筋トレに重要なのは回数ではない?筋トレは負荷を意識しよう

監修者

野島 賢

NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー) ISA-CSTP(日本ストレッチング協会認定ストレッチングトレーナーパートナー) JCCAベーシックインストラクター(日本コアコンディショニング協会) JBBF(ジャパンボディビルフィットネス連盟)公認指導員 日本スタビライゼーション協会スタビライゼーション・アドバンサー 国際救命救急協会 CPR+AED

「腕立て100回できた」「毎日腹筋を100回やっている」と自慢している友人の話を聞くと、その回数の多さにすごいと驚かされることがあります。しかし本当に筋肉を大きくしたいなら、そのトレーニングは実は無駄が多く存在するかもしれません。筋トレは単純な回数だけではなく、負荷のかけ方にも大きな秘密があったのです。

腕立て伏せ100回を毎日しても筋肉は大きくならない!

「腕立て伏せが100回できる」という自慢は、確かにできない人からすればかなりすごいことです。

しかし、ただ毎日腕立て伏せを100回しているだけでは、筋肉は思うように大きくなってはくれません。なぜなら、筋肉を大きくするには回数以外にも様々な「刺激」が必要だからです。

腕立て伏せが100回できるということは、言い換えれば腕立て伏せ100回の刺激に慣れているとも言えます。理想的な肉体に近づきたいのなら、もっと違うアプローチが必要です。

筋トレの効果を決める4つの大切な要素

筋トレで体を鍛える時に、欠かすことのできない4つの大事な要素が存在します。

まず1つ目は先ほどまで話していた「回数」、もう1つはどのくらいの重量で筋トレをするかという「負荷」、そして最後の2つは、その筋トレの「セット数」とそれを行う「頻度」です。

筋トレでは、これら4つの要素をどう掛け合わせるかによって、得られる効果が変わってくるのです。その具体例を次から見ていきましょう。

あなたが目指す効果はどれ?4つの要素で変わる筋トレ効果

筋トレを通じて得られる効果というのは、 大きく次の4つに分けられます。

「筋力UP」「パワーアップ」「筋肥大(筋肉を大きくする)」「筋持久力を高める」です。

「筋持久力」は長時間筋肉をパフォーマンスを落とさずに使い続ける力のことです。長距離のマラソンランナーなどの足腰に必要な力です。これを鍛えるには、”遅筋”と呼ばれる筋肉を鍛える必要があります。

「筋肥大」では文字通り筋肉が太くなっていくのですが、太くなった筋肉のパワーを底上げするにはまた違うトレーニングが必要です。それが「筋力UP」に繋がります。

一昔前は、トレーニングを始めると筋肥大より前に筋力UPが起こる、と考えられていました。持ち上げられる重量は重くなったのにあまり見た目の変化がおきていない、などのことからそう考えられていたのでしょう。

しかし、現在は科学が進歩し筋肉を細かく分析したところ、筋力UPと筋肥大は同時におこっているということがわかりました。

そして「パワーアップ」ですが、これは筋肉だけでなく全身の連動で生まれる力を底上げするといった意味合いと考えてください。ちなみにアスリート選手のトレーニングなどでは、試合に向けて筋肥大→筋力UP→パワーアップという順序でトレーニングをする場合が多いです。

それぞれどのくらいで効果が出るのか気になるところですよね。筋トレの効果が現れるタイミングについては、以下の記事に詳しく解説してあります。ぜひ参考にしてください。

目的別トレーニングの前に知っておきたい「RM」という言葉

では実際に4つの目的では筋トレ内容はどう違うのかをお話しする前に、1つ知っておくと便利な言葉があります。

それが「RM」です。これは日本語では「最大反復回数」という風に呼ばれるのですが、だいたい数字と一緒に「1RM」のように使われます。そしてこれは「最大で1回しか扱えない重量」と言い換えることができるのです。

例えばある人がベンチプレスで60kgを1回しか上げることができないならば、「1RMは60kg」という風に表現できます。人の扱える重量というのは個人差があるので、わかりやすくこの言葉で表現しているというわけです。

4つの効果別筋トレ法

4つの効果を狙った筋トレは、次のように方法が大きく変わります。

まず「筋持久力」を狙う筋トレは、軽めの重量で多くの回数をこなすことが重要です。1RMの60%〜70%の重量を12以上行い、それを3セットほど実施するのが目安です。

「筋肥大」を狙うトレーニングは1RMの80%前後の重量を扱うようにしましょう。回数は6〜12回、それを3〜6セットで実施します。

「パワーアップ」が目的のトレーニングは、1RMの90%程度の重量を扱います。回数は3〜5回で3〜 5セットほどが目安です。

「筋力UP」は、1RMそのままの重量を使います。回数は1〜6回、セット数は2〜6セットほどです。

辛い場合は重量を落としますが、それでも1RMの80%以上は維持しましょう。最後の要素として残っている頻度ですが、これは筋肉痛の取れ具合や各部位のトレーニングとのバランスを考えて、試行錯誤していくことをおすすめします。

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回数だけでは決まらない筋トレの奥深さ

筋トレの効果的な回数を見てみると、今までの常識よりもずっと少ない回数に驚く人もいます。

しかし、いざ重量などを調整してやってみるとかなりハードで、その少ない回数さえこなせない人が多いのです。筋トレをこれから始めるという人は、まず自分の1RMの重量を知り、その上で自分の得体効果を狙ったトレーニングに取り組んでみるといいでしょう。

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