【プロトレーナー解説】脛に痛みの出るシンスプリント。ランニングやサッカーなど、たくさん走るスポーツをやっている人に多い症状です。その痛みの原因、解消方法、マラソン大会前のテーピングなどをご紹介します。
ふくらはぎの内側に感じる痛みは一体何!?
学生時代、ふくらはぎの内側がよく痛くなって悩んだ覚えがあるんですが何だったんでしょうか
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
ふくらはぎの内側が痛む場合には、主に3つの症状が考えられるでしょう
①単純な筋肉痛
一つ目は単純な筋肉痛による痛み。ヒトによりランニングで酷使する筋肉が違います。ふくらはぎの中でも内側をよく使い、そこに筋肉痛が出る方もいるでしょう。腓腹筋と言う、ふくらはぎの表面にある大きな筋肉であれば明確に筋肉痛だろうと分かりますが、その奥にある後脛骨筋の場合は、場所が脛の骨に近い所を走行しているため、一見判断しづらいかもしれません。
2,3日様子を見ましょう。筋肉痛であれば強い負荷をかけ続けなければ2,3日で軽快するはずです。
②シンスプリント
二つ目はシンスプリント。これは、脛、脛骨の骨膜に炎症が起きている状態のことです。前述した後脛骨筋がその発生要因であることが多いです。後脛骨筋は脛骨の後ろ側、やや内側に付着している筋肉です。後脛骨筋が脛骨を引っ張る力が強いと、それがストレスとなり骨膜に炎症が起きます。それが痛みの原因です。
③疲労骨折
三つ目は疲労骨折です。これは少し厄介です。発生確率はシンスプリントに比べれば低いのですが、注意が必要です。
理由は二つ。疲労骨折発生初期にレントゲンを撮っても、画像に映らないことがあるからです。ひどく痛む状態が何週間も続くなら、再度受診してみてください。また、疲労骨折は名前の通り骨が折れていて、しかも荷重する脚の骨ですから、長引くケースが多いです。信頼できる医師や運動指導者に適切な処置を仰ぎましょう。
しかしこの疲労骨折は、月間数百キロなどかなり走り込んだ方や、やせ型で月経周期に以上のある女性などに多い怪我ですので、ビギナーランナーであればそれほど心配することはありません。
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
多くの方の脛の痛みの原因はシンスプリントでしょう。
シンスプリントの原因
シンスプリントとはどんな怪我なんでしょうか?
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
シンスプリントは別名初心者病とも言われます。ランナーの場合、月間走行距離を急に伸ばした時に症状が出やすいからです。
マラソンシーズン前の秋など、走行距離をぐんと増やそうとした時は十分に注意を
脛には有名なふくらはぎの筋肉、腓腹筋やヒラメ筋はもちろんのこと、他にも多くの筋肉が付着しています。足底から足首をまたいでついている筋肉、例えば後脛骨筋などです。この後脛骨筋は特にシンスプリントの直接の原因になりやすい筋肉です。後脛骨筋は脛骨の後面から始まって足底に伸び、足部の舟状骨、足趾の裏などに終わってます。ランニングの接地時の衝撃を吸収したり、オーバープロネーションと言われる、内側縦アーチのくずれを防止したりする機能があります。
何らかの原因で筋肉が疲労し硬くなると、骨を引っ張る力が強くなり、炎症を起こしやすくなります。例えば走行距離を増やした時、質の高いスピードトレーニングを入れた時、バウンディングなどのジャンプトレーニングを入れた時、シューズの変更などにより今までとは違う負担が生じた時などです。
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シンスプリントの予防ストレッチとマッサージ
シンスプリントの予防には、足裏のケアとふくらはぎのケアをしましょう。
ストレッチ
マッサージ
まず足裏を全体的にマッサージしましょう。その後、土踏まずの内側も入念に、内くるぶしの下まで押します。アキレス腱の内側から、ふくらはぎ全体も行いましょう。
筋膜リリース
テニスボールを使います。床にテニスボールを置き、立った状態で片脚をテニスボールに乗せ、体重をかけます。ゆっくり前後に転がしましょう。気持ち良い~痛気持ち良いくらいの圧で行ってください。
シンスプリントの予防トレーニング
痛みが出る前の、予防トレーニングとしてはどんなものがありますか
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
できれば痛いと感じる前に予防したいものですね。足裏のアーチの強化と、ふくらはぎの筋トレを紹介します。
タオルギャザー
立った状態で足元にタオルを敷きます。タオルの上で足の指の運動をし、足裏の筋肉をトレーニングします。まず指をパーの様に、指の間を目一杯広げます。その後に五本指を均等に踵に近づけるようにグーを作ります。筋バランスをことを考えると、タオルギャザーをやる際は握る力のみ鍛えるよりも、反対の指を伸ばす力や広げる力も強化した方がバランスが良いため、パーも1回1回しっかりと作って下さい。
ドンキーカーフレイズ
簡単に言うと、膝を曲げた状態の背伸び運動です。膝を伸ばしたよくある背伸び運動、カーフレイズと言う種目に比べ、ランナーがよく使うヒラメ筋のトレーニングになります。バランスがとりにくい種目なので、壁を使います。壁の前に立ち、軽く膝を曲げます。壁に軽く指を触れておきます。そこから踵を真上に上げるようなイメージで踵を上げます。なるべく、膝が前に出ていかないように、体を上に押し上げるように動くと効果的です。
痛みはあるけどマラソン大会が目前、そんな方はテーピングで対策を
大会を直前に控えている方もいると思いますが、痛みがなかなか取れない場合はどうしたらいいか、対応策はありますか
植松駿太監修トレーナーからのアドバイス
Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー
痛みが悪化する可能性もあるため、痛みが強い場合にはレースに出ることは要検討された方が良いかとは思いますが、一番迷うのが走ってみないと痛みが出るかどうか分からない時ですね。そんな時はテーピングの力を借りましょう
男性はすね毛が多いと粘着力が弱まりレース始まってすぐに汗や動きのせいで剥がれてしまうため、毛の処理をしておきましょう。テーピング用の粘着スプレーも市販されていますので、それを塗布してから貼るようにすると、汗をかいても剥がれにくくなります。
貼り方の紹介です。
まず足裏の、小指付け根下から内くるぶしの下、内くるぶしの後ろを通り、ふくらはぎの内側(高さはふくらはぎのふくらみが出る直前の高さまで)までを通した時の長さを図り、その長さでテープを切っておきます。同じように外側も貼りたいため、同じ長さで切ったテープをもう1本用意します。
①テープの端っこだけ保護シールをはがし、足裏の、小指付け根下にテープを当てます。保護シールを徐々にはがし、ややテープを伸ばすように引っ張りながら内くるぶしの下、内くるぶしの後ろを通り、ふくらはぎの内側(高さはふくらはぎのふくらみが出る直前の高さまで)まで貼ります。
②もう一本のテープは、同じように保護シールを端っこだけ剥がしたら、足裏の、親指付け根下にテープを当てます。保護シールを徐々にはがし、ややテープを伸ばすように引っ張りながら外くるぶしの下、外くるぶしの後ろを通り、ふくらはぎの外側まで貼ります。
レース本番でいきなり試すよりも、練習の中で試してみてうまく張れるかどうかと、走っている最中に剥がれてこないかを確認しておいてください。
マラソンのためのトレーニングについて、そのメリットや初心者から上級者までのトレーニングメニューを紹介します。マラソンは低コストで手軽にでき、ダイエットや体力作りなど様々な効果が期待できます。ぜひトレーニングと合わせて生活に取り入れてください。