筋肉痛が2日後に来たら歳のせい?!メカニズムを解説!

筋肉痛が運動した2日後に起こることがありますが加齢のせいなのでしょうか?一般的に言われていることですが実際にはどうなのか、筋肉痛のメカニズムを解説も交えながら筋肉痛が起こったときの対処法も解説します。

筋肉痛が2日後に来たら歳のせい?筋肉痛とは?

「筋肉痛が2日後に来た」、「年を取ったから筋肉痛が抜けにくくなった」どの声をよく耳にしますが、基本的に年齢と筋肉痛に直接的な関係はありません。歳を取ったから筋肉痛が遅く表れるなどという事は基本的にはあり得ないのです。

筋肉痛には2種類あり、「即発性筋痛」という運動後すぐに起こるものと、「遅発性筋痛」というトレーニング翌日や翌々日に筋肉が痛む2種類があります。

一般的な筋肉痛は後者であり、筋肉痛の起こる原因は「今の筋肉のレベルより高い負荷がかかった」場合です。運動不足の人がいきなり激しい運動をし普段使わない筋肉を使ったり、日常生活ではありえない動作をする際にも筋肉痛が発生します。

筋肉痛にも意味があり、次にこの負荷が対応できるように以前よりも強くなるという「超回復」という過程があるのです。筋肉痛が起こり、超回復しさらに筋肉が強くなるというサイクルが筋肉を成長させてくれるのです。筋肉痛が2日後にくるのはしっかりと体を動かした証拠でもあるのです。

2日後にくる筋肉痛はどっち?筋肉痛と深く関係する速筋と遅筋

筋肉には速筋遅筋と大きく2種類に分ける事ができます。どちらも異なる特徴を持っており、筋肉痛や鍛え方にも差があります。

速筋は大きい力を出す事が得意で主に瞬発系(筋トレや短距離走)の動作を行う時に多く使われる筋肉です。
大きい力を発揮できる代わりにスタミナはありません。長時間の運動には向かない筋肉です。そのため速筋を鍛えるには高負荷・低回数で行うと効果的です。

逆に遅筋は大きい力は出せませんが持久力に優れた筋肉であり、マラソンランナーなど長時間に運動をする人は遅筋をメインに使います。遅筋の場合は速筋の逆で大きい力は出せないため、低負荷・高回数行うと遅筋まで使い切る事ができるでしょう。

速筋の方が大きい力を出せる分傷つきやすく筋肉痛になりやすく、遅筋は持久力が高く傷つきにくいとされており、基本的に筋肉痛が起こるのは速筋と考えてよいでしょう。

運動を行う際はまず最初に速筋が多く使われます。上記で解説した通り速筋は持久力がないため、すぐに疲れ果て遅筋と交代していきます。今までは速筋を鍛える高負荷・低回数で行った場合に筋肥大すると言われていましたが最近の研究では低負荷・高回数でも同じように筋肥大する事がわかっています。

どちらにせよ、トレーニングで筋肉痛が起こるレベルまで使い切り筋肉を成長させるには速筋を使い切ることが重要なのです。

【参考文献】

筋肉痛と超回復の関係性

筋肉痛になるとセットで起こるのが超回復です。
超回復とはトレーニングによって傷ついた筋肉がそのままではなく、修復・回復する過程において以前の負荷では傷つかないように前のレベルより少し強くなって回復すると言われています。

筋肉痛が起こる原因は、傷ついた筋繊維の部分に白血球がその傷ついた部分を取り除く際に痛みが生じると言われています。しかし、実際のところまだ筋肉痛も超回復も正式な理論として確立していないというのが現状です。

ただし、筋肉の成長においてはトレーニングや筋肉痛は影響はあります。トレーニングをしっかり行えば筋肥大は確認できますし筋肉痛にもなります。筋肉痛にならない程の強度でのトレーニングでも筋肥大は確認できます。筋肉痛はしっかり、力を出し切ったかを確認できる合図くらいに思っていた方が良いでしょう。

筋肉痛が長引いてしまう原因

一般的には年齢と筋肉痛が起こるかは関係はないと言われています。

しかし、筋肉痛が中々治らずに長引いてしまうケースもあります。この際にも加齢のせいと思ってしまう方が多いですが、「歳を取った」、「身体を動かすのが久しぶり」などの場合、自分の身体に対する自信が低下している事が多く、身体を動かす際に戸惑いが生まれるケースが殆どです。

この様な身体の状態を確かめながら運動を行う場合、速筋ではなく、遅筋が利用されやすくなります。

遅筋の筋肉痛は時間が経ってから訪れる、そして筋肉痛が抜けにくいという特徴があるので、「歳を取ったから筋肉痛の到来が遅くなった」、「歳を取ったから筋肉痛が抜けない」と勘違いしてしまう方が多いようです。

筋肉の回復のスピードは基本的には加齢とは無関係であると言われています。(正確には関係がある、とは科学的に証明されていない)強い痛みを伴う筋肉痛が1週間以上続いた場合は筋肉痛では無く、怪我の可能性もあるのでその場合は一度病院にいきましょう。

筋肉痛を素早く引き起こす方法|筋トレの取り組み方を改善

筋トレをして筋肉痛が起これば、それは筋肉を限界近くまで追い込めた証拠でしょう。どのくらいの負荷でどのくらいの回数やれば筋肉痛が起きるのかはトレーニングを行い少しずつ調整していく必要があります。

筋肉をしっかりと追い込むためにはトレーニング時の上げる時、下げる時のスピードを意識すると限界近くまで追い込めるようになります。重りを上げる時2秒、下げる時に4秒程かけると筋肉がゆっくり引き延ばされながら力を発揮できるので効率的にトレーニングで追い込む事が可能でしょう。

注意したいのは動きはコントロールできる重さで行う事です。重力に任せて下ろすと関節などに負担がかかり怪我の原因になるためです。下ろしながらもコントロールできる重さで行いましょう。筋肉痛を感じるとトレーニングをやったなという達成感も生まれるため、トレーニングを継続的に行えるようになります。

筋肉痛を素早く引き起こすエキセントリック収縮

筋肉は収縮する事で力を生み出すのが通常です。これはコンセントリック収縮や短縮性運動と呼ばれ、ベンチプレスのバーベルを持ち上げる時の胸筋が良い例です。

反対に、筋肉は引き延ばされる際にも力を生み出す事があります。エキセントリック収縮、もしくは伸張性運動と呼ばれ、ベンチプレスのバーベルを下げる際の胸筋の働きがエキセントリック収縮です。

このエキセントリック収縮は、筋肉を引き伸ばしながら力を生み出す必要がある為、筋肉繊維の損傷がコンセントリック収縮に比べ激しくなります。エキセントリック収縮による筋肉繊維の破壊は大きな筋肉痛を引き起こすでしょう。

意識的に筋肉繊維の破壊力を増加させたい場合にも有効です。例えばベンチプレスで大きなウェイトを意識的にゆっくりと時間を掛けて下ろす事で、胸筋に対するダメージを最大化できるでしょう。筋肉痛が起こりにくい筋トレ上級者向けのテクニックと知恵とも言えるでしょう。

【あわせて読みたい】

加齢による細胞分裂のスピードダウンは筋肉痛を抜けにくくする?

一般的な科学的には年齢と筋肉痛は関係がないと考えられています。しかし、細胞分裂に視点を置いて考えると、加齢は筋肉痛を遅らせていると考える事も可能なようです。

人間の身体は約40億の細胞から成り立っていて、細胞分裂の繰り返しによって身体は出来上がっています。筋肉細胞も例外ではなく、細胞分裂によって筋肉は強化されたり大きくなったりします。

生まれてきてから歳を取るごとに、細胞分裂は鈍化し、細胞分裂により長い時間が掛かる様になります。つまり、加齢は筋肉の回復と強化(超回復)により時間が掛かりやすくなるのです。より長い時間が超回復に必要になると、その副産物である筋肉痛が抜けにくくなると考える事も可能です。まだ確立した理論が出ていないため色々な可能性があるのです。

筋肉痛がひどい時の対処法

筋肉痛に慣れてない人は痛くて歩くのも辛かったり、場合によっては起き上がるのも一苦労だったりします。筋肉痛があまりにもひどい場合の対処法を解説します。

よく寝る

回復に必要なことは何と言っても休息・睡眠です。睡眠時には多くの成長ホルモンが分泌されます。筋肉痛を感じるときは無理やりにでも動くのではなく休みましょう。

成長ホルモンの分泌によって筋肉の合成・回復を促進してくれます。トレーニングを行ってる人でも休みましょう。筋肉はいい状態でトレーニングに臨んだ方が高いパフォーマンスを発揮することができ、質の高いトレーニングを行うことが可能です。しっかり休み、筋肉を成長させてからまたトレーニングに望むのも良いでしょう。

患部を冷やす

患部を冷やしても特に筋肉痛そのものに影響はありません。しかし筋肉痛の部位からの神経伝達より痛みを感じますが患部を冷やすことで痛感神経をマヒさせることで筋肉痛を和らげることが可能です。冷やすのは15~20分程度にしましょう。冷やしすぎは低温火傷など別の症状も引き起こす危険があるためです。

筋膜をほぐす

ストレッチと似ていますがストレッチと筋膜をほぐす行為は別物です。ストレッチを行っても痛みのが和らぐ効果期待できませんが筋膜をほぐす「筋膜リリース」は痛みの軽減には効果的と言われています

筋肉痛の痛みの軽減にストレッチは期待できませんが、運動後に筋膜をほぐすことは効果的です。ストレッチのように損傷している部位を伸ばすのではなく、ほぐすことで血行を促し筋肉の損傷で出てしまった老廃物を流すことで痛みの軽減されると言われています。テニスボールやラクロスボール、筋膜リリース専用のフォームローラーなども良いでしょう。

軽い運動をする

これは多少痛みが引いてきてある程度体を動かすことが可能になってきた時に有効な手段です。「アクティブレスト」と呼ばれ、疲労したからといって横になるのではなく、適度に運動して血液循環を良くし、効果的に疲れから回復させる運動のことです。

横になってじっとしていた方が良い休養になりそうですが、実験で疲労物質を計測してみると、軽い運動をとったほうが短時間で疲労回復していくという結果が出ました。乳酸は疲労物質ではありませんが乳酸値が高い状態は疲労物質が多くあり低い状態では疲労物質も少ないので乳酸の値をみると疲労物質の量がわかります。

筋肉痛がひどい場合はトレーニング等はお休みして回復に当てましょう。

【参考文献】

筋肉痛は悪いことではない

筋肉痛と年齢の関係性は今のところないとされていますが、今後研究が進み理論が覆される可能性は大いにあります。

どういった結論が出ても筋肉痛は悪いことではなく成長する過程で一度パフォーマンスを下げて回復するためのサインなのです。加齢によって筋力、体力が落ち少しの運動で筋肉痛が起きてしまう場合もありますが定期的に運動をして、体力レベルを維持・向上させておくことで意図としていない筋肉痛は避けることができるでしょう。

また、意図的に筋肉痛を起こすくらい追い込む筋トレを行う際は怪我などに十分注意をし行いましょう。筋肉痛にネガティブなイメージは捨て成長する過程としてポジティブ捉えるようにしましょう。

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