デッドリフトのやり方と絶大な効果とは?筋肉動員率No.1!

監修者

小川 雄翔

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

筋トレ種目BIG3の1つ、『デッドリフト』。ベンチプレスやスクワットと比較すると存在感は影に隠れがちですが、その効果は絶大です。トレーニーの間では「キング・オブ・トレーニング」と呼ばれることもあるほど。そんなデッドリフトについて解説します。

デッドリフトで使う筋肉部位

筋トレBIG3の1つに数えられるデッドリフトは、一言でいうとバーベルを地面から持ち上げて下ろすだけの筋トレです。しかし、動員する筋肉量で言えば他のBIG3であるベンチプレス、スクワットを凌ぎます。
筋トレ上級者からモデルまで、幅広い人たちが実践するその魅力はどこにあるのでしょうか。

まずはデッドリフトで鍛えられる筋肉部位から見ていきましょう。

① 大臀筋

お尻の筋肉です。単一の筋肉としては人体で最も大きな筋肉です。

大臀筋を鍛えることでヒップアップ、ダイエット効果、姿勢改善など様々な効果があります。

② ハムストリングス

太もも裏側にある大きな筋肉です。

ハムストリングスを鍛えるのは脚の引き締めに大きく影響します。(脚引き締めという点では、次の太もも前側の大腿四頭筋よりも重要な筋肉です)

③ 大腿四頭筋

太もも前側にある筋肉で、名前の通り4つの筋肉で成り立っている筋肉群です。人体の中で最も大きな筋肉です。

ゴツく逞しい脚を形成する筋肉です。

④ 脊柱起立筋

脊柱起立筋は背中の真ん中部分、首から骨盤にかけて走っている非常に縦長い筋肉です。インナーマッスルでもアウターマッスルでもある特徴があります。

ヒトは二足歩行をする脊柱動物ですが、まさに脊柱を支える筋肉であり、姿勢維持に大きな役割を果たします。
鍛えることで猫背など姿勢改善だけでなく、背中の見た目にもいい影響を与えます。

⑤ 広背筋

背中を広く覆うような筋肉です。

上半身の逆三角形を形成する筋肉なので、鍛えることで逞しい背中を作ることができます。

⑥ 僧帽筋

首の付け根から広く三角形の形に広がる筋肉です。

背中の見た目にも影響しますが、僧帽筋は「肩こり」と深い関係があり、英語では肩こりのことを「僧帽筋の筋肉痛」と表現することもあるくらいです。肩こり解消には必須の筋肉です。

なんだか大きな筋肉ばかりですね。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

そうなんです!ここまで大きな筋肉を一度に鍛えられる筋トレ種目は他にありません!デッドリフトがナンバー1です!

デッドリフトの正しいやり方

バーベルを持ち上げるだけのように見えますが、フォームは意外と難しいです。正しいフォームで行わないと腰痛になってしまうなどの危険もあるので、しっかりやり方を押さえましょう。

<やり方>
1.両足を腰幅に開き、地面に置いたバーベルを握る

2.バーベルと足の脛が軽く触れるくらいの位置にバーベルをセットする

3.肩幅程度に両手を取り、背中をまっすぐにしたままお尻を後ろに突き出す(お尻は膝より上の位置)

4.背中や足の力でバーベルを持ち上げる

5.お尻を突き出し、バーは身体から離れないように地面に置く

回数は10回×3セット行いましょう。(10回ギリギリ行える重さで)

デッドリフトのコツと注意点

・手幅を広く取り過ぎない
手幅を広く取り過ぎると肩甲骨が開き、腰を痛める原因になります。

・終始背中は丸まらない

腕の力で持ち上げようとしたり、身体の重心が前になると背中が丸まってしまいます。これも腰に負担がかかるので、後ろ重心でバーベルを自分に惹きつけるように持ち上げましょう。

・肩をすくませない

背中の筋肉を動員するために肩甲骨を寄せることは大切ですが、その際に肩がすくまないようにしましょう。

肩がすくんだ状態でバーベルを持ち上げると前重心になりすぎて、前に倒れてしまう危険があります。

・下ろすときにバーベルが身体から離れないように
バーベルを下ろす動作の注意点です。下ろす時に腰を痛める人が多いので気をつけてください。

バーベルを下ろすことに意識が行き過ぎると、バーベルが身体から離れ、背中が丸まってしまいます。バーベルを下ろすイメージではなく、お尻を後ろに突き出すイメージで下ろしていきましょう。

・呼吸を止めない
初心者は特に呼吸を止めがちです。呼吸を止めてデッドリフトのような高負荷筋トレを行うと、一気に低血糖症になる危険があります。

スタートポジションで息を吸い、戻すときに息を吐きましょう。

・初心者はやり過ぎ注意!
デッドリフトの筋肉動員数は他の筋トレ種目と比べると群を抜いています。そのため、身体が受ける疲労も段違いに高いです。

初心者がはりきり過ぎると、オーバートレーニング(何もしていないのに疲労感に襲われる等の症状)になったり、他の筋肉部位が耐えられず、腰に負荷をかけるフォームに崩れてしまう危険があります。

初心者は週2回〜始めてください。

デッドリフトの絶大な効果とは?

ここまでデッドリフトのやり方や、鍛えられる筋肉部位がいかに多いかお分かりいただけたと思います。

デッドリフトをすることで全身の筋肉量が増えることは周知の事実ですが、ここではデッドリフトの絶大なダイエット効果について紹介します。

デッドリフトのダイエット効果がすごい!

何と言ってもデッドリフトは全身の筋肉動員数がすごいです。これだけの筋肉を高負荷で鍛えると、EPOC効果という脂肪燃焼効果が抜群に高くなるのです。

EPOC効果とは、「運動後過剰酸素消費量」といい、筋トレなどの運動をした後に体内で酸素が通常時よりも多く使われる状態のことを言います。

筋トレを行うと筋繊維が傷つくので、身体はその修復をします。また、筋肉を動かすエネルギーや糖質が枯渇している状態であるためその再合成を行います。
このように、筋トレ後は体内のあちこちでメンテナンス作業にエネルギーを使います。

このエネルギーに酸素が使われ、脂肪が燃焼されるという仕組みなのですが、このEPOC効果は使う筋肉量が多ければ多いほど大きくなります。
つまり、デッドリフト後はめちゃくちゃ脂肪燃焼状態が続くのです!

女優やモデルが高重量のデッドリフトをやっている理由はここに隠されています。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

もちろんヒップアップなどの効果もありますよ。

デッドリフトの種類3つ

最後にデッドリフトのバリエーションについて紹介します。
初心者でも行える種目も紹介するので、ぜひやってみてください。

ダンベルデッドリフト

初心者はバーベルにチャレンジする前に、まずはダンベルで無理のない重量でやってみましょう。

<やり方>
1.両足は腰幅に開き、膝を曲げて上半身を伸ばしたまま前傾させる
2.ダンベルを左右の手に持ち、膝の前に置く
3.肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを身体に沿わせるように起き上がる

基本のフォームはバーベルを使った場合のデッドリフトと同じです。

注意点も同じで、ダンベルが身体から離れないように、身体につけるイメージで行いましょう。

ハーフデッドリフト

バーベルを地面に置かず、膝下にセットした安全バー上に置いて行います。

可動域が小さくなるので、ハムストリングスへの刺激は減りますが、腰痛になる危険性を極端に減らすことができるので、初心者におすすめです。

ワイドスタンス・デッドリフト

両足を大きく開いたスタンスで行うデッドリフトです。肩幅の1.5倍~2倍程度に足のスタンスをとり、膝と足を外側に向けて行うデッドリフトです。

こちらも可動域が減るので腰にかかる負担を軽減できます。

太もも内側の内転筋群にも刺激が入るようになります。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

デッドリフトはものすごい効果が期待できますが、フォームや重量設定を間違えると腰を痛める可能性が高くなります。

初心者はまずこのような負荷の低い種目から行っていきましょう。