以前は市民ランナーに多かった膝の内側の痛み。現在では運動をしない主婦層などにも多く見られます。膝の上下や裏の痛みとは違って様々な要因があって症状が出ているため、正しく判断して正しいケアが必要になります。いくつかのパターンの原因をご紹介し、ストレッチやテービンプ・サポーターなどの活用法もご紹介
膝痛は原因や状況により対処方法が変わる
あなたの膝の痛みは何が原因?
膝の内側が痛くて困っています。病院に行っても「加齢ですね。」とだけ言われて湿布をもらっただけ。どうすればよいでしょうか?
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
あなたの膝の内側の痛みは何が原因か、判断して見ましょう。そうすれば対処方法も見えてきますよ。
一言で膝の痛みといっても千差万別。
特に膝の内側の痛みは骨や関節、筋肉や靭帯、関節運動や日常生活動作など身体の様々な要因によって起きております。
痛みの原因や状況によって対処方法は異なっていきますし、それが整形外科領域なのかスポーツジム頭でのトレーニング領域なのか、変わっていきます。
どうしてもご自身の感覚や経験では判断がつきづらい膝の内側の痛み。これらは正しく解釈・理解をして、ご自身の身体に合ったけえをしなければいつまでも痛いだけでなく二次災害、三次災害を引き起こしてしまうこともある非常に怖いものです。
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
そこで今回は医療国家資格を持ちながら、スポーツジムで活動している私が多角的にご紹介いたしましょう。
膝の内側の痛みには4つの原因が隠れている
膝の内側の痛みの原因はどんなタイプがあるんですか?
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
膝の内側の痛みの原因になるのは、4つのタイプが典型的です。1つずつご紹介します。
もちろんですがタイプによって症状が発生するプロセスが変わるため、ケアの仕方も変わります。ご自身の症状から原因を明確にしましょう。
原因①|関節の動きはじめや体重が掛かると痛みが発生する「変形性膝関節症」
レントゲン診断でも明確にわかってしまうこの症状は骨の関節面にある軟骨組織が磨り減ってしまい、関節内に炎症が発生してしまうものです。
先述の通り、傾向的には閉経後の女性に多く見られますが、場合によってさらに若年層でも発生することがあります。
痛みは膝の内側に発生していますが、膝に内側(の軟骨)に負担がかかるのは身体を支える股関節は骨盤の不安定性によって膝に誤った荷重がかかり、それが負担となって軟骨を余計にすり減らしてしまうことになるのです。
そのため、この症状に対しては膝周りの改善のみならず股関節や骨盤、さらには姿勢など背骨周辺の不具合も改善することが症状良化へつながっていくのです。
<変形性膝関節症の特徴>
① 膝の動き始めに痛みが発生する
② 階段を降りたりなど体重を掛けた際に強い痛みが発生する。
原因②|膝の安定性が低下し、少しでも横に曲げようとすると痛む「内側側副靱帯損傷・断裂」
靭帯とは関節を支えるために強度を持った軟部組織の事。言葉では「軟部」という名前のくくりに入りますが、イメージは関節がグラグラしないようにプレートのように支えています。そのため、筋肉やその両端に存在する腱のような柔軟性はなく、爆発的な衝撃と剪断力(ものが切られるような力)が働くと強いダメージを受けたりブツリと切れてしまったりします。
左右の足が外向きに湾曲するO脚症状のある方は、内側側副靱帯の依存率が高まってしまい、痛める傾向にもあります。
また、靭帯のサポートを筋肉によって行う事で痛みの軽減が期待できるため、テーピングを活用するといいでしょう。
<内側側副靭帯損傷・断裂の特徴>
① 膝が曲がる場所を内側を押すと痛みを感じる
② 膝の内側に熱感を感じる
③ 階段を降りるときなど体重をかけると膝に動揺性を感じる
原因③|屈伸すると痛みが強くなる「鵞足(筋)炎」
ここにある腱が鵞鳥(がちょう)の足の形に似ていることから「鵞足」と呼ばれています。
これらの筋肉が硬くなったり伸縮の際に滑りが悪いと、腱が骨と擦れあってしまい炎症を起こして痛みを発生します。これが痛みの原因です。
元来はマラソンランナーなどのスポーツ障害に多く見られるもので、一般の方でもランニング初心者などが患う事が多かったです、近年は過度の運動不足によって症状が発生してしまい運動をしていない方でも症状を発症するケースが増えています。
<鵞足炎の特徴>
① 膝のお皿よりやや内(さらに下)に痛みがある
② 実際に痛むところを押すと痛みが増す
③ 押した時に痛みを感じる場所に熱感を感じる
原因④|膝関節に水が溜まりやすい「半月板損傷」
スポーツ選手のみならず閉経後の中年女性や過度な運動を繰り返してしまった成人男性のも見られます。
これは様々な問題があって発生する症状ですが、半月板と言われる関節内にある軟骨組織でできているものが傷ついたり損傷してしまったりする事が原因になる事が多いです。
半月板は半球状になっている骨の関節面のソケット部分の適合を高めるために真ん中がくり抜かれていているものです。本来の正しく無理のない関節運動をすれば多少の傷がついたりすることはあったとしても身体の異常をきたすほどにはなりません。
ただ、股関節や骨盤、足首や背骨など他の部位のアライメント(骨配列)が歪んでいたり、各関節や各筋肉が正しく働いていなかったりと問題をきたした際に、たくさん稼働する膝関節に必要以上で誤った負荷がかかると、限界を超える負担となって半月板が強く傷ついてしまうのです。
<半月板損傷の特徴>
① 体重をかけた際に痛みが発生する
② 膝の裏側にも痛みを感じる事がある
③ 膝が腫れぼったく、触ると水風船のような弾力感がある
各症状の対処は細かく正しく!原因ごとの対処エクササイズ・ストレッチ
膝の内側の痛みでもこんなにたくさんあるんですね。これらをよくするには病院に行かなくてはならないのですか?
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
もちろん症状が強いものだと場合によっては医療機関を受診することをお勧めしますが、運動不足やストレッチ不足を解消するだけでも症状の緩和が期待できますよ!
ここからご紹介するエクササイズがどの症状に効くのかをご紹介してきますね。
エクササイズで関節の状態を向上させたり、筋力をつけて関節をサポートさせましょう。
①膝の安定性を高める“大腿四頭筋エクササイズ”
1) 仰向けに寝ます
2) 右足を伸ばして、左足は膝を立てます
3) 右足の足首を直角に曲げたら、足の付け根からゆっくり持ち上げておろします。
→左右10回、3セット
<当エクササイズをお勧めする症状>
→変形勢膝関節症、半月板損傷、内側側副靱帯損傷
②膝の柔軟性を引き出す“ハムストリングス ストレッチ”
★バスタオルを使います
1) 仰向けに寝ます
2) 左足の膝を立てて右足を伸ばして上にあげたら、足の裏にバスタオルをかけます。
3) 両手でバスタオルの端を片方ずつ持って、脚に対して抵抗をかけたらその抵抗より少し強い力で脚を下にさげていきます。
→左右10回、3セット
<当エクササイズをお勧めする症状>
→変形勢膝関節症、半月板損傷、内側側副靱帯損傷
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③鵞足を伸ばす “鵞足筋ストレッチ”
1) 右足は伸ばして、左足は膝を曲げて床につけます。(準備運動の「伸脚」のような形)
2) 体重をゆっくり左足にかけていき、右足の内腿から裏ももにかけてをストレッチしていきます。
→左右5回、3セット(1度のストレッチをやや持続的に)
<当エクササイズをお勧めする症状>
→鵞足炎
膝の内側の痛みの根本原因を改善するためには
膝の内側の痛みと決別したいあなたへ
しかしながら、あくまで最前線で痛みなどを出している原因の対処にしかならず、生活動作や趣味などでよく行なっているスポーツの動作などが改善されないと、対処を怠った瞬間に再度痛みや症状がぶり返してきてしまいます。
そこで、今お悩みの問題と決別するための根本改善を目指してみましょう。
膝の問題は様々な要因が入り組んでいるため、100%一箇所の問題にはできないのが現実ですが、それでもほとんどのケースで関与している場所があります。それが「骨盤」です。
骨盤をはじめとした腰や股関節などの関節の不具合によって膝関節を取り巻く筋肉や靭帯に多大なる影響をもたらし、そのしわ寄せが症状をもたらしてしまうことも少なくありません。
そこで根本的な改善を目指すべく、骨盤を修正をして稼働率を高めるエクササイズもご紹介したいと思います。
股関節を鍛える“ハーフスクワット”
股関節の動きが満足でないと、歩行の脚の運びも屈伸(しゃがんだり、そこから立ったりまで)運動も膝の依存率が高くなります。
そこで股関節を満足に動かせるようにするスクワット、それも膝の痛みに優しいハーフスクワットというものをご紹介します。
①) 脚を肩幅より10センチ左右に広く立ちます。
②) 脚の付け根、鼠蹊部に手の指が挟まるように股関節を人差し指と親指で外から挟みましょう。
③) お尻を引いて体を「くの字」にし、膝と元の裏が伸び過ぎないところまで来たら、ゆっくり膝を曲げてお尻を落とします。
④) 膝に痛みが出ないように気をつけてお尻を落とせるところまでを限界とし、下がった手順を振り返るように戻って立ち上がります。
→1日5回、3セット
完全にしゃがみ込むものを「フルスクワット」と呼ぶ為、膝を労わりながら慎重におりて行くとこの程度の運動に留まりますが、大事なのは膝より先に股関節を動かす事であり、深く曲げる事は重要ではありません。
無理をせずにゆっくり股関節から曲げてお尻を落として行きましょう。
【プロトレーナー監修】スクワットは下半身を鍛える種目の代表であり、気軽に取り組めます。しかし、スクワットをしていると膝が痛い…という悩みを抱えている人も少なくありません。そんな悩みを持っている方に、スクワットで膝を痛める原因や正しいフォームのコツを解説します!
お尻と内ももをより活躍させる“サイドランジ”
それを実現しているのがお尻と内ももの筋肉です。骨格由来の安定性とそれを実現するお尻と内ももの強化を目指してトレーニングできれば、より理想的な身体の使い方に近づきます。
①) 脚を大きく横に開きます。目安は左右の足先が離れていても共に平行にできるような開き方です。
②) 右の股関節だけを“ハーフスクワット”のようにお尻を引いてから膝を曲げます。準備体操の“伸脚”のような形です。
③) 左の内ももに伸び感を受けながら、右の股関節はしっかり体重を受けて、安定させましょう。この時に膝が必要以上に前へ突き出てしまうと、股関節の働きがなくなりますので、お尻をしっかり突き出してください。
※右が終われば、左も同様にやってみましょう。
→1日5回、3セット
これらの運動は膝の内側の痛みの根っことなる原因を解消する為のエクササイズです。この運動が出来てくると、根本改善が見込めます。
ただ、あくまで膝自体の痛みが弱くなっている、または消えている事が条件の為、上記のタイプ別エクササイズを行なった上で膝の状態が良好な条件でチャレンジしてみてください。
また、以前膝の内側が痛かったけど、今はストレッチなどで解消されたと言う方も、このエクササイズをしてみて、うまく出来ないと再発リスクの可能性もあります。身体チェックのつもりでやってみるのもいいですし、実際にこれをやれば再発リスクはグンと下がります。
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
膝の痛みは千差万別ですが正しく判断をし、正しいケアの仕方、根本改善を目指した生活を繰り返せば怖くありません。ご自身のタイプがどれになるのか、ぜひ一度チェックをしてみてください。
【柔道整復師、鍼灸師の国家資格を持つトレーナーが徹底解説】運動すると膝が痛いとお困りの方に膝痛の原因と解消方法を解説!実は筋力不足や運動不足だけが原因ではなかったのです。関節痛は放置すると関節が変形する恐れもありますので、今すぐ対処しましょう!