【専門家解説】すねの筋肉とは?下腿から起始する筋群について解説します。すねの筋肉の張りや痛みはスポーツをすることで起こりやすいもの。原因と対策についても紹介します。
すねの筋肉と下腿から起始する筋群について
「すねの筋肉」について教えてください。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
「すねの筋肉」といっても一つの筋肉ではなく、膝下にはたくさんの筋肉がついています。下腿から起始する筋肉について説明していきます。
①下腿前外側
停止:内側楔状骨の内側面、第1中足骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足関節の背屈、足の内反
長母趾伸筋
停止:母趾の末節骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足関節の背屈、母趾の伸展、足の内反の補助
長趾伸筋
停止:第2~5趾の中足骨と末節骨の背側面
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:第2~5趾の伸展、足関節の背屈、足の外反
第3腓骨筋
停止:第5中足骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足の外反、足関節の背屈
②下腿後外側
停止:内側楔状骨の外側と第1中足骨底
神経:浅腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足の外反、足関節の底屈
短腓骨筋
停止:第5中足骨茎状突起
神経:浅腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足の外反、足関節の底屈
③下腿後内側
停止:舟状骨と3つの楔状骨の骨底内側、立方骨、第2~4中足骨底
神経:脛骨神経(L5,S1)
機能:足関節の底屈、足の内反
長趾屈筋
停止:第2~5趾の末節骨底
神経:脛骨神経(L5,S1)
機能:第2~5趾の屈曲、足関節の底屈、足の内反
④下腿後面
停止:母趾末節骨底
神経:脛骨神経(L5,S1,S2)
機能:母趾の屈曲、足の内反、足関節の底屈
ヒラメ筋(下腿三頭筋の一部)
停止:アキレス腱を経て踵骨後面の踵骨隆起
神経:脛骨神経(S1,2)
機能:足関節の底屈
⑤大腿骨顆上部
外側頭:大腿骨外側顆の後面
停止:アキレス腱を経て踵骨後面の踵骨隆起
神経:脛骨神経(S1,2)
機能:足関節の底屈、膝関節の屈曲
上記、下腿から起始する筋群の中で、「1.下腿前外側」の筋群がここでいう「すねの筋肉」になります。
「すねの筋肉」は主に足関節の背屈、足の外反・内反に作用していることがわかります。
次項では、下腿から起始する筋群のなかでも、下腿前外側から起始する「すねの筋肉」について詳しくみていきましょう。
下腿前外側から起始する「すねの筋肉」について
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
前項でも述べた通り、下腿前外側から起始する「すねの筋肉」について詳しく説明していきます。
前脛骨筋
足関節の背屈動作の主動筋であり、長い筋肉で、足首のあたりで腱になっている。
足部の内側から足裏に付着しているため、足のアーチを維持するためにも働いている。
起始:脛骨の外側上部2/3
停止:内側楔状骨の内側面、第1中足骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足関節の背屈、足の内反
長趾伸筋
底屈筋と背屈筋のバランスを保つために必要不可欠な筋肉である。
起始:脛骨の外側顆、腓骨頭と腓骨の前面上部2/3
停止:第2~5趾の中足骨と末節骨の背側面
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:第2~5趾の伸展、足関節の背屈、足の外反
長母趾伸筋
起始:腓骨前面の内側中部
停止:母趾の末節骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足関節の背屈、母趾の伸展、足の内反の補助
第3腓骨筋
足関節の背屈と足の外反を補助する小さな筋肉である。
起始:腓骨の前方下部1/3
停止:第5中足骨底
神経:深腓骨神経(L4,5,S1)
機能:足の外反、足関節の背屈
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
次項では、「すねの筋肉」の張りや痛みに関しての原因と改善方法について説明していきます。
「すねの筋肉」の張りや痛みについて
「すねの筋肉」の張りや痛みについて教えてください。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
「すねの筋肉」の痛みで代表的なものといえば、シンスプリントです。説明していきましょう。
シンスプリント
ほとんどすべてのスポーツでは走動作において下腿の筋肉への激しい負担がかかるため、急性および慢性の障害がよく発生します。
シンスプリントとは、走動作に関連した下腿前方の痛みを表現するのによく使われる用語です。特定の診断名というより、いくつかの特定の筋膜の炎症による痛みのことを表しています。ランニングやジャンプなどにより足関節の底背屈運動が反復され、後脛骨筋、ヒラメ筋内側部、前脛骨筋、長趾伸筋などが伸長し骨膜への張力が増し骨膜炎を引き起こすと考えられています。
原因としては、トレーニング量に対して筋力が弱い場合や、筋の柔軟性が低下していること(足関節背屈制限)により過度な牽引ストレスがかかることが考えられます。
そのため対策として、足関節底背屈に関与する筋肉の筋トレとストレッチ、また関連筋肉のマッサージなどが挙げられます。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
「すねの筋肉」の張りや痛みに関しては、一つの筋肉のみが原因というわけではありません。
最初の項でもご紹介した下腿から起始する筋群を意識して、対策していきましょう。
【プロトレーナー解説】脛に痛みの出るシンスプリント。ランニングやサッカーなど、たくさん走るスポーツをやっている人に多い症状です。その痛みの原因、解消方法、マラソン大会前のテーピングなどをご紹介します。
対策その1.ストレッチ
1.立位で脚を前後に開き、後方の足のつま先を床に着け、そのままゆっくりと膝を曲げ足の甲を下方に押し付けていく。(下腿前面)
3.立位で片脚のつま先を段差や階段に乗せ、上体を前傾させていく。段差に乗せた脚の膝は伸ばした状態と、軽く曲げた状態の2種類行う。(下腿後面)
4.両足を肩幅に開き、しゃがみ込む。このとき、踵は浮かせない。(下腿後面)
対策その2.マッサージ
下腿のマッサージは、最初の項で下腿から起始する筋群を紹介しています。
起始・停止をイメージしながら、それぞれの筋肉に沿って、はじめはさするように触れ、徐々に力を加えてマッサージしていく。
ストレッチと併用して行うことで、筋の血流が良くなり、効果が得られやすいです。
対策その3.筋トレ(回数やセット数は個人に合わせて行う)
1.カーフレイズ
立位姿勢で姿勢を正し脚を肩幅に開く。ゆっくりと踵を上げていく。踵を下す際もゆっくりと行う。
坐位姿勢で、踵は床に着けたまま、つま先だけを上げ下げする。負荷が欲しい場合は足先に重錘を置いたり、ゴムチューブを使ったりすると良い。
北村 真美監修トレーナーからのアドバイス
元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。
今回ご紹介した対策に関して、シンスプリントは筋肉が発達途中の若年層にも起こりやすいため、簡単に行いやすいものを選んでいます。ぜひ試してみてください。