時間?距離?ウォーキングでダイエット効果を得るために最も大切なこと

監修者

赤羽 和希

NESTA-PFT、加圧トレーニングインストラクター、BESJマットピラティストレーナー、BESJマスターストレッチトレーナー、JCCAベーシックインストラクター

【プロトレーナー解説】ウォーキングにはどれくらいのダイエット効果があるのでしょうか?また、効果を高めるために必要なのは距離?時間?それとも他にもあるの?効果を倍増させるコツと、ウォーキングならではのメリットをご紹介致します。

ウォーキングのダイエット効果

ウォーキング・ダイエットのすすめ

痩せてキレイな身体になるために何か運動をしようと考えたとき、筋トレやランニングを思いつく方は多いでしょう。でも同時に、「運動初心者がいきなり筋トレなんて無理」「正しいやり方がわからない」「近くに施設がない」「息が上がるような運動は嫌い」「続けられる自信がない」などといった理由により、なかなか踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

そんな方には、ウォーキング・ダイエットをおすすめします。ウォーキングであれば、これといった技術や道具は必要なく、場所も選びません。自分のペースで好きな時間に行うことができます。また、関節や筋肉への負担が少なく、怪我のリスクも低いので、運動不足の方でも安心して始めることができます。

ウォーキングは誰でも気軽に始めることができる運動ということですね。では、ウォーキングの効果はどういったものになるのでしょうか?

赤羽 和希監修トレーナーからのアドバイス

NESTA-PFT、加圧トレーニングインストラクター、BESJマットピラティストレーナー、BESJマスターストレッチトレーナー、JCCAベーシックインストラクター

ウォーキングの主な効果は、「脂肪燃焼」「血流改善」「健康の維持や増進」です。今回はダイエットという観点から、ウォーキングの効果をもう少し詳しく解説させていただきます。

ウォーキングによって得られるダイエット効果①

ウォーキングは全身の余分な脂肪が均等に落ちる傾向にあります。したがって、部分痩せというよりは全体的にスッキリとした体型を手に入れることが可能です。中でも、特にダイエット効果の得られるパーツを挙げてみるので、ウォーキングの際はこれらの部位を意識して歩くようにしてみてください。


「痩せる」というよりは、筋力がついて引き締まります。ランニングのように何度も地面を蹴ったり、自転車漕ぎのようにペダルを踏み込むこともしないので、筋肉の肥大化がありません。

腹部
ウォーキングは、酸素を取り込むことで脂肪を燃焼させ、エネルギーを生み出す「有酸素運動」のジャンルに入ります。個人差はありますが、継続的なウォーキングにより、皮下脂肪だけでなく内臓脂肪の減少も期待できるので、ウエスト周りがスッキリするでしょう。お腹周りの軽い筋トレを行ってからウォーキングをすると、より効果的です。

背中
腕を振ってウォーキングをすることで、背中・肩甲骨周りの贅肉がスッキリするだけでなく、肩こりの解消も期待できます。効果が出るまで時間はかかりますが、意識的に腕を振り続けることを忘れないようにしましょう。ウォーキング前のウォームアップに、腕や背中のストレッチを行うこともお勧めします。

ちなみに、背中痩せについては以下の記事に詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

ウォーキングによって得られるダイエット効果②

ウォーキングによるもう一つのダイエット効果は、「基礎代謝のアップ」です。有酸素運動であるウォーキングによって身体の隅々まで酸素が送られ、基礎代謝が高まります。
基礎代謝が上がるということは、消費カロリーが増えるということ。例えば、朝のうちにウォーキングを済ませてしまえば、その日は基礎代謝の高い状態で一日を過ごすことができます。

距離に比例するのか?ウォーキングの消費カロリーを計算する方法

ウォーキングによるダイエット効果を、もう少し具体的に数値で知りたい方のために、消費カロリーの計算方法をご紹介致しましょう。
ウォーキングに限らず、運動時の消費カロリーは以下の計算式で割り出すことができます。

消費カロリー(kcal)= 1.05 × METs(メッツ) × 時間 × 体重(kg)

この式に出てくるMETs(メッツ)というのは、ある運動をした時に、安静時と比べて何倍のカロリーを消費しているかを表す数値です。
すなわち、このMETsの値によって消費カロリーが左右されるのですが、ウォーキングの場合はどうなるのでしょうか。

『改訂版 身体活動のメッツ(METs)表』(国立健康・栄養研究所)のMETs値を参考に、様々なスピードパターンにおけるウォーキングの消費カロリーを調べてみました。
すべて、体重50kgの人が「平らで固い地面」を1時間歩くという想定で計算します。

犬の散歩程度の場合の消費カロリー

1時間に4.0kmの距離を歩くウォーキングは3.0METsです。
その消費カロリーは、
1.05 × 3.0METs × 1h × 50kg = 157.5kcal

醤油せんべいを2枚食べるとなかったことになってしまいます。

通常の散歩程度の場合の消費カロリー

ほどほどの速さで1時間に4.8kmの距離を歩くウォーキングは3.5METs。1分間で80m進むスピードです。
その消費カロリーは、
1.05 × 3.5METs × 1h × 50kg = 183.75kcal

日本酒一合(180ml)と同じくらいのカロリーですね。

運動目的で歩く場合の消費カロリー

ダイエットであれば、最低でもこれくらいの速さでは歩いてほしいという目安の時速5.6km。1分間で93m進む速さで、4.3METsです。

その消費カロリーは、
1.05 × 4.3METs × 1h × 50kg = 225.75kcal

8枚切りの食パンを2枚食べるとオーバーしてしまうカロリーです。

とても速いスピードで歩く場合の消費カロリー

1時間に6.4kmの距離、1分間で107mほど進むウォーキングは5.0METs。これはなかなかの速さです。

その消費カロリーは、
1.05 × 5.0METs × 1h × 50kg = 262.5kcal

量にもよりますが、お茶碗一杯分のごはんと同等程度のカロリー。ごはんをお代わりしたら、もう一時間歩かないといけませんね。

極めて速いスピードで歩く場合の消費カロリー

最後に、これはもうウォーキングというよりランニングの域ですが、時速7.2km、1分間で120m進む速さだと、7.0METs

その消費カロリーは、
1.05 × 7.0METs × 1h × 50kg = 367.5kcal

一応、「歩行」のMETs値として掲載されているのでご紹介致しましたが、無理は禁物です。
まずは気持ち良いと思えるスピードで、20〜30分歩いてみましょう。慣れてきたら徐々にペースを上げて、1時間くらい歩ければ理想的です。

ただ、ショートケーキ1カットが400kcal弱なので、うっかりお友達とスイーツなんかを食べた日には、かなり歩かないと(走らないと)なかったことにはならない…ということですね。甘いものが好きな女子には悲しいお話です。

ケーキのカロリー、恐るべしですね。消費カロリーを上げるためには適度な速度が必要ということがわかりました。気をつけるのは速さだけでいいのでしょうか?

赤羽 和希監修トレーナーからのアドバイス

NESTA-PFT、加圧トレーニングインストラクター、BESJマットピラティストレーナー、BESJマスターストレッチトレーナー、JCCAベーシックインストラクター

残念ながら、「ただ速く歩く」だけでは、ダイエット効果を最大限に引き出すことはできません。効果を高めるためのポイントをいくつかご紹介致しますので、普段何気なく歩いている時とは少し意識を変えてみてください

ウォーキング・ダイエットの効果を高めるポイント

ダイエットのためのウォーキングは、当然ながら「有酸素運動」でなければなりません。有酸素運動とは、体内に取り込んだ酸素を使って脂肪を燃焼させることでエネルギーを生み出す運動です。高齢者の健康目的であれば、ノロノロ歩いたり、ちょっと立ち止まったりということがあってもいいのですが、ダイエットの場合は効果が半減してしまいます。

ポイント① 歩き方

歩幅と歩き方
・ 広めの歩幅でグイッと前へ踏み出すように歩く
・ 地面をしっかり蹴って進む

リズムとスピード
・ 一定のリズムでテンポよく歩く
・ 少し息が上がるくらいのペースを維持する

姿勢
・ 背筋を伸ばして良い姿勢で歩く
・ 腕を大きく振って歩く

ポイント② ウォーキングの時間帯

ウォーキングは、どの時間帯に行うかでその効果が異なってきます。ダイエットということであれば、お勧めは空腹時!!お腹が空いている時というのは、血液中に糖分がないので、身体は代わりに脂肪を燃やそうと働きます。よって、脂肪燃焼効果が高いというわけです。

朝ごはんを食べる前のウォーキングは、その日一日の基礎代謝アップや仕事効率のアップにも一役かってくれるので非常におすすめです。

朝は忙しくて無理…という場合は、夜でも大丈夫。夜のウォーキングは、血中に酸素が取り込まれることで、睡眠中の新陳代謝のアップに貢献します。ただし、眠りにつく2〜3時間前には運動を終えた方が寝つきが良くなりますので、直前まで頑張り過ぎないようにしましょう。

健康力のアップという点では、日中もウォーキングに適した時間帯です。日光に当たることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で合成されるというメリットがあります。

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ポイント③ 前後にストレッチをする

ウォーキングの前後にストレッチをしましょう。
歩く前に軽くストレッチをして筋肉を伸ばしておくと、怪我の予防だけでなく、できるだけ長く歩くことができます。ウォーキング後は、足のクールダウンも大切。筋肉痛を防ぎ、疲労を溜めないことがウォーキングを長く続けるコツです。

以下の記事に運動前後のストレッチの違いについて解説してあります。ぜひ参考にしてください。

ポイント④ 目標を設定する

目標を設定しながら歩くことで、モチベーションを維持できます。例えば、「一定の距離を少ない歩数、短い時間で歩く」「一定の時間内に、より長い距離、多い歩数で歩く」「決めた歩数を短い時間でクリアする」「一週間、一ヶ月で何km歩く」…など、目標設定の仕方は自由です。数日分の履歴を残せるような歩数計があると便利ですよ。

ウォーキングを継続していると、徐々にマンネリ化してただの散歩になってくることもあるので、時々、フォームや速さ、コースなどを見直すことも頭に入れておいてください。

ポイント⑤ 継続は力なり

最後のポイントは、とにかく継続すること!!
ウォーキング・ダイエットの効果は一朝一夕には得られませんが、継続さえすれば必ず効果が現れます。結果を焦らず、長い目でウォーキングと付き合っていきましょう。

最後のポイント、「継続すること」が難しいんですよね。やはりランニングのような激しい有酸素運動の方が、手っ取り早く効果が見込めるような気がするのですが。。

赤羽 和希監修トレーナーからのアドバイス

NESTA-PFT、加圧トレーニングインストラクター、BESJマットピラティストレーナー、BESJマスターストレッチトレーナー、JCCAベーシックインストラクター

もちろん消費カロリーだけで言えば、ランニングの方がダイエット効果は高く、結果も現れやすいです。でも、ウォーキングだからこそ得られるメリットもたくさんあるんですよ!

ウォーキングならではのメリット

メリット① ウォーキングは免疫力がアップ

「ナチュラルキラー細胞」という言葉を耳にしたことはありますか?私たちが生まれながらに備えている免疫システムにおいて、ウイルスや細菌といった敵を最前線で攻撃してくれる免疫細胞です。
私たちの身体がひとつの街であるとするならば、ナチュラルキラー細胞は街の治安を守るおまわりさんのような存在。

このナチュラルキラー細胞を活性化するには、20分〜1時間程度の適度なウォーキングがベスト。激しい運動の方が免疫力が上がりそうなイメージはありますが、実は逆。激しい運動をすると、体内で有害な活性酸素が発生し、運動が終わった後にナチュラルキラー細胞のパワーはガクンと弱まるのです。
目には見えないけれど、私たちが生きる上で欠かせない免疫力を上げるには、少し速度を上げたウォーキングなど、ゆるやかな運動が最適です。

メリット② ストレスからの解放

ウォーキングをすることで、普段よりも1.3〜1.5倍の酸素が脳の隅々まで行き渡ります。この状態が20分以上続くと、快楽ホルモンと呼ばれる「ドーパミン」や「β-エンドルフィン」が脳内に分泌されます。

ドーパミンの作用
・ 物事に意欲的になる
・ プラス思考になる
・ 食欲が抑制される

ドーパミンは、喜びや感動、爽快感や達成感を感じたり、適度な運動をすることにより分泌されます。
強いストレスを感じた時、ストレス発散と称してお酒やグルメに走ったり、衝動買いをしてしまったりするのは、このドーパミンを分泌させようとする行動です。ストレス解消のために食べて、太り、それがまたストレスに…というスパイラルから脱却するためにも、ドーパミンはウォーキングで分泌させましょう。

β-エンドルフィンの作用
・ 気分を高揚させる
・ 安心感、幸福感を引き起こす
・ 苦痛を和らげる

美味しいものを食べた時にも分泌されるβ-エンドルフィン。その効果は、運動後3〜5時間持続するといわれています。幸福感を味わえて、ダイエットにもなる。まさに一石二鳥ですね。

メリット③ 集中力や発想力がアップ

脳への酸素供給により頭がクリアになり、集中力が高まります。何かアイディアが欲しいときは、ウォーキングでインスピレーションを高めながら考えるのも良いでしょう。また、ウォーキングによって記憶力が高まることも科学的に実証されています。脳内でアウトプットを繰り返すことで、勉強や仕事に役立つかもしれません。

メリット④ 精神面のリラックス効果

ウォーキングのようなリズミカルな運動を30分程度続けると、「セロトニン」というハッピーホルモンが分泌されます。セロトニンは、興奮しすぎた脳を抑制し、リラックスと幸福感をもたらしてくれるので、日々のストレスやイライラから脳を守ってくれるのです。

もし近所に公園など緑の多い場所があれば、外の空気を吸って、周りの景色を眺めながらウォーキングをしてみましょう。リフレッシュ効果は抜群です。

メリット⑤ ながら運動ができる

ランニングをしながら音楽を聴いている人、多いですよね。スポーツジムに行けばランニングマシンの前にテレビが設置してあったりもします。でも、ある程度の速度でランニングをしながら、十分に音楽に耳を傾けたり、あるいはテレビドラマを観たりするのは、結構難しくないでしょうか。

気持ちよく音楽を聴きながら、周りの景色に意識を向けながら、あるいはインスピレーションを求めて何かを考えながら…と「ながら運動」ができるのは、ウォーキングならではのメリットです。

ちょっと早起きをする習慣を身につけて、一日の始まりを「ながらウォーキング」からスタートしてみましょう。その日の仕事効率、勉強効率が上がって、有意義な一日を過ごせるはずです。

ウォーキングは、ノンストレスで無理なく続けられる運動なんですね!ウォーキングならではのメリットがこんなにあるとは思いませんでした。

赤羽 和希監修トレーナーからのアドバイス

NESTA-PFT、加圧トレーニングインストラクター、BESJマットピラティストレーナー、BESJマスターストレッチトレーナー、JCCAベーシックインストラクター

普段私たちは何気なく歩いていますが、少し意識を変えるだけで、より効果をアップさせることができます。ウォーキングはダイエットだけでなく健康維持にもつながる、奥が深くて魅力的な運動です。最近はオシャレなウエアやアイテムがたくさん出ていますので、お気に入りのグッズで気分を上げながら、ぜひウォーキングを楽しんでみてください!

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