筋肉疲労はスポーツやトレーニングといった運動が原因で起こるものですが、実はそれにも様々な種類が存在します。ついつい筋肉痛と混同してしまいがちな筋肉疲労の正体と、なるべく早く筋肉疲労から回復するために必要な知識をまとめました。
筋肉疲労とはどんな症状なの?
そして、この筋肉疲労が引き起こされる原因は、主に2つの説があると言われています。
1つは、体を動かすエネルギー源であるブドウ糖がうまく消費されなかったことで起こる乳酸が筋肉に残ってしまい、血行が悪くなることで疲労を感じるようになってしまうというものです。
そしてもう1つは、傷ついた筋肉が修復される過程で炎症を起こし、その結果発生する痛み物質が筋肉や筋膜を刺激して起こるというものです。
筋肉疲労は本来、早い段階でケアをすることですぐに回復します。しかし、デスクワークや立ちっぱなしなどずっと同じ姿勢を維持することで、筋肉が凝り固まってしまい血流が悪くなるとそうした疲労が回復できず、筋肉疲労が慢性化してしまう場合があるのです。
また、筋肉疲労は人間関係や仕事などの精神的な要素でも引き起こされます。こうした精神的な部分が強い筋肉疲労は、首・肩などストレスの出やすい部分でより顕著に現れます。その結果、肩こりや首のこりといった症状に悩まされるというわけです。
筋肉疲労の回復に役立つ食事
糖質
運動やトレーニングを終えた直後というのは、筋肉に蓄えられたグリコーゲンなどの糖質由来のエネルギー源が枯渇しています。すると、足りないエネルギーを補充するために、体は筋肉を分解してその代わりにしようと働いてしまうのです。
そうした状況を防ぐために、なるべく運動を終えてすぐのタイミングで、糖質を含むお米やパンを食べるようにしましょう。バナナやジュースなどでも構いません。
たんぱく質
体を作る材料として欠かせないたんぱく質は、トレーニングや運動を頻繁に行う人が欠かすことのできない栄養素です。たんぱく質を多く含む食材の代表と言えば、肉や魚、大豆製品などがあげられます。上に紹介した糖質と合わせて、例えばハムサンドイッチやシャケの具が入ったおにぎりなどを取るといいでしょう。
クエン酸
柑橘系、梅干しなど酸っぱいものに含まれるクエン酸は、疲労回復物質して有名です。クエン酸が体に取り込まれるとエネルギーを効率的に生み出せるよう働くので、筋肉痛の原因の1つである乳酸が生じにくくなります。
これ以外には、ビタミンB1、B6、亜鉛などを含む食材がオススメです。
筋肉疲労の回復に役立つマッサージ
筋肉の疲労回復を狙うためのマッサージは、ゆっくりとした動作で行う静的ストレッチがオススメです。そして、ストレッチは胸・背中・太もも(表と裏)・ふくらはぎと全身をほぐしてあげるのがポイントです。
また、全身をマッサージする時は過度に体を伸ばそうとしないように注意しましょう。筋繊維が傷ついている状態で必要以上に筋肉を伸ばそうとすると、かえって筋肉が緊張してこわばってしまうだけでなく、筋繊維がさらに傷ついてしまいます。そうすると、せっかくのマッサージなのに逆効果となってしまうのです。
デスクワークなどで肩・首などの筋肉が凝り固まっている時も、同様に大きく伸ばすストレッチが逆効果になりやすいので注意しましょう。
また、静的ストレッチとは別にオススメなのが「半身浴」です。ややぬるめのお湯に半身だけ浸かり、全身をさするようにソフトなマッサージをします。これによって、じんわりと温まった体温とほぐれた筋肉が血流を大きく促進してくれます。
もし、自宅でリラックス効果を得たいというのであれば、自分でマッサージを行ってみてはどうでしょうか。マッサージのやり方を覚えれば、自宅以外の場所でも気分転換として行うことができます。今回は、自分でできるマッサージのやり方をご紹介します。
筋肉疲労の回復を早める「積極的休息」のススメ
このアクティブレストには、有酸素運動がオススメです。それぞれの運動は次のようなポイントで行います。
ウォーキング
アクティブレストのためのウォーキングが、散歩程度ののんびりとしたゆっくりとしたペースで行います。20分〜1時間程度を目安に、できる範囲で行いましょう。
ジョギング
普段から有酸素運動に慣れている方は、ウォーキングではなくジョギングでも構いません。その時は、会話を楽しめるくらいのゆっくりペースを基本に走りましょう。
スイミング
水泳は有酸素運動の中でも、アクティブレストにとても適した運動です。水の浮力で膝や腰への負担が少ないだけでなく、水圧で全身を刺激することで血流の改善もできます。泳ぐのが苦手な方は、水中ウォーキングでも大丈夫です。
筋肉の疲労回復にかかる時間はどのくらい?
筋肉に疲労物質などが溜まって起こる「筋肉痛」は、基本的に2、3日ほどの期間があれば回復するとされています。しかし、スポーツトレーニングの初心者が高負荷のトレーニングに取り組んだ場合、1週間から10日ほどの長い期間を空けないと筋肉痛が完全に抜けないというケースも少なくありません。
仮に炎症が続いて痛みが引かないような場合、筋肉痛ではなくケガなどの可能性もあるので、整骨院や病院などに行くことも考えた方がいいでしょう。
ちなみに、トレーニングによって起こる筋肉疲労の場合、次のような順序で回復が起こるとされています。
①トレーニングによって消費されたエネルギーの回復
②ホルモンバランスの回復
③傷ついた筋肉の回復
④神経系の回復
主に①〜③までの回復は、トレーニングからおよそ2、3日で起こるとされていますが、神経系の回復にはかなり時間がかかり、トレーニング後の食事や休養を怠ると10日以上かかることもあります。
そうすると、トレーニングによる神経系の疲労が回復しない状態が続いてしまい、パフォーマンスが低下し続けてしまいます。食事と休養のバランスも整えることで、トレーニングの質を維持することができるのです。
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食事や休養をしっかりとれば筋肉疲労の時間を短くする
より効率的に体を鍛えるために、ぜひ筋肉疲労に対する知識を深めておきましょう。
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