腹筋を鍛えるには腹式呼吸が大事!呼吸法を用いたトレーニング方法を解説!

監修者

納多 剛

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

【プロトレーナー解説】腹筋には大きくわけてアウターマッスル(腹直筋・腹斜筋)とインナーマッスル(腹横筋)があります。
呼吸とかかわる筋肉は主に後者のインナーマッスル(腹横筋)です。腹筋を鍛える時の呼吸方法や効果的なトレーニングの方法をご紹介します!

腹筋を鍛える事と腹式呼吸の関係について!

呼吸について詳しく学ぼう!呼吸の種類|胸式呼吸と腹式呼吸

呼吸には胸式呼吸腹式呼吸の2種類があります。

肋骨を広げ胸から首までの筋肉を使う胸式呼吸は胸郭を広げたりしぼめたりするのが特徴で、ほとんどお腹の筋肉は使いません

一方、横隔膜を使って空気を取り込む腹式呼吸は下位肋骨を下に引き込み腹腔内圧を高める作用のある腹筋のインナーマッスル・腹横筋と連携しているのが特徴です。

腹筋の構造について学ぼう!

腹筋にインナーマッスルとアウターマッスルがあるのですね?

納多 剛監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

腹筋といえば皆さんがよく知っているシックスパックをイメージすると思いますが、実は腹筋は他にもあるのです!

腹筋の構造は最表面から順に腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋となっています。
最内層面にある腹横筋の起始は、肋骨、骨盤、背中側の筋膜から始まり、停止は剣状突起、白線、恥骨に付着しています。
腹横筋の筋繊維は横方向に走行していますので、お腹全体をベルトで占めるような役割をしています。

その他にも腹横筋の作用は腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋らと共に、内臓の位置を安定したり、排便も助けています
また腰のくびれを作る筋肉でもあり、ポッコリお腹をひっこめる意味においても重要な役割をはたしています。
腹式呼吸は横隔膜を下げるため息を吐いた時にお腹が背中側に引っ込みます。そして息を吸いこむ時にお腹が膨らみます。

インナーマッスル(腹横筋)を鍛えるには呼吸が重要!

インナーマッスルとアウターマッスルの違いってあるのでしょうか?

納多 剛監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

そうなんです!大きなちがいがあるのです!

インナーマッスルである腹横筋は筋繊維が横方向なので上半身を起こさなくても腹筋が鍛えられるのが特徴です。
腹式呼吸は腹筋のインナーマッスル・腹横筋と連携している呼吸法であり、インナーマッスル・腹横筋を鍛えるのに必要です。
今回ご紹介する腹式呼吸では仰向けに寝た状態で行える体幹トレーニングです。

その反対にアウターマッスルである腹直筋・(腹斜筋)は上半身を起こさなくては腹筋を鍛える事ができません。

筋肉の起始・停止と走行について

まずはじめに筋肉の起始・停止と走行についての特徴をご説明します。

納多 剛監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

少し難しいので、わからなければ飛ばして大丈夫です。

腹直筋の起始は、 第5~第7肋軟骨、剣状突起、肋剣靭帯で停止が 恥骨の恥骨稜、恥骨結合です。
大まかに胸郭全壁を引き下げたり骨盤の前部を引き上げたりします。腹直筋の筋繊維は縦方向に走行します。

2つある腹斜筋のうち外腹斜筋は、内腹斜筋の外側に位置しており腹壁を作る筋として作用しています。
外腹斜筋の起始は第5~第12肋骨の外面。停止は腸骨稜の外唇の前半、鼠径靭帯、腹直筋鞘前葉らに付着しています。

外腹斜筋は肋骨部から骨盤部へと斜め下方向に走行していて体幹を前屈・側屈・回旋させる作用がありますので、
腰のくびれを作ったり、お腹を引き締める効果があります。

次に内腹斜筋ですが、外腹斜筋の内側に位置していて、腹壁を作る役割をしています。
内腹斜筋の起始は鼠径靭帯、腸骨稜中間線、胸腰筋膜深葉らで、
停止は第10~第12肋骨の下縁、腹直筋鞘に付着しています。

内腹斜筋は体幹を屈曲・側屈・体幹を同側に回旋させる作用がありますので、
外腹斜筋同様腰のくびれを作ったり、お腹を引き締める効果があります。
内腹斜筋の筋繊維の走行は、外腹斜筋と反対になっています。
このため、腹筋運動をする際の、内腹斜筋は、反対側の外腹斜筋と共に働きます。

腹式呼吸による腹筋トレーニング基礎編!

腹式呼吸をやってみよう!

日常生活で無意識にしている呼吸。その呼吸を意識しながら腹筋を鍛える事は少し慣れるまで時間をようするかもしれません。
しかし何事においても意識することはとても重要なことです。腹式呼吸は息を吐いた時にお腹が引っ込み、吸ったら膨らむという呼吸方法です。

さっそくチャレンジしてみましょう。

腹式呼吸の姿勢は仰向けで!

腹式呼吸をおこなう時の姿勢は床に仰向けになります。最初は両膝を立ててからはじめてください。

姿勢の他に注意点はありますか?

納多 剛監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

はい。呼吸が正しくできているかどうか?のチェックですね。

そのポイントとは?
両手はバストの下の肋骨におきます。肋骨の上に置くことによって息を吸ったときにお腹が膨らんでいるか、
また横隔膜がしっかり動いているかをチェックするためです。
その時、肋骨が膨らまないように意識することが重要です。
もし肋骨が膨らんでいるとすれば、胸式呼吸になっいる可能性があります。

腹式呼吸の実践

まずは肋骨に両手おいた状態から片方の手のひらを口びるに近づけて息をスウーと10秒かけてゆっくり吐いていきます。
もう限界という感じまできたらもう一息吐き切ってください。この時に意外と肺の中の空気が残っていることに気付きます。
腹筋がしっかり縮んで限界まで吐き切ったら5秒かけて鼻から吸いながらお腹に空気を入れていきます。

お腹が大きく膨らんだら、溜まった空気をまたゆっくり限界まで吐き切ってください。
手のひらを口びる近くに当てるのは息を吐く感覚がつかめたら止めて、肋骨の上に戻してください。

腹式呼吸の回数は20回から30回を1セット。一日3セットを目安にして実践します。慣れてきたら日常いつでも習慣にできるようになります。

もっと効果がある腹式呼吸トレーニング

これまでの腹式呼吸は基本ですが十分効果があります。
ただもっと工夫することで効果がアップする腹式呼吸をご紹介します。

基本的な事は同じなのですが、2つのポイントを意識するだけで大きな効果がえられます。
一つ目は息を最大限に吐き切る前(7秒経過したあたり)から肛門を閉めていきます。
肛門の周辺は骨盤底筋といって膀胱や子宮、腸などを支えている筋肉で横隔膜と連動して動いています。
息を吐いている時は横隔膜と骨盤底筋は連動して上に動き内臓下垂を防いだり体幹を安定する役割をします。

2つ目は両手を肋骨からおへその上、おへその真上、おへその下、おへその右横、おへその左横と順番に移動してます。
両手をおいた所を意識しながら腹式呼吸をすることでまんべんなく腹横筋が鍛えられます。

腹式呼吸による腹筋トレーニング応用編!

腹式呼吸による腹筋トレーニングを応用してみよう!

腹式呼吸の基礎編では姿勢が仰向けで膝を立てた状態から始めるようにと説明しました。
応用編では膝はたてずに伸ばした状態で腹式呼吸をおこなってください。
膝を伸ばす事によって骨盤の中にあるインナーマッスル(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)を伸ばしたようになるので、
膝を曲げた状態よりも腹圧がかかった事により効果が高まるのです。

腹式呼吸の逆式呼吸をやっみよう?

腹式呼吸の逆式って?何ですか!

納多 剛監修トレーナーからのアドバイス

柔道整復師 Diploma エネルギー療法 ヒーリング療法 

胸式呼吸じゃないの?と思いますよね

実は日本古来の武術では逆腹式呼吸という方法をつかっているのです。
では前述の腹式呼吸とどこが違うのかというと、
息を吐いたときにお腹をふくらませ、吸ったときにへこませます。

逆腹式呼吸では、息を吸った時におなかを引き込むので、
横隔膜が下がった状態になります。
またその時に腹筋も収縮するのです。

ということは腹腔内が通常の腹式呼吸と比べて小さくなるので、収縮したり拡張したりがダイナミックになります。
その結果インナーマッスルも鍛わり内臓も大きく動くことになります。

逆腹式呼吸の実践 

それでは逆腹式呼吸を使っての腹筋トレーニングの方法と注意点も含めてご説明します。
まず姿勢は床に仰向けで、両脚は伸ばします。そして息を3秒から4秒で吸い込みお腹を引き込んで腹筋を収縮させます。
この時におへその下(下腹)に意識をおいておこなうとさらに効果が高まります。

最大限に腹筋を縮めたら呼吸を切り替え息を10秒かけて吐いていきます。これを20回から30回を1セットとして1日3セット行います。

もっと効果を高めるポイントを紹介! 

もっと効果を高めるには、両手をバンザイ(頭上方向)します。
また腹式呼吸で行ったように息を吸って腹筋を引き込んだ時に肛門をしっかり閉じてください。

アウターマッスルも鍛えてみよう! 

今までは腹筋の中でもインナーマッスルである腹横筋を鍛えてきましたが、
他の腹直筋や腹斜筋も同時に鍛えることで最大限の効果をえることができます。

それでは実践してみましょう。最初に腹直筋から始めます。
まず姿勢ですが床に仰向けになり両脚を伸ばします。それから両手は耳の横につけます。この時肘を外に開くようにかまえてください。
そして逆腹式呼吸をしていきますが、最初に下腹に意識をおき、肛門もしっかり閉じた状態で息を最大限に3秒から4秒で吸い込んでください。

次に上半身を床から約30°起こします。この時の注意点ですがかなり腹筋に負荷がかかりますので、
脚が床から離れて浮かないようにしっかり脚をのばしきって下さい。
最大限に腹筋を縮めたら上半身を床にもどします。それから息を10秒かけて吐いていきます。
最後に腹斜筋のトレーニングですが腹直筋と同じで上半身を起こす時に右斜めに起こす・左斜めに起こすという違いだけです。
回数は腹直筋・腹斜筋(右・左)各10回を1セットとし、1日3セットを目標にしてください。これで腹式呼吸で腹筋を鍛えるご説明は終わりです。
まずは腹式呼吸に慣れてどんな時でもよいので、意識して習慣にしてください。それだけでも、腹筋が鍛わる実感がえられると思います。