【専門家解説】骨盤が歪んでいるかもしれない、骨盤矯正を受けたほうがいいかもしれない…。でも「矯正」ってなんだか怖そう。あなたの骨盤はどんな状態?「矯正」は必要?骨盤矯正についての疑問を解消しましょう。
私の身体は歪んでいる?
私の身体、たぶんすごく歪んでいると思います…
松永有紀監修トレーナーからのアドバイス
Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター
歪んでいない人なんていないんじゃないかと思います…
ピラティスの指導をしていても歪むんですか?
松永有紀監修トレーナーからのアドバイス
Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター
お手本を見せるのは片方だけだったりするので、結構歪むんですよ。それにやっぱりどうしても体のクセみたいなものもあるので、少しずつ歪みが溜まっていくような感じはしますねぇ。
そこへ「骨盤矯正」などと聞くと、ああ、私の骨盤も歪んでいるのだろうなあ、矯正した方がいいのだろうなあ、と思う方も多いでしょう。
そもそも骨盤矯正とはどんなことをするのでしょう?やった方がいいものなのでしょうか?どんな効果があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
骨盤はどんな作りになっている?
骨盤の底にある「坐骨」や、前面にある「恥骨」は寛骨の一部です。二つの寛骨は前面で連結し、後方では仙骨を挟んで連結しています。前方の連結部分を「恥骨結合」、後方の連結部分を「仙腸関節」といいます。
恥骨結合は軟骨と靭帯というコラーゲン繊維でできていて基本的には動きません。
また、靭帯でつながっている仙腸関節は、かつては動かない「不動関節」とされていました。しかし最近、ほんの少しだけ、ミリ単位で動くことがわかっています。
骨盤が歪むとは?
ところが実際、仙腸関節や恥骨結合は強靭な作りになっているのでちょっとやそっとではずれません。
前述したように仙腸関節が動くのもほんの数ミリで、しかも最近ようやくわかったぐらい、動きがあるとは思われていなかった部分なのです。妊娠するとホルモンの影響で骨盤に限らず靭帯がゆるみますが、それでも骨盤そのものがばらばらになるわけではなく、横に大きく押し広げやすい状態になるだけです。そして産後は徐々に戻り強靭さを取り戻していくので通常は心配ありません。
では、骨盤が歪むとは?
実は、一般的に骨盤が歪んでいる、と言われている状態は、骨盤を構成している骨がばらばらになっているのではなく、寛骨、仙骨、尾骨で構成されたひとかたまりの骨盤が、本来あるべき位置からずれていることを言います。
前に倒れていたり、後ろに倒れていたり、あるいは左右の片側だけ前や後ろに引っ張られていたり、左右の高さが違ったり、このような状態のことを「骨盤が歪む」と表現しているのです。
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骨盤の歪みによる悪影響とは?整えるとダイエット効果はあるの?
骨盤が歪んでいることのデメリット
・様々な痛み
骨盤が歪むと、隣接する腰も歪み、筋肉がバランスを崩して痛みが出ます。腰が歪むとバランスを取るように他の場所も動き本来の位置からずれていきます。頸や下半身も歪むので、首の痛みや股関節、ひざや足首の痛みなども出てきます。
いわゆる肩こりもひどい状態になり頭痛を引き起こすこともあります。
・おなかがぽっこりし、お尻がのっぺり大きくなる
内臓をうまく支えられずおなかがぽっこり出てきます。内臓が圧迫された状態になるため働きが悪くなり、消化不良や便秘などを引き起こします。股関節の動きも悪くなり、悪くなったところに脂肪が乗りお尻の形が悪くなります。
・下半身のむくみ
骨盤の傾きによっては股関節を圧迫します。股関節が圧迫されると血液やリンパ液などの体液の流れが悪くなり下半身がむくみます。
骨盤が整うことのメリット
・おなかがスッキリし、お尻の形がよくなり引き締まる
骨盤の位置が整うと、骨盤の器の中に内臓がすっきりとおさまり内臓の働きがよくなります。内臓の働きがよくなると消化も良くなり便秘も解消しおなかがスッキリします。
また股関節が動きやすくなるので余分な脂肪が取れ、股関節を動かすインナーマッスルも働くようになりお尻の形が立体的になります。
・下半身のむくみが取れる
上述したように、股関節の動きがよくなると下半身への体液の流れがよくなります。代謝がよくなり血液やリンパ液が下半身からきちんと戻ってくるので、むくみが取れスッキリします。人によっては水分をため込んでいた分、1~3kgの体重が減ることもあります。
松永有紀監修トレーナーからのアドバイス
Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター
このように骨盤は整えておくに越したことはありません。歪んでいる自覚がある人は矯正してもらったほうがよさそうですね。
「骨盤矯正」って何をするの?整体とは?
整体やカイロプラクティックなどで行われる骨盤矯正とは、筋肉のバランスを整え、骨盤の位置を整える手技のことです。
骨盤を構成している3つの骨はそう簡単にはずれませんから「骨盤矯正」は骨盤を構成する骨のつながりをいじって骨盤そのものの形を変えることではありません。「骨盤矯正」とは3つの骨でワンセットになっている骨盤の位置を正しい状態にセットすることなのです。
骨盤矯正はどんな効果があるのか?
ところが、ついつい脚を組んでしまったり、カバンを片方の肩にかけてしまうなど、多くの人に筋肉が引っ張られた状態が続いてしまうクセがあるものです。仕事でパソコンを使ったりスマホを見たりなど、気を付けていてもどうしても姿勢が悪くなってしまう(=筋肉が引っ張られる状況ができる)要素も現代は山のようにあります。運動不足も身体の歪みに拍車をかけるでしょう。
座っている時間が長い人は特に骨盤周辺の筋肉のバランスを崩しやすいと言えます。そして骨盤は体の真ん中にあるため、ここのバランスが崩れると上半身や下半身もあっという間にバランスを崩します。逆に骨盤のバランスが整うと末端のバランスも整いやすくなります。
姿勢の悪さ、筋肉のバランスの崩れに自分で気づき、修正できればよいのですが、多くの人はどこがどのように崩れているかを把握するのは難しいでしょう。
そこで頼りにしたいのは骨盤矯正の専門家です。専門家に体を見てもらえば、自分の体がどのような状態かを客観的に把握することができます。よい施術家は、患者の体の状態を目や手を通じて確認することと、どのような生活をしているかをうまく聞き取ることで、何が原因で今の不具合が起きているかを的確に推測することができます。
骨盤矯正をしてもらう場合は、専門家にただ身体を委ねるだけではなく、自分の身体がどのような状態になっているかを教えてもらい改善のためのアドバイスをもらいましょう。多くの専門家は、ただ施術をするだけでなく普段の姿勢についてのアドバイスや、簡単にできるストレッチ、筋トレなどを指導してくれます。
気を付けてストレッチなどで身体を緩めることをしている場合でも、自力ではなかなかほぐしにくいところもあります。そんなところを専門家の手でほぐしてもらうと、気持ちがよいだけでなくより自分の身体を感じやすくなり、骨盤を含めた身体が整いやすくなります。
産後の骨盤矯正の意味
出産で開いた骨盤は、骨盤矯正をしないと閉じないんですか?
松永有紀監修トレーナーからのアドバイス
Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター
骨盤矯正をしないと開いたままというわけではないですよ!
産後の骨盤矯正と聞くと、開いた骨盤を手でぎゅっと閉じるようなイメージがありますが、実際の施術は骨盤そのものを閉じるわけではありません。骨盤が閉じるのは靭帯の回復を待つしかないのです。では産後の骨盤矯正とは何をするのでしょう?実は、通常時と同様、上で見た通り筋肉のバランスを整え、骨盤を正しい位置に導いていく施術なのです。
産後が非妊娠時と何が違うかと言うと、靭帯がゆるんでいるせいで骨盤の位置が大きくずれやすくなっています。さらに産後は3キロ以上の赤ちゃんをしょっちゅう抱っこしたり、床に座って赤ちゃんのお世話をしたり、授乳したり、姿勢が崩れやすいことをたくさんしなくてはなりません。床に座る際に横座りをしたり、おむつ替えや授乳時に猫背になってしまったり、かなり気を付けないと産後はどんどん姿勢が悪くなります。
このように産後は身体の状態も生活パターンも筋肉のバランスを大きく崩す条件が整っているのです。そこで骨盤矯正で筋肉のバランスを整えると靭帯もすんなりと元の位置に戻りやすくなりますし、身体に負担をかけている状態を客観的に把握しやすくなります。筋肉のバランスを整え、靭帯の戻りをスムーズにするために骨盤矯正を利用しましょう。
筋肉のバランスが悪いまま靭帯が戻ろうとし、まれに仙骨や恥骨にひどい痛みが出ることがあります。ひどい痛みが出た場合は整形外科を受診するようにしましょう。このような痛みが出ることを防ぐためにも骨盤矯正の施術は有効です。
靭帯が戻っていく産後6か月のうちに、専門家の手を借りて筋肉のバランスを整えよい姿勢を身体に記憶させておくことはその後痛みのない身体をキープするために大変有効です。このことから「産後の骨盤矯正は6か月までに!」などと言われますが、6か月を過ぎると矯正できないかといえばそんなことはなく、筋肉のバランスを整え骨盤の位置を正しくセットすることはいつでもできます。
産後になかなか体型がもどらない、と密かに悩んでいらっしゃる女性は多くいます。育児も始まるこの大変な時期に無理なくできて、自分に合ったダイエットやエクササイズ方法を紹介します。
専門家任せではなくセルフケアをしよう
施術の効果を長続きさせ、自分の体の状態を把握するのに役に立つのがヨガやピラティスなどのボディワークです。
ヨガやピラティスは骨盤周りを動かすポーズやエクササイズが多く、縮みやすいところを緩め、伸びやすいところを強化します。骨盤矯正の施術を通じて自分の体のクセを知っておけば、緩めたいところ、鍛えたいところに効くポーズやエクササイズにピンとくるでしょう。自分に効きそうなものをいくつか覚えれば自宅でも試してみることができます。
また、ポーズやエクササイズを通じて自分の体のバランス、例えば左右の違いなどを感じやすくなるので、普段の生活でもバランスがよい状態を保てているがわかるようになります。脚を組むのは体が歪むのでNGと言われますが、いつの間にか右脚を上に脚を組んでいたことに気づいたら、しばらく左脚を上に脚を組んでみるとよいでしょう。左脚に体重を乗せて立っていることにふと気づいたら、右脚にもしばらく体重を乗せてみればよいのです。
ほんのちょっとしたことですがこのような小さな調整が身体を変えていきます。身体を動かし慣れるとちょっとした歪みに自分で気付き、調整するための方法がわかるようになってくるのです。さらに「これは専門家の手を借りたほうがよさそうだ」という判断が的確にできるようになってきます。
松永有紀監修トレーナーからのアドバイス
Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター
私自身も、ちょっと歪みが溜まってきたかなあと思うと専門家の手を借りて調整してもらうようにしています。そのおかげでぎっくり腰など、動けなくなるような不調とは無縁になりました。OL時代は月に1度以上通っていた整体ですが、今は施術と施術の期間は3か月から半年といったところでかなり長くなっています。
自分自身が本来持っている調整力を高めつつ、必要に応じて専門家の力を借りることで快適な体をキープしたいものですね。
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