【プロトレーナー解説】 肩関節の安定に重要なインナーマッスルについて機能解剖と作用を日常生活動作やスポーツ動作も併せて説明。そして怪我予防のためのストレッチと鍛え方について解説しています。
肩関節の安定機構について
肩のインナーマッスルについて教えてください。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
それは肩の安定機構について知ることで、インナーマッスルを知ることができます。
肩関節は骨性では非常に不安定な分、関節唇、関節包、靱帯、腱板、上腕二頭筋腱など、骨以外の安定機構が複数備わっています。
確かに画像を見ると肩の骨って複雑で骨だけでは安定性はなさそうですね…。
肩甲上腕関節の運動に関わる代表的な筋群は、三角筋、大胸筋、広背筋、大円筋、回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。
この回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる筋群がインナーマッスルということになります。
上腕骨大結節・小結節に付着する棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋が回旋筋腱板(ローテーターカフ)であり、上腕骨を関節窩で安定させる役割を担っています。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
次項からは、肩のインナーマッスルである回旋筋腱板(ローテーターカフ)の筋群の機能解剖と作用について詳しくいみていきましょう。
肩のインナーマッスル:機能解剖と作用について
この筋群は、上腕骨頭を関節窩の適切な位置に維持するのに重要な役割を担っています。
棘上筋
停止:上腕骨の大結節上部、肩関節包
支配神経:肩甲上神経(C5-6)
主な働き:肩関節の外転(三角筋の協力筋)、上腕骨を関節窩に引き寄せて肩関節を安定させる。
特徴:肩関節の下方への脱臼を防止する。回旋筋腱板(ローテーターカフ)の中で最も損傷を受けやすい。
日常生活動作:体の横で荷物を持つ
スポーツ動作:球技でボールを投げる。野球でバットを振る。ゴルフクラブを振る。
棘下筋
停止:上腕骨の大結節後中部、肩関節包
支配神経:肩甲上神経(C5-6)
主な働き:上部:肩関節の外転、外旋 下部:肩関節の内転、外旋
特徴:上腕を外旋させるときの主力筋。回旋筋腱板(ローテーターカフ)の中で棘上筋の次に損傷しやすい。
日常生活動作:髪をかき上げる。髪を後ろにブラッシングする。
スポーツ動作:テニス・バドミントン卓球などのバックハンド動作。
小円筋
停止:上腕骨の大結節下部、肩関節包
支配神経:腋窩神経(C5-6)
主な働き:肩関節の伸展、内転、外旋
特徴:上腕を外旋させるときの主力筋。
日常生活動作:髪をかき上げる。髪を後ろにブラッシングする。
スポーツ動作:テニス・バドミントン卓球などのバックハンド動作。
肩甲下筋
停止:上腕骨の小結節、肩関節包
支配神経:肩甲下神経(C5-7)
主な働き:肩関節の内転、内旋
特徴:広背筋、大円筋とともに肩関節の内旋に働く筋。
日常生活動作:後ろポケットに手を伸ばす。自分の腰をさする。
スポーツ動作:陸上のリレーでバトンを受け取る動作。クロスカントリーで腕を後ろに引く動作。
これらの筋肉は、三角筋や大胸筋などと比べ大きくないために、十分な筋力のみならず、スポーツ時の反復性のオーバーヘッド動作(野球の投球動作や水泳など)において適切な機能を維持できるだけの筋持久力も必要となってきます。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
次項からは、肩のインナーマッスルの鍛え方とストレッチ方法について説明していきます。
肩のインナーマッスル:鍛え方とストレッチ方法
肩のインナーマッスルのストレッチや鍛え方について教えてください。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
肩のインナーマッスルである回旋筋腱板(ローテーターカフ)の肩関節運動への関与を以下にまとめています。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の肩関節への機能
肩関節の外旋:棘上筋、小円筋、棘下筋
肩関節の外転:棘上筋
肩関節の水平外転:棘下筋
肩関節の水平内転:肩甲下筋
肩関節の内旋:肩甲下筋
肩関節の安定:棘上筋、小円筋、棘下筋、肩甲下筋
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
肩の安定性を保つ機能とともに、上腕骨を回旋(内旋・外旋)させる機能が主な役割といえます。それを踏まえたうえでストレッチや筋トレを行うとより効果的です。
肩関節のストレッチ
・棘上筋・小円筋・棘下筋
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
息を止めずに、15~20秒間ゆっくりとおこなってください。インナーマッスルは小さい筋肉であるため、大きな力を加えないように注意してください。
トレーニング方法
チューブを使う方法とダンベルを使う方法の二種類を紹介します。
・チューブを使った筋トレ方法
チューブの負荷は軽いものを使用して、10~30回で回数は徐々に増やしていくようにします。左右2~3セット行います。
1.肩の内旋(肩甲下筋)
2.肩の外旋(棘上筋、小円筋、棘下筋)
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ダンベルを使った筋トレ方法
1.肩関節外転位での肩の内外旋
仰向けになり、鍛える側の腕を床に沿って肩の位置まで上げる(肩関節外転位)。ダンベルを持ち肘を90°曲げ、重力に抗しながらゆっくりと足側へと降ろしていく。このときダンベルを床まで降ろさないことがポイント。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
肩のインナーマッスルは小さい筋肉ですが、重要な役割をしています。軽負荷高頻度で行うようにして、筋力・筋持久力をつけて、怪我の予防をしていきましょう。
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