ぶどうのカロリーは?ダイエット向き?糖質・脂質・タンパク質比較

私たちの舌を楽しませてくれる「ぶどう」。そのカロリー、栄養素、ほかの食品との比較、特徴的な成分、そして糖質制限ダイエットに向いているものかどうかを見ていきます。

ぶどうとは?ぶどうの種類と旬

ぶどうとは?

ぶどう(葡萄)は、日本でも非常に有名な果物です。
ただこの身近な食べ物であるぶどうは、実は非常に長い歴史を持っています。その起源は紀元前8000年ごろにまでさかのぼると言われており、古くから人間とともにあった果物なのです。シリアの遺跡から発見されたこれは、その後も人類の歴史とともに発展していき、紀元前3500年前にはこれについて記したものも見つかっています。

ぶどうは一般的に種を持っていますが、現在では種なしのものも販売されています。また、だれもが知るアルコールであるワインの原料としても使われています。料理のソースなどにも使われてもいますが、干しぶどうにして保存食としても利用されるようになりました。

生で食べても、アルコールの原材料としても、料理の材料として、そして保存食としても活躍するぶどうは、その優れた食味もあり、愛好家の多い食品だと言えるでしょう。

ぶどうの種類

さて、このぶどうには、実は多くの種類があります。

ピオーネ、デラウェア、巨峰、シャインマスカットにナイアガラ、ピッテロ・ビアンコ。
同じ「ぶどう」に分類されるものですが、その味わいは大きく異なります。

食べ応えがあり、大きい果肉が特徴の「ピオーネ」。
種なしであることから、食べやすさという点で優れている「デラウェア」。
ピオーネの親(ピオーネは巨峰とマスカットを組み合わせて作られた)であり、名前に負けない大きな粒を持つ「巨峰」。
かぐわしく豊かな香りを放ち、お菓子などにもよく使われる「シャインマスカット」。
長野県などではワインの原材料としても使われることがある、非常に高い糖度を誇る「ナイアガラ」。
皮ごと食べることができて、独特の形状を持つ希少価値の高い「ピッテロ・ビアンコ」。

それ以外にも無数の種類があります。

ぶどうの旬

ぶどうの旬は、品種によって大きく異なります。春先からすでに市場に出回るものがある一方、秋の2週間程度ほどしか味わえないものもあります。

ただ、一般的なぶどうの旬といえば、夏から秋にかけてでしょう。自家栽培のぶどうの場合も、多くはこの時期に成熟し、おいしく食べることができるようになります。

ぶどうのカロリーはどのくらい?ダイエットに向いているのか?

ぶどうのカロリー・糖質・脂質・タンパク質

食品 カロリー 糖質 脂質 タンパク質
ぶどう(100g) 59 15.2g 0.1g 0.4g
ぶどう(1房204g) 120 31.01g 0.2g 0.82g
ぶどうの概要を知ったところで、ここからは「栄養素をとるための食材」としてのぶどうについて見ていきましょう。

ぶどうはそれほど特筆した栄養素を持っているわけではありません。カリウムの含有量はやや多いものの、温州みかんなどとほぼ同じ程度です。果物は全体的にカリウムが多い傾向にあるため、130ミリグラムという数字は、突出しているとは言いにくいものです。

ただ、ぶどうの場合、豊富なポリフェノール(アントシアニン)を含んでおり、これが健康によい影響を与えるとされています。
また、干しぶどうは非常にハイカロリーではありますが、同時に豊富な栄養素も持っています。リンやマグネシウム、カルシウムなどのミネラル分を豊富に含んでおり、その数字は、生のぶどうと比較になりません。

ぶどうでダイエットはできる?カロリーは低いの?

ぶどうとダイエットの関係について見ていきましょう。
ぶどうのカロリーは100グラムで59キロカロリーです。数字で言ってもわかりにくいと思われますが、この「100グラム」という数字は、巨峰7~8個分ほどの分量です。小ぶりのデラウェアの場合は1房程度に相当します。

上では「ぶどうは突出した栄養素がない」としましたが、カロリーもその例にもれません。
肉類などは100グラムで200キロカロリー前後(鶏もも肉など)のカロリーがあるため、それに比べればカロリーは低いと言えます。しかし、ダイエットの強い味方として知られるもやし(品種にもよりますが、100グラムで12~37キロカロリー)に比べれば高いと言えるでしょう。
ほかの果物と比べても、「高くもなく、低くもなく」ということになります。

このため、ぶどうはダイエットには適当とも不適当とも言えません。

ぶどうのカロリーを他食材と比較

ぶどうと他の果物とのカロリー比較(100gあたり)

食品 カロリー
ぶどう 59kcal
いちご 34kcal
りんご 54kcal
みかん 45kcal
バナナ 86kcal
「デザートや3時のおやつに、ドーナッツなどの代わりにぶどうを食べる」ということであれば、総合摂取カロリーを低くすることは可能です。
たとえば、ドーナッツなどは1個で300キロカロリーを超えることも珍しくありません。洋菓子よりはカロリーが低いとして知られている和菓子(たとえば桜餅など)も1個で120キロカロリー程度はあります。
もちろん「どんな種類のドーナッツ(和菓子)か」によってもカロリーの計算は異なってきますが、一般的な「お菓子」を食べるよりはぶどうを間食にした方がよいでしょう。

一方で、ぶどうは腹持ちのよくない果物であることも事実です。カロリーが低いためある程度は仕方のない部分もありますが、食べても満足感が少ないという欠点もあります。
このため、ついつい食べ過ぎてしまうということもあり得ます。

ぶどうの調理方法別のカロリー比較(1人前)

食品 カロリー
ぶどうゼリー(1カップ) 80kcal
ぶどうジャム(おおさじ1杯20g) 41kcal
ぶどうジュース(100ml) 55kcal
ぶどうは、料理の食材としても使われるものです。そのため、「何を混ぜるか」「何と合わせるか」によって、そのカロリーは当然大きく違ってきます。一元化してお話しすることは非常に難しいと言えるでしょう。

ただ同じぶどうであっても、干したときと生で食べるときではまったく栄養価が異なります。
比較しやすいこちらを取り上げましょう。

干したぶどうはそうではないぶどうに比べて水分量が非常に少なくなっています。
このため、同じ100グラムであっても、とても多くの身を食べることになります。
これは「カロリー」「栄養素」に大きな違いをもたらします。

生のぶどうは、100グラムあたり59キロカロリーのエネルギーを持っています。対して干しぶどうの場合は100グラムで301キロカロリーと、5倍近くのエネルギー量を有しています。

ぶどうの糖質・脂質・タンパク質量を他の食材と比較

ぶどうと他の果物との糖質・脂質・タンパク質量比較(100gあたり)

食品 糖質 脂質 タンパク質
ぶどう 15.2g 0.1g 0.4g
いちご 7.1g 0.1g 0.9g
りんご 10.77g 0.1g 0.2g
みかん 11.1g 0.1g 0.7g
バナナ 21.4g 0.2g 1.1g
ぶどうの糖質・脂質・タンパク質量は高いものではありません。例えばぶどうの糖質は、100グラムで15.7グラムです。いちごの倍程度の量ではありますが、バナナの3分の2程度であり、脂質量も0.1グラムと決して多くはありません。
脂質や炭水化物量などは、上で挙げたドーナッツなどよりははるかに低いので、安心して食べることができるでしょう。

一方、体の筋肉をつけるために必要不可欠な「タンパク質」の量は、肉類よりも大きく劣ります。ぶどうの場合、100グラムにわずか0.4グラムしか含まれていませんが、たんぱく質をとりやすい肉類として知られている鶏ささみ肉の場合は23グラムもあります。鶏ささみ肉と同じエネルギー量(105キロカロリー)と同じだけぶどうを食べたとしても、得られるタンパク質量は約0.8グラムです。また、炭水化物量は鶏ささみ肉が0であるのに比べて、ぶどうは15.7グラムあります。
このため、「摂取カロリーを低くしてダイエットしたい」というよりは「しっかりと運動して、摂取したカロリーを筋肉に変えつつ消費したい」という人の場合は、鶏ささみ肉などをとった方が効率がよいでしょう。

ぶどうの調理方法別の糖質・脂質・タンパク質量比較(1人前)

食品 糖質 脂質 タンパク質
ぶどうゼリー(1カップ) 18.47g 0.14g 3.11g
ぶどうジャム(おおさじ1杯20g) 9.98g 0.02g 0.11g
ぶどうジュース(100ml) 14.5g 0.2g 0.3g
ここでも、「生ぶどうと干しぶどうの比較」をしていきましょう。

干しぶどうの炭水化物量は80.7グラムと、生のときの5倍ほどの量です。ただし、タンパク質量も8倍ほどになります。脂質に関しては、0.1グラムと0.2グラムと倍の違いはありますが、どちらも非常に少ないのであまり気にすることはないでしょう。

カロリーで比較した場合、干しぶどうは生ぶどうの5倍程度です。カロリーと比較した場合、炭水化物量はほとんど変わりません。対して、生で食べるときよりもはるかに効率よくタンパク質を摂取することができるので、運動を組み合わせたダイエットをしている人には干しぶどうが使いやすいでしょう。

ぶどうの特筆すべき栄養素

ぶどうの特筆すべき栄養素として、アントシアニンが挙げられます。これはポリフェノールの一種であり、
動脈硬化の予防や美容効果が期待できる、と言われているものです。アンチエイジング効果なども期待できるため、積極的にとっていきたいものでもあります。また、視力回復に役立つともされています。

もっとも、アントシアニンの効果については、専門家の間でも「根拠がある」「根拠がない」という意見が出てきており、まだ決着していません。ただ、ぶどうという食べ物はリスクの高いものではありませんから、「効果があったらなおよし、なくてもおいしいから構わない」という感覚で食べていくとよいのではないでしょうか。

ぶどうのおすすめ調理方法・レシピ

ぶどうの調理方法はたくさんあります。

たとえば、つぶして砂糖と一緒に煮詰めてジャムを作るのも一つの方法ですし、ヨーグルトと混ぜて食べてもおいしいものです。

また、ぶどうは意外とお肉とも相性がよい食べ物です。角切りにして赤ワインやコショウで味付けした豚肉に、小さく切ったチーズ、半分に切った巨峰(種を取り除いておくとなお良い)を重ねてつまようじでとめたピンチョスは、お酒の肴にもオードブルにもぴったりです。

ぶどうでダイエットの注意点、健康上に問題、太ってしまう理由

ぶどうは、それ自体はダイエットに向いている食材だとも向いていない食材だとも言えません。

上でも述べましたが、ドーナッツや和菓子の代わりの間食としてとるのであれば、ダイエットによいものだと言えるでしょう。
対して、「しっかり運動して筋肉をつけるかたちでのダイエット」を心がけている人にとっては、腹持ちの悪さとたんぱく質量の少なさがネックになります。

食べ続けることで重篤な副作用が見られる可能性も極めて少ないため、安心して食べることができます。

ぶどうは、それ自体は決してカロリーの高いものではありません。ただ、ジャムは大量の砂糖を使いますし、肉とあわせる場合も肉の部位や味付けによってはカロリーが跳ね上がるので注意したいものです。
ヨーグルトに混ぜる場合は、「ぶどうの甘さでヨーグルトを食べる」という意識を持ちましょう。無脂肪のヨーグルトを用いて、砂糖も使わないで食べることをおすすめします。

糖質制限ダイエット中にとってもよいか?

ぶどうの炭水化物量は、決して高すぎるものではありません。小麦や白米と比べるとはるかに少ない量です。
ただ、それでも「果糖」を含むものであるため、肉類に比べて糖質は高めです。カロリーは肉類よりもずっと低いのに糖質はずっと多い、という現象が起こるわけです。
なお、「炭水化物」とは本来は「糖質+食物繊維」のことを指しますが、糖質制限ダイエットにおいてはしばしば似たような意味に使われます。

このため、糖質制限をしている場合は、「絶対に食べてはいけない、とまでは言えないけれど、摂り方には注意が必要なものだ」ということができるでしょう。