野球肩を予防・治すためのストレッチ方法を解説!野球肩の原因

監修者

岩上 大輔

JSA-CSTS、JSA-CSTP

野球以外にも「野球肩」ってなるの?ストレッチプロトレーナーが「野球肩」について原因を詳しく解説します。身体の使い方がわかる、肩周辺のストレッチ方法を徹底的に教えます!

野球肩とは?

岩上 大輔監修トレーナーからのアドバイス

JSA-CSTS、JSA-CSTP

野球をやったことがある方は1度は耳にする、「野球肘・野球肩」その中でも今回は「野球肩」について解説します。

肩関節にある、関節包や肩関節に付着する腱や筋の損傷によるもので、損傷の部位によって、肩の前方、または後方が痛み、野球肩とはボールを投球動作が終わった時に痛みを感じる事を「野球肩」と呼んでいます。
スポーツではハンドボール、やり投げ、ソフトボール、アメリカンフットボール、水泳など投げる動作や肩を動かす動作が多く、負担がかかるスポーツはなりやすいといわれています。

この「野球肩」といわれる状態には、つぎのような損傷が含まれています。

①インピンジメント症候群

肩を使うたびに、上腕骨頭をおおう軟部組織、腱板の筋肉・腱、肩峰下滑液包、二頭筋腱が挟まれ、こすられて炎症がおこる結果、肩が痛みます。

②回旋筋腱板損傷

回旋筋腱板、別名ローテーターカフと呼ばれており、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つ筋肉の総称です。これらの一部が損傷で炎症を起こし、肩自体が動きが悪くなったり、上がらなくなる。スポーツでは投球動作でねじれや肩だけが動いてしまい負担が考えられます。

③ルーズショルダー

名の通り、肩関節が緩いる状態で肩の動作に不安定な状態が続くため、肩が抜けるような感覚になり炎症を起こりやすくなる症状。症状によっては痺れや肩の可動域に制限が出る場合もあります。

④上腕骨骨端線離開

スポーツで投球動作での過度なねじりで負担がかかり、上腕骨の骨頭が分離する状態が起こり痛みを生じる。特に成長期の小中学生によく発症します。

肩周辺を知ろう!

「野球肩」がどんな症状と知ったところで、今度は、肩周辺の構造と機能をご紹介します。

「野球肩」でとても大事な筋力は前述でもありましたが、ローテーターカフの存在です。この4つの筋肉がちゃんと機能すること、オーバーワークになって負担がかかりすぎていないかが大事です。

まずはこのローテーターカフの4つの役割は、

・棘上筋
腕がお尻の位置から真横に上げるときに(外転)使われる

・棘下筋
①腕がお尻の位置から真横に上げるときに(外転)使われる
②肩関節を外巻する(外旋)ために使われる

・小円筋
①腕を真横にあげてる状態から下ろすときに(内転)使われる
②肩関節を外巻する(外旋)ために使われる

・肩甲下筋
①腕を真横にあげてる状態から下ろすときに(内転)使われる
②肩関節を内巻する(内旋)ために使われる
③腕が真横の状態から水平に胸の前に動かす(水平屈曲)ために使われる

この4つのローテーターカフの中で、1つでも損傷があれば肩の動きが悪くなり、痛みが出てきます。

肩周りがなんか痛むと感じた時には遅いです。1番大事なのは事前に防ぐことです。実際に「野球肩」になりやすいかどうかを、3つのチェック方法で調べてみましょう。

野球肩になりやすいかチェックする方法

①手が腰の後ろで合掌できるか。指先までつけば合格ラインです。
②肩関節の外転動作が出来るか。手がお尻のところから横に広げ、肩のラインまで上がれば合格です。
③肘が肩のラインで肘90度にした状態で手が上がるか。指先が垂直まで行けば合格です。
1つでも出来ないものがあれば「野球肩」になる可能性はあります。

①が出来ませんでした…

岩上 大輔監修トレーナーからのアドバイス

JSA-CSTS、JSA-CSTP

あらら(笑) 後述するストレッチをしっかりと行ってくださいね!

野球肩は肩以外に問題がある?

投球動作で早く投げようとして、指先や手首に力が入り少しづつ肩の痛みが出てきてしまう。このような投球動作は身体の筋肉が緊張してしまい、投球フォームが乱れ、身体の連動性がうまく使えなくなり、本来の力を発揮できないですし、肩への負担が大きく出てしまいます。

岩上 大輔監修トレーナーからのアドバイス

JSA-CSTS、JSA-CSTP

ここでよく出てくるのは「肩のインナーが弱いからもっと鍛えなきゃ」「肩が硬いからもっと肩を柔らかくしなきゃ」と考える方が多いと思われます。

確かに肩の柔軟性や筋力をつけるのは大事ですが、今回の「野球肩」ではそれ以外に大事なことがあります。それは「下半身の安定」「肩甲骨の動き」が大事だと私は思います。

野球肩の予防に大切なことは「下半身の安定」と「肩甲骨の動き」

まずは「下半身の安定」ですが、下半身が硬い、足に力が入らないとなってしますと体幹がぶれてしまい、投球動作中、肩で安定したところを探してしまい、肩には余計な力が入ってしまい指先まで力が入りません。そこで下半身の強化、下半身の柔軟性を向上させることをお勧めします。下半身がしっかりすることで上肢と下肢の連動性がつきやすくなります。

次に「肩甲骨の動き」が一番大事でしょう。
肩を正しく動かすという事を考えたことがありますか?

まず肩はどのように動くか?「上腕骨」「鎖骨」「肩甲骨」が連動して動く必要があることが正しく動かしています。肩甲骨が連動することにより肩への負担が軽減されます。
肩甲骨の動きは
・背中を寄せる(内転)
・背中を猫背にし肩甲骨を開く(外転)
・肩を挙げる(挙上)
・肩を下げる(下制)
・手を下から横に挙げる(上方回旋)
・手を横から下げる(下方回旋)

の6つの動きが出来ます。この動きを少しづつ動かして可動域を広げることが最重要です。

トレーニングで筋力をつけるのも大事ですが、可動域を広げ、連動性を上げてからトレーニングをする順番が「野球肩」になりにくい、予防、改善ではないかと思います。

野球肩を予防・改善する3つの方法

これまでお話したことを踏まえて、「野球肩」の正しい原因を理解して、その原因に対して適切な治療をして、再発が起きないような身体作り、そしてこれからならないように改善します。
そこで皆さんには3つの予防・改善をご案内致します。

①肩甲骨周辺の動きを良くする

肩の柔軟性はもちろんですが、肩の動きを良くする前に肩甲骨の動きを良くしましょう。
寝た状態でテニスボールを肩甲骨の下に置き、ゴロゴロして肩甲骨をほぐしていきます。ほぐれることで、手を上げる際に肩甲骨も一緒に動いて肩の痛みも軽減します。

②下半身の柔軟性の向上

投球動作中どうしても速い投球をすると、上半身だけで投球してしまいがちで肩に負担がかかります。
身体の連動性を活かす為には、下半身の柔軟性が不可欠になります。

③セルフケア・アフターケアをしっかり行う

野球肩にかかわらず、動いた後にセルフケア・アフターケアは行ってますか?運動した後にストレッチ・マッサージ・アイシングなどを行うことで様々な効果がでます。
・柔軟性の向上
・痛みの軽減
・疲労の回復

セルフケア・アフターケアをすることでの怪我防止、予防がしっかり出来る事でしょう。

野球肩に効果的な5つのストレッチをご紹介!

野球肩の予防、改善をする為にはどんなことが大事か?前述したように、下半身の柔軟性はもちろん大事ですが、ここでは最も重要な肩、肩甲骨周辺のストレッチ中心に厳選した5つをご紹介します。

ストレッチ、トレーニングではどこを使ってるのか?どこが伸びているかがとても大事になり、無理をせずに行いましょう。

①広背筋のストレッチ

1)四つん這いになって両手の小指と肘をくっつけます。
2)その状態から踵とお尻を近づけるように重心を後ろにかけ、かがんでいきます。両手の小指と肘が離れないようにする事が大事です。

②ローテーターカフ(インナーマッスル)のストレッチ(棘下筋・小円筋)

1)背筋を伸ばした状態で伸ばしたい側の腕を腰に回します。
2)反対側の手で肘を前に引き寄せて伸ばします。お腹を引き上げ背中が丸まらない事、肩甲骨を内側に寄せておく事が大事です。

③ローテーターカフ(インナーマッスル)のストレッチ(棘下筋)

1)背筋を伸ばした状態で伸ばしたい側の腕を前に出します。
2)その前に出した腕を、反対の腕で首元の方に引っ張り、少し巻き付けるように引き寄せます。この時、肩がすくまないのが大事になります。

④ローテーターカフ(インナーマッスル)のストレッチ(棘下筋・小円筋)

1)ストレッチしたい肩を下にして横向きに寝ます。
2)下の肩をまっすぐ前に出し肩関節を直角にします。
3)肘関節も90°に曲げ手の平を床に向けます。
4)逆の手で手の甲に手をあてて、床向かってゆっくり押していきます。首はリラックスし、頭を上げないのが大事です。

⑤大胸筋のストレッチ

1)伸ばしたい側の腕を、手の平を肩の高さに壁につける。肘は軽く曲げたままにします。
2)手が壁についている足を、一歩前に出し、肩甲骨を寄せ、胸を伸ばします。この時少しだけ重心を前にかけるのことが大事です。

岩上 大輔監修トレーナーからのアドバイス

JSA-CSTS、JSA-CSTP

今ご紹介したのがすべてではありません。これらを定期的に行うことで、実際に動きが悪かったことを改善にもなり、改善もされていきます。「野球肩」になる前にしっかりした準備運動、アフターケアでストレッチを習慣してみてはいかがでしょうか。

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