バリスティックストレッチとは?効果とやり方、ダイナミックストレッチの違いを解説

監修者

吉村 有理菜

介護予防運動指導員、日本フィットネス協会GFI、FTPベーシックマットピラティスインストラクター、日本体調改善協会コンディショニングインストラクターbasic、社会福祉主事、児童指導員

近年ではあまり採用されることが少ないバリスティックストレッチ。なぜ行われなくなったのか?
それに代わるダイナミックストレッチ、どのように行うものなのかを動画を含め詳しくご紹介します。

ストレッチの分類について

バリスティックストレッチというやり方があるというのを聞いたことがあるのですが、ストレッチって色々種類があるのですか?

吉村 有理菜監修トレーナーからのアドバイス

介護予防運動指導員、日本フィットネス協会GFI、FTPベーシックマットピラティスインストラクター、日本体調改善協会コンディショニングインストラクターbasic、社会福祉主事、児童指導員

そうなんです!ストレッチにはいくつか推奨されている方法があります。その一つにバリスティックストレッチというものがあります。そちらを含め、まずストレッチとは?というところから、更に目的に沿ったストレッチ法のご紹介から始めたいと思います。

ストレッチを大まかに分類すると、

・動きながら筋肉を伸ばしたり縮めたりを繰り返して行う動的なストレッチ
  →ダイナミックスストレッチ
  →バリスティックストレッチ

・伸ばした状態を維持する静的なストレッチ(スタティックスストレッチ)

に分けることが出来ます。
動的なストレッチは、更にダイナミックスストレッチとバリスティックストレッチに分けられます。

他にも、固有受動的神経筋促進(PNF)を利用したストレッチがあります。
筋肉の緊張を高めたり活動させることで筋肉を緩めるテクニックとして考案され、その後可動域を広げる方法です。この方法は通常パートナーと行うことで効果を発揮します。

このように、主に4種類のストレッチ法がありますが、今回は動的ストレッチの中のバリスティックストレッチとダイナミックに焦点を当て解説したいと思います。

バリスティックストレッチとダイナミックストレッチの違い

前の項で、動的なストレッチには2種類あることをご紹介いたしました。その二つ、バリスティックストレッチとダイナミックストレッチの使用方法と効果、違いを解説します。

バリスティックストレッチとは

反動をつけながら筋肉をストレッチさせようとするものです。

代表的な例は、学生時代を思い出して頂き、体育の準備体操で行われていたものです。例えば、左右の足を前後に数十センチ開いて置き、そこから後ろの足のかかとをぽんぽんと地面に素早く付ける動作です。『アキレス腱のストレッチ』と呼ばれていたものですね。細かく言うと、このストレッチはアキレス腱が伸ばされているわけではないのです。

他にも、床に腰を下ろして両脚を前に真っすぐ伸ばしたまま(長座の姿勢)、上体を前後に動かして反動をつけながら、ハムストリングス(腿裏の筋肉)を伸ばそうとするものもあります。脚を伸ばしたまま、後ろに立つパートナーに背中を押してもらいながら、深く上体を前屈させていくことが多いです。

このような古くから行われていたストレッチは、強い反動をつけて行うと筋紡錘というところが刺激され、伸張反射によって、せっかく伸ばそうとしている筋肉が逆に強く短縮し、画像のストレッチでは膝を曲げることになります。
これでは、ストレッチの効果を高めることは難しく、筋肉を傷める原因にもなります。

バリスティックストレッチは、過去には広く用いられてきたが、現在では関節可動域を向上させる方法としては適していないと考えられています。

バリスティックストレッチのマイナス面は、急激な動作や、抵抗する組織を引っ張ることによって柔軟性を向上を目指す点にあります。これらの動作が速い速度で行われるため、伸ばすための力をコントロールをすることが難しいです。また、一度その部位を傷めた経験がある場合は特に注意が必要で、筋肉または結合組織を損傷する恐れがあります。

(用語解説)
筋紡錘:筋肉の中にあるコイル状の感覚器。
伸張反射:勢いや反動をつけて筋肉を伸ばそうとすると、引っ張られた筋肉から発せられた信号が反射によってかえってその筋肉を縮めてしまうこと。

ダイナミックストレッチとは

筋肉の柔軟性を高めるには、静的なストレッチであるスタティックスストレッチが最も効果的です。
ですが、スタティックスストレッチで高めた柔軟性が動きの中で十分に活かせない可能性があります。動きの中で必要なのは動的な柔軟性であり、静的な柔軟性が高いだけでは十分とは言えません。

ウォームアップを行う際に、筋肉が十分に温まり、その後にダイナミックストレッチを取り入れることで傷害の予防、更にパフォーマンスアップに繋がります。

ダイナミックストレッチはゆっくりとした動作を行いながら伸ばすので、筋温を低下させずにその人が持っている動的な柔軟性を引き出すことが出来ます。
ゆっくりとしたリズムで、筋紡錘を刺激して伸張反射を起こすことが無いように、筋肉の活動を意識的にコントロールしながら行う方法です。

ウォームアップの段階では、まだ十分に筋温も高まっておらず、柔軟性を高めるほどの時間をストレッチに充てることもできないので、この段階では、この後に行う運動で使う筋肉をほぐす程度にします。

近年ではウォームアップ(軽いジョギングやサイクリング)の後半に、ダイナミックストレッチを行うのが良いとされています。筋温が上がった状態を保ちながら、柔軟性をしっかりと向上させることが出来る最適な方法です。

説明を聞いて、バリスティックストレッチって小学校の体育でやってたのを思い出しました!ストレッチ効果がないとは驚きです!逆に筋肉を縮めてしまうのですね。

そしてダイナミックストレッチは初めて聞きました。ウォームアップの際にはダイナミックストレッチが良いのですね、そちらのやり方をお聞きしたいです!

吉村 有理菜監修トレーナーからのアドバイス

介護予防運動指導員、日本フィットネス協会GFI、FTPベーシックマットピラティスインストラクター、日本体調改善協会コンディショニングインストラクターbasic、社会福祉主事、児童指導員

そうなんですよね、バリスティックストレッチは安全性が低く、ストレッチ効果も得られにくいです。昔はストレッチ効果を信じられていて、学校の体育の授業でもやっていたのですけどね。

現在はバリスティックストレッチの短所をカバーした、ダイナミックストレッチが推奨されています。

では、ダイナミックストレッチの実践的な方法、そして柔軟性を高めるためにはスタティックストレッチが推奨されていますのでそちらも交えながらご紹介します。

色々なストレッチを実践してみましょう!

ウォームアップの際にはダイナミックストレッチを採用した方が効果的とお伝えしました。
バリスティックストレッチもダイナミックストレッチも動的ストレッチの仲間です。どのように違うのか、動画でご紹介いたします。

バリスティックストレッチ例

ダイナミックストレッチ例

こちらでは先程のバリスティックストレッチと同じ部位のダイナミックストレッチで、昔、『アキレス腱のストレッチ』と呼ばれていたもので差を見て頂けたかと思います。正しくは、腓腹筋とヒラメ筋というふくらはぎの筋肉のストレッチになります。

わかりやすいその他の動画もご紹介します。

◯バリスティックストレッチ

◯ダイナミックストレッチ
ウォームアップ時にはしっかりと動的なダイナミックストレッチをし、怪我の予防をして下さい。

スタティックストレッチ

余談になりますが、静的ストレッチであるスタティックストレッチについて少し触れます。

柔軟性の向上を目指す時に採用するストレッチは、スタティックストレッチになります。今持っている柔軟性を更に上げることが出来る最適な方法です。

やり方は、伸ばしたい筋肉が伸びている状態で30秒キープします。
ストレッチを始めたばかりの方は、この30秒キープがとてもつらいと思いますので、まずは15~20秒静止するところから始めてみて下さい。
静止する姿勢は、わずかに張りを感じる位置にします。ストレッチ中はゆったりと呼吸をして下さい。

吉村 有理菜監修トレーナーからのアドバイス

介護予防運動指導員、日本フィットネス協会GFI、FTPベーシックマットピラティスインストラクター、日本体調改善協会コンディショニングインストラクターbasic、社会福祉主事、児童指導員

最後に、バリスティックストレッチは安全性が低いので、近年では推奨されていないことをお伝え致しました。ストレッチの方法はいくつかあり、目的に合ったものを選択してみて下さい。ウォームアップにはダイナミックストレッチを、柔軟性をアップさせるにはスタティックストレッチを行います。ストレッチは怪我の予防になりますので、是非採用してみて下さい。