山芋1本のカロリー・糖質は?ダイエット向き?

すりおろしてとろろにすると美味しい山芋。ヘルシーな食材のように思えますが、カロリーや糖質は他の芋類に比べるとどれくらいでしょうか。山芋1本あたりのカロリーと糖質は?また、山芋にはダイエット効果があるのか、ダイエットにいい食べ方はあるのか、山芋の気になるダイエット情報を解説します。

山芋はダイエット向きのヘルシー食材?

山芋とは?

山芋は一つの芋を指すのではなく、「ヤマノイモ科」に属する芋類の総称です。ヤマノイモ科に属するのは、大きく分けると長芋、自然薯、つくね芋、いちょう芋、だいじょの5種類になります。
どの芋もシャキシャキとした食感、粘りがあるのが特徴です。地域によってスーパーに並ぶ山芋に違いはありますが、栄養価には大きな差はありません。
今回は、よく食べられる長芋を山芋として解説します。

山芋の種類

スーパーによく並ぶ山芋は、長芋が多いと思います。山芋の中で、特に希少で旨味が濃いと言われているのは自然薯で、他の山芋よりも値段が比較的高価です。
皮が茶色く丸い形のつくね芋以外は、見た目に違いはほとんどありません。

山芋のカロリー・炭水化物・脂質・タンパク質(100gあたり)

カロリー:65kcal
炭水化物:13.9g
脂質:0.3g
たんぱく質:2.2g

山芋の糖質量は、炭水化物量から食物繊維量を引いた数量になります。山芋の食物繊維量は1gなので、糖質は12.9gです。
山芋がダイエット向きかどうかを考えるために、他の芋類のカロリー、三大栄養素と比較してみます。

山芋のカロリー・炭水化物・脂質・タンパク質(1本200gあたり)

カロリー:130kcal
炭水化物:27.8g
脂質:0.6g
たんぱく質:4.4g

山芋と他の芋類とのカロリー・糖質・脂質・タンパク質比較

じゃがいものカロリー・糖質・脂質・タンパク質

カロリー:76kcal
炭水化物:17.6g
脂質:0.1g
たんぱく質:1.6g
糖質:16.3g

さつまいものカロリー・糖質・脂質・タンパク質

カロリー:132kcal
炭水化物:31.5g
脂質:0.2g
たんぱく質:1.2g
糖質:29.2g

里芋のカロリー・糖質・脂質・タンパク質

カロリー:58kcal
炭水化物:13.1g
脂質:0.1g
たんぱく質:1.5g
糖質:10.8g

自然薯のカロリー・糖質・脂質・タンパク質

カロリー:121kcal
炭水化物:26.7g
脂質:0.7g
たんぱく質:2.8g
糖質:24.7g

山芋はダイエット向き?

他の芋類と比較してみると、里芋を除くと山芋はカロリー、糖質ともに少なめです。同じ山芋類の自然薯は、長芋よりもカロリーと糖質量が多いですが、抗酸化作用が強いビタミンEが豊富に含まれています。
ダイエット食材としては、長芋は他の芋類よりも摂取カロリーや糖質量を抑える効果が期待できるでしょう。

山芋の栄養価から見るダイエット効果

山芋の栄養価

山芋はビタミンB群、ビタミンC、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。山芋が生食できるのは、でんぷんを分解する「ジアスターゼ」という消化酵素が含まれているからです。
生で食べられるので、加熱によって失われるビタミン類を無駄にせず摂取できます。

糖の吸収を緩やかにする水溶性食物繊維が豊富

山芋に含まれる食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は、便を柔らかくして排便をスムーズにする働きがあります。
また、糖質の消化吸収を緩やかにする働きもあるので、炭水化物と一緒に摂取すると、血糖値の上昇を緩やかにして脂肪の溜め込みを予防できるのです。

体を温める作用で脂肪燃焼を促進する

山芋のように、地面の下に埋まって育つ野菜は、体を温める作用があると言われています。主に秋冬野菜に多く、山芋の他にはねぎや人参、生姜、ごぼう、レンコンなどが挙げられます。

逆にトマトやキュウリなど、夏が旬の野菜には体を冷やす作用があるため、女性は夏以外に夏野菜を食べるときは、温かいものと一緒に食べたり、加熱調理をするなど工夫をした方が良いでしょう。
山芋は生食でも体を冷やすことがないので、体を冷やしやすい女性でも安心して食べられます。

血糖値の上昇を抑えるムチンが含まれている

山芋の特徴であるネバネバは、「ムチン」という成分によるものです。山芋以外には、納豆やオクラ、モロヘイヤにも豊富に含まれています。
ムチンは、胃腸を潤して粘膜を保護し、消化吸収活動をサポートする働きがあるので、山芋に含まれる栄養を無駄なく吸収できるのです。
また、水溶性食物繊維と同じように、血糖値の上昇を緩やかにする働きもあります。

豊富な酵素が消化を促進する

山芋にはジアスターゼやアミラーゼという、消化酵素が豊富に含まれています。人間の体内には、消化酵素と代謝酵素があり、消化酵素が多く分泌されると代謝酵素が減り、エネルギーや脂肪の代謝が低下してしまいます。
山芋には消化酵素がたくさん含まれているため、体内の酵素の負担が減り、代謝酵素の働きが促進され、体の巡りをスムーズにしてくれるのです。

カリウム豊富でむくみを防ぐ

カリウムは、体内のナトリウムや水分を調整し、余分なものを排出してむくみを防ぐ栄養素です。山芋にはカリウムが豊富に含まれているため、塩分の濃い食べ物を一緒に摂取しても、余分な塩分を排出してむくみを防いでくれます。

むくみは、余分な水分や老廃物を体内に溜め込み、主に下半身のセルライトを作る原因になので、むくみを予防することはセルライト予防にもなるのです。
むくみやすい体質の方は、山芋の摂取を習慣にしてむくみを予防しましょう。

代謝を促進するビタミンB群が含まれる

山芋には、ビタミンB1、B2、ナイアシン、葉酸といったビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群は、複数が作用しあって脂肪の代謝や細胞の代謝をサポートするのです。

また、ビタミンB群は、糖質や脂質がエネルギーに変換するのに欠かせない栄養素なので、糖質や脂質が脂肪として蓄えられる前に、エネルギーとして消費されるのをサポートしてくれます。

山芋のダイエット効果を上げる食べ方

ご飯と一緒に食べて糖の吸収を抑える

山芋といえば、すりおろして山かけご飯にするのが定番ですよね。実は、山かけご飯はダイエットにいい食べ合わせなのです。
カロリーは、ご飯1杯269kcal、すりおろし山芋100gで65kcalなので、合わせると334kcalになります。

糖質量はおよそ59gと多めですが、山芋の水溶性食物繊維とムチンの働きで、血糖値の上昇が緩やかになるため、糖の影響が少ないのです。
また、サラサラと食べられる手軽さで、食欲のないときも無理なく栄養を摂取できます。

麦ご飯と一緒に食べると効果的?

「麦とろ」と呼ばれる麦ご飯にすりおろした山芋をかける料理です。山芋のねばりと麦ご飯のさらっとした味わいが絶妙で、主に夏を中心によく食べられます。白米と麦ご飯のカロリーを比較してみましょう。

食品名:カロリーkcal、炭水化物、脂質、たんぱく質、糖質(100gあたり)
白米:269kcal、59.63g、0.48g、4g、59g
麦ご飯:252kcal、55.6g、0.73g、4.4g、53.35g

カロリーにはあまり違いはありませんが、麦ご飯の方が糖質量は少なめです。脂質は麦ご飯の方が多めですが、食物繊維量は白米の17倍あり、水溶性と不溶性両方の食物繊維をバランスよく含んでいます。

水溶性食物繊維の糖の吸収を緩やかにする働きと、不溶性食物繊維の腸を刺激して便通を促す働きが期待できるのです。
山芋をダイエットのために習慣的に摂取するなら、白米に大麦を加えて麦ご飯にすると、より高いダイエット効果が期待できます。

加熱調理せずに生で食べる

山芋には、ビタミンCが豊富に含まれていますが、ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いため、加熱調理をすると失われてしまいます。
ビタミンCは、体内の活性酸素を除去し、活性酸素によるシミやたるみなどの肌トラブル予防にいいと言われている栄養素です。山芋を生で食べれば、ダイエット効果に合わせて、美肌効果も期待できるので、ぜひ生で食べましょう。

また、加熱調理には油分のカロリーが加わるというデメリットもあります。
どうしても加熱調理して食べたいときは、体にいい脂質を豊富に含むオリーブオイルや、酸化しにくいココナッツオイルを使いましょう。

わさびと合わせて食べる

山芋自体が消化しやすく、胃腸に優しい食材ですが、薬味を合わせて食べると、消化吸収力がさらにアップします。
薬味の中でも、特にわさびがオススメです。

抗菌作用が強いわさびは、食中毒の予防や、独特の辛味で山芋の淡白な味わいにアクセントを加えられます。
また、わさびに含まれる「スルフィニル」という抗酸化成分が、活性酸素による細胞の老化を防ぎ、加齢による内臓の機能低下や肌トラブルを防ぐ働きが期待できるのです。
すりおろした山芋はもちろん、短冊切りにした山芋に、刻み海苔と一緒にわさびをトッピングすれば、低カロリーでヘルシーなおかずになります。

山芋を食べると太る?ダイエット中の注意点

ご飯を食べ過ぎる

サラサラと食べやすい山芋のすりおろしですが、ご飯にかけて食べると、思わず箸が進んでしまいます。山芋自体はヘルシーですが、ご飯はたとえ麦ご飯にしても、2杯以上食べるとカロリーオーバーしてしまうので要注意です。
山かけご飯は、山芋の粘りでつい噛まずに飲み込んでしまうことが多くなります。かむ回数が少ないと、満腹中枢が刺激されず、満腹感を感じにくくなり、食べる量が増えてしまうのです。

山芋のすりおろしをご飯にかけるときは、かむ回数が増えるおかずを合わせて食べましょう。
食物繊維が豊富な食品は、かむ回数が自然と増えるので、キャベツやごぼう、キノコ類を使ったおかずがオススメです。

揚げ物にして食べる

山芋は、揚げるとシャキシャキ食感に加えて、ほくほくとした食感も生まれます。フライドポテトのように、衣をつけて高温でカリッと揚げると美味しいのですが、ダイエット中は避けた方が良いでしょう。
揚げ物は、衣が油を多く吸うので、高カロリーになりやすいからです。山芋自体がヘルシーでも、油を吸った衣も一緒に食べるので、結果的にカロリーオーバーになってしまいます。

すりおろす以外では、短冊状にスライスして食べたり、輪切りにして甘酢で漬けて漬物にして食べるのがオススメです。

カロリー、糖質共に少なくてヘルシーな山芋。ダイエットにいい食物繊維やカリウム、美肌にいいビタミンCも豊富に含み、栄養バランスのいい食材です。
栄養が偏りやすいダイエット中にはぴったりですが、ご飯を食べ過ぎたり、油たっぷりで調理するのはダイエットに不向きなので要注意。
わさびを添えたり、噛み応えのあるおかずを合わせるなど、食べ合わせを工夫すれば、よりダイエット効果が高く期待できます。