筋肉は柔らかくするべし!メリットとその方法

監修者

幸田 倫史

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

【プロトレーナー解説】筋肉が柔らかいことのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ダイエットや疲労回復などに効果的と言われてますが、他にも筋肉が柔らかくすることで体に起きる様々なメリットを解説します。具体的な筋肉を柔らかくする方法についても解説します。

筋肉が柔らかいとは?

筋トレを始めてから身体が硬くなった気がします。これってかえって肩こりになるんじゃないんでしょうか?

幸田 倫史監修トレーナーからのアドバイス

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

筋肉を大きくすることで身体が硬くなったと感じる人はいますよね。筋肉が硬いことは良いことではありません。筋肉を柔らかくするとはどういうことか?見ていきましょう。

筋肉が柔らかく柔軟性のある状態とは、筋肉に弾力があり、力を入れたときに硬くなり、力を抜いたときには柔らかくブヨブヨの状態にまでなる、その落差が大きいほど筋肉の柔軟性のある、柔らかくいい筋肉とされています。

この状態にしておくことで余計な力みや緊張のない、筋肉になり多くのメリットを感じることができるでしょう。

筋肉の過緊張状態が続くことで肩こりや腰痛、姿勢の悪化、自律神経の乱れが起こり、体の不調に繋がってしまいます。こうならないためにも日頃から力を抜き心身ともにリラックスできる状態を作ることが重要です。

筋肉を柔らかくするメリット

筋肉を柔らかくするメリットは多くあります。

ストレッチなどで筋肉を伸ばすことで筋肉の緊張の和らげ、固まった筋肉や筋膜を緩めます。筋肉の緊張が続き血液の流れが悪くなると、老廃物や疲労物質が溜まりやすくなり、体の不調を感じたり、肩こりや腰痛の原因にも繋がります。

固くなった筋肉をストレッチなどで伸ばしてあげると柔らかくなり血液の通り道が確保され阻害されていた血液はスムーズに流れ、老廃物や疲労物質を流し、体が処理してくれます。

また、筋肉を柔らかくすることは直接ではないもののダイエットにも効果的です。ストレッチ自体は消費カロリーが少なく直接痩せるといった効果は期待できませんが、ストレッチで関節の可動域を広げることで、歩くときにの歩幅などが広くなり運動効果を引き出し、運動による消費カロリーをあげることができます。

姿勢改善にも効果があり、デスクワークや普段の癖で筋肉に偏った負担をかけ続けると一部分だけ力みが取れず、姿勢が崩れてしまいます。これもストレッチによって改善することが可能です。
筋肉を柔らかくすることで日本の国民病とも言われている肩こり・腰痛の改善、予防だけではなく疲労回復、ダイエット、姿勢改善にも効果的です。

筋肉を柔らかくするためにストレッチは毎日やってもよい?

柔軟性は筋力や瞬発力、敏捷性などと同じように人間の運動能力の一つです。

筋肉を柔らかくするための柔軟性を高めるトレーニングは毎日行うと効果的です。なぜなら、柔軟性は基本的に何歳からでも伸びる能力であり、筋肉は伸ばされすぎると怪我をしてしまうと錯覚し脳からの指令で収縮して自分の身を守ろうとする力があります。この脳からの指令がでなければ、状態や環境、体重の掛け方次第で最大近くまで伸びていき、筋肉は伸ばされ続けるのです。

柔軟性をあげるにはこの指令をできる限り出ないようにしていくことが必要なので脳に「自分の筋肉はここまで伸びても怪我はしない」と思わせるためにもストレッチは毎日行い、体と脳を慣れさせることで柔軟性が高くなっていきます。

筋肉を柔らかくするストレッチの方法と注意点

幸田 倫史監修トレーナーからのアドバイス

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

筋肉を柔らかくしようと思ったときに最初に思い浮かぶのはストレッチではないでしょうか?
ストレッチとは筋肉を伸ばすことです。そして効率的に伸ばすためにはいくつか意識するポイントがあります。

ストレッチをするときは「頑張ろうとしない」ことがとても重要です。「もっと伸ばそう、もっと伸ばそう」と頭で考えてしまうと筋肉に余計な力みを生んでしまい、筋肉が収縮し思うように伸びなくなってしまいます。ストレッチをするときはリラックスできる環境を作り、だらだらと深く考えずに片側30秒ほどかけてゆっくりストレッチしてみましょう。

最初は多くを考えずにこれだけを実践してみるのも良いでしょう。勢いを付けるストレッチは伸びが少ないうえに筋肉を痛める可能性があるため最初はゆっくりと丁寧に伸ばし、リラックスしながら行いましょう。筋肉が伸ばされ、普段多くのことを考えている頭も同時にリラックスすることで相乗効果が生まれ、より筋肉を柔らかくすることができるでしょう。

上記のことに慣れてきたら次は「伸ばしてるところは意識しない」ことも実践してみてください。

筋肉は意識すると収縮力はあがります。(トレーニングの意識性の原則)しかしストレッチ中は筋肉を伸ばしたいので意識してしまうと、効果が薄れてしまうのです。自分でストレッチをするときはストレッチのターゲットにしている筋肉ではなく、伸ばしてる筋肉の反対にある筋肉、または伸ばすために引っ張っている腕などを意識するとよいでしょう。

一般的な太ももの前を伸ばすストレッチでは足首あたりを体の後ろで掴み後ろに引っ張ることで太ももの前側を伸ばすことができます。このとき意識するのは太ももの裏の筋肉か足首などを引っ張ってる腕を意識し、さらに引っ張ってあげるとよいでしょう。

幸田 倫史監修トレーナーからのアドバイス

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

次から硬くなりやすい部位のストレッチ方法を紹介します。

太もも前のストレッチ

一般的な太ももの前を伸ばすストレッチでは足首あたりを体の後ろで掴み後ろに引っ張ることで太ももの前側を伸ばすことができます。このとき意識するのは太ももの裏の筋肉か足首などを引っ張ってる腕を意識し、さらに引っ張ってあげるとよいでしょう。

太もも裏(ハムストリングス)のストレッチ

ハムストリングスのストレッチは腰痛予防の観点ではとても重要です。普段の生活での歩くなどの下半身の動きを支えているのは足や臀筋、腰回りです。こういった動きの衝撃をやはりこれらの部位が受け止めるのですが、ハムストリングスが硬いと衝撃を受け止めるクッションのような役割をしてくれず、直接腰に負荷がかかってしまいます。
デスクワークが多い人はハムストリングスが固まりがちです。1日に2,3回でいいので前屈で伸ばしてあげる癖をつけてください。

やり方ですが、椅子に浅く座り片足を前に出します。出した方の足と同じ方の手で足のつま先を持ち、つま先を前後に動かしてください。

臀筋のストレッチ

デスクワークが多い人は椅子に座っている時間が長いと思いますが、お尻がの筋肉が硬くなるとこれまた腰痛の原因になります。猫背や反り腰によってヒトの重い頭を支えている上半身の負荷をお尻で吸収してくれないためです。
お尻の筋肉を柔らかくする方法は、ラクロスボールやテニスボールを使った筋膜リリースがオススメです。

ボールの上にお尻を置き、ゴリゴリします。もっとも硬い部分で10秒止めましょう。

股関節のストレッチ

股関節が硬いことも臀筋やハムストリングスと同様の理由で腰痛の原因になります。腰痛の原因は本当に多いですね。しっかりストレッチしましょう。
やり方は片足を前に出し、前方に体重を移動させるだけです。

幸田 倫史監修トレーナーからのアドバイス

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

ここまでは腰痛の原因になりがちな部位のストレッチを紹介しました。次からは肩こりの原因になりやすい筋肉のストレッチを紹介します。

広背筋のストレッチ

長時間のスマホやデスクワークの使用で猫背になると広背筋が固まりがちです。広背筋を柔らかくすることは肩こりの予防につながるのでぜひ行ってください。デスクワークの人でも仕事中に行えるオススメのストレッチを紹介します。

両手を机の上に置きます。このとき手のひらを上に向けることがポイントです。より広背筋に刺激が入りやすくなります。そのまま状態を真下に落とすようにして背中を伸ばします。

三角筋のストレッチ

三角筋も猫背になりがちな現代人が柔らかくするべき部位です。肩こり解消・予防につながります。

片腕を反対の肩の方に伸ばし、手のひらを上に向けて机の上に置きます。そのまま上半身を真下に押し付けるようにして肩甲骨・三角筋後部の筋繊維を伸ばします。

僧帽筋のストレッチ

肩こりの原因の代名詞とも言える僧帽筋です。首の付け根から背中中部くらいまで縦に伸びる大きな筋肉です。僧帽筋は大きな筋肉なので上部・中部・下部と分けて様々なストレッチ方法がありますが、ここでは仕事中でも簡単にできるやり方を紹介します。

両手で椅子の淵を持ち背筋を伸ばして胸を張ります。上半身を固定してください。肩を5秒間引き上げ、その後脱力します。これを繰り返します。筋肉は緊張と脱力を繰り返すと緩む性質を利用したストレッチです。

上記を試しながらストレッチを続けると筋肉の可動域はあがり、筋肉を柔らかく力みの取れた状態に近づけ、より多くの効果を実感できるでしょう。

その他筋肉を柔らかくする方法

ストレッチ以外にも筋肉を柔らかくする方法はあります。代表的な方法を紹介します。

交代浴

温かい風呂と水風呂を繰り返す方法です。サウナと水風呂の繰り返しでも同じ効果が得られます。
これは筋肉を温めることで血管が広がり、すぐに冷やすことで血管は収縮します。血管を強制的に広げる→縮めるを繰り返させることで血行が促進されます。

筋肉に溜まっている老廃物が流れるので筋肉が柔らかく、良い状態になります。

マッサージ

マッサージも筋肉をほぐしてくれる方法の1つです。
自身でやるセルフマッサージもありますが、基本的には整体院などでやってもらうのがいいでしょう。定期的にプロに筋肉をほぐしてもらうのは肩こりや腰痛予防だけでなく、ストレスなどの精神面、冷え性など様々な効果が期待できますよ。

柔らかくなった筋肉を保つには

ストレッチを習慣化し毎日行い、柔軟性が上がってもストレッチを辞めてしまっては、また前の状態に戻ってしまいます。

筋肉は脳からの支配で力を入れたり抜いたりできるため辞めてしまって、久々に伸ばそうと思っても中々伸びないことがあります。脳が「久々で怪我をするかもしれないから伸ばすのを制限をかけよう」と指令を出したためです。そうなったらまたストレッチを習慣にし柔らかく柔軟性のある筋肉にしていきましょう。

幸田 倫史監修トレーナーからのアドバイス

健康運動実践指導者、JATI-ATI、AFAA-PC、AFAA-FDEC

ストレッチを始めたからといってすぐに柔軟性が上がるわけではありません。日々地道に毎日続けることで少しずつ伸びていくのです。無理やりではなく勝手に伸びていく範囲で行い、柔軟性をあげて感じることのできる恩恵を実感してください。

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