椅子に座って生活をしている現代人にとって当たり前になりつつあるo脚。これは決してこれが身体にとってよくない状態。これが原因で「変形性膝関節症」やそのほかの股関節、足首などへの障害も起きてしまいます。
今回はO脚の解説から改善するためのストレッチまでしっかりご紹介します。
O脚ってなんだろう!?
O脚をストレッチで治したいのですが、何をすればよいでしょうか
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
わかりました!まずはO脚対策でどこをストレッチすればよいのか見ていきましょう。
O脚とは?
O脚対策ストレッチは「外もも」と「腰」
①背骨が丸まってしまう猫背
②骨盤は背中側に傾く後傾状態
③股関節が緩んで太ももの骨が外へ向くガニ股
④下半身だけで体重を支える為に脚が外側へ丸みを帯びる
⑤太ももの外側は正常よりも引っ張られる為、筋肉(大腿四頭筋の一部や大腿筋膜張筋から腸脛靭帯)が過度に緊張する
⑥太ももの内側は緊張感が失われ、筋肉が活躍せずに弱化
今回、ご紹介するのは①と⑤のケアです。⑤は症状を出来るだけ早く軽くする為の対処、①は根本改善を目指すためのものと捉えてください。
ヒラガコージ監修トレーナーからのアドバイス
柔道整復師/ランニングアドバイザー
現代では当たり前の言葉として使われているO脚。「私O脚なんです!」と自信満々にご自身の脚を見せてくださるお客様もいます。
生後1年程度の赤ちゃんは骨盤と脚が完成するまではO脚である事がありますが、2歳を過ぎたあたりから変化していきます。その為、大人になってからO脚になってしまっている事は間違いなく正常ではないと言えます。
以前はあまり見られなかったO脚ですが、現代に向かって着実に患者数は増えています。それも性差では女性、年齢別だと50歳代を超えたところで急激に増加する傾向にあります。
これは女性だから、50歳を超えてから、ではなく、それまで長年過ごしてきた生活様式、日常生活動作こそが生み出しているものです。
膝周りの重怠さもケアできる、外ももストレッチ
そんな方にオススメなのは外ももを伸ばすストレッチです。
私たちの日常生活動作は本来股関節を活発に動かし、膝関節がそのサポートをするかのように安定性を求めて支持していきます。
しかしながら、背中の姿勢が悪く脚の付け根が外に開いてしまうと、膝を主導として身体を動かしてしまいます。
さらには下半身の強度を高める為にO脚へと変性させていくと、太ももの外側は正常よりも引っ張られ、筋肉(大腿四頭筋の一部や大腿筋膜張筋から腸脛靭帯)が過度に緊張していきます。
この膝の外側を緊張を取り除くべく、ストレッチをご紹介します。
A:寝た状態で行うパターン
①右肩を下にして横向きで寝ます。
②下になる脚(右脚)は上半身より前に置きます。
③上になる脚(左脚)の膝を曲げたら、足首又は足の甲を持って身体の後ろに引っ張ります。この際に左脚が天井方向へ流れない、膝の内側が床に近づけながら行う事がベストです。
→1日1回3セットずつを目標に。
B:立った状態で行うパターン
① 「アキレス腱伸ばし」のように左脚を前、右脚を後ろに開きます。
② 後ろにある右脚を折り曲げて、膝を床につきます。
③ 前にある左脚に体重をかけながら、右膝関節炎を徐々に曲げて、最終的には足首又は足の甲を右手で持ちましょう。この時、踵は腰の中心からお尻の割れ目に向かうように膝を曲げましょう。
根本改善を目指す腰のストレッチ
これらを改善し、O脚の根本改善を目指すためのストレッチをご紹介します。
A:タオルを使った仰向けストレッチ
①バスタオルを横折りで2度畳んだら、縦に丸めて小さな筒状にします。
②仰向けに寝たら、お尻の少し上、ちょうど腰骨が変われる辺り(骨盤と腰椎の境目)に丸めたバスタオルを当てがります。
③タオルによって腰の低いところを反らされている状態をキープします。
→1日1回、3分間を目指して行いましょう。
B:四つん這いで腰を伸ばすストレッチ
①手のひら、膝、つま先をついて四つん這いになります。
②顔を前に向けて、無理なく背中を伸ばしたら、そのままキープしましょう。
③腰に疲れが出始めたら、一度背中全体を丸くして伸ばして、体力に余裕があれば再度続けてください。
※タオルでのストレッチと一緒で最も反らされて伸びを感じるのはお尻や腰骨のすぐ上(骨盤と腰椎の境目)です。腰の真ん中や背中を強く伸ばすとかえって腰に違和感や痛みを感じることがあるため、気をつけて行ってください。
→1日1回、1~3分間を目指して行いましょう。
O脚の源流を探ろう。
O脚の根本は「姿勢」に隠れている?
30年前、50年前、100年前と遡れば遡るほどその頃の人達は姿勢が良かったと言われています。それは椅子に座る機会も少なく、移動手段も自身の脚を使っていました。
人間は本来、歩く動物です。“直立二足歩行”という他の動物には持っていない特殊能力を駆使して、スピードは出なくとも長く疲れずに移動する事を可能にしました。その事の為に骨盤や背骨は整備されて進化していったと言われています。
皆さんがご存知の“背骨の「S字」カーブ”も立って歩いて移動し、背骨を柔らかく使う事で身体に掛かる負担を軽減したり、細胞分裂の際に生まれて身体に溜まる熱を放散したりする為に作られたものです。
椅子に座って移動できる交通手段が生み出され、生業も椅子に座って優秀なコンピュータを相手に仕事をするようになりました。
椅子に座って脚を使わず毎日を生活する事で姿勢は確実に悪化してしまいます。
少し話が長くなりましたが、時代が進むにつれて姿勢は悪化し、身体を使って生活をしなくなっている私たち現代人は背骨(特に腰)が丸くなってきています。これがO脚の原因である可能性があります。
O脚と法隆寺の関係性
法隆寺を始めとする日本古来の建物やはたまた古代ギリシャの歴史的建造物であるパルテノン神殿にも見られる洋ナシ型の湾曲のある柱。これこそが秘密です。
古代ギリシャの建造物に用いられている洋ナシ型の柱、これを「エンタシス方式」と呼びます。
元来、紀元前400年頃を生きたギリシャ人は秩序のあるものを好み、錯覚などは排除したいという思考がありました。そこで柱に近づき根元から先を見た際に最も美しく見える事を想定して作られたそうです。
しかし、このエンタシス方式にはもう一つ秘密が隠れております。それが強度です。
直線的な柱よりも程よい湾曲をつける事によって縦に掛かる重さ(重力)を効率よく支え、強度を保つ事ができるのです。
これがどのように伝わったのか、たまたま知恵が重なったのかはわかりませんが、法隆寺の柱にも用いられているのです。
本来ならば、身体の重量は背骨を含めた骨格全てで支える事が理想的ですが、椅子に座って生活し、運動が著しく不足している私達は背骨の強度や腰背部の筋肉の低下によって体重を下半身のみで支えるようになります。
そこで下半身により強度を付けるためにも脚部に外向きの湾曲を作っているのではないでしょうか。
だからこそ、O脚を改善する為には内転筋の強化のみならず、背骨の「S字カーブ」を再獲得する必要性があるのです。