲がる程度の距離に立ちます。
③身体を腕から引き離すイメージで、胸を突き出します
大胸筋ほぐし(筋膜リリース)
ストレッチとは少し違うセルフマッサージのようなものを行い筋肉をほぐします。最近、よく聞く筋膜リリースの簡易版みたいなものです。
テニスボールがあればそれを使い、胸(特に鎖骨の下)をコロコロと転がします。これを1日10秒やるだけでも十分ほぐれます。
腕立て伏せができるようになるために【体幹強化編】
体幹といっても、ただただ腹筋運動をすればいいわけではないんです。
ここでは、腕立て伏せに活きる体幹強化法をご紹介します。
斜めの腹筋
身体をひねりながら行う腹筋です。しかも足も一緒に動かします。これだけ聞くときつそうですが、休み休みで大丈夫なので安心してください。
<やり方>
①仰向けに寝て、身体がX字になるよう手と足を伸ばします
②右手と左足を近づけるようにツイストしながら腹筋をします
③反対の手足で行います
フォバー
体幹トレーニングでは、おなじみの種目ですね。姿勢を安定させるための、体幹トレーニングです。
<やり方>
①うつ伏せで肘を肩の真下に置きます
②そのまま身体を浮かせて、頭から足まで一直線の姿勢をつくります
この2つで体幹トレーニングはOKです。
【最後に】正しい腕立て伏せのやり方のコツ
姿勢は真っ直ぐ一直線
運動指導の場にいると見かけるのが、上がるときに身体を反らしているパターン。こういう人は腰を痛める可能性が出てきてしまいます。
反対にお尻が高く、頭から突っ込むような形になっているパターン。これだと、肩に過度な負荷がかかり故障の原因になりかねないです。
正しい姿勢を維持するためには、腹筋、体幹の強さが必要になってきます。
手の幅は肘が90度
①立つか座るかの姿勢で手を横に広げます。
②肘を90度に曲げます。
手が狭すぎると、前述の大胸筋が働きにくくなり、きれいな腕立て伏せが行いにくくなります。
動作
最後に動作です。ここでは、動きの大きさやスピードについてお話します。
まずは動きの大きさですが
①下りるときは床ギリギリまで!
②上がるときは肘が伸び切らないところまで!
◯呼吸
また、上がるときに息を吐くようにしましょう。力むと呼吸が止まりやすく、顔が赤くなるなどの症状が出ることがあります。
呼吸を止めると、血圧が急上昇して立ち眩みや失神が起きたり、ひどいと脳の血管が破れる可能性もあります。最初に吸って上がるときに吐くという呼吸を意識しましょう。
腕立て伏せのときの呼吸はとても大事です!呼吸1つで効果は大きく変わります。それはなぜか?正しい呼吸法とは?腕立て伏せは意外に正しくトレーニング出来ていない方が多い種目でもあります。正しいやり方を解説します。
・ゆっくり1秒で1回
ぐらいのペースでやってみましょう。
まとめると
・姿勢は頭から足まで真っ直ぐ一直線
・手の幅は下がったときに肘が90度になる位置
・床ギリギリまで下りて、肘が伸び切らないところまで上がる
・ゆっくり1秒で1回のペース
本間 滉太監修トレーナーからのアドバイス
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通常の腕立て伏せができる頃には、理想の自分になっているでしょう。「腕立ては1日にして成らず」、コツコツと練習をして理想の自分を目指しましょう!
胸筋を鍛える腕立て伏せ。「毎日100回」行ってもあまり効果は期待できません。腕立て伏せの効果と正しい基礎知識を踏まえ、筋力レベルに応じた腕立て伏せのバリエーションをご紹介します!