ベンチプレスの回数や負荷は目的によって変わります。「筋肥大させたい」という目的だけでなく、様々な目的に合わせたベンチプレスの回数や重さ、セット数の設定について解説します。
ベンチプレスの回数で効果が変わる?

また、案外知られていないですが、「どのように実施するのか?」も目的別に異なってくる部分があります。
ベンチプレスをどのように目的で行うのか?これをまずはっきりとさせて実施していくことはトレーニングを進めていく上でとても大切なことです。
ではまずベンチプレスを行う目的ですが、以下の通りです。
・筋力の向上
・パワーの向上
・バネの向上
・筋持久力の向上
・基礎体力作り
・筋肉の肥大を目的としないボディ作り(俗にいう「引き締めたい」という目的」
それ以外の目的の場合の回数の設定については、その後解説します。
筋肥大に最適なベンチプレスの回数・重量・セット数とは?

・回数 上記の重量で上がらなくなるギリギリの回数
・セット数 3セット以上(ただしウォーミングアップのセットは除く)
・セット間インターバル 60秒〜90秒
ただし、ここに重要な要素が一つ入ってきます。
それはトレーニーの「レベル」です。
初心者のトレーニーと上級者のトレーニーでは自ずとその内容は変わってきます。
初心者の方が雑誌に紹介されている上級者向けのメニューに憧れてチャレンジするのはよくあることですが、大抵の場合はそれをこなすことはできず、挫折してしまうでしょう。また、怪我の危険もありますので、まず初心者の方は下記の内容から実施することをお勧めいたします。

・重量 10〜12回上がるギリギリの重さ
・回数 上記の重量で上がらなくなるギリギリの回数
・セット数 3セット(ただしウォーミングアップのセットは除く)
・セット間インターバル 90秒
セット数
野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス
NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士
ここからは「個人的な筋肉の肥大を目的としたお客様への調整の仕方」と前置きさせていただきますが、まず僕がお客様に最初に増やしていただくのは「セット数」です。
そしてアップで2セット、メインセットを5セットできるようになったら、次に「使用重量を重く」していきます。
と言ってもメインセットのすべてのセットの重量をあげていくのではなく、5セットのうち真ん中の3セットを2段階くらいに分けてあげていき、セットの構成を「ピラミッド式」になるようにしていきます。
この時中央のセットは6回ギリギリ上がる重さ、その前後のセットは8回ギリギリ上がる重さ、さらにメインの最初と最後のセットは10回ギリギリ上がる重さに調整します。
また、ちょっと余談ですが、このピラミッド式である程度余裕ができてきたら、ベンチププレスのセットをさらに増やすというよりは、別の種目であるインクラインベンチブレスなどを行なっていただくことが多いです。
そのほうが「全体の筋肉の肥大」に効果があるからです。
最後に最近の研究事例では、上記でご紹介したセット間インターバルより少し長い時間休憩した方が筋肉の肥大の面でも有意に効果があったという事例もありますので、この点もぜひ参考にしてください。
その他目的の場合の回数について

ここでも使用重量は全て、その目的別で紹介する回数を「ギリギリできる重さ」でセットするようにします。
また、セット数は全て初心者であれば3セット、上級者であれば3〜5セット行います。
◯「筋力の向上」が目的
回数:1〜3回と少なめ
セット間インターバル:2〜3分と長め
◯「パワーの向上」が目的
回数:数回
ただし爆発的なスピードを伴って実施することが大切です。あとの要素は筋力向上と同じで良いでしょう。
パワーとは「スピードを伴った力の発揮」のことを言います。したがってパワーを向上させたい場合は、実施する「スピード」に重点を置く必要があるのです。
◯「バネの向上」が目的
回数:15〜20回
バネの向上とは、SSCと言われる能力の事を言いますが、これは軽負荷プライオメトリックと言われる手法を用います。
軽い重量で筋肉が伸びている状態、ベンチプレスで言えばバーが胸に降りている所から20cmくらいまでの間をポンポンとリズムよく弾くように上げてきます。
◯「筋持久力の向上」が目的
回数:15回〜20回、インターバルは30秒から60秒間隔で実施します。
◯「基礎体力づくり」が目的
回数:10回、インターバルは60秒〜90秒で良いでしょう
◯「筋肉の肥大を目的としないボディ作り」が目的
筋持久力の向上のやり方と全く同じで良いです。
ベンチプレスの正しいやり方

1.グリップは、親指を回してしっかりとバーを握ります。
その時の手の幅は、肩幅より広く握ります。
手幅の注意点として、初心者は必要以上に狭く、慣れてくるにしたがって今度は必要以上に広く握ってしまう傾向にあります。
ポイントは、上腕が床と平行になった際、肘が90度になる手幅で握るようにしましょう。
手首は初心者の方は手の甲側にクキッと曲げてしまう方が多いです。手首を曲げてしまうと手首を痛めてしまう可能性があるので手首はできるだけまっすぐを維持するようにしましょう。


両方の足の裏は全体を床につけ、踵が浮かないようにししょう。
3.お尻、肩甲骨、後頭部をベンチ台に付け、それぞれが動作中浮かないように注意します。
4.パーが目線の真上に来るように位置を調整しながらベンチ台に寝て、バーをラックから離し、胸の前でホールドします。
5.息を吸いながら胸郭を広げつつバーを胸まで下ろします。
バーは必ず胸につくまで降ろすようにしょう。
6.息を吐きながらバーを挙上します。
この時重量が重い場合は、一番苦しいボイント(スティッキングポイント)をあげる時だけ呼吸を止めるのはOKです。
7.バーをラックにかける時は片方ずつではなく、両サイド同時にラックに触れる音を確認してから降ろすようにしましょう。
野上 鉄夫監修トレーナーからのアドバイス
NSCA 認定パーソナルトレーナー・日本トレーニング指導者協会(JTAI) 認定指導員・健康運動指導士
ベンチプレスに限らず、筋トレは目的によって回数や負荷は変える必要があります。ぜひこれらも考えながらトレーニングをしてみてください。

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