体質によって筋肉の付き方は変わるのか?

体質によって筋肉の付き方が異なることはご存知ですか?実は生まれ持った遺伝子によって筋肉の付き方が変わります。ここでは、体質によってなぜ筋肉の付き方が異なるかについて解説します。合わせて、筋肉の付き方に合わせた運動方法や日常生活で気をつけることをご紹介します。

体質と筋肉の付き方|2種類の筋繊維

筋肉の付き方は筋繊維と密接に関係しているため、筋繊維の種類と特徴について説明をします。

筋繊維の種類は大きく分類すると速筋線維と遅筋線維の2種類に分類され、速筋線維は更に2つのタイプに分けられます。速筋線維とは収縮速度が速い、力が大きい、スタミナが無い特徴を持っています。

つまり、瞬発的な力やスピード、大きな力を生み出すことに優れているが、すぐに疲れていしまう筋繊維です。また、速筋線維は白く見えることから「白筋」と呼ばれています。

一方で、遅筋線維は収縮が遅い、力が小さい、スタミナはあるという特徴を持ちます。遅筋線維はマラソンを走ったり、長距離自転車を漕ぐ時に有能な筋繊維です。速筋線維と違って、遅筋線維は赤く見えることから「赤筋」と呼ばれています。

速筋線維には2種類のタイプが存在すると上記で述べましたが、タイプAは瞬発的な力やスピードと大きな力を生み出す性質があり、タイプBはタイプAと遅筋線維の中間的な性質を持っています。中間的な性質とは力、速度、スタミナの全てが揃っているオールマイティーな性質のことです。

色は赤と白の中間色をとっていることから、ピンク色に見えます。また、研究では日本人は生まれた時から速筋線維と遅筋線維の割合がそれぞれ50%ずつであり、遺伝子でその割合は決定すると言われていますが、必ずしも半分というわけではありません。人によっては勿論誤差は生じます。

筋肉の付き方と筋繊維の関係

筋肉の付き方は筋繊維と密接に関係していると説明しましたが、何故でしょうか?

それは、速筋線維は鍛えられることで筋肥大をするからです。速筋線維は糖質をエネルギーとしているため、長時間ゆっくりと鍛え上げられる性質ではありません。ウェイトトレーニング等で、日常生活では受けることの無い強い負荷を与えることで強化されます。

強度な負荷を受けることで、速筋線維は断裂と修復をして更に強化された太い筋繊維へと発達します。つまり、速筋線維の割合が遅筋線維より多い場合は、筋肥大する範囲も広いため「筋肉が付いた」と実感しやすいです。

逆に遅筋線維は速筋線維ほど筋肥大はしなく、「筋肉が付いた」という実感もありませんが、持久力が高まります。速筋線維は断裂と修復を繰り返すことで筋肥大をしますが、遅筋線維は鍛えることでエネルギーの供給源であるミトコンドリアが増えて持久力が増加します。

このように、速筋線維と遅筋線維はそれぞれ異なった特徴や性質があります。これらの特徴を踏まえた上で、下ではそれぞれの体質や鍛えたい部位に合わせた運動方法について説明をします。

自分の体質は速筋線維優位型?遅筋線維優位型?

人は速筋線維が優位な体質と、遅筋線維が優位な体質の2つに分かれることを説明しました。

そこで、自分がどちらの体質であるかを知りたい方もいるでしょう。実は、筋繊維を調べることはとても困難であり、外科的な手術を要したり、日本ではあまり行われていない特殊な検査を受ける必要があります。

しかし、わざわざこのようなことをしなくても、もっと簡単な方法があります。まず、全力で50m走をダッシュして、その速度を測定します。次に、12分間走ってその速度を測定します。50m走の速度を12分間走の速度で割った値が2くらいの場合、速筋線維優位型と言われています。値が1.4くらいである場合は遅筋線維優位型だと言われています。

速筋繊維優位型と遅筋線維優位型に合った運動方法

速筋線維と遅筋線維の特徴や性質が異なると上記で述べました。

そのため、速筋線維と遅筋線維それぞれを鍛える方法も異なります。速筋線維優位型だからといって、速筋繊維の強化だけしか図れないということではありません。遅筋線維優位型の方も同様です。

また、速筋線維優位型の方の場合遅筋線維を鍛えても全く効果を望めないというわけではありません。その逆も同様です。ただし、速筋線維優位型の場合、遅筋線維の強化を実感できるまでに時間がかかるだけです。そして、遅筋線維優位型の場合は筋肥大が期待できるまでに時間がかかります。

速筋線維を強化して筋肥大を図りたい場合は、短時間の間に高負荷で筋繊維を刺激する筋トレが必要です。特に、速筋線維タイプAを強化したい場合は、時に高負荷な筋トレや加圧トレーニングが有効的です。一方で、速筋線維タイプBの強化を図りたい場合は有酸素運動も同時に取り込むことを推奨します。遅筋線維を強化したい場合は有酸素運動が効果的です。

また、遅筋線維は酸素を利用して脂肪をエネルギーに変換させることから、遅筋線維を強化することはダイエットにも繋がります。それぞれの筋繊維の特徴を踏まえた上で、自身の強化したい筋繊維に合った運動方法を取り入れましょう。

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筋肉の付け方は食事や生活で変わる?

速筋線維優位型、遅筋線維優位型の方で異なるポイントは無く、同じ筋繊維であるため日常生活で心掛けることは共通しています。

まず、食事についてです。速筋線維と遅筋線維の両者は筋肉であるため、タンパク質は欠かせません。タンパク質が欠けているということは、筋肉を構成している源も無いことを意味します。同時に、運動をするためにはエネルギーが重要です。エネルギーをつけるためには糖分も勿論摂取する必要があります。

しかし、タンパク質・糖分をむやみに摂取すれば良いわけではなく、両者共に体重1kgあたり1~2g摂取することが望ましいです。

また、タンパク質を豊富に含んでいる肉だけでなく魚貝類、大豆製品、卵、乳製品をバランスよく摂取することが望ましいです。そして、たった3回の食事で体重1kgあたり1~2gのタンパク質を摂取することは大変なため、プロテインパウダーの活用もオススメします。

次に休養についてです。人間は睡眠をとっている間に大量の成長ホルモンが分泌されていると言われており、成長ホルモンは筋肉の回復を促す物質です。

また、睡眠中は血流が増加しているため、血中の栄養分がより速く身体の損傷部位に運ばれて疲労回復だけでなく筋肉の回復には睡眠は欠かせません。理想的な睡眠時間は7~8時間で、ただ単に寝ることだけではなく、良質な睡眠をとることが筋肉及び疲労回復に有効的です。

【参考論文】

それぞれの筋繊維に合わせた運動を!

速筋線維優位型と遅筋線維優位型によって筋肉の付き方は異なります。しかし、体質に拘らずに強化したい筋繊維によって運動方法を分別しましょう。

また、日常生活で心掛けたいことは速筋線維優位型も遅筋線維優位型も共通しており、バランスの良い食事と良質な睡眠が重要となります。

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