筋肉痛と筋肥大のメカニズムは違う!?筋肉を育てるために知っておきたい筋トレ方法

監修者

成田 陽一

NSCA パーソナルトレーナー ストレングス&コンディショニングスペシャリスト NESTA ダイエット&ビューティスペシャリスト

筋トレをすると起こる筋肉痛。翌日に体の節々に痛みを感じると、筋トレがうまくいって筋肉が成長=筋肥大していると思う人も少なくありません。しかし、実は筋肉痛は筋肥大とは違う仕組みで起きているのです。筋肥大と筋肉痛のメカニズムと、筋肥大の為に必要な筋トレの知識を解説します!

筋肉痛はなぜ起こるのか?

運動をしたあとに起こる筋肉痛というのは、体に溜まった「乳酸」によって引き起こされるという話を聞いたことはないでしょうか?

よく知られているこのメカニズム、意外にも実は間違った説なのです。筋肉痛のメカニズムというのは、未だにはっきりとわかっていません。しかし、数ある説の中でも特に有力なのが「筋肉の炎症」という説です。

筋トレなどで筋繊維が損傷し、そこから炎症が生じます。それを修復する為に白血球が集まり体内の掃除を行うのですが、その過程で腫れ・痛みなどを引き起こす物質が発生するのです。

この過程を経て、筋トレ後に遅れて痛みがやってきます。ちなみに、このように運動後に起こる筋肉痛を「遅発性筋肉痛」と呼びます。

筋肥大はなぜ起こるのか?

筋肉の成長とも言える「筋肥大」は、トレーニングによって傷ついた筋繊維が回復する過程で生まれます。その時に大切なのが「超回復」と呼ばれる理論です。

ハードな筋トレを行うと、筋繊維には細かな損傷が生まれます。この損傷は筋トレ後48時間〜72時間ほどの時間をかけてゆっくり回復していくのですが、その過程で分泌される成長ホルモンの影響を受けて、以前よりも太く強く回復していくのです。これを超回復と呼びます。

筋繊維がより強く成長する超回復のサイクルを上手に回すことで、効率的に筋肉を鍛えることができるわけです。

筋肉痛と筋肥大は全くの別物

筋肉痛と筋肥大の仕組みを比べると、この2つはいずれも「筋トレによって筋繊維が傷つく」ことがきっかけで発生します。その為、筋肉痛が起きると筋肥大も同時に起きていると考えてしまう人が多いのです。

しかし、筋肉痛は筋肥大の必須要素ではありません。体の節々に感じる痛みが、筋肉ではなく関節の炎症といった可能性も否定できません。

また、筋トレ上級者はトレーニングそのものに体が慣れている為、ハードな筋トレをしても筋肉痛がない場合も多くあります。

その為、筋肉痛=筋肥大の証拠と考えると過剰な負荷のトレーニングをしてしまい、ケガや慢性的な痛みに発展する場合もあるので注意が必要です。

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効率的な筋肥大は重量、回数、セット数を意識しよう

筋肥大を起こして筋肉を成長させたいという場合は、筋肉痛ではなく筋トレの回数やセット数という基準で考えるといいでしょう。

筋トレで筋肥大をさせるには、自分が扱える最大重量(これを1RMと呼びます)の80%前後の重量を扱うようにしましょう。

もしもベンチプレスの1RMが100kgであれば80kgを扱います。その重量を6〜12回、セット数は3〜6セットを目標に行います。
体調などで扱える重量、回数は変わるかもしれませんが、この重量を目安にトレーニングするようにしてください。

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筋肉痛を軽減するためのコツ

筋トレによる筋肉痛を完全に防ぐのは難しいですが、その症状を軽減し早く治すためのコツがあります。

・筋トレ後に入念なストレッチを行う
・軽めの有酸素運動を行う
・温かいお風呂にゆっくりと浸かる
・たんぱく質やビタミンを豊富に含んだ食事をとる

筋肉痛の軽減に大切なのは、血行の促進と筋肉の回復のために必要な栄養補給です。

筋肉痛を軽減させながら筋肥大を目指そう!

筋肉痛は筋肥大の直接的な要因ではないということがお分かりいただけたかと思います。炎症が長引くとトレーニングそのものができないですし、放っておくとケガの原因にもなりかねません。様々な軽減方法を取り入れつつ、体のケアをしてあげましょう。

そして筋肥大には、何よりもトレーニングの質が重要です。トレーニング日記などをつけて日々の結果をチェックしながら、徐々に負荷をあげていきながら筋肉を刺激し、成長させていってください!

成田 陽一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA パーソナルトレーナー ストレングス&コンディショニングスペシャリスト NESTA ダイエット&ビューティスペシャリスト

筋トレ愛好者は筋肉痛であると効いている感じがしてクセにすることがありますが、すぐにリカバリーすることをお勧めします。

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