ランニングで腹筋は鍛えられる?腹筋を鍛える上での注意点も!

ランニングはダイエットや脂肪燃焼の効果だけでなく、呼吸方法やランニングフォームを工夫すれば腹筋も鍛えられることができます。ここでは、ランニング時に腹筋を鍛える方法と腹筋を鍛える時に注意すべきポイントについて解説します。

腹筋の部位を復習

本題に入る前に腹筋についてのおさらいをしましょう。
腹筋群は①腹直筋、②外腹斜筋、③内腹斜筋、④腹横筋の4つで構成されています。では、それぞれの筋肉はどのような働きをしているか下記に簡単に説明します。

①腹直筋

 腹直筋は体幹下部の前面を走る長い筋肉です。腹圧を加えたり、体幹の屈曲・伸展時に主に働く筋肉です。

②外腹斜筋

 外腹斜筋は脇腹を覆うアウターマッスルです。肋骨や胸郭の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げに関与しています。

③内腹斜筋

 内腹斜筋は外腹斜筋の深部に位置している筋肉で、外腹斜筋の補助筋として同様の働きを持っています。

④腹横筋

腹横筋は腹筋群の一番深い所に位置します。腹巻きのように真横に走行していて、腹部全体を覆っています。腹横筋はお腹の姿勢を維持する上で重要な働きを担っています。お腹がポコンと出ていたり、内蔵下垂の原因は腹横筋の緩みにあります。

つまり、腹筋群は
1.腹腔内圧を高める
2.内蔵の位置を安定させる
3.体幹を安定させて上半身を支える

の3つの働きがあります。

どうしてランニングをすると腹筋は鍛えられるの?

ランニング時に限らず、私たちは日常生活において常に腹筋を使っています。起き上がる時、寝っ転がる時、歩く時、座る時等、腹筋を使う場面は様々あります。ランニング時も姿勢を維持するために勿論腹筋を使います。

ランニングで使われる筋肉は大雑把にいうと、下肢を動かすための筋肉と姿勢を維持するための筋肉の2つに分類されます。

下肢を動かす筋肉とは主に大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋、大臀筋です。そして、姿勢を維持するための筋肉は主に脊柱起立筋と腹直筋の2つです。

ランニング時、私たちは自然と腹筋を使うと説明しましたが、それは「正しいランニングフォームで走っている」時に限ります。猫背や前傾姿勢、逆に反りすぎた姿勢は他の腹筋に負荷をかけず、他の筋肉に負荷をかけることになります。

また、例え正しいランニングフォームでランニングをしていたとしても、腹筋にはある程度の負荷をかけているものの、「鍛える」ことにはなりません。

ランニング時腹筋を鍛えるためには
1.正しいランニングフォームで走る
2.呼吸方法を工夫する

の2つを行うことが必要です。では、この2つの実施方法を具体的に下記で確認していきましょう。

ランニングフォームはとても大切!

正しいランニングフォームで走ることは非常に重要なことです。上記でも説明したように猫背や前傾姿勢、反りすぎた背中は腹筋に適度な負荷を与えないだけでなく、身体に余計な負担をかけて疲れやすくなったり、腰・膝の痛みの原因にもなります。

上半身のランニングフォームは背筋を伸ばして、肩の力を抜くことがポイントです。そして、下半身のランニングフォームは自然な歩幅と踵から着地することがポイントです。

また、腹筋に適度な負荷を加えるためにランニングで大切なのは下体より体幹であるとも言われています。勿論、下体のランニングフォームを意識することは大切です。

しかし、体幹を安定させることで下体の動きは自然と適正化されます。人間の身体のパーツはバラバラではありますが、実はそれぞれ体幹によって連動しています。上体の体幹が不安定だと、下体のフォームも安定しません。

体幹は脊柱から骨盤周辺の筋肉である「コアマッスル」によって支えられています。そして、コアマッスルを鍛えるためには「コアトレーニング」があります。

コアトレーニングは特別な動きをする必要がありません。腹筋運動や体幹トレーニングでよく実施されている「プランク」は体幹を鍛える上で効果的です。

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ランニング時の呼吸方法を見直して腹筋を鍛えよう

ランニング時にふさわしい呼吸リズムとは、「2歩で息を吸って、2歩で息を吐く」ことです。それに合わせて息を吐く時は、強く深く息を吐くことを意識しましょう。

どうして「強く深く息を吐く」ことが大切かというと、腹筋群の一番深い所に位置する腹横筋が活動するからです。腹横筋を鍛えることで、お腹の出っ張りや内蔵の下垂を解消できます。

また、ランニング時に余裕があれば内腹斜筋・外腹斜筋を同時に鍛えることができます。内腹斜筋・外腹斜筋は硬くなることでお腹がスムーズに曲がらなくなってしまうことから、通常の腹筋運動等であまり活動しないようにできています。しかし、体を斜めにして走行している性質を活かしたひねりの運動をすれば、鍛えることが可能です。

ランニング前後の運動やランニング時に呼吸を意識して強く息を吐きながら上半身をひねらせることで、腹横筋と内腹斜筋・外腹斜筋を同時に鍛えられます。

他に、ランニング時に行えない運動ではありますが、「ドローイン」という運動方法があります。これは体幹のトレーニング方法でもあるため、体幹を安定させたり正しいランニングフォームを作るための補助運動にもなります。

ドローインの方法
1.立った状態で姿勢を正す
2.ゆっくり息を吐きながらお腹を凹ませる
3.2の状態を30秒間キープする
1~3を10セット行う

腹筋を鍛える時の注意点

ランニング時に腹筋を鍛える上でいくつかの注意点があります。

1. ランニングで腹筋を鍛える≠腹筋が割れる

「ランニングで腹筋を鍛える=腹筋が割れる」という認識は誤っています。ランニングはあくまでも有酸素運動であり、脂肪を燃焼させる効果があります。

人間は生まれつき腹筋が割れている状態で存在していて、腹部周囲の脂肪を燃焼させることで自然とその腹筋が現れます。ランニングはその腹部周囲の脂肪を燃焼させる効果を持ちます。

また、上記で述べてきた「ランニングで腹筋を鍛える」とは、ランニング時に腹筋群を刺激するという意味であり、筋肥大をさせる意味ではありません。筋肥大を目指すのであれば、同時に筋トレをする必要があります。
 

2.普段の姿勢も意識する

普段の生活の姿勢もこの機会に見直しましょう。ランニングの時だけ姿勢を正すことは困難なことです。普段の生活で正しい姿勢を心掛けることで、ランニングフォームも無意識に正しくなります。また、普段から姿勢を正すことで、腹筋を鍛えられるだけでなく便秘の解消やスムーズな呼吸にもつながります。

3.食生活を見直しましょう

食事が揚げ物ばかりや低タンパクではランニングの意味が無いと同時に、「腹筋を割る」という路から遠のいてしまいます。筋肉を鍛えるために必要とされる高たんぱく質な食材やエネルギー源となる糖分の適度な摂取、食事を摂取する時間等を見直しましょう。

ランニングで腹筋は鍛えられるのか?まとめ

ランニングは有酸素運動であり、ダイエット・脂肪燃焼を促進する効果があります。そこで、ランニングフォームを正したり、呼吸方法を見直すことで腹筋を刺激して鍛えることができます。

しかし、ランニングで腹筋刺激して鍛えられたとしても、腹筋を割って筋肥大させることにはつながりません。ランニングをすると同時に、日常生活習慣を見直すことと筋トレを加えることで腹筋を鍛えましょう。

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