片岡鶴太郎さんがインド政府公認プロフェッショナルヨガのインストラクターの試験に合格され、会見の時に披露したことで話題になったヨガの呼吸法「ナウリ」は、古代インドヨーガ最高の浄化法とされているもの。内臓の位置を引き上げ、腸の活性化、便秘の解消などが期待できます。そんなナウリについて紹介します。
ヨガ呼吸法「ナウリ」とは
ナウリを行うには、まずウディヤナバンダを練習する必要があります。普段から食事も満腹になるまで食べ物で胃を満たさず、食べ物1/3、水1/3、空気1/3の割合で胃を満たすことが良いと言われています。
そしてナウリは胃や腸が空っぽの状態で行います。食べ物が胃や腸に残っていると内臓が刺激されるので、胃の中のものが逆流したり、気分が悪くなったりする可能性があるので、ヨガを行なったことのない方はインストラクターの指導のもと、実践することをおすすめします。
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
ナウリを初めてご覧になった方は、ビックリしますよね。私も初めて見た時はびっくりしました。「ナウリ」は、いきなりできるものでもなく、練習が必要になります。自分自身の体をコントロールする必要があるからです。
ヨガの呼吸法のもたらす効果
呼吸・・・普段から無意識に行っている行為です。吸った空気は肺に取り込まれ、血流と共に酸素が身体中に運ばれていきます。一度に沢山吸うことはできないので、吸ったり吐いたりを繰り返します。酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出して生きていく為に最も必要な行為をしています。
赤ちゃんが眠っている時の胸の動きを見たことがありますか?息を吸った時は、しっかりと肺が膨らんでいます。肋骨がしっかりと広がっている。骨は自力で動くことはできないので肋骨を覆っている肋間筋という筋肉が伸びたり縮んだりすることで、肺の動きを妨げずに守ってくれています。赤ちゃんの時は肺もフル活動しているのですが、大人は肺全体の三分の一しか使わずに呼吸をしているといわれています。大人になるにつれて省エネの体になってしまいます。
普段から呼吸が浅いかも・・と感じている方は要注意です。体に必要な酸素をしっかりと届けられていない可能性があります。そもそも内臓も筋肉でできています。そして血管も筋肉の柔軟性があるからこそ、ちょっとやそっとでは破れたり切れたりしません。その筋肉がもし固くなり、本来の動きを損なってしまったら・・・体は動かなくなり、内臓の働きもなくなり、外からの衝撃に耐えられなくなり、動きが止まり、内臓の動きも止まり、命が終わるのです。
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
大袈裟だと感じるかもしれませんが、これがわかっているようで、わかっていないことだとしたら、怖いですよね。
本来のヨガ
そうではありません。体が固いからこそ、運動が苦手だからこそヨガに取り組んでもらいたいのです。腰が痛いから。肩凝りが酷いからあんなポーズなんて出来ない・・私には敷居が高い・・・と言った声もよく耳にします。ヨガは、ポーズをとることが目的ではありません。解剖学や生理学に基づき、本来の生まれ持った体の動き、姿勢、筋肉の状態に戻していくための、ポーズなのです。関節の稼働域を本来の稼働できる範囲に広げる為に呼吸と共に体を動かしていくのです。
決してまわりの人と比べる必要なんてないのです。気持ちがよいと感じる事が大切です。体が緩んでいくと心も体も緩みます。そして、体が安定すると心も安定に向かいます。現代の人達は、不規則な生活習慣や運動不足、バランスの悪い食生活や、姿勢の悪さから低体温になり、自律神経のバランスが乱れやすい生活を送りがちです。
ヨガは呼吸と共にヨガを行うことで、生理的変化が起きストレスや不安を緩和する効果があります。そして筋肉の柔軟性を取り戻し姿勢が整い、呼吸をしっかりおこない酸素を取り込み筋肉にを動かすことで体温も上り、内臓の動きも良くなります。脂肪は筋肉の動きの少ない部分につくので、筋肉の働きがもどれば、自然に脂肪は落ちていきます。だからこそ、現代の人々がヨガに魅力を感じるのでしょう。
ナウリのコツや練習方法
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
ではここからナウリのやり方・方法について解説していきます。
1姿勢よく立つ
まずは、足の裏で床をしっかりとらえ、姿勢よく立ち体を安定させます。
2ウディヤナバンダを行う
息を吐ききった後におへそを、背骨に近付けるようにし、お腹を斜め上の背骨に向かって持ち上げます。みぞおちから背中に入れ込む感じでお腹をペチャンコにします。横隔膜が引き上がるイメージ。肋骨の下方がクッキリ浮き出ます。
バンダとは、ロック、しめる、しばるという意味。バンダの他はインナーマッスルや丹田という言い方もあります。深層筋を含む機能のこと。バンダを使うと集中力アップや筋力アップや内臓を強化される。
3ナウリを行う
内臓を引き上げ息を吸う。背骨を張り、脚を開き骨盤を開き内臓を引き上げ、頭を下げ息を吐く。そして息を止め腹直筋を立てる。そして腹直筋を左右のどちらかに引き寄せる。波打たせるように、腹直筋を動かす。
4浄化の呼吸法を行う
達人座で座り背筋を伸ばす。横隔膜を動かすように息をフッフッフッと早く吐く。力まないようにすること。あごを上げてゆっくり息を吐く。繰り返す。20回くらいフッフッと息を吐き、あごを上げ息を吸う。ゆっくり吐くを回数繰り返す。100回くらい繰り返すと良いと言われています。まずはインストラクターから指導を受けてから自主練習をすることをお勧めします。
ナウリの効果
ナウリを行うと便秘改善、消化不良や肝臓疾患などに対し高い効果をもたらします。内臓を強化し筋力がアップすることで血流が良くなり内臓レベルから体が元気になります。そして体だけでなく、精神を集中して行うことから、自律神経の働きを強めます。腹部の精神集中は情緒を安定させ、平常心を養うことができるのです。
ナウリを行うにあたり、ウディヤナバンダやムーラバンダ(骨盤の底のバンダを締めること。息を止め肛門の括約筋を締めること)も行うことでコアが安定し、骨盤や腰まわりの筋肉が発達し、ガードルやコルセットをしているのと同じ状態になり体を安定させます。ナウリを行うことで、自分の体を自分の筋肉でしっかり支える事ができれば、ガードルやコルセットなどの外からの 補助具が要らなくなるのです。
ガードルやコルセットは浮腫みやすい方には不向きです。浮腫みの原因のひとつとして、筋力不足があげられます。外からの補助具に頼る前に、自分自身の体に向き合い体の内側から変えていく事が大切です。
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
何となく体の調子が悪いからサプリメントを試してみても効いているのかわからない。薬を飲んでも気かなきなってきた。私自身も経験があります。どんなに良いとされるサプリメントでも、それは外からの作用です。サプリメントだけに頼らずに、自分自身の体を変える一歩を踏み出してみてください。相乗効果をもたらし、改善が早くなりますよ。
ナウリを行う時の注意点
内臓に食べ物が残ってない状態の時に行います。朝起きて排泄をすませてから。または食前に行い、ナウリを行ったあとは、ゆっくりと食事をとり満腹まで食べないこと。ナウリを行っている際に苦痛が生じたら、無理して続けず中止します。
そして、持病がある方は必ず医師に相談してから行うことが重要です。心臓疾患のある方、循環器系や気管や内臓に重い疾患のある方はお勧めできません。喘息や偏頭痛持ちの方も医師と相談して下さい。お腹の調子の悪い時やゆるい時も行わないでくださいね。ナウリは体を浄化させてくれますが、体調の悪い時に無理して行ったら、かえって悪影響を与えます。無理はしないことが、ヨガの原点です。
そして毎日少しずつの鍛練が必要です。「今日できるまで頑張る 」と長時間練習したりせず、毎日コツコツと行うことで体が慣れ、自分に合っているかどうかを確認しながら行いましょう。体に良いとされることでも、心地よいと感じるか苦痛と感じるかは人それぞれです。自分自身の体の声をしっかりと聞く事が大事です。合わないと感じたら手放すこともまた必要なことですから。
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
疑問に思ったことやわからないことは、どんな小さなことでもインストラクターや医師に相談してください。間違ったやり方をして体調を損ねてしまうことのないよう、その道のプロの判断や教えに耳を傾けて下さい。
ナウリの方法とヨガについてまとめ
個人の見解としては、ナウリに挑戦する方はヨガを極めていらっしゃるストイックな方のイメージです。でもヨガと出会ってから、私は心も体も安定に向かったことは事実です。軽度の椎間板ヘルニアでギックリ腰を繰り返し、開腹手術経験もある事から、腹部に血からを入れることが怖くなり、出産も帝王切開手術でしたので、骨盤の戻りも悪く、歪みを放置し、O脚も酷くなり足首の痛みに酷い浮腫みから、ベッドから起き上がれない日もあったのです。病院に行ってもこれと言ってどこかが悪いわけでもなく、椎間板ヘルニアも手術をするほどでもないとの事でした。
色々なものを試しました。サプリに整体、筋トレ、リンパマッサージ。ありとあらゆるものを試しましたが、効果が出ず、かかりつけ医の先生も頭をかかえていました。浮腫む時は一晩で膝が曲がらなくなるほど浮腫み、尿の量も減少。利尿剤を使うことで、体の水分をコントロールすることしか出来なくなりました。そんな体になり、突然食物アレルギーが勃発。花粉症も悪化し、皮膚まで敏感になり、日光にあたったり、汗をかいたりするだけで顔や首がかぶれるようになりました。体が過剰に敏感になりすぎてしまったのでしょう。抗アレルギー剤に痛み止めに、利尿剤。漢方も試しましたが全く効かず、被れた時の塗り薬も効かなくなりどんどん成分の強い薬に変わっていきました。
吉川ひとみ監修トレーナーからのアドバイス
IHTA国際ホリスティックセラピー協会認定ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター
何を試してもダメだった私を救ってくれたのはヨガでした。ヨガを学び実践し体の内側から変わっていきました。体はいくつからでも変えられるのです。そして外からの作用ではなく、内側から時間をかけて変えていく事が大切です。
早く得られた変化は戻るのも早いのです。食べずにダイエットし体重は落ちても、元の食事に戻せば体重はさらに増えていくように。何を試してもダメだと諦めないでください。必ず自分に合った改善法、健康法があるはずです。痛いときは薬に頼ってもいいのです。でも頼り過ぎを防ぐ為にも、体の内側からもしっかりと改善していくことが、自分自身の心と体が楽になり、生きやすくなります。自分と向き合うことから始めてみてください。きっとヒントが掴めるはずです。
ヨガをする上で意外に気になってしまう「食事のタイミング」。ダイエット中であればなおさらですよね。「ヨガをする何時間前までに食事を済ませたらいいの?」「ヨガをした後は何時間くらい空けて食事を摂るといいの?」その正しいタイミングと理由について解説していきます。