ヨガの頭立ちのポーズのやり方のコツ、効果とは?【ヨガインストラクター解説】

監修者

平田知子

全米ヨガアライアンス(RYT200)/イシュタヨガ認定インストラクター/BESJ認定ピラティスマットワークインストラクター取得/現在イシュタヨガ認定インストラクター取得中。

頭立ちのポーズ(ヘッドスタンド)。
ヨガを始めた方がやってみたい、憧れのポーズの一つなのではないでしょうか?
実は『頭立ち』という名前なのに、7割ほど上肢で支えているのはご存じですか?
ここではポーズの効果や、できない方のための練習法、ポーズのコツなどをお伝えします!

頭立ちのポーズ(ヘッドスタンド)の基本的なやり方

まずは、頭立ちのポーズ(ヘッドスタンド)の基本的なやり方です!

①四つん這いから、肩の真下に肘を置く。
 股関節(太ももの付け根)の真下に膝、爪先は立てる。

②両手をお祈りするみたいに組み、腕の間に頭頂を置き、手の平は後頭部に添える。
③ゆっくりとお尻を持ち上げる。
 拳から肘でしっかりと床を押し、背中をまっすぐに保ちながら脚を頭の方へ歩かせる。
 お尻が肩の真上に来る。
④両脚をゆっくり浮かせる(片脚ずつでも)。
 内ももはしっかりと引き締めておく。
⑤股関節(太ももの付け根)を伸ばす。(逆さまで膝立ちするように)
 肋骨とお腹を引き締めて、腰が反らないように。

⑥内ももは引き締めたまま両膝を伸ばす。
 足首はフレックス(かかと90度)かハイヒールを履いてるような形で拇指球を押し出し、天井を蹴るようにしてバランスをとる。
 安定したところが見つかると、余計な力は抜けます。

⑦片脚ずつゆっくり降りる。

⑧チャイルドポーズ(レストポーズ)で休む。

頭立ちのポーズ(ヘッドスタンド)を練習する前に!

このポーズをやってはいけない方

・月経中の方
・妊娠中の方
・緑内障、眼圧の高い方など、目の圧迫感を感じる方
・肩や首に痛みや違和感を感じる方
・高血圧症、低血圧症の方
・心臓疾患のある方
・骨粗鬆症の方
・逆流性食道炎の方

ヨガ初心者の方への注意事項

そして以下の方には、家で一人で練習するのは、おすすめしません。

・体幹が弱いとか強いとか以前に、体幹の感覚が全くつかめていない。
・背すじを伸ばしてるつもりなのに伸ばせてないと言われる。そして言われても自力でそれ以上伸ばせない。…etc.

初心者の方が頭立ちのポーズだけをただ練習するというのは、例えるなら、RPGのゲームでレベル上げもせず装備も整えず、ただラスボスに挑み続けるようなものです(笑)

現実では怪我に繋がるため危険です。
なので、先ずはレベル上げをしましょう!
ここで言うレベル上げとは、日常的にヨガを続けることです。

決して、ヨガのポーズを完璧にとれるようになるということではありません!
ヨガを続けることで、身体の硬いところは軟らかくし、筋力の弱いところは鍛える。
そして、しっかりと内観できるように感覚を鍛えるということです。

ヨガを続ける過程で、
「今、自分の身体のどこが力んでいるのか?」
「あっお腹が抜けた。」
「なんか右に重心が傾くな。」等、
自分の身体をしっかりと内観出来るようになります。
筋力を使いながらも呼吸ができ、呼吸ができるからコアも安定してきます。

また、インストラクターのようにポーズの完成形をとれている必要もないです。
ヨガブロックやベルト、ブランケットなども使いながらでいいので、
目的の筋肉を伸ばせているか?
目的の筋肉を使えているか?

に重きを置いて、クラスを受けたり、おうちでヨガを続けてみてください!

まずは体を動かして温めてから!

そして、頭立ちのポーズは、ヨガのポーズの中でも強度の高いものです。
体幹の強さと上肢の強さがかなり必要とされます。
そのため、一般の方がこのポーズにチャレンジする場合は、体を動かして温めてから行うことをおすすめします!

後程ご紹介します練習方法の他にも、猫のポーズ(キャット&カウ)、太陽礼拝など背骨を動かし、腹筋と背筋のバランスを整え、体幹を鍛えてから行いましょう。

頭立ちのポーズ(ヘッドスタンド)の効果

続いて、頭立ちのポーズの効果をお伝えしていきます!

身体的効果

・血行が良くなる
・内臓の動きを活性化
・頭がスッキリ
・顔のむくみの解消
・体幹と上肢(肩、腕回り)の筋力アップ

逆さまになり重力から解放されることにより、血行が良くなります。
また、同じ理由から内臓の血流がよくなり、動きが活性化されます。それによってお通じの改善にも効果的です。
顔の血流がよくなることで、お顔のむくみの解消にも繋がります。
そして体幹、上肢(肩、腕回り)も強化されます。
ですが、頭立ちのポーズで直接鍛えられると言うよりは、日々の努力の積み重ねで体幹や上肢が鍛えられたからこそこのポーズができるようになる。
それまでの集大成、という感じですね。

精神的効果

・集中力が鍛えられる
・恐怖に打ち勝つ
・いつもと違う視点から物事がみられるようになる。(固定概念を打ち破る)

現代は情報に溢れ、私たちは日々、忙しく思考を巡らせています。
1つの事をやりながらも、頭では先々の予定の事まで考えています。
バランスのポーズというのは全て、集中力を必要とされます。その間余計なことを考えている余裕はありません。
ポーズ中は余計な思考をストップするため、脳を休めることにも繋がります。
また、逆さまになることに恐怖心を覚える方も少なくありません。その恐怖に打ち勝つことで自信にも繋がります。
また、いつもと同じ景色を違う角度から見ることで、いつもと違う発想が生まれるかもしれません。
まさに逆転の発想です!(笑)

平田知子監修トレーナーからのアドバイス

全米ヨガアライアンス(RYT200)/イシュタヨガ認定インストラクター/BESJ認定ピラティスマットワークインストラクター取得/現在イシュタヨガ認定インストラクター取得中。

それでは練習方法をいくつかご紹介しますね!

練習方法①体幹を鍛える

ナーバーサナ(舟のポーズ)

座った状態でのバランスポーズです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

プランク(バリエーション)

頭立ちでもこの感覚を忘れずに!

①四つん這いから、肩の真下に肘を置く(肩幅になる)。
 股関節(太ももの付け根)の真下に膝、爪先は立てる。

②両手はお祈りのような形に組み、手の平同士はぴったりとつける。

③吐きながら肋骨とお腹は引き締める。
 片脚ずつ後ろに伸ばす。
④ゆっくり5呼吸キープ。

ポーズのコツ

◯肩腕
 肘と拳で床を真下に押し、体を支える。
 脇を締め、肩幅を保つ。
 肩甲骨をニュートラルに保つ。肩甲骨の間がへこみ、肩甲骨がボコッと浮き出ていたら押す力が弱い。

◯脚
 拇指球にしっかり乗り、かかとで後ろの壁を蹴るように押し出す。
 前ももは引き締め、膝を伸ばす。  
 下っ腹を引き締め、股関節をまっすぐ伸ばし、身体を床と平行にする。

◯体幹
 肋骨とお腹を引き締め、
 猫背にならないように胸は横に開く。
 頭は背骨の延長。

練習方法②上肢(肩、腕回り)を鍛える

逆さまになる、ということは、腕と頭で全体重を支えます。
そして頭立ちと言いつつ、上肢で七割支えているのです!

ドルフィンポーズ

①四つん這いから、肩の真下に肘を置く(肩幅になる)。
 股関節(太ももの付け根)の真下に膝、爪先は立てる。

②両手はお祈りのような形に組み、手の平同士はぴったりとつける。

③吐きながら肋骨とお腹は引き締め、お尻を持ち上げる。
 肘から上はダウンドッグと同じ。
 ゆっくりな呼吸で5呼吸キープ。

ポーズのコツ

◯肩腕
 ※プランクと同じ。

◯脚
 もも裏が硬い方は、膝が曲がってもいいので骨盤をニュートラルにし、股関節から折り曲げる。
 かかとも無理に着かなくて良いが、意識としては床に近づけていく。 

◯体幹
 ※プランクと同じ。
 肘から座骨に向けて伸びる。

壁を使ってver1

①壁に向かって長座で座る。足裏をしっかりと壁につけて、膝は伸ばせる限り伸ばす。
 (今回は壁までの長さを測りたいだけなので、細かいアライメントは気にしなくてよい)
②大転子(太ももと骨盤のジョイント部分)に目印を置く。
③お尻を壁に向けて四つん這いになる。
 肩の下に肘、股関節の真下に膝、爪先は立てる。
 両手はお祈りのような形に組み、手の平同士はぴったりとつける。

④吐きながら
 肋骨とお腹を引き締め、お尻を持ち上げてドルフィンポーズ。
 そのまま壁を歩いて上っていき、股関節が直角なところでキープ。
 (感覚的には壁が近いように感じる)
 頭は床から浮いている。

ポーズのコツ

◯肩腕
 ※プランクと同じ。

◯脚
 膝は伸ばせる限り伸ばし、足裏で力強く壁を押し続ける。

◯体幹
 ※プランクと同じ。
 本当に反りやすいです!
 普段から肋骨が開きやすい人、体幹が弱い人は、感覚的に猫背じゃないかと感じるくらいお腹を引き込んで丁度いいです。
 あごは引き、目線はまっすぐ壁へ。

練習方法③空中で脚を伸ばす感覚をつかもう!

壁を使ってver2

①壁に向かって長座で座る。足裏をしっかりと壁につけて、膝は伸ばせる限り伸ばす。
 (今回は壁までの長さを測りたいだけなので、細かいアライメントは気にしなくてよい)

②大転子(太ももと骨盤のジョイント部分)に目印を置く。

③お尻を壁に向けて四つん這いになる。
 肩の下に肘、股関節の真下に膝、爪先は立てる。
 両手はお祈りをするように組み、腕の間に頭頂を置き、手の平は後頭部に添える。

④吐きながら肋骨とお腹を引き締め、お尻を持ち上げてドルフィンポーズ。
 そのまま壁を歩いて上っていく。股関節が直角になるところまで。
 (感覚的には壁が近いように感じる)

⑤片脚ずつ天井方向に持ち上げ、足裏でまっすぐ蹴る。
 その脚を壁に戻したら、反対の脚を持ち上げる。
 3セット繰り返す。

ポーズのコツ

◯肩腕
 ※プランクと同じ。

◯脚
 (壁の脚)膝は伸ばせる限り伸ばし、足裏で力強く壁を押し続ける。
 (上の脚)天井を蹴るように、空中で脚を伸ばす感覚をつかむ。
 それぞれの意識を同時に。

◯体幹
 ※プランクと同じ。
 あごを引き、目線はまっすぐ壁へ。

練習方法④片脚ずつ浮かせてみよう!

①四つん這いから、肩の下に肘を置く。
 股関節の下に膝、爪先は立てる。

②両手をお祈りするみたいに組み、腕の間に頭頂を置き、手の平は後頭部に添える。

③爪先で床を蹴り、お尻を持ち上げる。
 拳から肘でしっかりと床を押し、背中をまっすぐに保ちながら脚を頭の方へ歩かせる。
 お尻が肩の真上に来る。
④片脚ずつ交互に浮かせる。
 内ももはしっかりと引き締めておく。
 どんどん脚にかかる体重を減らしていく。

最後に

平田知子監修トレーナーからのアドバイス

全米ヨガアライアンス(RYT200)/イシュタヨガ認定インストラクター/BESJ認定ピラティスマットワークインストラクター取得/現在イシュタヨガ認定インストラクター取得中。

ヨガの言葉でアヴィヤーサ(修練)とヴァイラーギャ(離欲)と言う言葉があります。

今、自分ができる最善を尽くす。
努力を続け、チャレンジもする。
でも結果に執着はしない、と言う意味です。

頑張ったからといって、必ずしも自分の思うような結果が出るとは限りません。
が、それが今の自分、と受け入れます。
もし、頭立ちのポーズがいつまでたってもできない、安定しないと言うときは、一度その練習から離れてみてください。
基本に立ち返り、最初にお話ししたように日常のヨガの練習を続けてみてください。
今、自分にできる最善を続けてみてください。

平田知子監修トレーナーからのアドバイス

全米ヨガアライアンス(RYT200)/イシュタヨガ認定インストラクター/BESJ認定ピラティスマットワークインストラクター取得/現在イシュタヨガ認定インストラクター取得中。

いつかまたチャレンジしてみたときに、嘘みたいに安定するかもしれませんよ。