筋トレに器具は必要?不必要?

監修者

千陽 ハーヴェイ

NSCA認定パーソナルトレーナー

筋トレを始めようと思ったとき、器具は使うべきか?それとも使わなくてもいいのか?そもそも、自分にはどんなトレーニングが必要なのか?自分ではなかなか分からないのが現実です。そこで、今回はさまざまなトレーニングの種類について解説します。

筋トレの種類

一般的に、私たちが「筋トレ」と呼んでいるもの(腕立て伏せ、腹筋、スクワットなど)は、全て「無酸素運動」に当てはまります。無酸素運動とは、瞬間的な強い力を必要とし、筋肉にある糖質を消費します。酸素を使わないため、長時間の運動はできないが、筋肉を鍛えることができます。
これとは逆に、マラソン、水泳、ヨガといった、低負荷で長時間続けるものを「有酸素運動」といいます。有酸素運動の場合、体内にある体脂肪を燃焼させることでエネルギーを作り出しています。このとき、同時に酸素が必要になります。脂肪燃焼のためには20〜40分以上続けることが効果的です。
この他にも、体幹筋まわりを鍛える「体幹トレーニング」があります。体幹筋とは、腹筋と背筋の周辺にある、体幹に関わる筋肉の集まりのことを指します。これを鍛えることで、普段の生活での姿勢が良くなり、腰痛の予防などにも効果があります。実際の腰痛予防のトレーニングなどは『筋トレをすれば腰痛も改善されるって本当?』をご覧ください。

『自重トレーニング』と『ウエイトトレーニング』

先ほどご紹介した「無酸素運動」の中には、大きく分けて二つの種類があります。まず、自分の体重を利用して筋肉を鍛える「自重トレーニング」です。もうひとつが、ダンベルやジムにある器具を使った「ウエイトトレーニング」です。

筋トレに慣れていない人は、まずは自重トレーニングから始めることをオススメします。

自重トレーニングは、ウエイトトレーニングに比べ負荷が小さい代わりに、怪我のリスクも低いです。まずは自重トレーニングで身体の動きの基礎を学習しましょう。

これによって、「筋肉の柔軟性、可動域、安定性、運動調節」を身につけます。
(柔軟性とは、筋肉の柔軟性。可動域とは、関節の動く範囲。安定性とは動作を安定させる体幹の筋肉がしっかり働くこと。運動調節とは、動作を行う上で各筋肉が適正に働いて正しい動作を行わせること。)

この4つの機能を身につけた上で負荷を上げたウェイトトレーニングをおこないましょう。ウェイトトレーニングは筋肉に大きな負荷がかけられる分、効率良く筋肉を鍛えることができますが、怪我のリスクも高くなります。

この4つの機能を身につけた上で、負荷を上げて行くことをお勧めします。正しい動作を学習してから、ウエイトトを上げて行くと、怪我なく効率的に筋肉をつけて行く事ができます。

次に、自重トレーニングとウエイトトレーニングの代表的なトレーニングメニューをご紹介します。

●自重トレーニング

①プッシュアップ
まずは、大胸筋をメインに鍛えるプッシュアップ(腕立て伏せ)です。
10回×3セットおこないましょう。
②スクワット
次に、太もも周りの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えるスクワットです。
10回×3セットおこないましょう。
③プランク
最後に、腹直筋(いわゆるシックスパックの筋肉)を鍛えるプランクです。
30秒×3セットおこないましょう。
※自重トレーニングの詳しいやり方は以下の記事をご覧ください。

●ウエイトトレーニング

ウエイトトレーニングでオススメなのが、バーベルを使った『筋トレBIG3』と呼ばれる、バーベルスクワット、デットリフト、ベンチプレスです。この3つのトレーニングで、全身の主要な筋肉のほとんどを鍛えることができます。
①ベンチプレス
まずは、胸筋まわりを重点的に鍛える、ベンチプレスです。ダンベルを使うことが一般的ですが、ダンベルでもおこなうことができます。
8〜12回×3セットおこないましょう。
②ダンベルスクワット
次は、太ももまわりを重点的に鍛える、ダンベルスクワットです。
10回×3セットおこないましょう。
③デッドリフト
最後に、背筋・腹筋まわりを重点的に鍛える、デッドリフトです。本来はバーベルを使っておこなう筋トレですが、ダンベルを使った動画を紹介します。
10回×3セットおこないましょう。
※筋トレBIG3の詳しいやり方は以下の記事をご覧ください。

身の回りの物で代用できるウエイトトレーニング

自重トレーニングでは物足りなくなってきたら、家にあるものを使って簡単な負荷を加えることができます。スクワットをおこなうときなど、空のペットボトルに水を入れて、それを一緒に持ち上げることで、0.5〜4.0kg程度の負荷を加えることが可能です。

筋トレに器具が必要がどうかは目的による

「筋トレに器具は必要か?」
この答えは、「どちらとも言えない」です。自重でも高い負荷をかけられる運動のバリエーションもあり、器具がなくても効果的なトレーニングがおこなえます。

筋トレでもっとも重要なことは、明確な目標を持つことです。それによって、必要なトレーニング量や負荷のかけ方が決まり、どのトレーニングメニューをおこなえばいいのかが決まります。

器具が増えればおこなえる筋トレの種類が増え、自重ではかけられない負荷を斬新的に上げていく事ができます。筋肥大を目標にするのであれば、ウエイトはあった方が良いでしょう。

身体の健康を維持したいというのであれば、自宅でできる自重トレーニングが役に立ちます。筋トレは無酸素運動ですが、トレーニングが終わった後も身体が酸素を必要とし脂肪が燃え続けます。
身体のシェイプを変えたいのであれば、筋トレは最も効果のあるトレーニングです。

有酸素も筋トレも両方行うのがベストではありますが、シェイプを変えたいのであれば、筋トレを優先し食生活の改善を行う事がゴールへの近道です。

筋トレに器具が必要か?まとめ

●脂肪を燃やす『有酸素運動』と、筋肉を鍛える『無酸素運動』
●自宅でできる『自重トレーニング』と、器具を使った『ウエイトトレーニング』がある
●筋トレには、目標設定が重要
ここまで、自重トレーニングとウエイトトレーニングについて詳しく解説してきました。これから筋トレを始める人、筋トレに慣れていない人はまず、自重トレーニングからはじめて、慣れてきたらウエイトトレーニングに挑戦しましょう。
<関連記事>