ふくらはぎを鍛える「シーテッドカーフレイズ」のやり方と効果!

監修者

佐藤公治

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

【プロトレーナー解説】ふくらはぎの筋トレ種目、シーテッドカーフレイズを徹底解説!鍛えられる筋肉の部位、効果、基本的な動作やフォーム、他のふくらはぎの種目との違い、さらに効果を上げるためのポイントや回数、重量、セット法などをご紹介します。

シーテッドカーフレイズで鍛えられる筋肉は?

シーテッドカーフレイズとは?

シーテッドカーフレイズとは、どのようなエクササイズなのですか?

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

シーテッドカーフレイズは、カーフ(ふくらはぎの筋肉)のエクササイズの一つで、座って膝を曲げて行うことで、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋を鍛えることができます。

筋肉と関節の働き、強化される筋肉

足首の関節で、伸展(底屈ともいいます)動作が行われます。この動作は、足の母指球(親指の付け根)とつま先部分は一定位置に保ったまま、かかとを上げ、足とすねがまっすぐに伸ばされる動きのことをいいます。

ヒラメ筋は、シーテッドカーフレイズのように大腿(太もも)の裏側とふくらはぎの角度が90度か、それ以下となるようにして行う場合に、動作に関与する唯一の筋肉となります(ふくらはぎの表面にある腓腹筋は、上端が膝の上に付着しているので、部分的にしか関与しなくなります)。

ヒラメ筋には、内側と外側の部分があり、どちらも上部は腓腹筋に覆われています。
ヒラメ筋の上端は脛骨と腓骨、そして下腿骨間膜に付着し、下端は腓腹筋とともにアキレス腱につながり、踵骨に付着しています。
ヒラメ筋は腓腹筋よりも横に広がっていて、下腿のシェイプやディフィニション(鮮明さ)をつくる中心的な役割を果たしています。

シーテッドカーフレイズのやり方は?

シーテッドカーフレイズは、どのようにして行うのですか?

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

専用のマシンで行うことが一般的ですが、ベンチに座ってウェイトを使って行うこともできます。

シーテッドカーフレイズのやり方

シーテッドカーフレイズは、専用のマシンで行われることが多いですが、足をのせるプラットフォームがやや下向きの角度(つま先が上になって、かかとが下)になるように調整すると可動域が広がります。

①シートの中央に座り、体幹をまっすぐに起こし、パッドが大腿の下部(膝のやや上あたり)にあたるようにポジションをとります。

②足は母指球(親指の付け根)が完全にプラットフォームにつくようにし、かかとが自由に動かせ、可動域いっぱいの動作ができる位置に置きます。

③動作全体をとおして、つま先はまっすぐ前方(もしくはやや外側)に向けておきます。

④息を吐きながら、かかとをできるだけ高い位置まで上げていきます。

⑤上げきったところで2~3秒間、静止し、ふくらはぎを引き締めます。

⑥続いて息を吸って、コントロールした動作で母指球よりもできるだけ低い位置まで、かかとを下ろしていきます。

⑦下ろしきったら、素早く動作方向を切り替え、かかとを上げ、繰り返します。

上体を安定させるために、マシンのハンドルやシートをつかんで行ってもよいです。

シーテッドカーフマシンが使用できない場合は、バーベル(またはダンベル)を大腿下部(膝のやや上)にのせて行うこともできます。
この場合、足首関節に余裕があれば10㎝程度のボードやブロックに足をのせて行い、可動域いっぱいの動作ができるようにすると、さらに効果的です。

効果を上げる動作のポイント

シーテッドカーフレイズで、効果を上げるコツはありますか?

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

カーフのエクササイズは可動域いっぱいの動作で行い、また足の位置を変えると重点的に刺激する部位を若干、変化させることができます。

ポイント①上げきったポジションで静止

ヒラメ筋の両側に最大限の刺激を与えるには、上げきったポジションでしっかりと静止すること。

ポイント②動作は、可動域いっぱいを使って行う

プラットフォームに母指球をつけた状態でかかとをできるだけ低く下ろし、それから、かかとをできるだけ高い位置まで上げます。常に狭い動作範囲でしか行っていないと、足関節の柔軟性が失われ、ランニング動作などでケガを招く危険性もあります。
カーフは普段から体を支えている強い筋肉になるので、部分的な反復だと十分な成果が得られません。つま先立ちになるまで上げてからいったん静止して、筋肉を強く収縮させて絞り込んでから、筋肉が十分にストレッチされるところまでゆっくりと下ろします。

ポイント③動作はゆっくり行う

動作はゆっくりと行います。上げるのに約2秒、下ろすのにも約2秒かけるつもりで、ウエイトを挙げきったポジションではピークコントラクション(筋肉を絞り込むこと)を得て、下げきったポジションでも少しの間、静止します。

ポイント④追い込むためには高回数行う

ヒラメ筋は持久的な筋肉なので、完全に追い込むためには、このエクササイズはスタンディングカーフレイズ(腓腹筋がより強く関与します)よりも高回数で行うと効果的です。

ポイント⑤ヒラメ筋内側に効かせる時は、つま先を外側へ

ヒラメ筋の内側をより強く働かせたい場合は、つま先を外側に向けて行うようにします。この場合、後脛骨筋(下腿、ふくらはぎのもう一つにの小さな筋肉)も強化することができます。

ポイント⑥ヒラメ筋外側に効かせる時は、つま先を内側へ

ヒラメ筋の外側(主に動作を安定させる役割を果たしています)をより強く働かせたい場合は、つま先をやや内側に向けて行います。
(ただし、スタンディングカーフレイズより膝関節に負担がかかりやすいので、膝に不安がある場合は正面か、やや外側に向けて行います)。この場合、腓骨筋や長指伸筋(すね側の筋肉)も働くことになります。

ポイント⑦足首が自由に動くローカットシューズが勧め

カーフレイズを行う際は、足首が自由に動くローカットシューズの使用が勧められます。ハイカットシューズで行う場合は、上部のひもを緩めて足首が動きやすいようにしておきます。

ポイント⑧段差のある台を利用する

カーフの筋トレでは、セット間も段差のある台などを利用してストレッチを行うと、ふくらはぎの筋肉が伸ばされ、回復が促進されます。自重で行うカーフレイズ(ゆっくりと、かかとを上げ下げする)のも効果的です。

さらに効果を上げるプログラムの組み方

シーテッドカーフレイズは、どのように取り入れればよいのでしょうか?

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

カーフのプログラムの組み方、回数やセット数を確認してみましょう。

カーフのプログラムの組み方

カーフの筋トレはプログラムのどのタイミングでも行えますが、大腿(太もも)のトレーニングの前は避けること。
先に小さな筋群(ふくらはぎ)が疲労していると、大きな筋群(太もも)で十分なエネルギーが発揮できなくなるので、大腿部と同じ日にトレーニングする際は、後に行うようにします。

シーテッドカーフレイズは、(ヒラメ筋よりも大きい、腓腹筋を鍛える)スタンディングカーフレイズ、ドンキーカーフレイズ、レッグプレスカーフレイズなどの後で行うことが一般的です。ただし、ときおり応用法として、先にシーテッドカーフレイズでヒラメ筋を予備疲労させておいて、その後に腓腹筋を集中的に鍛えるというやり方も効果的です。

シーテッドカーフレイズの回数と重量の目安

ふくらはぎの筋肉は高回数のほうが反応しやすいので、通常、筋肥大には1セットを15~20回反復できる重量で、3~5セットを目安に行います。
(ときおり、ウェイトを重くして低回数で行ったり、また軽くしてさらに高回数で行う方法を取り入れるのも効果的です)

重量はセットごとに増やしていくピラミッド法を用いるのも効果的です。
ふくらはぎは比較的小さな部位ですが、丈夫な筋肉なのでトレーニングに慣れてきたら、徐々にウェイトを上げて負荷を加えるようにします。

シーテッドカーフレイズは、正しい姿勢とフォームでトレーニングすることが重要です。背中をまっすぐに伸ばし、腹筋を引き締めて行います。
また、上半身をやや前傾させてマシンのハンドル(もしくはバーベル、ダンベル)をにぎって行うと、背中と上半身をサポートできるだけでなく、ふくらはぎの筋肉をギリギリまで追い込む最後の数回を絞り出す助けにもなります。
(ただし動作中、勢いをつけることは避けなければならないので、腕の力に頼りすぎないこと。腕の力を利用するのは、ふくらはぎの筋肉が限界に達し始めてからにするようにします。脚の力でしっかりとウェイトをコントロールするようにします)

スポーツへの展開

シーテッドカーフレイズは、ボディビルではカーフの両側の筋肉量とディフィニションを向上させ、さらにある程度までですが、カーフの深みを増すことができる重要なエクササイズになります。

スポーツやフィットネスの観点からいえば、ヒラメ筋は基本的に持久的な筋肉であり、それに対し腓腹筋はより強い力やパワー(爆発的な動作)の発揮に使われます。

ヒラメ筋は非常に強い筋肉であり、体を上方や前方に向かって押し出すときに大きな力を発揮します。したがって、ウォーキングやランニング(とくに長距離)で非常に重要な役割を果たします。

また、遅筋が大きな役割をしめる数少ない筋肉の一つであります。持久的な力の発揮に優れた筋肉であり、強化すればそれだけ、ウォーキングやジョギングといった運動を長時間続けられるようになります。