食物繊維の効果とは?ダイエット・便秘解消に効果あり!いつ摂取すべき?朝?夜?

監修者

鈴木里奈

予防医学士、理学療法士、ファスティングマイスター、ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター

第6の栄養素と言われる食物繊維の知られざる機能・効果についてわかりやすく解説!ダイエットや美だけでなく、病気の予防にもつながる食物繊維。これを読めば、自分にとって必要なものを必要なだけ、正しく摂取できるようになります。

今話題の食物繊維とは?

食物繊維とはヒトの消化酵素では消化できない成分のこと

食物繊維がなんなのか、よくわかりません〜!

鈴木里奈監修トレーナーからのアドバイス

予防医学士、理学療法士、ファスティングマイスター、ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター

今話題になっている栄養素の1つです。どんなものか解説していきますね!

食物繊維の定義は、『ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総体』とされています。
以前は、食べ物のカスとして全く評価されませんでしたが。最近は様々な機能が明らかとなっており、注目を浴びています。

食物繊維と腸は仲良し

食物繊維がなぜ注目されているのか。食物繊維はダイエット効果や腸内環境の改善など様々な健康機能が明らかにされています。そんな食物繊維と切っても切れない縁であるものが、です。

食物繊維の不足は、よく知られているもので便秘や痔、さらには腸内環境の悪化により発がんリスクが高まります。現代では特に、大腸がんが食物繊維の摂取不足と反比例して年々増加しています。

腸の役割

人は、食事をして栄養や水分を摂取し、食べたものはまず胃に運ばれ消化されます。その後に腸で必要な栄養素が吸収され、その栄養素は血液によって全身の細胞へ輸送されていきます。細胞へ運ばれた栄養素は、ミトコンドリア内で代謝され、ATPというエネルギー源を生み出します。ミトコンドリアによって代謝された栄養素はエネルギーとなり、それが、私たちの生きる力になり、不要なものは便となって排泄されていきます。この流れは一般的に全ての人に当てはまります。
この消化→吸収→輸送→代謝→排泄の流れが円滑であるほど、体の不調を防ぐことができます。

腸は、この消化、吸収、排泄の全てに関わりを持ちます。人の営みにとって欠かせない存在であることがわかります。

たかが食事、されど食事。これまで食べ物のカスとされてきた栄養素の1つである食物繊維は腸と密接な関わりをもち、さらに様々な健康機能があることで注目を浴びています。今話題の腸内環境や大腸がんなど、腸と密接に関わる栄養素である食物繊維について解説していきます。

意外と知らない食物繊維の分類

食物繊維って確かによく聞きますがどんな種類があるんですか?

鈴木里奈監修トレーナーからのアドバイス

予防医学士、理学療法士、ファスティングマイスター、ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター

食物繊維は大きく2つに分類されます。

水に溶けない『不溶性食物繊維』

不溶性食物繊維の主な効能は


・腸の動きを刺激し腸内に蓄積した水銀やカドミウムなどの有害物質の排出を促す
・水を含み膨らむ性質をもち、便の量を増やすことで便秘の予防効果
・大腸がんなど腸疾患の予防効果

などがあります。

主に穀類やごぼう・さつまいもなどの野菜に含まれています。

水に溶ける『水溶性食物繊維』

水溶性食物繊維の主な効能は

・腸内細菌の発酵を受けやすく乳酸菌などの有益菌を増やして腸内環境を改善する
・整腸作用(善玉菌のエサ)
・便秘の予防効果
・脂質異常症や糖尿病の予防効果
・糖の吸収スピードをゆるやかにする効果(食後血糖の上昇抑制作用)
・脂肪の吸収スピードをゆるやかにする効果(食後中性脂肪の上昇抑制作用)
・体内に蓄積された内臓脂肪や中性脂肪を減らす効果(ダイエット効果)
・腸壁にこびりついている宿便をからめ取る効果
・ビタミン、ミネラルの吸収促進作用

などがあります。

主にわかめやこんぶなどの海藻類やこんにゃくなどに含まれています。

食物繊維のダイエット効果

それぞれの食物繊維の効果はなんとなくわかりました!ダイエット効果があると言われているのはなぜですか?

鈴木里奈監修トレーナーからのアドバイス

予防医学士、理学療法士、ファスティングマイスター、ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター

気になるところですね。これには腸の働きが大きく関わっています。

食物繊維のダイエット効果①|血糖値の上昇を抑える

水溶性食物繊維には糖の吸収スピードをゆるやかにする効果(食後血糖の上昇抑制作用)や脂肪の吸収スピードをゆるやかにする効果(食後中性脂肪の上昇抑制作用)に加え、さらに体内に蓄積された内臓脂肪や中性脂肪を減らす、まさに夢のような効果・効能があります。
これは水溶性食物繊維が水に溶けることで、特有の粘りをだしこの粘りが一緒に摂取した糖や脂肪の吸収をゆるやかにしてくれるのです。

糖の吸収がゆるやかになることで血糖値の上昇が抑えられます。

これがどう関係するかというと、食物から摂取したでんぷんはブドウ糖に分解され小腸から吸収されて肝臓へ送られます。一部は肝臓を素通りして血中に入り、(血糖)組織のエネルギー源になったり筋肉や肝臓の中にグリコーゲンとして蓄えられます。肝臓の貯蔵量を上回るような、余ったブドウ糖が内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられてしまうのです。
血糖値が急上昇すると、血中に溢れたブドウ糖を減らそうと、脂肪細胞がそれらのブドウ糖を取り込んでいきます。こうして内臓脂肪や皮下脂肪へ蓄えられる可能性が高まっていきます。

反対に血糖値の上昇をゆるやかにすることで、血中に取り込まれた糖は細胞へ運ばれ、エネルギーとして使用されます。
このエネルギーの源であるATPを作り出すことを代謝といいます。糖はまず解糖系といって、酸素を使用しない方法で代謝され、続いてTCAサイクル、電子伝達系といって酸素を使用する方法で代謝されます。血中の糖が溢れかえっているとこのエネルギー回路もうまく回らず、結果として代謝が下がってしまいダイエットの妨げとなっていくのです。

血糖値をコントロールすることがダイエット成功につながります。

食物繊維のダイエット効果②|便秘改善・炎症抑制・脂肪蓄積を抑える

さらに水溶性食物繊維にはもう1つ重要な効能があるのです。

それは短鎖脂肪酸を作り出すことができるということです。

短鎖脂肪酸をご存知でしょうか?

これは腸内細菌が水溶性食物繊維を分解して作り出す酪酸・酢酸・プロピオン酸の化合物です。短鎖脂肪酸には便通の改善のほか、炎症を抑えたり、脂肪の蓄積を抑える効果があるのです。
まさに夢のようです。
短鎖脂肪酸を増やすには、食生活が最も重要で、食物繊維を1日に必要な摂取量をとることが重要です。

食物繊維は摂取量の目安と摂取タイミング

食物繊維の摂取量

ではこのように様々な健康機能がある食物繊維はどのくらい摂取すればよいのでしょうか。
厚生労働省は1日の摂取量を男性では20g、女性では18gとしています。

では、1日必要量を満たす食物繊維を摂取する場合、どんな食品からどのくらいの量を摂取する必要があるのでしょうか。

例えば海藻類であるわかめは1食あたり(20g)、1.98gの食物繊維が含まれています。ということは、1日必要摂取量の食物繊維を満たすには約200gのわかめを摂取する必要があります。
このように本当に必要な量を食事から摂取することはとても大変なことであり、”摂取しているつもり”という状況に陥りやすいのです。
これではこれらの効能が得られにくくなってしまいます。
効能を得るためには、必要摂取量をきちんと補う意識が必要です。

また食物繊維は、血糖値の上昇を抑えるなどの効能からいうと、毎食摂取することが望ましいです。1日18~20g必要なので、1食あたり6~7g摂取することが必要です。

食物繊維はいつ摂取すべき?朝?夜?

また、腸内環境を改善していくためには食物繊維だけではなく、腸内細菌である乳酸菌などの有益菌も一緒に摂取すると効果的です。
有益菌を摂取するタイミングとしては、朝などの空腹時ではなく、寝る前が理想です。理由は空腹時は胃酸が強く、濃度も高くなっているため菌が死滅してしまうことも考えられるためです。

まだまだ食物繊維についてや腸については語りきれません。まずは基本的なところである食物繊維についてや腸内環境改善のポイントをおさえておきましょう。