こんな鍛え方があったの!?腹筋ができない人でも無理なく鍛える方法とは?

監修者

松永有紀

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

仰向けの状態から上体を起こしてくる「腹筋」。腹筋がなさすぎてそんなことできない!という人向けに、誰もがいつもしているあることを使った「腹筋」運動をご紹介します。

「腹筋」ができない… でも諦めないで!

ぽっこりお腹をなんとかするために「腹筋」をやらなきゃ!と決意したのはいいけれど。いざ実際に仰向けになり上体を起こしてこようとすると…、できなかった、と言う人も実は多いでしょう。

出来たとしてもほんの数回止まりでかえって腰が痛くなったり、尾てい骨が痛くなったり、なぜか太ももがひどい筋肉痛になったり。お腹痩せに効果的!とよく言われるクランチにトライしたら首が痛くなったという話もよく聞きます。上体起こしやクランチを20回も30回もこなすなんて絶対無理!と諦めモードに入った人もいるのではないでしょうか?

実は、腹筋運動の代表格である上体起こしやクランチは、腹筋群の一部を鍛えるに過ぎません。仰向けから起き上がれなくても、日頃誰でも行っているあることを応用したり、筋肉の種類を知りちょっとした意識を向けることで腹筋を鍛えることが可能です!

これからご紹介する簡単腹筋トレーニングの方法は、体の表面に見える腹直筋などのいわゆるアウターマッスルではなく、体の奥にあるインナーマッスルを効率よく鍛えます。インナーマッスルがしっかりしてくるとアウターマッスルも無理なく使えるようになってくるのでいつの間にか上体起こしやクランチなどの腹筋運動も少しずつこなせるようになってくるのです。

腰痛の原因は腹筋が弱いことと言われたのですが…腹筋運動なんて無理です!学生の頃から起き上がれませんでした

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

安心してください!上体起こしが出来なくても、誰でも普通にやっている「あること」を応用すると腹筋が鍛えられますよ。

腹筋ができない人におすすめの腹筋の鍛え方〜呼吸編〜

生きていれば誰でもしていることがあります。起きているときはもちろん、寝ている間もしている○○、そうです、呼吸を応用すると腹筋が鍛えられるのです。

ドローインと腹横筋

息を吐くときに、おへそを背骨に寄せるようにおなかをへこませてみましょう。これがドローインです。

<ドローインのやり方>
1.仰向けになってひざを立て、おへその左右に両手を置く

2.おなかをへこませたらその状態を30秒程キープして呼吸を繰り返す

おなかをへこませると腹筋の中でも最深部の腹横筋が使われます。特別な道具もいらず、場所も選ばず、誰でも簡単にできるドローインは腹筋トレーニングの手始めに最適。まずはドローインで腹筋の最深部を目覚めさせましょう。

胸式ラテラル呼吸と腹斜筋

呼吸の方法には一般的におなかをふくらませたりへこませたりする腹式呼吸と、おなかをふくらませず肺を意識する胸式呼吸があります。

胸式呼吸も2つの方法があり、息を吸った時に肩が上がる上部胸式呼吸と、息を吸った時に肋骨の特に下部が広がる下部胸式呼吸があります。

胸式ラテラル呼吸は下部胸式呼吸の一種で、ラテラル=側面、つまり肋骨の横、そして後ろも意識して行う呼吸です。腹筋を鍛えるにはこの「胸式ラテラル呼吸」がおすすめです。息を吸った時に肺が大きく広がり、肋骨が横に後ろに大きく広がるように意識してみましょう。

<胸式ラテラル呼吸のやり方>
1.両手で肋骨を触る

2.鼻から息を大きく吸い、その時に肋骨を横に後ろに大きく広げる
この時できるだけ肩を上げないように、首を長く保ったままにしましょう

3.口からゆっくり息を吐く
この時、肋骨を親指のある背中側からおへその方に斜めにとじ込むようにし、ドローインを組み合わせてみます。細いウエスト、そしておへその方向に斜めに走る腹斜筋を意識しましょう

4.数回繰り返します

ラテラル呼吸は肋骨と肋骨の間にある肋間筋や背筋、内・外腹斜筋などの様々な筋肉が使われます。
内腹斜筋は骨盤から肋骨に向けて斜めについている深層部の筋肉です。内腹斜筋の外側には肋骨から骨盤に向けてついている外腹斜筋があります。腹斜筋群は体をひねったり横に倒したり前に倒したりするときに使われる筋肉で、内臓や体幹を安定させるために重要な役割を果たしています。

またウエストをすっきりさせたい女性にこの腹斜筋群の意識は欠かせません。

腹筋ができない人におすすめの腹筋の鍛え方〜ラクロスボール編〜

呼吸で腹筋を鍛える意識ができるようになったら、次は違う観点から腹筋を鍛えてみましょう。

ラクロスボールを使って深呼吸

<やり方>
1.内くるぶしとかかとの間のくぼみにラクロスボールを挟む

2.この状態をキープする

ボールを落とさないように、内くるぶしにばかり意識がいくと体がガチガチになってしまいます。ひざの内側、内腿全体がじんわり真ん中に寄ってくるようにイメージすると下腹にも優しい力が入るのがわかるでしょう。

これが腹筋と関係するんですか?

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

内転筋という内ももの筋肉を使うのですが、内転筋と腹筋はつながっています。

内腿の筋肉(内転筋)は骨盤底筋群とつながっています。そのため内腿を意識すると無理なく骨盤底筋群を使うことができるのです。そして骨盤底筋群はお腹をへこませる腹横筋とつながっています。

内腿→骨盤底筋群→腹横筋とつなげていくと無理なく腹横筋を鍛えることができます。

腹横筋にスイッチを入れるキーとなる内腿ですが、ただ腿を閉じようとすると大抵の場合腿の外側そしてお尻の外側に力が入ってしまい、ぎゅっと外から寄せるようにアウターマッスルを使う形になってしまいます。そうすると使いにくい内腿の筋肉は殆ど使われません。そこでラクロスボールの出番です。内くるぶしを意識すると内腿にも意識が行きやすくなります。

ここにドローイン、ラテラル呼吸を組み合わせると、ただラクロスボールをくるぶしに挟んで立つだけで、普段使いづらい内腿、そしてインナーマッスルを中心とした腹筋群のトレーニングになります。

ラクロスボールライジング

慣れてきたら内くるぶしにラクロスボールを挟んだまま呼吸に合わせてかかとの上げ下げをしてみましょう。

かかとを上げるのは吸う息に合わせても吐く息に合わせても構いません。吸う息に合わせると体全体の伸び感のようなものを感じてかかとを上げやすいかもしれませんし、吐く息に合わせると骨盤底筋群、腹横筋の収縮に合わせられるので体幹部の安定を感じやすくなるかもしれません。その時のご自分のやりやすい方法でやってみましょう。

ラクロスボールにそこそこ重さがあるのでなかなかチャレンジングな動きになりますが、体幹を支える腹筋群がうまく使えればできるはずです。動きとしては簡単でとても地味ですが、立派な体幹トレーニングです。

ラクロスボールじゃないとダメですか?

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

内くるぶしに挟むのは少し重さがあり滑りにくいラクロスボールが最適ですが、テニスや野球のボール、ボールがなければハンドタオルを丸めたものなどでも代用できます。

普段まず意識することのない内くるぶしを意識することが目的ですから、あるものをうまく使ってみてください。

内腿、骨盤底筋群、お腹のインナーマッスルをうまく使い、内臓を下から支えるように立つことができると骨格、筋肉のバランスが整います。

腰から骨盤の中を通り、太腿の骨(大腿骨)につながっているインナーマッスル、腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)も例外ではありません。お腹の筋肉がうまく使えず反り腰になったり、座っている時間が長くお腹の力が抜けて骨盤が後ろに傾いていたりすると腸腰筋はバランスを崩し腰痛の原因にもなります。

逆におなか、特に内側から支えるおなかのインナーマッスルが鍛えられれば自然に腸腰筋も体幹部を支えるユニットの一つとして鍛えられるのです。

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

仰向けから起き上がってくる筋力がない、という場合、腹直筋のような体の表面の筋肉しか頭にないとなかなか改善はしないでしょう。

体の一番奥、インナーマッスルから鍛え徐々にアウターマッスルのトレーニングに移れば無理なく安全に体を鍛えることができます。意識しづらいインナーマッスルは、逆に意識さえすれば効果が出やすい部分でもあります。

ここで上げた意識の仕方はヒントに過ぎません。是非、自分に合う意識の仕方を工夫してみてください。