ダンベルフレンチプレスのやり方|重量・回数・呼吸と肘を痛めないコツ

監修者

石井 利幸

加圧インストラクター

ダンベルフレンチプレスの重量は「正しいフォームで8〜15回でき、あと2〜3回は続けられそうな重さ」から始めるのが目安です。一律に何kgが最適とは決められません。8回できないなら重すぎ、15回以上を余裕でできるなら軽すぎる可能性があります。

頭上で肘を曲げ伸ばしすることで、上腕三頭筋、特に長頭を長い筋長で刺激しやすい種目です。重量を追うより、上腕を安定させ、肘や肩に痛みのない範囲でゆっくり動かすことを優先しましょう。

ダンベルフレンチプレスとは?鍛えられる筋肉と効果

ダンベルフレンチプレスは、ダンベルを頭上に構え、肘を曲げて頭の後ろへ下ろし、再び肘を伸ばすトレーニングです。「オーバーヘッド・トライセプスエクステンション」とも呼ばれます。

主に鍛えられるのは、上腕の後ろ側にある上腕三頭筋です。上腕三頭筋は長頭・外側頭・内側頭で構成され、長頭は肩関節をまたぐため、腕を頭上へ上げると伸ばされた状態になります。

2023年の研究では、ケーブルで行う肘伸展トレーニングにおいて、腕を下げた姿勢より頭上の姿勢の方が上腕三頭筋の筋肥大が大きかったと報告されています。ダンベルとケーブルは負荷特性が異なりますが、頭上姿勢で三頭筋を鍛える意義を考える参考になります。

ダンベルフレンチプレスの重量目安

体格や性別だけで重量を決めるのではなく、フォームと反復回数で調整します。初回は普段扱うダンベルより軽い重量で動作を確認し、次の基準を使ってください。

  • 8回未満でフォームが崩れる:重量を下げる
  • 8〜15回でき、最後の数回がきつい:その重量を継続する
  • 15回以上を余裕でできる:次回0.5〜2kg程度増やす
  • 肘や肩に痛みが出る:重量を下げるか中止する

片手で行う場合と、両手で1個のダンベルを持つ場合では扱える重量が違います。他人の重量や左右の合計値ではなく、自分が行う方法で記録しましょう。

筋肥大なら重い重量だけが正解ではない

筋肥大は、低〜高負荷の幅広い重量で得られることが複数の研究で示されています。一方、最大筋力を伸ばす目的では高負荷が有利です。旧来の「上腕三頭筋は速筋が多いから4〜6回だけが最適」という単純な決め方には十分な根拠がありません。

フレンチプレスは肘関節へ負担が集中しやすいため、筋肥大目的なら無理な低回数・高重量より、まず8〜15回をコントロールできる重量が実践しやすいでしょう。

両手で行うダンベルフレンチプレスのやり方

  1. 背もたれのあるベンチに座り、足裏を床につけます。
  2. ダンベル1個の上側のプレートを両手で支え、頭上へ持ち上げます。
  3. 胸郭を過度に反らさず、腹部に軽く力を入れます。
  4. 上腕の位置を大きく動かさず、息を吸いながら肘を曲げます。
  5. 痛みのない範囲でダンベルを頭の後ろへ下ろします。
  6. 息を吐きながら肘を伸ばし、開始位置へ戻します。

肘は完全に平行でなくても構いません。無理に閉じると肩や肘が窮屈になる人もいるため、自然な幅を保ちます。動作中に肘が前後へ大きく移動しない範囲で安定させましょう。

ダンベルの持ち方

両手版では、ダンベルの片側のプレート下へ左右の手のひらを当て、親指と人差し指で持ち手を囲むように支えます。手が滑らないことを確認し、可変式ダンベルはプレートや留め具が固定されているか必ず点検してください。

呼吸は下ろすときに吸い、上げるときに吐く

基本は、ダンベルを下ろす局面で息を吸い、肘を伸ばす局面で息を吐きます。旧記事には上げるときも吸うという誤記がありました。息を長く止めず、動作に合わせて自然に呼吸してください。

ベンチに寝てダンベルフレンチプレスを行う様子

寝ながら行うライイングダンベルフレンチプレス

検索でいう「寝ながら行うフレンチプレス」は、一般にライイング・ダンベル・トライセプスエクステンションを指します。フラットベンチに仰向けになり、左右の手にダンベルを持って行います。

  1. ベンチに仰向けになり、足裏を床へ置きます。
  2. ダンベルを胸の上へ持ち上げ、手のひらを向かい合わせます。
  3. 上腕をほぼ垂直に保ち、肘を曲げてダンベルを頭の横または後方へ下ろします。
  4. 上腕三頭筋の伸びを感じたら、肘を伸ばして戻します。

立位や座位より体幹を安定させやすい一方、ダンベルが顔の近くを通ります。最初は軽い重量を使い、安全に置ける位置を確保してください。限界まで追い込む場合は補助者をつけるか、無理に反復しないようにします。

片手と両手はどちらがいい?

両手で1個を持つ方法は安定しやすく、左右同時に効率よく鍛えられます。片手版は軽い重量から始めやすく、左右差を確認でき、反対の手で上腕を支えることもできます。

左右差が気になる人は片手、時間を短縮したい人や重めの重量を安定して扱いたい人は両手版が選択肢です。どちらが絶対に優れているわけではありません。

回数・セット数・頻度の目安

  • 回数:8〜15回
  • セット数:2〜4セット
  • 休憩:60〜120秒
  • 頻度:週1〜2回から開始

胸や肩のプレス種目でも上腕三頭筋は使われます。ベンチプレス、ショルダープレス、プッシュアップなどを多く行う日は、その分も含めて疲労を管理してください。

「引き締めたいなら軽い重量で高回数、太くしたいなら重い重量」という説明も過度な単純化です。特定部位の脂肪だけを筋トレで落とすことはできません。筋肉を発達させる条件と、体脂肪を減らすための食事・活動量は分けて考えましょう。

効かないときに確認する5つのポイント

  1. 重量が重すぎないか:腰を反らせたり肘が大きく動いたりするなら下げます。
  2. 下ろす範囲が浅すぎないか:痛みのない範囲で上腕三頭筋が伸びる位置まで下ろします。
  3. 反動を使っていないか:下ろす局面を2〜3秒かけて制御します。
  4. 手首が反っていないか:前腕と手の甲をできるだけ一直線に保ちます。
  5. 上腕が動きすぎていないか:肩の動きを完全に止める必要はありませんが、肘の曲げ伸ばしを主動作にします。

肘や肩が痛いときの対処

筋肉の張りとは異なる鋭い痛み、関節内部の痛み、しびれが出たら中止してください。痛みを我慢して続けたり、肘を無理に閉じたり、最下部で力を抜いたりしないようにします。

  • 重量を下げる
  • 可動域を痛みのない範囲へ狭める
  • 片手版やケーブル版へ変更する
  • 肘の幅を自然な位置へ調整する
  • 数日休み、胸・肩種目を含む総負荷を見直す

安静時にも痛む、腫れがある、力が入らない、数日休んでも改善しない場合は、整形外科などの医療機関へ相談してください。

よくある質問

初心者は何kgから始める?

一律のkg数ではなく、8〜15回を余裕2〜3回残して行える重量から始めます。初回は最も軽いダンベルでフォームを確認し、15回が安定してできたら少しずつ増やしてください。

立って行うのと座って行うのはどちらがいい?

初心者は背もたれのあるベンチに座る方が体幹を安定させやすいでしょう。立位は器具が少なくてもできますが、腰を反らせて反動を使いやすいため、軽めの重量から始めます。

毎日やってもいい?

毎日行う必要はありません。胸や肩のトレーニングでも上腕三頭筋を使うため、まず週1〜2回から始め、筋肉痛や肘の状態、ほかの種目を含めて調整してください。

まとめ

ダンベルフレンチプレスは、上腕三頭筋を頭上姿勢で鍛える種目です。重量は正しいフォームで8〜15回でき、あと2〜3回余裕を残せる重さを基準にします。下ろすときに吸い、伸ばすときに吐き、肘や肩に痛みが出たら重量・可動域・種目を見直しましょう。

参考文献