ダンベルデッドリフトのフォームと効果!重さの目安、スクワットとの効果の違い

監修者

木暮 淳一

NSCA-CSCS

ダンベルデッドリフトやっていますか?
バーベルデッドリフトの弱点強化の目的のためや、バーベルにはできない工夫がダンベルデッドリフトにはできます。
主に初心者の方向けにダンベルデッドリフトのフォームや効果を紹介します。

ダンベルデッドリフトとは?ダンベルデッドリフトのメリット4つ

「デッドリフト」というトレーニングを、バーベルでやっている方は多いと思いますがダンベルでやっている方は少ないのではないかと思います。

しかしダンベルで行うデッドリフトにもバーベルにはないメリットがあります。
主に筋トレ初心者の方向けにダンベルデッドリフトのメリットや、フォームの紹介をしたいと思います。

ダンベルデッドリフトとは?

最近バーベルデッドリフトの記録が伸びなくなってきてしまいました。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

何かしっくりこないことがありますか?

最近腰の疲れが取れにくくなってきました。それとバーベルを下ろす時に、床のバウンドを使わないと重量が上がらなくなってきたので、心なしか筋肉痛もあまり来なくなってきたように感じます。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

もし1週間のうちに数日デッドリフトを行っていたら、腰や疲労を取る為の休みの週のようなものを4週間に1回程度、プログラムに組み入れてもいいかもしれませんね。またダンベルを使用したデッドリフトにメニューを変更するという方法もあります。

ダンベルデッドリフトで鍛えられる筋肉はバーベルデッドリフトと基本的に一緒になります。
しかしダンベルデッドリフトには、バーベルデッドリフトにはないメリットがいくつかあります。

メリット①可動域を広く取れる

バーベルよりもより深く下ろすことが出来ます。
そのため、重りが地面についた状態からの引っ張る動作や姿勢の弱点を克服する練習にもなります。
また深く下ろすことでよりハムストリングスや臀部をストレッチできるため、柔軟性を向上しやすくなります。

バーベルデッドリフトの際に、床のバウンドに頼ってしまっている方は補助種目やウォームアップセットに組み入れて、動作を丁寧に意識することで、効果を感じられると思います。

メリット②腰の負担を減らしやすい

体の横にダンベルを持つという工夫が出来ますので、重りと腰の距離を近づけることが出来るため、腰の負担を減らすことが出来ます。

メリット③片足でのトレーニングをやりやすい

片足のデッドリフト(シングルレッグデッドリフト)では、ダンベルを持っていないほうの手でバランスを取ることが出来るため、鍛えている筋肉に意識を向けやすくなります。

メリット④ジムで行いやすい

バーベルが置いていないジムがありますが、ダンベルは大体どのようなジムでも置いてあります。
またバーベルよりもスペースを取らないため、まだちょっと勇気の出ない初心者の方もやりやすいと思います。
このように細かい工夫を出来る点がダンベルデッドリフトの良い点になります。

ダンベルデッドリフトの効果3つ!

デッドリフトも下半身のトレーニングですが、スクワットを他の日にやっていたらデッドリフトを行う必要はないですか?

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

デッドリフトも下半身のトレーニングですが、メインとなる筋肉や動作の意識が違います。個人個人の身体の弱い部分や強くしたい部分によってプログラムに組み込んでいく必要があります。

ダンベルデッドリフトの効果をスクワットと比べてみていきたいと思います。
※スクワットは「ハイバーフルスクワット」、ダンベルデッドリフトとバーベルデッドリフトは床から引き始める「ナロースタンス」や「コンベンショナル」と言われるタイプのもので説明をしています。

①鍛えられる筋肉

◯スクワット
 下半身全体ーメインは大腿四頭筋
◯デッドリフト
 下半身全体ーメインは大殿筋などの殿筋群&ハムストリングス
 上半身ー広背筋・僧帽筋などの背中

②動作の意識

スクワット・・・全身で「押す」
デッドリフト・・・全身で「引く」

③体幹への負荷のかかり方

◯スクワット
 上下(上から下へ背骨を押しつぶすような負荷)
◯デッドリフト
 前後(前方に背骨が引っ張られる負荷)

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

このように、同じ下半身メインのトレーニングでも違いが多くあります。
ボディメイク目的の女性がデッドリフトを行っていることが増えてきた理由の一つに、①の殿筋群を鍛えて綺麗なヒップを作るという効果を狙っている、ということが挙げられます。
またベストボディ等の大会に出るために上半身メインのトレーニングプログラムを組む方は、②③の引く動作を意識することで広背筋などの背中を鍛えるためにデッドリフトを行う、という方もいます。
デッドリフトもスクワットも身体も神経も疲労度はMAXになりますので、栄養や体の気合をより高めてトレーニングをするという点は一緒にはなりますね。

ダンベルデッドリフトの種類とフォーム解説!

ダンベルデッドリフトには色々な種類があります。
その中でも初心者の方におススメなダンベルデッドリフトを解説したいと思います。

①スーツケースデッドリフト(ダブルorシングル)

※動画はバーベルバージョンです
腰への優しさNo.1!若干、大腿四頭筋への負荷の割合が大きくなる種目です。

・スタートポジション・・・ダンベルを地面に置いた状態
・ダンベルを体の横に置く
・動作はダンベルデッドリフトと同じ

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

スーツケースを持つように、ダンベルを体の横に置く点がダンベルデッドリフトと異なる点です。
腰とダンベルの距離を近くすることが出来るため、バーベルやダンベルデッドリフトよりも腰に優しくデッドリフトできます。
「ダブル」は両手でダンベルを持つということです。「シングル」ではどちらか片方の手にのみダンベルを持ち、回数をこなします。
「シングル」では高重量を扱えませんが、体幹に対する横方向への負荷がとても強くなります。
また下肢や広背筋などの背筋群も片側に負荷が集中しますので、ウォームアップセットに組み入れて苦手な側の力を出しやすくしたり筋肉を意識しやすくするという利用方法もできます。

②ダンベルルーマニアンデッドリフト

背面への刺激No.1!柔軟性も向上しやすい種目です。

・スタートポジション・・・立った状態
・膝を5~15度程度曲げた状態で固定する
・股関節を折り曲げてハムストリングスと臀部をストレッチ→起き上がりながらお尻にえくぼを作るように力を入れる

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

股関節の動きが主になるのが動作のポイントです。
股関節を折り曲げて身体をなるべく深く倒しますが、背面の硬さには個人差がありますので、ハムストリングスが最大限に所まで股関節を折り曲げていきましょう。
毎回限界まで伸ばすことを意識することで柔軟性が向上し、バーベルでのデッドリフト時にスタートポジションが取りやすくなる効果もあります。

③シングルレッグデッドリフト

弱い側の強化におすすめの種目です。

・片足でデッドリフトを行います。(写真は片足でのルーマニアンデッドリフトです)

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

デッドリフトで弱い側の足を鍛えたり、バランスを取る為の力も鍛えられます。
不安定になる分、腰を痛めやすいというデメリットがありますので、動作はゆっくりと・腹圧を強く意識して行いましょう。

ダンベルデッドリフトのデメリット・注意点

ダンベルデッドリフトで柔軟性や弱い部分を鍛えることで、腰の負担を減らすことが出来そうです。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

バーベルデッドリフトを強くするための一つの解決法としてぜひ試してみてください。
ただ、怪我をするリスクはありますので、以下の点に気を付けてダンベルデッドリフトを行ってみてください。

①腰を怪我しないために

ダンベルデッドリフトはスタートポジションがより低い位置になります。

そのため、スタート時に腰が丸まりやすくなってしまったり、足の力ではなく腰でダンベルを引っ張ってしまったりすることがあり、腰の怪我を引き起こすことがあります。

まずは適切なスタートポジションを作れるように股関節周りの柔軟性を高めてからダンベルデッドリフトを行いましょう。

具体的には、ダンベルルーマニアンデッドリフトを数か月行ってハムストリングスの柔軟性が高まってから・ゴブレットスクワットで深くしゃがんでも腰が丸まらないようになってから、といったところが私なりの基準です。

②握力を鍛えにくい

バーベルに比べると重量が落ちてしまいます。
そのため握力を強くするということには限界があります。
なるべく素手でダンベルを握ってトレーニングを行い、セット後半にどうしても握力が辛くなってきたときにリストストラップやパワーグリップなどの道具に頼るようにしてみてください。

③腹圧をお忘れずに

全てのトレーニングに共通していますが、腹圧を抜いた状態でダンベルデッドリフトを行うと腰の怪我のリスクはとても高くなります。
腹圧を高めて体幹を安定させてから動作を開始しましょう。
理想は胴回りを360度どこからさわっても硬くなっているくらいの腹圧の強さです。

④補助種目として行いましょう

ダンベルデッドリフトはバーベルデッドリフトよりも重量がどうしても下がってしまうため、筋力を鍛えることが難しい種目です。
スクワット→ダンベルデッドリフト
バーベルデッドリフト→ダンベルデッドリフト
のように、よっぽどマンネリ化や、動きの練習をする期間以外は補助種目として行いましょう。

ダンベルデッドリフトはバーベルデッドリフトやスクワットにはない良い効果があります。
しかし適切な姿勢や動作の意識が出来ないと効果が現れないばかりか、怪我のリスクがとても大きくなるチャレンジングなトレーニングであります。
フォームに自信のない方はダンベルデッドリフトを行ったことがあるトレーナーさんにまずはフォームを見てもらうことをおすすめします。
また疲労も強く残る種目ですので栄養も増やすことをお忘れずに。
デッドリフトを適切なフォームでやる方はかっこよく、周りから一目置かれますのでこの機会にぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。