【プロトレーナー解説】膝の痛みを改善するためのサプリメントは効果があるのでしょうか?膝痛の根本的な原因、改善方法をサプリだけでなくトレーニング、ストレッチ、マッサージなど様々な方法を紹介します。
膝痛サプリメントの効果とは?
特に何もしていないのに膝を痛めてしまいました…。
福山 宏監修トレーナーからのアドバイス
NSCA認定パーソナルトレーナー JFTA認定ファンクショナルトレーナー
膝の痛みは、患った人にしかわからない、辛さがありますよね。
そんなことを気にしているうちに、痛みをカバーして歩くために反対側の脚を酷使することもあるでしょう。腰や足首、股関節に負担がかかってしまうことにもなります。
いつも余計な気を配らなければならないし、体力も余分に消耗してしまいます。心も体も疲弊してしまいますね。
膝の痛みの原因は?
「膝が痛くなる原因は、年齢を重ねるごとに膝のクッション役の軟骨がすり減ってしまうこと。これによって痛みが生じてしまう。」
この減ってしまった軟骨を再生させるために、グルコサミン、コンドロイチンなどがいいとされています。
ちなみに、グルコサミンは「糖」のひとつで、軟骨に含まれるプロテオグリカンのもとになる物質として知られています。コンドロイチン硫酸は、前述のプロテオグリカンのもととなる成分のひとつです。
しかし、これを鵜呑みにしてしまうのは少し危険なように思います。
膝痛サプリメントは口から入れてもそのまま軟骨には変わってくれない?
そして、コラーゲンボールを鍋に入れてその鍋を食べると、お肌がプルップルになる。以前、某有名アイドルグループの番組で、女性タレントが嬉しそうに話していた記憶があります。
コラーゲンはいくつかのアミノ酸の集合体です。さて、このコラーゲンボール。口から胃、腸に入って吸収されると一旦アミノ酸の最小単位に分解されます。そのあと体の各パーツに配分されていきます。しかし、これがお肌に必要なコラーゲンとして体に配置されるのかというと、そうではないのです。
そうなんですか!?知らなかったです…
体の中には、沢山の栄養素や伝達物質がそれぞメッセージを発信して情報交換し、バランスを保ちながら体を維持しています。グルコサミンや、コンドロイチン硫酸が体に入って全く役に立たないわけではないでしょう。しかし、他の栄養素との連携や、信号の受け取り方で別の部署に配置されるということも、大いにあり得ます。
また、サプリメントの効果は動物実験などで検証されます。しかし、その検証結果では効果ありと効果なしの両方が存在するようです。
膝の痛みの原因は筋力のバランスの悪さ
軟骨がすり減りやすくなる原因としては体重が重いことや、運動による膝への負荷が大きいこと、膝への負担を守る靭帯や半月板の損傷、股関節や足関節などのケガや病気で膝への負担が大きいことなどが考えられています。
肥満で膝に負担がかかってしまう。アスリートや、スポーツ愛好者の過度な練習や連続プレイで膝に負担がかかってしまう。果ては、靭帯、半月板にまで影響してしまう。
また、膝の痛みのせいで日常生活の活動が制限され、運動量・活動量が低下し、そのため筋力やバランス能力が低下してしまいます。そして、運動しないため血流も悪くなり、膝への負担を減らす筋力が低下することと血流が悪くなることでさらに痛みが強くなるといった悪循環に陥ります。
加齢で筋力を失うからというよりも、筋力のバランスが悪いから膝に負担がかかり、軟骨が減って痛みが起きてしまう、と考えるのが、妥当でしょう。
そして、軟骨がすり減っているわけではないのに痛みがあるという方も目にします。
こうしてみると、痛みの原因は軟骨がすり減ってしまう前の筋力のバランスの悪さにも関係があるのではないでしょうか。
福山 宏監修トレーナーからのアドバイス
NSCA認定パーソナルトレーナー JFTA認定ファンクショナルトレーナー
実際に私自身、長年の格闘技とストリートダンスで体を酷使して右膝の調子を崩すことがいまでもあります。しかし、痛みを防ぐ、あるいは改善するにはやはりトレーニングとストレッチが効果を発揮してくれると実感します。
膝痛改善のトレーニング7つ
これは膝に極端な負担をかけない姿勢と動き方ができているからとも言えます。つまり、大腿四頭筋、ハムストリングス、臀部、頸部など膝関節に関わっている筋力のバランスが良いからと言えます。トレーニング、エクササイズ、ストレッチでこの筋力のバランスを整え、バランスが崩れない動きを練習しましょう。
シェルエクササイズ(股関節外旋)
股関節周りの小さな筋肉(深層外旋六筋、中臀筋など)がしっかり動き、股関節を安定させます。
ヒップリフト(股関節伸展)
また、足幅は骨盤の幅に開いておきましょう。
ここから下腹に軽く力を入れて、お尻を持ち上げて下ろします。お尻と太もも後ろの筋力が整っていきます。
インナーサイ(股関節内転)
内腿の筋肉が整っていきます。
ニーアップ(股関節屈曲)
スクワット
このとき、膝の位置、スネの角度などに気を配りながらスクワットをやるといいですね。
これを、椅子から立ち上がるときにも、同じような視点で、動作をやって見ましょう。きっと、立ち上がるときに、膝の痛みを感じないか、少なくなっていることでしょう。
【プロトレーナー監修】スクワットは下半身を鍛える種目の代表であり、気軽に取り組めます。しかし、スクワットをしていると膝が痛い…という悩みを抱えている人も少なくありません。そんな悩みを持っている方に、スクワットで膝を痛める原因や正しいフォームのコツを解説します!
スプリットスクワット
そこから、ややお尻を引き、上半身を20度ほど前傾させながら、しゃがみます。そして、足裏の親指の根元、小指の根元、かかとの3点で地面を捉えたまま、地面を押すように、立ち上がります。
ラテラルスクワット
こうして股関節を支点にして、股関節周りの前後左右の筋肉を、使う練習をします。中臀筋、小臀筋など、お尻の横にある筋肉が主に効いていると良いです。
膝痛改善のストレッチは前後左右の四方向で
そして加えておきたいのは立位で、重心を意識したストレッチ。やはり、人間は立って行動しているので同じストレッチでも立位で重心を意識出ると良いですね。
お尻と太もも後ろを伸ばす(立位)
両手を膝について膝を軽く曲げた状態で上体を前傾させます。このとき、お尻を後ろにツンと突き出して背筋を曲げないようにして起きましょう。
また、このストレッチでは足裏の着地ポイントにも意識を向けましょう。爪先に体重がかかりすぎたり、かかとにかかりすぎたりしないようにするのが良いです。親指の付け根、小指の付け根、かかとの三点で、しっかりと地面を捉えることが、大切です。
太もも前を伸ばす(股関節の伸展)
太ももを引き寄せる(股関節の屈曲)
足首回転
サプリメントを摂るときの留意点
ここで、サプリメントに話を戻しましょう。ここで取り上げた、グルコサミンやコンドロイチンの他にも膝痛改善に効果的と言われるものがあります。
それらは全く効果がないわけではないのでしょう。しかし、先ほどのコラーゲンのことでも触れた通り、サプリメントは普段の食事がバランスよくとれているからこそ体の機能を補完してくれるものです。
サプリメントだけに頼って全てが改善すると考えずに、普段からバランスよく美味しく食事をしましょう。そして、体の中の栄養素をしっかり循環させるために、運動をしましょう。
福山 宏監修トレーナーからのアドバイス
NSCA認定パーソナルトレーナー JFTA認定ファンクショナルトレーナー
また、運動では動作のバランスや運動と休息の頻度、体のケアを十分に行うことが得策です。そうすれば、あなたの体はあなたの夢を叶える最高のパートナーとして人生を全うしてくれることでしょう。
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